金子勝『セーフティーネットの政治経済学』の読書録

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金子勝『セーフティーネットの政治経済学』

新書:207ページ
著者:金子勝
出版社:WAVE出版
発売日:1999年(平成11年)9月20日第1刷発行

表紙

市場競争の世界には、信頼や協力の制度が奥深く埋め込まれており、
相互信頼を前提とする「協力の領域」があってはじめて「市場競争の領域」もうまく働くのである。
この信頼や協力の制度にあたるのが、リスクを社会全体でシェアする(分かち合う)セーフティネットである。

目次

プロローグ 病気と誤診-なぜ不況が長期化したのか
危機の本質
本書の流れ

【第1章】 経済学の失敗

1.金融自由化がもたらしたバブル連鎖
間違った二分法
市場原理主義イデオロギー
全世界を覆ったバブル
エスカレートする公的資金投入
2.「自己責任」が悪循環を作り出す
人間の合理性の限界
デフレスパイラルはなぜ起こったのか
将来不安が不況を深刻化させる
3.迷走する経済政策
規制緩和政策の欺瞞
歴史からの警告
有効需要政策の限界

【第2章】 セーフティーネットとは何か

1.なぜセーフティーネットが必要か
〈信頼〉と〈競争〉の相互補完関係
セーフティーネット形成史
セーフティーネット解体がもたらすもの
2.誤ったセーフティーネット理解
例外論と使い分け論
リスクを社会全体でシェアする
IMFが失敗する理由
安全ネットを壊す制度改革
3.セーフティーネットとモラルハザード
社会的コストは高くつくか
情報の非対称とモラルハザード
2つの事例-食管制度とレギュレーションQ
逆機能の例-ドル・ペッグ制

【第3章】 市場の限界をどうとらえるか

1.労働の市場化の限界
2.土地の市場化の限界
3.貨幣の市場化の限界

【第4章】 グローバルスタンダードの落とし穴

1.引き起こされた制度摩擦
ペイオフは何をもたらすか
レイオフは世界標準か
アメリカンスタンダードの危うさ
2.ルールをめぐる市場の争い
「規模の経済」と「範囲の経済」
OSを握った者が勝つ
ISOとどこが違うのか
3.最悪のシナリオは何か
アメリカのバブル崩壊シナリオ
基軸通貨国のモラルハザード

【第5章】 セーフティーネットの再構築

1.制度改革-5つの戦略ポイント
2.グローバル戦略の再構築
危機管理シナリオがなくてよいのか
アジア・レベルでの協力関係
3.金融システム不安をどうするか
経営者責任を明確に
歪んだ調整インフレ政策を正せ
強制注入が必要
4.デフレスパイラルを断ち切るために
将来不安をどう解消するか
雇用の流動化か安定化か

【第6章】 第三の道-財政中立的な制度改革

1.信頼を回復する年金改革
偽りの選択肢
積立金取崩しと税方式移行
401kは必要ない
低所得者と女性のための年金
2.地方への税源移譲
貨幣供給から現物給付へ
介護保険法の問題点
深刻な地方財政危機
地方に税源を
3.3つの福祉政府体系

エピローグ 信頼の経済学序説
冷戦型思考との決別
市場を自らの手に

あとがき

以下読書録作成予定