第24号 年金、みんな怒っています!|国会議員年金 安住議員の在職「9年8か月」と「10年」ではこれだけ違う

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第24号 年金、みんな怒!|国会議員年金 安住議員の在職「9年8か月」と「10年」ではこれだけ違う

号数…第24号
発効日…【2012/9/14】
購読者数…154名
件名…国会議員年金 安住議員の在職「9年8か月」と「10年」ではこれだけ違う
┏━━ ●  年金、みんな怒っています!  ● 第24号

 ◎ 国会議員年金 安住議員の在職「9年8か月」と「10年」ではこれだけ違う

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          【 平成24年9月14日版  第24号 登録数 154名様 】


(国会議員年金の在職期間について)
「私は実はそのとき、9年8か月だったんですよ」※


※第180回国会 社会保障と税の一体改革に関する特別委員会
第14号(平成24年6月5日火曜日)
http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku
/026118020120605014.htm
安住淳財務大臣の答弁より


この発言は、すでにマスコミで報じられたところですが、
国会議員年金の受給資格である在職期間『10年』まで
もう少しであったことに対する残念な気持ちが感じられます。

日刊ゲンダイの小見出しで言うところの
『未練タラタラ』という表現もあながち的外れではないでしょう。
(2012年6月8日号)

今回は、安住議員の経歴をもとに具体的な金額を計算しつつ、
在職期間「10年」だったらどんな展開になっていたのかを試算してみます。


●計算における留意点

国会議員年金は特殊な年金ですので独自ルールが存在します。
ここでは計算する上での基本的な事項について列挙しておきます。

・国会議員年金は2006年4月に廃止された。
・廃止前(2006年3月)まで在職期間が10年以上ならば年金での受給が可能。
・実際の年金受給は「在職10年以上+退職+65歳以上」が条件。
・一方、当該在職期間10年未満ならば掛け金総額の80%が払い戻される。
・計算で使用する「歳費月額」は実際の歳費月額とは金額が異なる。
・平成6年12月以降の年金・納付金計算で使用する「歳費月額」は103万円。
・廃止によりカットされたのは従来の議員年金額の15%分。
・年金は年を単位として加算される。
・例えば在職10年0月~10年11か月は同じ「在職10年」で同じ年金額となる。
・在職10年の場合の計算式は「(歳費月額×12)×50/150×85%」
・在職11年以降の加算は年数分「(歳費月額×12)×1/150×85%」を加算。
・掛け金は、毎月の「歳費月額×10/100」+期末手当から約3万円。

詳細は外部リンクをどうぞ

・国会議員互助年金法
http://law.e-gov.go.jp/haishi/S33HO070.html国会議員互助年金法を廃止する法律
http://law.e-gov.go.jp/announce/H18HO001.html国会議員の互助年金等に関する調査会答申(参議院)
http://www.sangiin.go.jp/japanese/ugoki/h17/050120.html


★発言のまま在職「9年8か月」で計算することについて

国会議員年金は、「国会議員互助年金法を廃止する法律」の
2006年4月1日施行をもって廃止されました。

つまり、2006年3月までの在職期間のみ計算の対象となるわけです。

安住議員の場合、ウィキペディア及び「安住淳オフィシャルホームページ」に
よると1996年(平成8年)10月20日の第41回衆議院選挙で初当選し、
それ以降の選挙に勝ち続けていますので、
その在職期間は「1996年10月~2006年3月」です。

1996年 ------------------ 10月 11月 12月
1997年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
1998年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
1999年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
2000年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
2001年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
2002年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
2003年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
2004年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
2005年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
2006年 1月 2月 3月 -------------------

・ウィキペディア(安住淳)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%89%E4%BD%8F%E6%B7%B3プロフィール-安住淳オフィシャルホームページ
http://azumi-jun.jp/profile/

発言では9年8か月でしたが、実際には2か月少ない9年6か月であるようです。
しかし、当方による簡単な調べで誤りや見落とし部分がないとも限りません。
そこで、ここでは在職期間「9年8か月」で計算を進めていきます。
(メルマガでは、修正が困難であるため。)

