舛添要一『1990年 自民党が野党になる日-中道革新政権の科学的根拠』の読書録

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舛添要一『1990年 自民党が野党になる日』

単行本:207ページ
著者:舛添要一
出版社:光文社
発売日:1984年(昭和59年)10月5日初版1刷発行

目次

まえがき-選挙がスリリングになってきた

プロローグ 1990年自民党政権は崩壊する

いますぐにでも、政権交代は可能である
内政をラジカル化し、外交を現実化すれば社会党は政権がとれる
投票棄権者の力は、170議席分もある
フランス社会党は、大企業の重役にまで支持されている
派閥を解体すれば自民党は潰れる
政治資金の規制は、社会党に大打撃を与えた
歌手は1年、総理は2年のゼロサム時代
トカゲの尻尾切りが、自民党長期単独政権の秘密
世論は、確実に自民党離れをはじめている

【第1章】 自民党長期政権の秘密

選挙制度を変えると、政治に絶大な効果を与える
田中角栄は、選挙の大天才である
三バンを持たないと代議士になれない
自民党は、1党5派閥の連合政権である
野党は、派閥のダイナミズムを有効に生かせ
■ 長期政権の秘密[Ⅰ]野党の対応
社会党の外交政策は、世界の笑いものである
野党は自治体レベルでの連合を、国政レベルに生かせ
朝日ジャーナリズムは、社会党政権成立のさまたげである
社会党は、非武装中立論を捨てる勇気を持て
『ソ連が平和勢力である』という神話は嘘っぱちである
ヨーロッパの知識人は、とうの昔にソ連型社会主義を見捨てている
誰が、自民党政権の延命に手を貸しているのか
■ 長期政権の秘密[Ⅱ]政策の柔軟性

自民党はすぐれたトリック・スターである
重要問題の『棚上げ』は、自民党のお家芸である
自民党にとって、野党はすぐれた教科書である
補助金政策の巧みな『アメ』と『ムチ』
連合が進めば進むほど、自民党は柔軟性を失う
オイル・ショックが、革新自治体に壊滅的打撃を与えた
■ 長期政権の秘密[Ⅲ]組織

自民党を強くする後援会
圧力団体という集票マシーン
利益をもたらす党に入れるのが、民主主義の原点だ
労組政党は国民政党になれない
金の切れ目が縁の切れ目、そして自民党の切れ目になる
■ 長期政権の秘密[Ⅳ]官僚機構との結びつき

いまのまま社会党が政権をとると、官僚が反乱を起こす
官僚的発想が日本を滅ぼす
統合能力を持つ政治集団が、国民を幸福にできる

【第2章】 これが自民党崩壊の決定的条件だ

自民党を10人減らせば政権交代が可能になる
野党の大臣病が自民党政権を助けている
公明・共産が小さくなれば自民党は陥落する
新自由クラブは、西ドイツFDPの凋落に学べ
棄権層を投票させた政党が、確実に勝てる
社・民・新自ク連合で支持なし層をとりこめ
連合政権のもっとも有効なパターン
自民党が明日にも崩壊する条件
社会党だけが病根を断ち切れる
社会党は、新聞との付和雷同を断ち切れ
国鉄再建、教育改革は社会党にしかできない
民社党は、完全に政策を誤っている
さきに目を覚ました者が『政権』をとれる
補助金バラまきが、日本をダメにしている
勇気をもって、補助金行政を断罪せよ
利益誘導型政治の功罪
補助金問題を突くだけで、政権交代は起こる
社会党よ、自民党より先に目を覚ませ

【第3章】 選挙区別野党の議席のとり方

★ 野党の当選確率20パーセントの選挙区
この8区が政権交代の鍵を握っている
★ 野党の当選確率50パーセントの選挙区
野党が絶対に落とせない7区
★ 野党の当選確率70パーセントの選挙区
野党が手を抜くと危ない16区
自民党が議席をふやしそうな選挙区
勝った選挙の次の選挙が危ない
★ 野党の当選確率80パーセントの選挙区
この7区で自民党は議席を失う
死に票を生かしてチャンスをつかめ

【第4章】 連合政権の罠

連合政権にはさまざまの問題がある
第一党が連合を組むと小党に振りまわされる
小党の連合は国民に対する裏切りにもなる
連合はエネルギーのむだ遣いである
連合政権だと責任の追及ができなくなる
西ドイツでは、連合によって自民党が消滅しそうになっている
強大な与党大連合は、国民の不満をうっ積させる
自民党政権は、偉大なる「共産主義」国家をつくった
行政改革が自民党を崩壊させる
戦後の総理は、経済優先と政治優先が交互にでている
日本は、すでに社会主義国家である
戦後の改革が日本の活力を生みだした
平等思想を広めた日教組の力は評価されてよい
自民党長期政権は占領軍のおかげである
戦後の占領「革命」は正しく評価すべきだ
オールド・リーダーには、戦後改革への後ろめたさがある
外交政策を現実化させて、自民党を追い落とせ

あとがき

『1990年 自民党が野党になる日』の読書録

※2009年7月24日記
※政党名は、本書記載の通りの当時のもの

自民党の総理候補にまで名前が挙がっている舛添厚生労働大臣。
本書「1990年自民党が野党になる日」は、その舛添大臣が昭和59年(1984年)10月に出版したものである。

2009年7月の某テレビ番組で、舛添大臣と民主党の山井議員が討論しているときに、
山井議員がいたずらっぽく「大臣、こんな本出していますよね!」と本書を取り出し舛添大臣が苦笑い。
まさに政権交代が目前となっている状況において、そのツッコミは絶妙であった。

ともかく、すぐにアマゾンで本書を購入。
その内容は・・・まるで社会党(当時)への応援とも言うべきもので、例えば
『いまの日本の病根を断ち切れるのは、社会党しかいない。』(P119)
『日本を21世紀にも活力ある社会にするために、行革とか、財政再建ができ、国鉄を立て直し、教育を立て直すことができるのは、日教組を傘下に抱え、国労、勤労を抱えた社会党である。』(P121)
『国鉄の再建は、自民党政権ではできない。それができるのは社会党政権である。だから、頑張ってほしいのである。あなたたちの未来はバラ色だ。』(P123)
という具合。

自民党の長期政権を可能にした4つの秘密(P42)

本書第3章「選挙区別の野党の議席のとり方」では、議席を取り方を選挙区別かつ具体的に示している。
『次の選挙でどうすれば、自民党の代議士を追い落とせるか、お教えしよう。』(P142)
『83年末の選挙の結果を調べてみると、残念ながら自民党がまた次の選挙で議席をとりもどすかもしれないところが、かなりある。』(P142)
その分析もさることながら、「追い落とす」など反自民的な表現には驚いた。

本書は、戦後40年の自民党の功績は認めつつも時代の変化に合わせた政治変革の必要性を示唆。
とりわけ社会党にその役割を求めているが、「社会党」を今の「民主党」に置き換えて読み進めると、
民主党の応援歌にも聞こえなくもない・・・!?
古い本ではあるが、今でも十分読みごたえのある本であった。