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国民年金や厚生年金の年金ニュース・法改正情報・年金用語の解説、その他厚生年金の消えた年金問題等を解説していくページです。

最近の記事15件

2013年05月

「消えた年金」民主党政権時代の解明は400万件ほど

旧自公政権「2481万件」vs民主党政権「414万件」

民主党政権が終了して半年。

今回は、民主党議員が政権交代の成果としてアピールしていた「2860万件(2012年6月時点)」という消えた年金の解明実績についての検証です。

結論から言えば、民主党は、旧自公政権時代の実績(※)が無かったかのような表現によって、実績を過剰にアピールしていると言わざるを得ず、実際には、政権交代後の2012年6月時点での解明実績の増加件数は、わずか「374万件」でした。

※5095万件もの「消えた年金(宙に浮いた年金記録)」が確認された平成18年6月から平成21年9月までに旧自公政権内で解明した「2481万件」の年金記録。

旧自公政権時代民主党政権時代
平成18年6月~21年9月
(3年3か月)
平成21年9月~24年6月
(2年9か月)
旧自公政権時代の消えた年金の解明件数
平成21年9月時点
民主党政権時代の消えた年金の解明件数
平成24年6月時点

解明件数の計算について

平成21年9月時点のデータは、社会保険庁の「年金記録問題へのこれまでの取組(平成21年10月30日)」の中の「未統合記録の全体像(平成21年9月)」を使い計算しました。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/10/dl/s1030-8a.pdf

まずは、旧自公政権時代の実績である平成21年9月時点のデータを計算します。

具体的には、平成24年6月時点のデータで言う所の「解明された記録」の該当部分である1・2・4を合算します。
1…死亡が判明した者等の記録(653万件)
2…脱退手当金の受給等により新たな受給に結びつかないと考えられる記録(571万件)
4…平成18年6月以降基礎年金番号に統合済みの記録(1257万件)
1+2+4=2481万件
これが、旧自公政権における解明件数の実績です。

次いで、民主党政権時代の実績ですが、平成24年6月時点の実績総数を計算しつつ、そこから平成21年9月時点の実績を差し引くことで、純粋に民主党政権内で解明した消えた年金の件数を計算します。(「消えた年金」は、ここでは5095万件の宙に浮いた年金記録のことを指します。以下同じ。)

平成24年6月時点のデータは、日本年金機構の「未統合記録(5095万件)の状況と今後の対応(平成24年6月時点)」を使います。
http://www.nenkin.go.jp/n/open_imgs/service/0000006658.pdf

先ほどとは形式が異なりますが、内容は同じですので、1と2の(ア)(イ)を合算します。
1…基礎年金番号に統合済みの記録(1647万件)
2(ア)…死亡したと判断される者の記録(654万件)
2(イ)…脱退手当金受給済み等の記録(554万件)
1+2(ア)+2(イ)=2855万件
ここから、旧自公政権時代の実績「2481万件」を引きます。

2855万件-2481万件=374万件
これが、民主党政権内で解明させた消えた年金の件数です。
(平成24年6月時点まで。)

政権が終了する2012年12月までの全期間で見ても「414万件」という、政権交代に込められた期待を裏切る結果に終わっていたのです。
(この場合、旧自公政権も民主党政権も共に3年3か月での実績。図と計算はページ下部。)

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2013年03月

「40年」を超えても発生する任意加入の未納(国民年金)

今回は、国民年金の納付実績が40年あるのに未納が発生するという、国民年金の「任意加入制度」の欠陥を取り上げます。

これは、専門家でも知らない人が多そうな気がします。

国民年金の強制加入と任意加入

国民年金の強制加入と任意加入の間略図

国民年金は、20歳から60歳までの40年間の強制加入期間に、漏れなく保険料を納めることができれば満額の年金を受給できます。

そして、強制加入期間中に未納等による空白期間がある場合でも、60歳から65歳になるまで利用できる「任意加入制度」を利用すれば、保険料納付実績が合計40年になるまで最大5年間分の空白期間を穴埋めすることができ、通常65歳から受給できる国民年金を増額させることができます。

保険料の納付方法は、原則として口座振替によって行い、任意加入によって65歳までに国民年金保険料の納付実績が合計「40年」に達する人については、支払い停止の手続きをすることなく自動的に口座引き落としが停止する仕組みとなっています。

ここがポイントです!

