育児休業

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厚生年金増額対策その5「育児休業」

「結婚しても、出産しても働き続けたい」
最近はそのような女性が増えてきています。
とても歓迎すべきことだと思います。

国の方でもあれこれ手を打ってはいるのですが、
いまいち一般的な認知度は低めです。
そのせいか同じ出産をしつつも
恩恵にあずかれない例も起こっています。

例えば妊娠を機に退社して、出産、育児を経て転職したAさん。
Aさんと全く同じプロセスながらも転職ではなく
元の会社に在籍したまま復帰したBさん。
両者にはもらえる給付には大きな開きが出てきます。
もちろん同じ会社に復帰したBさんの方が、
多く給付を受け取れます。

ここでは、育児休業中の厚生年金保険料の免除等を
取り上げてご説明いたします。

法でいう育児休業期間とは?

産前産後休暇(産前6週間、産後8週間)が終了する日の翌日から、
子が1歳に達するまでの期間です。

ただし、次のような場合は子が1歳半まで、
ここでいう育児休業期間となります。

1:保育所に入所を希望しているが入所できない場合
2:子の養育を行っている配偶者であって、
1歳以降子を養育する予定であったものが、死亡、負傷、疾病、
離婚、6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産予定であるか、
産後8週間を経過しないとき
(産前休業を請求できる期間または産前休業期間および産後休業期間)
で子を養育することが困難になった場合

なお、育児休業の制度に準ずる措置又は勤務時間の短縮等の措置
がある場合、最長で子が3歳になるまでの期間となります。

勤務時間の短縮等の措置とは?

勤務時間の短縮等の措置とは、次のいずれか1つ以上の措置です。
(3歳未満は義務、3歳以上小学校就学前までは努力義務)

1:短時間勤務の制度
1日の所定労働時間を短縮する制度
週又は月の所定労働時間を短縮する制度
週又は月の所定労働日数を短縮する制度
労働者が個々に勤務しない日又は時間を請求することを認める制度
2:フレックスタイム制
3:始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ
4:所定外労働をさせない制度
5:託児施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与

パートでも育児休業はとれるの?

1日の労働時間が短い場合でも、
期間の定めのない労働契約によって働いている場合は、
育児休業を取得できます。

また、期間の定めがあっても、
実質的に期間の定めが無い場合と異ならないようなときは、
育児休業を取得できます。

期間の定めのある雇用契約の場合は、
育児休業の申出時点で、次のいずれにも当てはまる方が、
育児休業を取得できます。

育児休業期間中の保険料免除

育児休業期間中の年金保険料の全額が免除となり、
本人のみならず会社も負担を免れます。
そのうえ将来の年金額の計算においては免除となった分を
払ったものとして計算してくれます。
ついでに健康保険の保険料も年金と同じ仕組みですが、
ことらも同様の扱いになります。

もし出産退社してしまったら国民健康保険&国民年金に
入ることになりますのでその差たるやとても大きいのです。
現状では少なくとも1年間の育児休業は会社の規則いかんに
関わらず義務(申請されれば)ですので、
申し出をされてみてはいかがでしょうか。

産前産後期間中は、保険料免除されません。

あくまで、法でいう育児休業期間での厚生年金保険料免除です。
産前産後休暇中は保険料は払うことになります。
(産前6週間、産後8週間、多胎妊娠で産後14週間)

3歳未満の子を養育する厚生年金保険被保険者の特例

育児休業が終了して職場復帰しても、
子供の養育のために以前と同じように働けるとは限りません。

そこで、子の養育のために以前の給与を下回るような場合は、
以前の給与から算出した年金保険料と、
下がった給与のもとで算出した年金保険料の差額を補填し、
将来受け取る年金額が下がらないようにしようとするのが
この3歳未満の子を養育する厚生年金保険被保険者の特例です。

3歳未満の子を養育する期間の標準報酬月額が、
その子を養育することとなった日の前月の標準報酬月額
(以前の標準報酬月額)を下回る場合には、
被保険者が事業主に申し出をし、事業主が社会保険事務所へ
申請することにより、年金の額の計算の特例措置が受けられます。

事例でみる育児休業後の特例

例えば月24万円で働いていた方が出産・育児休業を経て
職場復帰した際仕事の内容が変わり、
月に22万円の給料になったとします。
通常ですと年に1回保険料を決める定時決定というものがあり、
金額の大小によって等級が決められます。
本来なら2等級以上の変更がない限りそれが1年を通じて
適用されるのですが、ここでは1等級の変更でも保険料が改定されます。

給料24万円で計算される保険料>22万円で計算される保険料となり、
その分普通なら年金額も少ない保険料の方で
計算されることになります。

しかし、子が3歳になる前の期間に限り、
給料が下がって支払う保険料が下がっても
休業前の保険料の額を支払ったものとみなすわけです。

もし給料が半分に下がり、保険料が4万円から2万円になったとします。
通常ならその期間は下がった2万円をもとに将来の年金額が
計算されるところなのですが、この話ですと2万円しか
払っていないのに4万円の保険料を払ったことにしてくれるのです。

この特例は2年前まで遡れます。

育児休業後のこの特例に関しては、
平成17年4月以降に該当する期間がある人なら、
2年間まで遡って認めてもらうことができます。
会社を退職した人でも可能ですので、
思い当たる方は、直接社会保険事務所へお問い合わせください。

免除の方も平成17年4月からは遡れます

育児休業中の厚生年金保険料の免除は、以前は申請した月からでしたが、平成17年4月からは育児休業を開始した月からの免除となりました。 また、申請が遅れた場合であっても遡って免除されます。

遠まわしに年金を増やす対策

いかがでしたでしょうか。
年金額を増やすという話ですとついつい給付の方に目が
向いてしまいますが、効果が変わらず保険料が減るという
ことも間接的には年金額を増やすことにつながるわけです。
いずれも皆様の権利ですので、制度を理解し有効にご活用下さい。

育児休業中の保険料免除関連ニュース

2007年(平成19年)2月25日のNIKKEI NETに、 育児休業中の保険料免除の件数が伸びているという記事が出ておりました。 まだまだ知らない人も多いので、これからも利用件数はもっと増えてくると思われます。

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厚生年金保険料、育児休業中の免除24%増

育児休業中に厚生年金の保険料を免除された人の数が2005年度末時点で約9万7000人と、 04年度末に比べ約24%(1万9000人)増えたことが厚生労働省の調べで分かった。 会社員が育児休業を取った場合に年金保険料が免除される仕組みがあり、 05年4月から適用条件を緩和した結果、利用が大幅に伸びた。 06年度に入っても増えているとみられる。

育児休業で収入が大幅に減ると保険料を払うのが難しくなるため、 社会保険庁に届ければ子どもが一定の年齢になるまで保険料が免除される。 かつては子どもが満1歳になるまでだったが、05年度から「満3歳になるまで」に広げた。 免除中も保険料を払ったのと同じ扱いになるので、将来の年金額は減らない。

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