国民年金の繰り下げ受給

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国民年金増額対策その3「繰り下げ受給」

65才に達し、年金の受給権が発生してからも
年金を請求せずにいるとどうなるでしょう。
例えば67歳に達した段階でいまだ年金を請求をしていなかったという場合。

この場合、この方には2つの選択肢が発生します。
一つは2年分の年金をまとめてもらう方法。
もちろん2年分をまとめて貰う訳ですから、
年金額の増額は行われず『正規の年金額×2年分』となります。

そしてもう一つが今回のテーマである『繰り下げ受給』という選択肢です。
老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていることが前提で、
66歳になる前に年金の裁定請求をしていない人は、
66歳以降希望する年齢から繰下げ受給することができます。

繰り下げ受給というのは、その間の年金額をもらわない代わりに、
将来に渡ってもらえる年金額を増額してくれるもので、
その増額の計算方法は次の通りです。

繰り下げ受給の加算率(昭和16年4月2日以降生まれ)

1ヶ月もらうのを遅らせるごとに0.7%が増額され、
1年で8.4%、5年ですと42%もの増額率になります。
中途半端に1年3ヶ月などでも大丈夫です。

申出の年齢加算率
66歳0ヶ月~66歳11ヶ月8.4%~16.1%増額
67歳0ヶ月~67歳11ヶ月16.8%~24.5%増額
68歳0ヶ月~68歳11ヶ月25.2%~32.9%増額
69歳0ヶ月69~11歳ヶ月33.6%~41.3%増額
70歳0ヶ月以上42%増額

ただその間は国民年金はもらえませんので、
個人個人の人生観や健康状態、経済状態などと相談して決定する必要があります。
1度決定したらやっぱりやり直すというのはできませんので、慎重にご検討ください。
なお、この増額率は昭和16年4月2日以降生まれの方が対象です。

繰り下げ受給の加算率(昭和16年4月1日以前生まれ)

昭和16年4月1日以前生まれの方の増額率は月単位ではなく
年単位となりまして具体的には次の通りです。

受給権取得日から
繰り下げ申出日までの期間
加算率
1年超~2年12%増額
2年超~3年26%増額
3年超~4年43%増額
4年超~5年64%増額
5年超88%増額

国民年金を5年繰り下げたらどうなる?

仮に5年請求を遅らせたときの、「国民年金満額の188%」とはいくらでしょう。
国民年金の満額が約80万円として、掛ける188%=約150万円です。
新増額率ですと80万円掛ける142%=約113万円です。)

国民年金繰り下げ受給と老齢厚生年金との関係

国民年金の繰り下げ受給をした場合、
2階部分の厚生年金はどうなるのでしょうか。

原則はそのままストップされることなく、厚生年金が支給されます。
老齢基礎年金だけ繰り下げ受給、厚生年金は通常受給という形です。

平成19年4月からは厚生年金の繰り下げも可能になりました

平成19年からは、上記のような形での繰り下げもできますし、
あわせて繰り下げ受給を選択することもできるようになりました。

厚生年金の繰り下げできるのは、平成19年4月に65歳未満の人

平成19年4月に65歳未満の人とは、昭和17年4月2日以降に生まれた人です。
その人たちは、厚生年金の繰り上げ受給を選択できますが、
平成19年4月すでに65歳を超えている人は、
厚生年金を繰り下げできない従来型の年金受給スタイルとなります。

これは、従来の厚生年金の繰り下げ制度が平成14年4月に一旦廃止、
そして今回、平成19年4月から再度復活という経緯からくるものです。

繰り下げ加算率は、国民年金と厚生年金同じ

厚生年金の繰り下げ加算率は、先述の通りの国民年金の加算率と同様です。
※65歳を超えてから年金の受給資格を得る方もおりますので、
昭和16年4月1日以前の方の加算率も有効です。

私なら繰り下げ受給を選択します

ところでもし私なら・・・というのを言わせていただければ、
私は年金は将来の安心を買うものと思っておりますので
65才を過ぎてもそこそこの仕事があり、まだ年金に生活依存する
状態でなければ65才を過ぎても請求せずにしておきます。

そしてそれでも急なお金が必要なときは、
その時に遅らせた分の年金をまとめて受け取ります。
そうでなければ最高70歳まで我慢して、
42%増額した年金をその年齢から受け取る選択をすると思います。

もっと元気なうちから年金額をもらい、その分は遊びに費やしたい
という考え方もありますし、長生きするとは思っていないから
少しでも早く年金を受け取っておきたいという考え方もあります。

また、一人暮らしの方も夫婦2人の方も、
息子夫婦と同居して将来に不安のない方も、
その他年金は一律に語れないものですので、自分の人生にとって
最高と思える選択をして頂ければそれが一番だと思います。

参考:国民年金法他、繰り下げ受給関連ピックアップ(平成18年度)

●国民年金法(支給の繰下げ:老齢基礎年金)

第二十八条
老齢基礎年金の受給権を有する者であつて六十六歳に達する前に当該老齢基礎年金を請求していなかつたものは、 社会保険庁長官に当該老齢基礎年金の支給繰下げの申出をすることができる。ただし、その者が六十五歳に達したときに、 他の年金給付(付加年金を除く。以下この条において同じ。)若しくは被用者年金各法による年金たる給付 (老齢又は退職を支給事由とするものを除く。以下この条において同じ。)の受給権者であつたとき、 又は六十五歳に達した日から六十六歳に達した日までの間において他の年金給付若しくは被用者年金各法による 年金たる給付の受給権者となつたときは、この限りでない。