支払いをやめる時に、手続きは必要ない。

これはあくまで65歳までに「40年」に到達する人の話ですが、この自動停止の仕組みが利点であると同時に問題を生んでいるのです。

3年の未納がある人の例

それでは具体的に説明します。

例えば、60歳までの国民年金保険料の未納期間が3年あり、60歳からの任意加入3年間で「40年」に到達するというケースを想定します。

3年の未納があるために国民年金に任意加入する人の例図

国民年金の任意加入は、60歳を過ぎてからでも加入できますが、ここでは60歳ちょうどから3年間任意加入するものとします。

すると、63歳の時点で国民年金の納付済み期間が「40年」に到達しますが、問題はその後の期間です。

保険料の納付が自動停止して「やれやれ」と思うのもつかの間、そのまま何もしないでいると、65歳までの期間で未納が発生し続けることになるのです。

任意加入期間の拡大図

その未納は何なのかと言えば、年金事務所の説明では「任意加入の未納記録」だということなのです。

国民年金の任意加入は、加入手続きをすると法律的には「任意加入被保険者」になりますので、任意加入期間中に何らかの事情で保険料が納められなかった場合に、その期間が未納記録となることについては理解できます。

しかし、保険料納付「40年」到達で口座引き落としが自動停止したということは、国もその事実を把握しているわけですし、それを超えた納付する必要性のない期間の未納部分については、その存在理由がわかりません。

未納発生の原因

なぜこのようなことになっているのか。

その理由は、口座引き落としが自動停止した場合でも任意加入は継続したままになっているからです。

年金事務所の説明では、国民年金の任意加入をした場合には、65歳の任意加入期間が終了するか、任意加入の脱退手続きするか、そのいずれかに該当しない限りは、保険料の納付が無い期間については「未納記録」として扱われるというのです。

しかもその未納記録。

納付実績が「40年」を超えるために年金額に反映しない未納であるとしても、2013年2月現在の年金事務システムにおいては、仕組み上、振込み請求させるようになっているのです。

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2012年09月

見直されない「国会議員年金廃止法」と当時の民主党案

国民の年金法はコロコロ変えられるのに、
国会議員年金(廃止法)だけは高値安定のままです。

今回は、キャッチコピー『身を切る改革』が空しく聞こえる
改革なき「廃止後」の国会議員年金を取り上げます。

廃止後も高水準のままの国会議員年金

2006年4月廃止後の国会議員年金

(計算方法については、後述の「民主党議員が将来受け取る国会議員年金額」の注釈欄の所に記載してあります。)

この図は、2012年11月現在はもちろん、まさにこれから落選・引退(以降「退職」)する国会議員が65歳以上であれば受給できる国会議員年金の最低額(在職10年の場合の議員年金額)です。

受給要件は、2006年3月までに国会議員として在職期間10年(10年0か月から10年11か月まで)を有していること。

「あれ、国会議員年金って無くなったのでは?」

そのように思う方も少なくないと思われますが、「廃止法」は、その言葉のイメージとは違い、実際には在職9年11月まで、及び将来の新人国会議員の議員年金を無くすことで「廃止」とされ、2006年3月までの期間で在職10年以上の国会議員の議員年金は、廃止されないばかりか、その削減もわずか15%カットという小さな変更で決着が図られたのです。

在職10年のケースでいうと412万円から350万2000円。
(412万円×85%支給=350万2000円)

このような現職議員の議員年金について、2006年当時野党であった民主党は、独自法案においてで支給しない(0円)と決めていたのですが、数の論理で自民党・公明党の法案が現行の「廃止法」となりました。

【政権交代で政策を実現できる立場にチェンジ】

それから3年が経過した2009年9月。
民主党は、政権交代により与党に立場を変え、晴れて政策決定権を獲得。

これにより「廃止法(国会議員互助年金法を廃止する法律)」を見直す環境は整ったはずなのですが、政権交代後さらに3年が経過した2012年11月現在においても、そのような動きが見られないのです。

もちろん、「廃止法」は決定事項なので、見直さなくても法的にも何ら問題はありません。

しかし、国民の年金法である「国民年金法」「厚生年金保険法」などの改正・改悪ぶりを考えると、国会議員の自分の年金だけ特別扱いとするのは理不尽に思えます。

政権交代前の民主党は、抜本改革で安心できる年金制度にすると言っていたのですが、結局は自公政権からの現行制度の法律改正で対応するやり方を継承。

(民主党政権においても、影響の小さな改正のみならず、今後においては、厚生年金の支給年齢の引き上げや厚生年金基金の廃止など、老後の生活設計が崩壊しかねない法律改正を検討中。)

