国はタンス預金を狙っている!「統制経済」へ向かう日本 副島隆彦『預金封鎖』の読書録

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副島隆彦『預金封鎖』

単行本:224ページ
著者:副島隆彦
出版社:祥伝社
発売日:2003年(平成15年)9月10日初版第1刷発行

国はタンス預金を狙っている!
日本政府が発動する緊急の金融統制令。
その時、われらは資産をいかに守り抜くか!
巻末付録-すべて五つ星クラス 秘[海外ファンド]27本

目次

まえがき

【Ⅰ】 今の日本経済は「政治」が動かしている
-株価上昇と銀行国有化。すべてのカギは「日米首脳会談」にあった

日本の株価は底を打ったのか
経済学とは結局「景気予想学」である
日本で「預金封鎖」が実施される時期とは
「ブッシュ・小泉再選同盟」が結ばれた
政治主導で日米の株価が上がった
アメリカが決めた「りそなへの公的資金投入」
「クロフォードお泊まり同盟」とは何か
物価と賃金の下落が続く日本
紙幣と国債の発行量が膨らみすぎた
なぜ国債発行と増税が同じことなのか

【Ⅱ】 金融大国・アメリカが抱える「爆弾」
-米国債暴落、巨大銀行の焦げ付きという「システミック・リスク」を暴く

アメリカもデフレを警戒している
インフレ・ターゲットは「危険な処方箋」だ
破れかぶれの金融政策
FFレートの、予想外の引き下げ率
アメリカの長期金利が上昇すると、どうなるか
ニューヨークの巨大銀行が抱える「爆弾」とは
銀行のデリバティブ投資が失敗する
金融システム崩壊の危険性は、5年で40倍に膨張した
アメリカの銀行の不良債権額は少なすぎる

【Ⅲ】 ドル・円相場は、なぜ動かないのか
-「為替」と「実体経済」をめぐる世界経済の奔流

「国債」よりも深刻な「地方債」の問題点
1年で60兆円の借金をしたブッシュ政権
景気回復には戦争しか手段がない
作られた景気は、すぐに落ち込んでゆく
石油をめぐるアメリカとヨーロッパの闘い
覇権国が同盟国に与える「利権」
イラクに戦争を仕掛けたもう一つの理由
なぜドルと円の相場が動かないのか
ユーロに対して「ドル安攻撃」をかけた理由
「ユーロ建ての原油代金決済」は許されない
世界は二大基軸通貨体制へ移行する

【Ⅳ】 株式市場、一時的復活のカラクリ
-「外国人の日本株買い越し」は、なぜ行われたのか

2年後、世界経済の崩壊が始まる
ハイパー・インフレの予防措置としての預金封鎖
ノーベル賞経済学者でさえ「デフレ解決には紙幣を増刷せよ」と
2ヶ月で2000円上昇した日本の株価
政治主導のインサイダー取引があった
ヘッジファンドは、なぜ日本株買いに走ったか
「対日経済タスクフォース」が結成された
日本の構造改革を「最終コーナー」に追い込む
小泉流経済政策を評価すべき点
「抵抗勢力」とは「アメリカに抵抗する」勢力のこと
株高は地方銀行救済の目的もあった
金融の場面では国を閉じよ

【Ⅴ】 われらの資産が国に奪われる
-政府が着々と準備する「預金封鎖」の真相

あなたの「タンス預金」が狙われる
GDPで分かる、日本国の衰退ぶり
なぜ、タンス預金をした人が得をしたと言えるのか
「財産税」の議論をどう読み解くか
1万円札が1000円の価値しか持たなくなる日
老人たちがおびえる「国の検査」とは
預金に課税されるのは15%か
国家は秩序維持のために法律を変える
日本経済が行きつく果てにあるもの
ドル紙幣もあふれている
「お札の紙切れ化」に備える政府
預金封鎖は、あらゆる国で実施された
アルゼンチンの銀行が止まった日
終戦直後の日本で起きたハイパー・インフレの実態
「新円・旧円」と「新勘定・旧勘定」
「信用不安」が世界を連鎖する

