負担を分配する時代へ 高山憲之『年金の教室』の読書録

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厚生年金・国民年金増額対策室

高山憲之『年金の教室』

単行本:212ページ
著者:高山憲之
出版社:PHP研究所
発売日:2002年(平成14年)2月4日第1版第1刷

目次

【第1部】 年金不安は解消できるか

第1章 つのる不信・強まる不安-序にかえて-
考えられなくなった「年金のない老後」
つのる中高年齢層の不安
強まる若者の不信
不幸な状況の重なりあい
困難な平時の改革
醸成された危機感
「5つの選択肢」発表がもたらしたもの
経済オンチの年金官僚
政治主導の年金保険料凍結
目的と結果の混同
本書の狙い

第2章 世代間の負担格差は縮小できるか
-公的年金の保険料を現行水準以上に引き上げる必要はない-

信頼回復に必要だった2つの公約
基礎年金の財源切りかえ
厚生年金の保険料は直ちに4ポイント引き下げ可能
60歳代後半層への在職老齢年金再導入-給付適正化のために1
既裁定年金の物価スライド化-給付適正化のために2
モデル年金の45年拠出化-給付適正化のために3
厚生年金の保険料はピーク時でも現行水準以下に抑えられる
まだある給付適正化の方策
無視できない給付額の格差
受給開始年齢の引き上げは最後の切り札
公的年金の保険料は引き下げるべきものである

【第2部】 年金をめぐる争点

第3章 財政方式の選択
-積立方式への切りかえや民営化はどこまで有効か-

意見の違いはなぜ生じるのか
「給付建て」と「掛金建て」
「積立方式」と「賦課方式」
公的年金はなぜ賦課方式で運営されているのか
積立方式導入にともなう二重の負担
世代と世代の助けあい
スライド制採用との関係
賦課方式の長所
賦課方式の短所
親と子で一つのサイフを分けあう
年金の将来を左右する政治家の調整能力
賦課方式へのその他の批判
積立方式の長所
積立方式の短所
シンガポール・チリの経験
少子化・経済成長との関係
積立金運用上の政治リスク
スウェーデン・イタリアの場合-掛金建て制度への変更
年金民営化をめぐる論争
フェルドスタイン教授の方針転換
経団連案への疑問
年金民営化のマイナス面
女性や低所得者がこうむる不利益
民営化による現在の受給者と将来世代の利害
米独の政権は年金民営化を拒否した
賦課方式と積立方式の組みあわせ

第4章 基礎年金の財源調達
-保険料徴収ベースを消費支出に切りかえよ-

2分の1に引き上げられる国庫負担割合
社会保険料は国税総額を上回っている
突出する年金保険料負担
社会保険料の引き上げは景気にマイナス
減少しはじめる現役世代
逆進的な定額保険料負担
半数近くがドロップアウト
納付拒否でも、おとがめなし
管理運営のための多大な行政費用
第3号被保険者問題
社会保険方式の限界
税方式に切りかえる場合
国民皆年金の実現
ミーンズ・テストは不即不離ではない
保険料徴収ベースの切りかえ
「巨額の税財源が必要」は言いがかり
巨額の保険料軽減が可能に
サラリーマン・自営業者はネットで負担減
事業主負担は減るのか
ネットで負担増となる年金受給者
過去の拠出実績をどうあつかうか
所得税か消費税か
消費課税のメリット
負担の逆進性は消失する
マイナス成長は消費税増税のせいではない
消費税収は安定性がもっとも高い
介護や高齢者医療の財源問題
一般税か目的税か
消費税アレルギー解消のために

第5章 平均余命はさらに延びる
-受給開始年齢の引き上げか拠出年数の延長か-

平均余命の延びにともなう年金負担増
アメリカの場合-年金受給開始年齢の引き上げ
ドイツの場合-給付水準の引き下げ
スウェーデンの場合-エイジフリーの年金受給開始へ
フランスの場合-モデル年金受給のための拠出年数の延長
代替案の比較は十分になされたのか
報酬比例年金の受給開始年齢引き上げ
繰上げ受給者の減額率をどうするか
増減率を月単位に切りかえよ
すでに年金を受給している人の取りあつかい
報酬比例年金の繰り下げ受給は廃止される
60歳代前半層の雇用環境は極端に厳しい
労働力需要は減退する
労働力供給もそれほどふえない
60歳代前半層の収入は低下する
報酬比例年金の受給開始年齢を60歳に据えおく場合
メリット建ての特別保険料
65歳へ定年を延長する場合
就業能力の向上
エイジフリーの社会へ

第6章 女性と年金
-専業主婦優遇批判を超えて-

女性の就業選択から中立的な年金制度を
共働き世帯と方働き(専業主婦)世帯の比較
主婦の家事労働-批判その1
労働時間のちがい-批判その2
賃金月額の上限-批判その3
第1号被保険者のあり方を援用するのは間違い
遺族年金における専業主婦世帯の優遇
シングルとカップルの比較
税方式で第3号被保険者問題は消失する
完全個人単位化か夫婦間所得分割か
男女間の賃金格差はすみやかに解消するのか
専業主婦は本当にトクをしているか
非正規労働者の年金適用問題
明日の年金か今日の賃金か

第7章 厚生年金基金の代行制度 -廃止をもとめる民意を無視しつづけてよいのか-
給付建て・完全積立方式で運営される厚生年金基金の代行部分
拍車がかかる代行返上・廃止論
企業財務を直撃している積立不足
新会計基準への移行
構造的に矛盾の多い代行制度
合理性のない財政中立化案
移管積立金の計算方法をどう改めるか
厚生年金基金連合会が見舞われた巨額の積立不足
積立金の移管は厚生年金本体に
労使が主役の企業年金改革を

むすび

第8章 負担を分配する時代へ
-「痛みわけ」の知恵にもう一度学ぼう-

「給付を分配する時代」は終わった
負担をめぐる新しいルール
三方一両損の知恵
高齢者が失っていない高貴な直感
P・ピーターソン氏の語りかけ
一律平等主義的対応の限界

参考1 だれでもわかる年金制度-現行制度の概要
だれがいつ加入するか
職種によって異なる加入制度
三種類の年金給付
二階建ての給付構造
老齢年金は何歳から受給する
60歳以降もはたらきつづける場合
完全自動スライド制
年金給付は年6回払い
基礎年金の水準
報酬比例部分の給付算式
モデル年金
年金保険料

参考2 1999年の年金改革法
主要内容
財政効果
補足説明

あとがき

以下読書録作成予定