つまり、民主党の年金法に対する姿勢を見れば、同じく年金の法律である廃止法についても、変える必要性があれば法律改正するのが筋でないかと思うのです。

ついでに言えば、当時も民主党が批判の材料にしていた国会議員年金の財政問題は、2006年当時の公費負担割合72%、そして2012年現在では公費負担100%と変化していますので、この点からも「廃止法」の必要性は高まっていると言えます。

下記図は、在職10年の現職国会議員が将来年金を受給する場合の、2006年当時の旧法、自公案、民主党案の簡易比較です。

国会議員年金廃止法案の自公案と民主党案の簡易比較

2006年廃止法施行前の民主党の主張

次に、2004年・2005年マニュフェストより、国会議員年金について民主党がどのように主張していたのか、その文言を見てみます。

マニュフェストの主張

2004年版8ページより

「年金制度一元化に向けて、議員年金を廃止。「特権」ではないかと国民からの批判も高まっている議員年金は廃止します。国民と同じ年金制度に一元化して、格差や不公平のないものへと切り替えます。」
民主党2004年マニュフェスト 第20回参議院選挙(PDF:13.6MB)
http://archive.dpj.or.jp/policy/manifesto/images/Manifesto_2004.pdf

2005年版23ページより

「議員年金をただちに廃止します。現在の国会議員互助年金制度はただちに廃止し、国会議員も国民と同じ公的年金に加入することとします。」「議員年金をただちに廃止します。現在の国会議員互助年金制度はただちに廃止し、国会議員も国民と同じ公的年金に加入することとします。」
民主党2005年マニュフェスト 第44回衆議院総選挙 (PDF:22.1MB)
http://archive.dpj.or.jp/policy/manifesto/images/Manifesto_2005.pdf

ここまでならば、「廃止」の定義次第で現行の廃止法をも正当化することが可能ですが、民主党が2006年の独自法案で出してきたものは、現役議員「支給なし」、OB議員「30%支給カット」という自公案との大きなギャップのある具体的な数字でしたので、現行廃止法を見直さないこと自体、時間が経てば経つほど不作為であるとみることができるのです。

下記表は、削減割合を支給割合に直したものです。

在職10年以上現職OB
自民党・公明党85%支給90%~100%支給
民主党年金支給なし。
(掛け金の50%を返還)」
70%の年金支給

※参考外部リンク
自民党松本純衆議院議員HP内
http://www.jun.or.jp/report/2006/060131-honkaigi.pdf

PDF:2ページ目「与党案・民主党案の主な相違点」

さらに、廃止法制定前の討論においては、次のように述べています。

現職議員はすべて将来の年金受給を放棄します。
「何より、この国の財政を考え、また、隗より始めよとみずからが痛みを感じる改革が必要だと考えている以上、この程度は当然だと考えています。」
「しかし、与党案では、すでに年金受給資格を得ている現職議員には痛みがほとんどありません。」
(2006年1月31日衆議院本会議第5号速記録より)

「与党案」とは、自民党・公明党の廃止法案のことです。

法律が施行された2006年4月以降、2012年11月現在においてもなお、この「痛みがほとんどない」議員年金の新規受給が発生し続けており、当然、民主党議員にも議員年金は支給されます。

2006年4月当時から2012年11現在まで継続して民主党に所属している国会議員の議員年金額を見てみます。

民主党議員が将来受け取る国会議員年金額

国会議員年金は、2006年3月までの在職期間で受給額が決定しますので、すでに将来受け取る議員年金の額は確定しています。

年金額の把握の仕方は、「在職期間」を計算した上で、「国会議員互助年金法」に示された計算式より出された答えに「国会議員互助年金法を廃止する法律」で示されている削減額を引きます。

下記表は、民主党議員の「廃止前の年金額」「廃止後の年金額」「民主党の主張していた年金額(0円)」の比較したものですが、全てに0円と表示したのは、当時の民主党の主張と現実との差異をより明確にするためです。

なお、この年金額は、将来受給できる『国会議員年金だけ』の金額ですので、国会議員年金とは別枠で受け取れる「国民年金」「厚生年金」「共済年金」「企業年金」「国民年金基金」「地方議員年金」その他もろもろの年金については、下記の金額に含まれておりません。

