2004年改正法案を斬る! 高山憲之『信頼と安心の年金改革』の読書録

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厚生年金・国民年金増額対策室

高山憲之『信頼と安心の年金改革』

単行本:206ページ
著者:高山憲之
出版社:東洋経済新報社
発売日:2004年(平成16年)5月20日発行

目次

はしがき

【第1部】 日本の公的年金改革

第1章 いま公的年金はどうなっている
厚生年金はすでに赤字基調が定着している
600兆円弱の債務超過となっている年金のバランスシート
1998年度以降、社会保険料負担は国税総額を上回っている
年金保険料負担が公租公課の中では突出して重い
国民年金だけではなく厚生年金でも空洞化が静かに深く進行している
再配分後所得の老若逆転

第2章 2004年改正案の主要内容
基本的スタンス
保険料の小刻み引き上げと上限の法定化
特例期間と過去賃金の読みかえ
年金給付水準の引き下げ
給付水準の固定
すでに年金を受給している人の年金給付はどうなる
国庫負担割合の段階的引き上げ
積立金の目標水準
在職老齢年金の改善
報酬比例年金の繰り下げ受給
70歳以上の人に対する在職老齢年金
離婚時の年金分割
遺族年金制度の見直し
育児支援策の拡充
障害年金の改善
国民年金の保険料未納対策
年金個人情報の定期的通知
その他の公的年金改善措置
企業年金関係の改定項目

第3章 2004年改正案を検討する-過激かつ硬直的な「負担の構造改革」
毎年1兆5000億円前後の定期的年金負担増計画
とまらない厚生年金の空洞化
労働市場からしめだされる若者
経済成長の足かせに
雇用へのペナルティ
年金保険料を引き上げると所得税・住民税・法人税は税収減となる
バランスシートはどう変わる
保険料拠出と給付の大小逆転
自己犠牲と献身の裏にあった慢心と不作為
ノコギリをひいて紙を切る
手足をしばられた厚生労働省に将来像の立案をゆだねてよいのか
既裁定年金水準の50パーセント割れ
給付額算定方法はますますわかりにくくなる
なぜ調整期間を限定するのか
羊頭狗肉のマクロ経済スライド
給付水準固定方式
先送りされた受給開始年齢のさらなる引き上げ
先どりベースのモデル年金50パーセント割れ
基礎年金の給付水準を引き下げてよいのか
なぜ税金を年金に投入するのか
税金の無駄づかいがふえてしまう
積立金のとりくずし
一歩前進の年金分割
遺族年金における専業主婦世帯の優遇
ポイント制への疑問

第4章 年金制度の抜本改革
保険料拠出と給付を直接むすびつける
過去拠出分との区分経理
国民年金保険料は所得比例型へ
基礎年金の解体
保証年金への衣がえ
過去拠出にかかわる債務超過圧縮に公的資金(税金)投入を
20年遅れの直間比率見直し
年金目的消費税を導入せよ
給付増の抑制
クローバック制度の導入
バランスシート健全化の具体例
公的年金の債務超過額をどこまで減らすのか

【第2部】 世界における最近の年金改革

第5章 スウェーデン-みなし掛金建てへの切りかえ
内外で高まる関心
改革の背景とプロセス
公的年金制度の抜本的再編
みなし保険料資産
拠出と給付の1対1対応原則とその例外
年金保険料の長期固定化
受給開始年齢問題からの解放
賃金スライドへの切りかえ
自動安定装置の導入
公的年金給付費の抑制
賦課方式に対するいわれなき批判
賦課方式にもとづく給付建て年金との異同
基礎年金の保証年金への衣がえ
オレンジの手紙
障害年金・遺族年金の分離

第6章 ドイツとフランス
110年の歴史をもつドイツの年金制度
1972年改革
1992年改革
ネットベースの給付調整
受給開始年齢引き上げの前倒し実施
人口要因への着目
パートタイマーなどへの適用拡大
1999年改革
コール時代の終焉
2001年改革
リースター年金の創設
公的年金保険料の現状凍結
リュールップ社会保障改革審議会
ドイツ流の新たな自動安定化装置
「決められない国」の逡巡
フランスの受給開始年齢は60歳
拠出期間が短い人には厳しいペナルティ
社会保障目的税(CSG)
職域年金(AGIRC・ARRCO)
2003年改革

第7章 チリ、シンガポール、オーストラリアなど
チリの年金制度
巨額の移行費用
加入率の低下
高いハンドリング費用
変動が激しい年々の運用利回り
シンガポールの年金制度(CPF)
目にみえない税金
みなし給付建て
オーストラリアの年金制度
職域年金の社会化
退職一時金メンタリティ
開発途上国の年金問題
移行経済国の年金問題

【第3部】 年金論争の10年間

第8章 民営化や積立方式への移行をめぐる年金論争
年金民営化論
スティグリッツ教授によるこきおろし
「給付建て」と「掛金建て」
積立方式と賦課方式
公的年金はなぜ賦課方式で運営されているのか
二重の負担
世界銀行による問題提起
ビーティ=マクジリブレーの痛烈な批判
サミュエルソン=アーロンのパラドックス
運用利回りは人口高齢化の動きから中立的であるといえるか
無視された移行費用
ゼロサムゲーム

むすび

信頼と安心-新しい年金物語
バランスシートを無視した厚生労働省
バランスシートの切れ味
誤解と言いがかり
過去の延長線上でコトをはこんでよいのか
年金は政治家の必修科目
政治への期待

あとがき

以下読書録作成予定