「縮む世界」の発想とシステム 松谷明彦『「人口減少経済」の新しい公式』の読書録

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松谷明彦『「人口減少経済」の新しい公式』

単行本:250ページ
著者:松谷明彦
出版社:日本経済新聞社
発売日:2004年(平成16年)5月20日第1版第1刷発行

目次

【第1章】 変化は一挙に~迫る極大値後の世界~

1.速すぎる日本の人口減少高齢化
高度成長がもたらした急激な高齢化
日本特有の人口構造
大規模な育児制限が今後の急激な高齢化の原因
高齢化が人口減少の原因
半世紀で4000万人の人口減少
日本とドイツだけが人口をいじった
2.日本の経済成長率が最も低くなる
人口の「谷」が高度成長を実現した
人口の「谷」が今度は成長率を押し下げる
3.極大値に達した日本
速すぎる人口の減少高齢化
外国人労働者の活用は後世代への負担の移転
迫る巨大な構造変化

【第2章】 拡大から縮小へ~経営環境の激変~

1.3分の2になる労働力
傾向的に変化する労働力率
過去の労働力率の動き
人口を上回る労働力人口の減少率
短くなる労働時間
労働力は3分の2に縮小する
2.縮む日本経済
2種類の技術進歩
人口減少下の成長率の決定メカニズム
生産資本ストックは横這いから縮小へ
2009年には縮小に向かう日本経済
止めようのない経済の縮小
3.スリム化が企業経営の基本
「人口増加経済」と「人口減少経済」のメカニズムの違い
生産能力の計画的縮小が必要
大きくなる設備投資リスク
資金の抑制は禁物
賃金と企業利益では経済効果は異なる
貯蓄超過による経済の縮小
不況と「人口減少経済」の違い
スリム化こそ「勝ち組」の条件
4.「省力化」では解決できない
成功しなかった日本の「熱狂的省力化」
中核労働力の縮小に対する日本企業の対応
大幅に悪化した企業の財務体質
行き過ぎた「省力化」が成長率を低下させた
最適資本装備率を目標にした省力化
「人口減少経済」における企業経営
5.消費主導の経済へ
投資主導の日本経済
巨大な投資財産業の存在
人口の高齢化が投資を縮小させる
消費主導の経済へ向かう日本
大きく変わる企業地図
むずかしくなる多角化

【第3章】 地方が豊かに~地域格差の縮小~

1.対応を迫られる大都市圏
人口が高齢化するのは大都市圏
東京圏と島根県の人口構造線
大幅に減少する20~30代の人口
速すぎる高齢化が大都市圏を直撃
生産年齢人口が大きく減少する大都市圏
相対的にも低下する大都市圏の成長率
高齢化で低下する労働生産性
20歳と55歳がターニング・ポイント
労働力の年齢構造と産業構造の関係
労働力の高齢化が著しい大都市圏
大都市圏に集中的に現れる人口の減少高齢化の影響
2.一変する地域経済地図
地域経済予測についての考え方
人口ないし人口構造に基づく地域経済予測
地域経済モデルによる予測(推計人口の場合)
地域経済予測(封鎖人口の場合)
大幅に縮小する地域の経済力格差
維持できない現在の労働力構造
これからは労働力のあるところに企業が動く
3.知法が豊かに~生活水準格差の縮小~
一人当たり県民所得は地方で上昇、大都市で低下
ただし、道のりは平坦ではない

【第4章】 小さな政府~公共サービスの見直し~

1.維持できない現行の年金制度
現行の年金制度は重大な局面へ
極めて甘い政府の年金改革案
現行年金制度は究極の平等化
人口減少高齢社会の年金制度とは
社会的ストックによる高齢者対策
2.半減する公共事業
公共事業の拡大は日本経済をいっそう縮小させる
激減する公共事業許容量
公共事業半減の衝撃
既存の社会資本の再点検が必要
住民主導の社会資本整備の長期計画
3.増税の必要はない
財政支出には縮小要因も少なくない
増税は日本経済を縮小させる
増税なくして財政収支の均衡は可能
永久公債の勧め
人口減少高齢社会における財政のあり方

【第5章】 豊かな社会~全体より個人~

1.上昇する賃金水準
「国力」とはなにか
30年後も最も豊かな国の一つ
戦後の日本経済は人々を豊かにしなかった
人口の減少高齢化が人々を豊かにする
2.働かない自由-就業形態の変化
終身雇用・年功賃金制の仕組みとその効用
終身雇用・年功賃金性の持った意味
崩れる人口・労働力のピラミッド構造
付加価値への貢献度に応じて決まる賃金
スペシャリティに基づく賃金体系を基本とした雇用制度
終身雇用制も崩壊する
「働かない自由」の実現
3.分散する人口-ライフスタイルの多様化
現実化する「足による投票」
高齢者は都心部、都市部へ
地方地域でも進む人口の極への集中

【第6章】 「人口減少経済」への羅針盤

1.日本の経済システムの再構築
「人口減少経済」に適合しない日本の金融システム
収益率優先の金融システムへ
技術開発システムの再構築
世界に開かれた研究開発体制
開発分野の絞り込み
技術開発基盤の共有化
企業経営システムの再構築
企業経営にとっての残された問題
2.地域経済システムの再構築
本源的所得の確保
地方広域経済圏の形成
広域経済圏の3つの課題
再構築を求められる公共事業
悪化する「都市の収支」
都道府県レベルでみた「都市の収支」の予測
都市整備の方向の見直し
3.人口減少下の生活設計
ライフスタイルの多様化
「競争」の多様化
「みんな」から「個人」へ、「国民」から「住民」へ

おわりに

以下読書録作成予定