在職期間
(~2006年3月)
廃止前
(~2006年3月)
現廃止法
(2006年4月~)
民主党案
(2006年当時)
10年(10年0か月~10年11か月)412万円350万2000円0円
● 平田健二 参議院議員(10年9か月)
● 小川勝也 参議院議員(10年10か月)
11年(11年0か月~11年11か月)420万2400円357万2040円0円
● 田中眞紀子 衆議院議員(11年7か月)
12年(12年0か月~12年11か月)428万4800円364万2080円0円
● 枝野幸男 衆議院議員(12年9か月)
● 小沢鋭仁 衆議院議員(12年9か月)
● 玄葉光一郎 衆議院議員(12年9か月)
● 藤村修 衆議院議員(12年9か月)
● 前原誠司 衆議院議員(12年9か月)
● 横光克彦 衆議院議員(12年9か月)
● 海江田万里 衆議院議員(12年10か月)
● 樽床伸二 衆議院議員(12年10か月)
● 仙石由人 衆議院議員(12年11か月)
13年(13年0か月~13年11か月)436万7200円371万2120円0円
● 池田元久 衆議院議員(13年0か月)
● 北澤俊美 参議院議員(13年9か月)
● 直嶋正行 参議院議員(13年9か月)
14年(14年0か月~14年11か月)449万9600円378万2160円0円
● 輿石東 参議院議員(14年5か月)
● 柳田稔 参議院議員(14年5か月)
15年(15年0か月~15年11か月)453万2000円385万2200円0円
● 岡崎トミ子 参議院議員(15年2か月)
● 前田武志 参議院議員(15年9か月)
● 田中慶秋 衆議院議員(15年9か月)
16年(16年0か月~16年11か月)461万4400円392万2240円0円
● 赤松広隆 衆議院議員(16年2か月)
● 大畠章宏 衆議院議員(16年2か月)
● 岡田克也 衆議院議員(16年2か月)
● 髙木義明 衆議院議員(16年2か月)
● 細川律夫 衆議院議員(16年2か月)
● 松本龍 衆議院議員(16年2か月)
17年(17年0か月~17年11か月)469万6800円399万2280円0円
● 田中直紀 参議院議員(17年9か月)
18年(18年0か月~18年11か月)477万9200円406万2320円0円
19年(19年0か月~19年11か月)486万1600円413万2360円0円
● 川端達夫 衆議院議員(19年9か月)
● 鳩山由紀夫 衆議院議員(19年9か月)
20年(20年0か月~20年11か月)494万4000円420万2400円0円
● 玉置一弥 衆議院議員(20年8か月)
21年(21年0か月~21年11か月)502万6400円427万2440円0円
22年(22年0か月~22年11か月)510万8800円434万2480円0円
23年(23年0か月~23年11か月)519万1200円441万2520円0円
24年(24年0か月~24年11か月)527万3600円448万2560円0円
25年(25年0か月~25年11か月)535万6000円455万2600円0円
● 藤井裕久 衆議院議員(25年4か月)
● 中井洽 衆議院議員(25年9か月)
● 菅直人 衆議院議員(25年10か月)
26年(26年0か月~26年11か月)543万8400円462万2640円0円
● 江田五月 参議院議員(26年8か月)
27年(27年0か月~27年11か月)552万800円469万2680円0円
28年(28年0か月~28年11か月)560万3200円476万2720円0円
29年(29年0か月~29年11か月)568万5600円483万2760円0円
● 中野寛成 衆議院議員(29年5か月)
● 鹿野道彦 衆議院議員(29年5か月)
30年(30年0か月~30年11か月)576万8000円490万2800円0円
31年(31年0か月~31年11か月)585万400円497万2840円0円
32年(32年0か月~32年11か月)593万2800円504万2880円0円
33年(33年0か月~33年11か月)601万5200円511万2920円0円
● 石井一 衆議院議員(33年11か月)
34年(34年0か月~34年11か月)609万7600円518万2960円0円
35年(35年0か月~35年11か月)618万円525万3000円0円
36年(36年0か月~36年11か月)626万2400円532万3040円0円
● 渡部恒三 衆議院議員(36年5か月)

以下は、表の注釈です。
計算の根拠などを記しています。

議員名および在職期間について

議員名は、「FRYDAY」2012年4月13日号85ページの表から2012年11月現在も引き続き民主党所属である議員を抜粋し、在籍期間は同表記載のままの転載です。(資料元で「在籍」期間としているところを、当ページでは、資料元の説明箇所を除き「在職」期間と表現しています。国会議員互助年金法では「在職」期間という表現だからです。)