2 六十六歳に達した日後に他の年金給付若しくは被用者年金各法による年金たる給付の受給権者となつた者が、 他の年金給付若しくは被用者年金各法による年金たる給付を支給すべき事由が生じた日(以下この項において「受給権者となつた日」という。) 以後前項の申出をしたときは、次項の規定を適用する場合を除き、受給権者となつた日において、前項の申出があつたものとみなす。

3 第一項の申出をした者に対する老齢基礎年金の支給は、第十八条第一項の規定にかかわらず、当該申出のあつた日の属する月の翌月から始めるものとする。

4 第一項の申出をした者に支給する老齢基礎年金の額は、第二十七条の規定にかかわらず、同条に定める額に政令で定める額を加算した額とする。

(支給の繰下げ:付加年金との関係)
第四十六条
付加年金の支給は、その受給権者が第二十八条第一項に規定する支給繰下げの申出を行つたときは、 第十八条第一項の規定にかかわらず、当該申出のあつた日の属する月の翌月から始めるものとする。

2 第二十八条第四項の規定は、前項の規定によつて支給する付加年金の額について準用する。 この場合において、同条第四項中「第二十七条」とあるのは、「第四十四条」と読み替えるものとする。

●国民年金法附則(老齢基礎年金の支給の繰下げに関する経過措置)

第十七条第二条の規定による改正後の国民年金法第二十八条の規定は、平成十七年四月一日前において 国民年金法による年金たる給付(老齢基礎年金及び付加年金を除く。)又は被用者年金各法による年金たる給付 (老齢又は退職を支給事由とするものを除く。)の受給権を有する者については、適用しない。

●国民年金法施行令(支給の繰下げの際に加算する額)

第四条の五
法第二十八条第四項(法附則第九条の三第四項において準用する場合を含む。)に規定する政令で定める額は、 法第二十七条(法附則第九条の三第二項においてその例による場合を含む。)の規定 (昭和六十年改正法附則第十七条の規定が適用される場合にあつては、同条第一項の規定)によつて計算した額に増額率 (千分の七に当該年金の受給権を取得した日の属する月から当該年金の支給の繰下げの申出をした日の属する月の前月までの月数 (当該月数が六十を超えるときは、六十)を乗じて得た率をいう。次項において同じ。)を乗じて得た額とする。

2 法第四十六条第二項において準用する法第二十八条第四項に規定する政令で定める額は、法第四十四条の規定によつて計算した額に増額率を乗じて得た額とする。

●国民年金法施行規則(裁定の請求及び届出等)

第十六条の四   
老齢厚生年金の受給権者である者の老齢基礎年金についての裁定の請求 (法第二十八条第一項の規定による支給繰下げの申出を行う場合に限る。)は、第十六条及び第十六条の二の規定にかかわらず、 次の各号に掲げる事項を記載した請求書を社会保険庁長官に提出することによつて行わなければならない。

一 氏名、生年月日及び住所
一の二 基礎年金番号
二 老齢厚生年金の年金証書の年金コード
三 特別支給の老齢厚生年金の受給権を取得した日以後に被保険者であつた期間を有することとなつた者にあつては、その旨
四 配偶者が昭和六十年改正法附則第十四条第一項各号に掲げる給付の受給権を有しているときは、当該給付の名称、 当該給付に係る制度の名称及びその管掌機関、その支給を受けることができることとなつた年月日並びにその年金証書 又はこれに準ずる書類の年金コード又は記号番号若しくは番号並びに当該配偶者の基礎年金番号
五 公的年金給付等を受けることができる者にあつては、当該給付の名称、当該給付に係る制度の名称及びその管掌機関、 その支給を受けることができることとなつた年月日並びにその年金証書、恩給証書又はこれらに準ずる書類の年金コード又は記号番号若しくは番号
六 支給繰下げの申出を行う旨

2 前項の請求書には、次の各号に掲げる書類を添えなければならない。

一 老齢厚生年金の年金証書
二 特別支給の老齢厚生年金の受給権を取得した日以後に共済組合の組合員又は私学教職員共済制度の加入者 であつた期間を有することとなつた者にあつては、当該共済組合(存続組合及び指定基金を含む。) 又は日本私立学校振興・共済事業団が様式第一号により当該共済組合(存続組合及び指定基金を含む。) の組合員又は私学教職員共済制度の加入者であつた期間を確認した書類
三 老齢厚生年金の額の全部につき支給が停止されているときは、提出日前一月以内に作成された受給権者の 生存に関する市町村長の証明書又は戸籍の抄本(社会保険庁長官が住民基本台帳法第三十条の七第三項の規定により 受給権者に係る本人確認情報の提供を受けることができないときに限る。)

3 第一項の請求に係る老齢基礎年金については、その受給権者が老齢厚生年金について払渡しを希望した 機関において払渡しを希望したものとみなす。ただし、第二十一条第一項の規定により当該老齢基礎年金の払渡しを希望する 機関を変更する届書を提出したときは、この限りでない。

4 第一項の裁定の請求は、老齢基礎年金の受給権者が同時に老齢厚生年金の受給権を有する場合 (老齢厚生年金について平成十二年改正法附則第十七条第一項の規定によりなおその効力を有するものとされた平成十二年改正法第五条の規定による 改正前の厚生年金保険法第四十四条の三第一項の規定による支給繰下げの申出を行う場合に限る。)においては、 同法第三十三条の規定による当該老齢厚生年金の裁定の請求に併せて行わなければならない。この場合において、 第一項の請求書に記載することとされた事項及び第二項の規定による第一項の請求書に添えなければならないこととされた書類のうち 当該老齢厚生年金の裁定請求書に記載し、又は添えたものについては、第一項及び第二項の規定にかかわらず、第一項の請求書に記載し、 又は添えることを要しないものとする。