『週刊ダイヤモンド 2009年11/21号 特集:どうなる? あなたの退職金・企業年金』の読書録

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『週刊ダイヤモンド 2009年11/21号 特集:どうなる? あなたの退職金・企業年金』の読書録

週刊ダイヤモンド 2009年11/21号 特集:どうなる? あなたの退職金・企業年金
週刊ダイヤモンド:146ページ
出版社:ダイヤモンド社
発売日:2009年(平成21年)11月16日発行

表紙

これならわかる
退職金・企業年金の仕組み「大図解」

簿外の積立不足は13兆円!
1・2部上場会社危険度ランキング

パナソニック、NTT、早稲田大学・・・
OB減額には高いハードル
年金訴訟の顛末

経営者必見!
企業タイプ別移行ガイド&制度改革事例集

あなたの会社は大丈夫?
格付けシートで企業年金簡易格付け

転職したら、倒産したら?
あらゆる疑問に答える得Q&A

特集目次(P30~P70)

どうなる?あなたの退職金・企業年金

[32] 【Prologue】 給付減額時代が到来
JAL再建で勃発した給付減額紛争の行方

【Part1】 複雑怪奇な制度を大解剖
[36] 複雑な制度がまるわかり 退職金・企業年金のすべて
[40] (Word)退職金・企業年金の基礎用語集

【Part2】 揺らぐ老後の安心
[42] このままでは持たない!?存亡の危機に立つ退職給付
[45] (Column)小さい会社は儲かりません!?生保、信託の『適年つぶし』
[46] 企業年金は賃金の後払い OBの減額には高いハードル
[47] (Column)受給者保護が充実する海外 柔軟な制度変更が可能な日本
[48] 4つの指標であぶり出す 退職給付制度危険度ランキング
[51] 確定給付型年金は存続不可能? IFRS導入のインパクト

【Part3】 企業の退職金・年金改革
[52] この年金制度を選べ! 企業タイプ別移行ガイド
[54] 東京電力
[55] 丸井
[56] 日新製鋼
[57] 中小企業

【Part4】 老後資産減少に備える
[58] 企業年金不安時代に備える 老後資産最大化のルール
[60] 将来の年金受取額は自分次第 確定拠出年金『活用の極意』
[63] (Column)転職しても移管手続きをしない 年金のほったらかし問題
[64] 減額要請・転退職に備える 退職金・企業年金Q&A
[68] 資産形成・運用のイロハを解説 『自分年金』のつくり方
[70] 資産形成の定番商品のメリット&デメリット

『週刊ダイヤモンド 2009年11/21号 特集:どうなる? あなたの退職金・企業年金』の読書録

当ページ記載:2009年11月25日

今号の週刊ダイヤモンドの特集「退職金・企業年金」は、退職給付(退職金・企業年金)が重荷になり、どのように手を付けていけばよいかと悩む経営者や、 退職給付がキチンと支給されるのか?減額されてしまうのではないか?というような不安を抱く会社員の双方ともに知っておきたい情報が詳細に記されている。

退職一時金50%削減を認めた裁判例も

「都内の企業が退職一時金を50%削減する退職金規定の変更を実施。その是非を問う控訴審判決で、東京高等裁判所が企業側の主張を認め、変更を有効としたのだ。」(P35)

もはや退職金規定の変更なしに倒産が回避できないという事情があり、それを裁判所が認めたということだが、
このケースは、どの会社も状況次第で退職金の大幅削減が十分にありうることを示している。
(退職金の積み立て状況などはここでは記されていない)

企業年金減額のルールは?

JALの企業年金削減問題で会社とOBとの紛糾が起こったが、46ページには、過去の企業年金削減に関する裁判例(要点のみ)が掲載されている。

松下電器産業(現パナソニック)、早稲田大学、NTT、東京放送(現TBSホールディング)、りそな銀行の5つのケースで、企業年金の減額が認められたものもあれば、 NTTのようにOBの9割が同意しているにもかかわらず裁判所が企業年金の減額を認めなかった例もあり、その判断は本書でも指摘しているようにケースバイケースと言わざるを得ない。

一応、厚生労働省令では
「(減額やむなしと言えるだけの)企業経営の悪化」

「全受給者の3分の2以上の同意」
を基準としているのだが・・・

年金(確定拠出年金)のほったらかし問題

公的年金同様、企業年金でも宙に浮いた年金が発生している。

「確定拠出年金の加入者が会社を転職して資格を喪失し、他の年金制度への移管手続きを行わず6ヶ月間放置すると、保有していた資産は、強制的に国民年金基金連合会(国基連)に 移管される。資産を強制移管された人を「自動移管者」と呼ぶが、その人数は今年3月末時点で約17万人に上り、資産額は370億円に達している。」(P63)

掲載されているグラフを見ると、自動移管者の人数・金額ともに右肩上がりで伸びている。
(確定拠出年金自体2001年に始められたもので、グラフは2003年度からとなっている)

資産が移管されると利子も配当もつかず自動移管時は3,150円の手数料が差し引かれ、
さらに毎月50円の管理手数料も引かれ続けることに・・・まったく良いことはない。

会社が倒産したら年金はもらえない?

65ページの「減額要請・転退職に備える退職金・企業年金のイロハ」のQ3「会社が倒産したら年金はもらえない?」は、 上場企業でもバンバン倒産する昨今、気になる人が多いのではないだろうか。

「企業年金資産の原資は、原則として会社の資産とは切り離して、外部に積み立てられているため、会社が倒産しても、原則、すべてがなくなることはない。」(P65)

以降、倒産を機に企業年金制度が廃止された場合、次いで積み立て不足のまま企業が倒産した場合の説明がある。
前者は残った財産を年金か一時金かで分配、後者はOB優先での分配となる。

個人年金保険の「予定利率」は「利回り」ではない

70ページと71ページには、個人年金保険等のメリット・デメリット、注意点の説明がある。
個人年金保険でいう予定利率は実際に受け取れる利回りとは違うこと。グロソブのような毎月分配型外債投信は若い人には向かないこと。 外貨建て預金は円を外貨に替える際と、外貨から円に戻す際に手数料が掛かり、1年分の利子だけでは元本割れを起こす場合もあることなど、 わずか2ページ分ながら投資の参考になるエッセンスが詰まっている。