国会議員年金額の計算について

年金額についても上記資料元に表示されていましたが、念のため「国会議員互助年金法」および「国会議員互助年金法を廃止する法律」をもとに改めて計算し直しました。

その結果、資料元では在籍10年の議員年金額の計算について、法律の規定通りに350万1999円としている関係上、上記表の年金額よりもすべて1円少ない金額で表示されています。上記表では、在籍10年の議員年金額を350万2000円で計算しています。(差異の原因は、おそらく分数の処理の仕方の違い。)

【廃止前の年金額】

「国会議員互助年金法」第9条(普通退職年金及びその年額)より
『国会議員が在職期間10年以上で退職したときは、その者に普通退職年金を給する。普通退職年金の年額は、在職期間10年以上11年未満に対し退職当時の議員の歳費年額の150分の50に相当する金額とし、10年以上1年を増すごとに、その1年に対し退職当時の議員の歳費年額の150分の1に相当する金額を加算した金額とする。』

そして、「国会議員互助年金法」附則 抄(11)より
『平成6年12月1日以後に退職し、若しくは死亡した国会議員又はこれらの者の遺族に給する互助年金については、当分の間、第9条第2項中「退職当時の議員の歳費年額」とあるのは、「1236万円」とする。ただし、同年11月30日以前における議員の歳費年額(附則第9項本文又は前項本文の規定の適用がある場合は、これらの規定に規定する額)を基礎としてその年額が計算される互助年金については、この限りでない。』

ここまでで、廃止前の年金額が計算できます。

※外部リンク
国会議員互助年金法
http://law.e-gov.go.jp/haishi/S33HO070.html

★ 廃止前の在職10年の分の年金額

年金額(10年分)=歳費年額×150分の50
=1236万円×150分の50=412万円

★ 廃止前の在職11年超の年金額(1年あたり)

年金額(11年超の1年分)=歳費年額×150分の1
=1236万円×150分の1=82400円

例えば在職期間15年ならば
412万円+(82400円×5)=453万2000円

次いで、廃止法施行後の年金額の計算です。

【現廃止法による年金額】

「国会議員互助年金法を廃止する法律」第9条(現職国会議員の普通退職年金の年額)より
『(略)これらの規定(略)により計算された金額に100分の85を乗じて得た金額とする。』

※外部リンク
国会議員互助年金法を廃止する法律
http://law.e-gov.go.jp/announce/H18HO001.html

★ 廃止後の在職10年の分の年金額

年金額(10年分)=歳費年額×150分の50×100分の85
=1236万円×150分の50×100分の85
=412万円×100分の85=350万2000円

★ 廃止後の在職11年超の年金額(1年あたり)

年金額(11年超の1年分)=歳費年額×150分の1×100分の85
=1236万円×150分の1×100分の85
=82400円×100分の85=70040円

在職期間15年ならば、上記例の計算結果を使い、
453万2000円×100分の85=385万2200円

なお、関連として、掛け金(納付金)について触れておくと、

「国会議員互助年金法」第23条1項より
『国会議員は、毎月、その歳費月額の100分の10に相当する金額を国庫に納付しなければならない。』

歳費月額は歳費年額の「12分の1」ですので「103万円」です。そして、それを100分の10した「10万3000円」が、2006年3月まで月毎月納めてきた納付金ということになります。

さらに、期末手当からの納付もあります。

「国会議員妓女年金法」第23条2項より
『国会議員は、前項に規定する納付金のほか、歳費法第11条の2から第11条の5までの規定による期末手当を受ける月につき、当該期末手当の額(その額に1000円未満の端数がある場合においては、その端数を切り捨てた額)の1000分の5に相当する金額を国庫に納付しなければならない。』

