転換期の社会保障を考えるために 唐鎌直義『日本の高齢者は本当にゆたかか』の読書録

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唐鎌直義『日本の高齢者は本当にゆたかか』

単行本:159ページ
著者:唐鎌直義
出版社:萌文社
発売日:2002年(平成14年)1月1日初版発行

知っていますか?
高齢者世帯の4割は年収200万円以下、
6割は年収300万円以下。
激しい所得格差と、
低所得層に仮借ない保険料負担。
必要生活費に圧迫される家計。
高齢者の暮らしの視点に立って、
「リッチになった」と言われる高齢者論に
実証的に反論する。
[著者オリジナルの納得できる図・表14点入り]

目次

はじめに

【第1章】 年金の低い高齢者の大量な存在
ゆたかさを見る2つの視点
高齢者はいくら年金を受給しているか
高齢者の年金水準と新卒者の初任給水準との関係
半数近くを占める国民年金受給者
年金として給付したものを利用料で回収する介護保険

【第2章】 年金の最低限保障を実現するには
低額年金を可能にしている現実的理由
生活の最低限を欠いた日本社会
最低保障年金の実現にはいくら必要か
減少しない国民年金加入者数

【第3章】 年金格差が激しくなる理由
ばらばらな受給額の厚生年金
年金の受給額分布の日英比較からわかること
受給権が得られるまでの保険料納入期間の異例な長さ
業績主義の年金額算定方式

【第4章】 高齢者を分断する収入格差
現役のときの年収が半減する高齢期
高齢者世帯の所得階層分布
二つの収入源別に見た高齢者世帯の三類型
高齢者の生活格差と要求の温度差

【第5章】 高齢者世帯の生活実態-高齢者世帯の家計収支
高齢期生活の全般的低位性
『家計調査』を見る場合の注意点
高齢者の赤字家計を直撃した低金利
無職の高齢夫婦世帯の収入の状況
無職の高齢夫婦世帯の支出の状況
高齢者も税・社会保険料を納めている
低消費家計の構造

【第6章】 社会的固定費の軽減が国民の暮らしを変える
高齢者世帯の低消費の状況
低消費家計の理由-社会的固定費の圧迫
社会的固定費の軽減がゆたかさをもたらす鍵
低消費家計と市場経済
高齢者家計の諸特徴
高齢期の住宅費負担
高齢期の保健医療費負担

【第7章】 賃金と社会保障
社会保障成立の根拠について-賃金の限界
バブル経済と労働分配率の低下
不況下でも大手を振る大企業優遇策
賃金の短期性と生活の長期性の矛盾の激化
日本とヨーロッパで異なる失業への対応
不安定就業層と社会保障
多就業化と非婚化へ-国民の哀しい選択

【第8章】 国富に見合った社会保障の構築を
戦後的社会契約の破棄
高齢者と商品社会の孤独
情報弱者としての高齢者
社会保障の低位性の克服を

あとがき
図表一覧
索引

以下読書録作成予定