なお、計算結果における多少の誤差はご容赦ください。
ざっくりとどれくらいの受益の差があるのかを見るのが今回の趣旨です。


■実際の収支

●9年8か月分(116月分)の掛け金総額=約1221万8000円

【毎月支払う掛け金総額=1194万8000円】

計算で使用する歳費月額は103万円ですので、
103万円×10/100×116(月)=1194万8000円

【期末手当からの分(9回)=約27万円】

9回×約3万円=約27万円

1194万8000円+約27万円=約1221万8000円


●安住議員に払い戻された一時金=955万8400円

ここで払い戻される一時金は、期末手当分を含まない掛け金総額の80%です。

103万円×10/100×116(月)×80%=955万8400円


●収支は約-265万9600円

支払い(約1221万8000円)-受取り(955万8400円)=約-265万9600円

ここまでが、実際の収支の話です。


-----------------

■在職期間「10年」で試算

次は仮定の話です。
あと4か月在職期間が長ければどうなっていたのでしょうか。


●10年分(120月分)の掛け金総額=約1266万円

103万円×10/100×120(月)+期末手当10回×約3万円
=1266万円


●在職期間10年の人の年金額=350万2000円

(歳費月額103万円×12)×50/150×85%
=412万円×85%
=350万2000円(65歳以降要退職)


-----------------

■まとめ

●掛け金総額
「9年8か月」=1221万8000円
「10年」=1266万円

●受給額
「9年8か月」=955万8400円(一時金)
「10年」=350万2000円(年金)

仮に「10年」の場合、65歳時点で議員を引退していたとすると、

→ 1266万円÷350万2000円=3.615年
68歳7か月で「元が取れる」計算です。

65歳受給開始時点 … -1266万円
66歳 … -916万円
67歳 … -566万円
68歳 … -216万円
69歳 … +134万円
70歳 … +484万円
75歳 … +2234万円
80歳 … +3984万円
85歳 … +5734万円
90歳 … +7484万円
95歳 … +9234万円
100歳… +1億984万円


安住議員は、国会議員になる前は日本放送協会(NHK)の記者でしたので、

「1985年(昭和60年4月)入社~1993年(平成5年6月)退社」
(オフィシャルサイトより)

8年2か月分の厚生年金と企業年金も合わせて受給できる上、
20歳以降60歳までの国民年金も受給できます。

よって、もし国会議員年金の在職期間があと4か月あれば、
国会議員年金は、国民年金も厚生年金も共済年金も併給できますので、
議員年金350万+国民年金80万円+8年2月分の(厚生年金+NHKの企業年金)
そして、その他国民年金基金等があればそれも受給できたのです。

悠々自適な老後が約束されるまであとわずか・・・残念でした。


■最後に

国会議員と同じく雇われの身ではない自営業等の国民年金は、
平成24年度現在では、

・保険料14980円(月)
・年金40年加入満額=786,500円(年金)

であり、計算(※)すると元が取れる期間は約9年です。

しかし、これでもまだ将来世代よりも恵まれていて、
保険料は、2017年度の月額16900円に固定されるまで毎年増額が続きますし、
基礎年金は、2009年財政検証によればマクロ経済スライドにより
2038年までに約26%削減されますので、

【2038年の国民年金の姿】
・保険料16900円(月)
・年金40年加入満額=582,010円(年金・実質)

となって、元を取るのに約14年(65歳からだと79歳)かかる計算になります。

(※保険料は、当該年に40年分を掛けただけの結果で計算し、次いで当該年の
年金額で割っただけの単純な計算)

このように計算してみると、今回の安住議員の発言によって、かえって廃止後の
国会議員年金の削減額の少なさを再認識させられました。

廃止前の412万円は論外でしたが、廃止後の350万円でもまだまだ高すぎます。

(補足:在職10年の年金額が異様に高い反面、10年を超える分の1年ごとの
加算額は現在の仕組みでは70040円であり、問題はないと思われます。)


ちなみに、

国民年金と同じように、在職10年の議員年金を9年で元が取れる水準にすると
1266万円÷9=140万円
になります。

年金財政的にも、国会議員年金は廃止前から破たん状態でしたが、廃止後は
全額国庫負担ですので、大幅カットは当然のことです。

ここは「身を切る改革」の一環として、さらなる大幅カットを期待したいところ
です。

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