廃止前2006年3月直近では、その金額は約3万円でした。

【ページ最初の掛け金10年分「1266万円」の計算】

以上より、2006年3月まで10年間分の掛け金総額は、
(10万3000円×12月×10年)+(3万円×10年)=1266万円

計算のもととなる「歳費月額」は、過去を遡るほど少ない金額になっており、この計算方法で通用するのは1994年12月から2006年3月までです。

最多人数の在職12年組には、大物議員が名を連ねています。

民主党が、マニュフェストで議員年金廃止を訴えたのは2004年からですので、それは、計算上、当該議員が在職10年をクリアして間もなくということになります。

単に、偶然が生んだ状況なのかもしれませんが、政権交代後3年間を見ていると、ついよからぬ勘繰りをしてしまいます。

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2012年03月

年金の『甘い経済前提』2009年当時の批判発言禄

運用利回り賃金上昇率物価上昇率
2009年 財政検証(※1)4.1%2.5%1.0%
2012年 民主党試算(※2)(※3)4.1%2.5%1.0%

※1:2009年(平成21年) 財政検証
平成21年財政検証結果(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/nenkin/
nenkin/zaisei-kensyo/dl/hontai.pdf

5ページの経済中位のケースの数値。(PDF:448.1KB)

※2:2012年 民主党試算
新制度の財政試算のイメージ(暫定版)
http://www.dpj.or.jp/download/6003.pdf

2012年2月10日公表。経済前提は1ページ下部に記載。(PDF:582KB)

※3:「民主党の試算」は、一応、政府・民主党ともに非公式であり、民主党調査会が厚生労働省に計算させた独自の試算ということにされています。しかし、2012年3月5日の衆議院予算委員会第五分科会の応答で明らかにされたところによると、自民党の河野太朗議員が、確定済みの直近のデータ(足元の現実の数字)も含めて試算するよう事前に厚生省に求めていたところ、小宮山厚生労働大臣(民主党)がそれを拒み、2009年財政検証で使用されていた経済前提を使うよう官僚に指示したということですので、実務上だとはいえ、厚生労働大臣も経済前提について確認しているわけです。また、この試算以外に政府・民主党による試算が存在しないことから、ここでは事実上の「民主党の試算」ということで話を展開しています。(なお、厚生労働省が現実的な数字に置き直して推計を出すまでに掛かる時間は数時間程度だということも、河野議員により明らかにされています。)

上記表は、上段に2009年(平成21年)2月23日付で公表された5年に1度行われる公的年金制度の『財政検証』における長期の経済前提を示し、下段に2012年2月10日に公表された民主党の新年金制度の試算における長期の経済前提を示しています。

かつて自公政権は、これら経済前提のもと年金給付削減の調整機能を働かせれば、モデル世帯において現役世代の50%水準以上の年金を受け取り続けることが可能であるとして「年金100年安心」(年金「100年安心」発言録)をうたっていたのですが、それに対する大勢の評価は「楽観的」「非現実的」「つじつま合わせ」というものでした。

2009年秋は衆議院選挙を控えていましたので、民主党議員は、ここぞとばかりに衆議院議員、参議院議員問わず舌鋒鋭く批判を展開していたものです。

2009年当時の民主党議員4人の国会発言

2009年、予算委員会など国会の中で『経済前提』に関する批判・追及を展開していた民主党議員は、調べた限りで5人でしたが、社会保険労務士でもある内山晃議員はすでに民主党を離党していますので、2012年3月現在でも民主党議員である4人についての国会発言を抜粋します。

掲載の順番は、以下の通りです。
1…2009年(平成21年)6月19日-梅村聡議員
2…2009年(平成21年)6月19日-長妻昭議員
3…2009年(平成21年)6月18日-川合孝典議員
4…2009年(平成21年)6月2日-蓮舫議員

なお、抜粋は、経済前提に関する発言部分を恣意的に抜粋したものであり、赤字部分は当方で重要と判断したものを色変換し、読みにくい漢数字はアラビア数字に直しています。

抜粋の目的は、経済前提の見直しが、事実上の民主党の約束事であったことを示すことにあります。

民主党では、コトあるごとに「個人の判断」「個人の見解」「個人の意見」という言い訳が聞かれますが、さすがに国会での発言まで安易に否定できるものではないはずです。

1…2009年(平成21年)6月19日-梅村聡議員

第171回国会 参議院本会議 第31号 平成21年6月19日
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/171/0001/17106190001031a.html

○梅村聡君 民主党・新緑風会・国民新・日本の梅村聡です。(略)5年前、2004年の年金改革において、政府・与党は100年安心の制度であることを強調しました。しかし、次第にその看板のメッキがはげ、実はいいかげんな中身であったことが暴露されつつあります。その端的な証拠と言えるのが、今回の審議の過程で明らかになった財政検証のずさんさであります例えば、財政検証の経済前提は、5年前の財政再計算における前提より高い、名目賃金上昇率2.5%、名目運用利回り4.1%を用いており、これまでの経済情勢に照らしても極めて実現性の低い数字に基づくものとなっております

