信用失墜した「わたしたちの年金」の抱える諸問題を鋭く抉(えぐ)る 日本経済新聞社(編)『年金を問う』の読書録

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厚生年金・国民年金増額対策室

日本経済新聞社(編)『年金を問う』

単行本:277ページ
著者:日本経済新聞社(編)
出版社:日本経済新聞社
発売日:2004年(平成16年)3月8日第1版第1刷発行

目次

第1部 落ちた信頼

【第1章】 無職の1千万プレーヤー-給付の未来、見切る若者
(1)優遇される高齢者
(2)膨らむ「見えざる債務」
(3)年金不信から不信の「確信」へ
[年金早わかり1] 助け合い方式

【第2章】 天引き保険料どこへ-開示不十分、老後描けず
(1)保険料負担の重み
(2)不十分な情報開示体制
(3)透明性、信頼性はどこに
[年金早わかり2] 給与天引き

【第3章】 逃げるパート、追う厚労省-展望なき加入者拡大
(1)適用基準緩和が収益を直撃
(2)終わりなき「パート争奪戦」
(3)懸念広がる年金空洞化
[年金早わかり3] 主婦の負担

【第4章】 150兆円の財布
(1)役所の論理
(2)年金積立金の不安
(3)心もとない「巨大ファンド」
[年金早わかり4] 年金積立金

【第5章】 法人税超す保険料負担
(1)「痛みを伴う改革」進めるシンガポール
(2)重すぎる社会保障負担
(3)競争力低下を企業は警戒
[年金早わかり5] 社会保険料

第2部 ちぐはぐな改革

【第1章】 もう通じぬ「甘い約束」マイナス2004年改革決定の内幕
(1)選挙が終わった-主役は年金
(2)変わらぬパワーゲーム-緒戦は財務省が優勢
(3)巻き返し-厚労省・公明党・社労族のトライアングル
(4)広がる土俵-税調が参入、公明も強気
(5)覆る「首相指示」-厚労省・公明・社労族が逆転
(6)「小数点」の数字合わせ-強まる公明の影響力
(7)主戦場は社会保障-変わる政治力学
(8)世代間にギャップ
(9)超党派協議の動き-憲法と並ぶ重要課題に
(10)「国のかたち」「政府のかたち」を左右-年金、根本論議を
(11)年金改革、第2ラウンド-抜本改革論の芽生え

【第2章】 窓口延長も未納者来ず-4割の反乱、崩れる前提
(1)未納者対策に知恵絞る
(2)納付率悪化の背景
(3)伝家の宝刀
(4)深刻な影響を落とす若年層の不信感
[年金こう変わる1] 会社員の負担

【第3章】 「モデル」で語れぬ女性たち-変わる夫婦、制度は限界
(1)「内助の功」はどこに?
(2)「離婚の時代」に合わせた改革
(3)専業主婦ゆえの不公平
(4)見えない「自分の年金」
[年金こう変わる2] 国民年金の負担

【第4章】 店ざらしの官民統合
(1)年金制度移行の損得
(2)消えぬ格差
(3)進まぬ一元化
(4)議員年金制度見直しも、改革は遠く
[年金こう変わる3] 少子化進めば給付50%切る

第3部 描けぬ未来

【第1章】 つぶされた一本化案-「痛み隠し」政治の本音
(1)変わらぬ制度の硬直性
(2)露呈する制度体系の限界
(3)数字合わせの改革案
[年金こう変わる4] 給付財源確保へ課税強化

【第2章】 官の都合、ゆがむ401K
(1)軽視される加入者
(2)資産形成にはほど遠く
[年金こう変わる5] 確定拠出の限度額上げ

【第3章】 「世帯モデル」という虚構
(1)「共働き」よりも「片働き」
(2)放置された「虚構」と「現実」の溝
(3)最大の「虚構」、人口見通し
[年金こう変わる6] 在職老齢年金

【第4章】 もう会社には頼れない
(1)基金解散続出の波紋
(2)収益圧迫-負担回避へ動く企業

【第5章】 「国の負担」は国民の負担
(1)財源はどこに
(2)変わり始めた「永田町」

第4部 改革論議迷走の40年

【第1章】 国民皆年金に重ねた無理-1960年代~
(1)制度の黎明
(2)皆年金の達成
(3)増え続ける年金額
(4)画期的な仕組み

【第2章】 空白の10年-1980年~
(1)破たんの予兆
(2)国民年金を救済せよ
(3)第3号被保険者制度の登場

【第3章】 妥協の産物、膨らむ誤算-1990年代~
(1)支給開始年齢の引き上げ
(2)少子化の罠
(3)続く抑制
(4)確定拠出年金の導入
(5)凍結される負担
(6)保険料固定方式
(7)なお残る不信
(8)日本の保険料固定方式も万全ではない

将来の方向は「個人単位」だが、なお議論が必要
-坂口力・厚生労働相インタビュー

【終章】 本物の改革を成し遂げよ
(1)「つじつま合わせ」にエネルギーを割く愚
(2)高齢者が得をし、若者が損をする社会
(3)年金は受け取れない?だから保険料は払わない
(4)税金も保険料も同じ国民負担
(5)長生きのリスク、早死にのリスク
(6)年金が決める国のかたち

参考資料
1.国民年金法の一部を改正する法律案要綱
2.年金積立金の運用組織の改革案
3.平成16年年金制度改革に関する与党合意

以下読書録作成予定