【Ⅵ】 そして日本は「統制経済」へ向かう
-生保、銀行、そして大企業は国家の管理下に置かれる

生保の予定利率引き下げは統制経済に他ならない
「株の持ち合い」という日本資本主義の悪弊
ハゲタカ・ファンドによる乗っ取りはもうたくさんだ
「一産業一企業」体制への移行
経済のみならず技術分野でも地に堕ちた日本
最も有効な投資とは何か

あとがき
巻末付録 副島隆彦が推奨するマル秘海外ファンド


関連・・・預金封鎖をテーマにしている本


『預金封鎖』の読書録

アメリカ大手証券会社『リーマン・ブラザーズ』の破綻が報じられた2008年9月15日。
アメリカ経済への脆弱性の指摘とともに「リーマン自身の破綻の日も近い」と具体的に予告していた
副島隆彦氏の後著『恐慌前夜』が発売されました。

『預金封鎖』はその5年前の2003年9月発行の本です。

読書メモ

『私はこの本で、日本に迫り来る「アメリカ発世界大恐慌」について正面から書く。
それは、2005年を皮切りとする数年内に起きる。(P3)』

『日本の国内要因だけで金融や経済の先行きを語ってはならない。
日本は世界の一部であって、世界経済に連動しているのである。
「政治と経済は互いに貸借を取り合ってバランスするのだ」という、
私が築き上げてきた理論にしたがうしかない。(P4)』

『「預金封鎖」とは、たとえば「一ヵ月に一人五〇〇万円までしか預金を下ろせない」というような、
強制的な統制経済(コントロールド・エコノミー controlled economy)の手法である(P23)』

その他、「新札発行に伴う預金封鎖」において課税する方法も紹介。
夕刊フジの記事の引用では5%。

『ニューヨーク金融業界の人々は、どこまでも利益追求をする獰猛な人間たちである。
彼らは、果てしなく金融投機を続けてゆく。それは博打打ちの本性にしたがう。
これがやがて、アメリカの株式市場と債券市場の暴落を引き起こすであろう。
その時が、世界大恐慌の始まりであり、金融の都ニューヨーク発の世界恐慌である。
それは直ちに日本の金融と経済に波及して、打撃を与える。
日米は運命共同体であるから、日本もこの恐慌に引きずり込まれる。
日本はアメリカの属国であるという性質からしても、
このことは誰も逆らえない必然的な動きなのである。(P73)』

『政府と日銀が「金融緊急統制令」のようなものを発令するのは、あくまで緊急事態である。
その時に激しい信用不安(銀行取り付け騒ぎ)のような事態が起きていなければならない。
あるいは、信用不安が起きることが、明らかに誰にも予見できる状態になっていなければならない。
それは「アメリカ発の世界大恐慌」が日本にも波及する危機が迫っている時でしかないであろう。
あるいは、国民生活にハイパー・インフレが襲いかかる、まさしくその時であろう。(P162)』

「金融緊急統制令」・・・預金封鎖を実施する時に作られるであろう法律の名称の例

『資産家や金持ちの老人たちよ、あなたたちに本当の投資や資産防衛とは何かを教えよう。
それは、お金を若者に投資するということである。~あなたの遠縁の若者で~二〇〇万、三〇〇万のお金を~
インフレに対してもデフレに対しても、一番強いのは人間そのものなのである。(P208-P209)』

※最後の巻末付録には著者推奨の海外ファンド(外貨建てファンド)が27つ掲載。

2008年10月

さいごに

デフレの時代、タンス預金でも結果的には正解でしたが、未来は別。
これからの世の中どうなるのか・・・持てるお金をどうすればよいか・・・
安穏と何とかなっていた老後は、もはや過去のものとなったようです。
預金封鎖・・・その日はどの『週末』にやってくるのでしょうか?