2…2009年(平成21年)6月19日-長妻昭議員

第171回国会 衆議院本会議 第41号 平成21年6月19日
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/171/0001/17106190001041a.html

○長妻昭君 民主党の長妻昭でございます。(略)民主党は、本法案審議を通じて、現行の年金制度を生活できる年金とするため、最低保障年金の創設、年金の一元化など、抜本改革を主張してまいりました。政府の年金の財政検証でも、楽観的過ぎる経済前提の問題、所得代替率50%を維持するモデル世帯がほとんど存在しない問題など、数々の論点を指摘してまいりました。しかし、政府は、まともに答えようとしません。現行制度の微修正では日本の年金制度はもたないことを率直に認めることが、国民の利益にもつながります。年金制度が続いても、生活できない年金であれば、何のための年金なのですか。

3…2009年(平成21年)6月18日-川合孝典議員

● 第171回国会 参議院 厚生労働委員会 第17号 平成21年6月18日

○川合孝典君 民主党・新緑風会・国民新・日本の川合孝典でございます。(略)さらに、本法案の審議を通じて浮かび上がったのは、100年安心をうたった2004年の年金改革が早くも破綻しつつあるという事実であります。政府は、厚生年金の給付水準を現役時代の収入の50%確保という公約を掲げてきましたが、実はそれが極めて甘い経済前提に基づくものであり、現行制度のままでは実現不可能な状況となっていることが明らかとなりました。厚生労働省は、この経済前提に基づき、モデル世帯の年金給付水準が2038年以降、50.1%に固定されると試算していますが、最新の年金保険料納付率61.1%を基に試算すると48.9%となり、既に50%割れとなっていることも審議を通じて明らかとなりました。これは明らかな政府の公約違反であり、年金制度に対する国民の信頼が更に揺らぐことは避けられません。

4…2009年(平成21年)6月2日-蓮舫議員

第171回国会 厚生労働委員会 第12号 平成21年6月2日
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/171/0062/17106020062012a.html

○蓮舫君 もう一つは、5年に1回行われる財政検証なんですが、モデル世帯の所得代替率は辛うじて50.1%で、2004年の政府の公約を維持はしているんですけれども、経済前提を少し厚労省の想定とずらす、低く見積もることによってこの5割はあっという間に割り込みます。制度自体がもはや100年安心、維持可能性について私は大きな問題があると思っております。本当はこの厚労省のこうした見込みが外れると一番だれがその負担を負うかというとこれは国民であって、保険料の引上げとか給付の大幅削減という形で将来世代に大きなツケを先送りしてはいけないと私どもは考えております。

○蓮舫君 100年間にわたる年金財政の見通しを検証する前提というのは、私は相当堅めに見るべきだと考えています。世界経済危機とか金融危機、あるいは新型インフルエンザの問題など、今、世界経済、特に日本もかつてない状況に置かれていると思っております。もちろん、こうした危機を克服するために、国内も世界も世界協調で経済を押し上げるための努力をするべきだとも思っておりますが、こうしたリスクも織り込んだ現実的な経済前提で財政検証を行う方が、私は国民に対する年金制度への信頼につながってくると思うんですが

○蓮舫君 運用利回りを0.5%高めに設定すると、給付水準を実は2%押し上げる効果があると。だから、この利回りというのはやっぱり相当堅めに見ないと給付水準に私は大きな誤差が生じる、誤差どころか大きな間違いが生じると思っているんですけれども、大臣、今までの話を伺っていて、私たちはやっぱり疑いを持たざるを得ないんですよね。確かに、一時期、単年度だけを切り取って、こんなに損が出たじゃないか、こんなに見通しが悪いじゃないかという数値を置くことで100年を見ることはできませんけれども、せめてこの10年、20年の数値を入れていったところで、どう計算しても5割の所得代替率というのは私は維持ができない。どうしても楽観的にあるいは逆に置いた数字だと見ざるを得ないんですが、いかがでしょうか。

○蓮舫君 いや、今回の財政検証で唯一現実的だなと私たちが思うのは出生率だけです。それ以外は非常に甘い

○蓮舫君 あるべき姿を前提に置くというのを否定はしませんが、あるべき姿までどうやって到達するかという政策も一緒に出していただかないと、それは極めて楽観的な数字だと私たちは思います賃金上昇率も、やはりこれは相当驚くほど高い数値が前提となっています。財政検証の前提では2.5%、実質1.5%プラスと想定されているんですが、平成10年から19年までの実質賃金上昇率の単純平均でも、これはマイナスなんです。

