元議員秘書の歯ぎしり、言い分、そして提言 永田長太『永田町のからくり』の読書録

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永田長太『永田町のからくり』

単行本:246ページ
著者:永田長太
出版社:集英社
発売日:2003年(平成15年)10月8日第1刷発行

私の逮捕からもわかるように、
国会議員秘書の一番大きな仕事は、
いざという時に彼らの身代わりになることなのである。

永田長太とは・・・?
吾輩は永田長太という。だが、これは個人名ではない。
永田町という『魔性の森』で不遇をかこつ不特定少数の総称である。
ある者は、「オヤノナナヒカリ科世間知ラズ属」の国会議員の逆鱗に触れ、
突然クビ切りされた。
また、ある者は、「ナマケモノ科カネ儲ケ属」の国会議員のあとを追いかけていたら、
彼の尻拭いのために身代わりとなって逮捕された。
そしてある者は、かつて仕えた「ハタラキモノ科リョウシキ属」の国会議員の教えを胸に、
今も『魔性の森』に生息している現役窓際秘書である。
それぞれの素性は訳あってつまびらかにはできない。
国会議員の陰の運命を背負わされてきた吾輩だが、日本の政治を少しでもよくしたい。
その思いから永田長太として名乗りをあげた次第である。

目次

プロローグ
マネー・ポッターよ、永田町の虫の声を聞け!

【第1章】 不思議の国の獄中記
永田長太の見た選挙風景
1.血湧き肉躍る!国会議員は本質的に選挙大好き!
2.解散!議院は選挙区へ。国会女子職員は有休を取って海外へ

【第2章】 秘書はつらいよ!ある国会議員秘書の1日
永田長太の見た選挙風景
3.選挙にお金をかけない候補者こそ、国会に必要な人では?
4.人間だけじゃない、番犬を手なずけてこそ一流地元秘書!?

【第3章】 漱石も驚嘆!吾輩は秘書である、机や椅子の類である
永田長太の見た選挙風景
5.女心を制する者は、選挙を制する!?
6.日本は高齢化社会、老人票を奪い取れ

【第4章】 ソクラテスの神託-汝自身を知った議員秘書の弁明
永田長太の見た選挙風景
7.何が起こるかわからない!まさに選挙は魔物が棲む!
8.小選挙区で繰り広げられた空前絶後!?のネガティブキャンペーン

【第5章】 永田町と霞が関の国賊・税金泥棒たち
永田長太の見た選挙風景
9.『くのいち』を使って、女性スキャンダルを工作する
10.少しでもましな議員を選ぶためのワンポイントアドバイス

【第6章】 私腹を肥やす永田町のマネー・ポッターたち

永田長太の国会改革案

エピローグ
議員秘書のつれづれ草

『永田町のからくり』の読書録

「秘書が、すべては秘書がやったことで・・・」(P2)
多くが政治家のカネにまつわる犯罪において、この手の発言は政治家の常套句のようになっている。
「どうせまた秘書のせいにしている・・・」と、恐らく誰も本気にしていないのだが、
残念なことにそこで事態が収束してしまうのもまた事実である。

本書は、実際に議員の尻拭いにより逮捕され、長年勤めてきた議員秘書を失職させられた著者が、
元議員秘書の立場からアンダーグラウンドの実態を語っている。
公共事業の口利き・・・大学の裏口入学・・・様々な錬金術・・・
政治家の日常とは?議員秘書の仕事とは?議員と秘書の関係は?
やはり表に出てこない真実こそ面白い!

本書の最後には「永田長太の国会改革案」が9項目掲載されている。
「文書通信費はプリペードカードを支給」などはすぐにでもできそうだし、
その他も元議員秘書ならではと思える提案である。

国会議員にとっては厳しい内容ばかりで、
自民党政権時代には不可能と思われる「永田長太の国会改革案」だが、
民主党政権において、ぜひ実現してもらいたいと思う。
民主党が長期政権になるかどうかも、この変にかかっているのでは!?
(当ページ読書録記述日:2009年10月20日)