○蓮舫君 いや、厚生年金財政において賃金上昇率は収入そのものに直結するから、こここそ相当リアルな数字を置かなければ楽観的だという批判は免れないと思うんです。資料五を御覧いただきたいんですが、民主党として厚労省に試算をお願いしました。実質経済成長率、物価上昇率、名目賃金上昇率、名目運用利回りを、それぞれ過去10年平均、過去20年平均の数値を経済前提として置いていただいて試算をしていただいた結果です。過去10年の平均値の試算は、四ですね、ここではマクロ経済スライド調整は、これは機能しません。平成43年、今から22年後に厚生年金の積立金が枯渇します。過去20年平均の試算、機械的な試算五です。平成62年、41年後に国民年金の積立金が枯渇をします。

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ここでの過去10年平均、過去20年平均とは次の通り。

平成21年財政検証関連資料(2)
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/dl/s0526-6f.pdf
(PDF:733.21KB)
6ページより。

運用利回り賃金上昇率物価上昇率
過去10年平均1.5%-0.7%-0.2%
過去20年平均2.9%0.6%0.7%

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○蓮舫君 私どもは何も不安をあおろうとしているわけではなくて、より現実的に、10年、20年間の平均値、実質こういう経済前提だった数字だったらどうだろうかといったときに、やはり今の制度というのは100年安心なんだろうか、この制度設計はそろそろ見直すときに来ているんではないんだろうかという立場に立たせていただいているんです。 平成16年度改正のフレームは大きく4つありました。1つは上限を固定した保険料の値上げ、これは国民に負担を強いました。2つ目はマクロ経済スライドを導入して給付の自動調整を図るとした、これまだ機能していません。3つ目は国庫負担を2分の1に引き上げます。4つ目が積立金の活用。この4つの改正をして、積立金をおおむね100年間で財政均衡を図って、100年後に給付費を1年分だけ残して積立金を保有すると、次世代の給付にそこを充てるんだという説明を平成16年度には受けました。

ところが、財政検証の数値を現実的な過去の平均値を使うと100年ももたない。100年にわたってもちろん経済がマイナス成長になると私たちは見ていませんけれども、前提条件を楽観的にしないと持続可能性がもたないという制度が本当に100年安心なのかどうなのか。大臣、私、ここは御決断をするべきときだと思います。特に今回は相当大きな埋蔵金を活用しますし、制度が本当に100年安心なのか、いかがでしょうか。

以上、国会発言の抜粋でした。

2009年2月の財政検証では、2008年までのデータを使用しているので、100年に1度といわれる2008年9月のリーマンショックの影響は完全に吸収されていません。

また、2009年以降の出来事として、第2のリーマンショックの可能性も指摘される「欧州債務危機」が2009年10月ギリシア危機を発端として起こり、日本国内では、2011年3月に1000年に1度の大地震に見舞われ、原発問題と含めて多大な損害を受けました。

さらに、近い将来、同程度の大地震の可能性も十分にあるという予測まであり、首都圏直下型地震での被害予測では、最大112兆円という、現在の年金積立金にも匹敵する経済的被害が想定されています。

そうした状況において、2009年当時でも国会発言のように厳しい追及をしていた民主党が、政権交代後2年半経過してもなお当時の甘い経済前提を使用して新年金改革の議論をしようとしているというのですから話になりません。

2010年から2011年にかけての『アラブの春』のように、今は5年(財政検証は5年に一度)どころか1、2年で世界情勢すらガラッと変わる世の中なのですが・・・。

続きを読む 年金の『甘い経済前提』2009年当時の批判発言禄

2011年01月

特定の主婦だけ年金優遇 平成23年「運用3号適用」施行

平成23年1月1日前に年金を訂正した主婦は?

「正直者が馬鹿をみる」「保険料納付者への背信行為」「理不尽」「不公平」・・・広く認知されるほど不満の声が上がりそうな年金の制度が施行されました。

平成22年12月までに自分の年金記録を見直し、誤って第3号被保険者になっていた年金記録を第1号被保険者に訂正したことのある人は要注意。怒りに震えることになるかもしれません。

※注・・・年金の第3号被保険者の99%は主婦(1%は主夫)ですので、ここでは第3号被保険者=主婦として話を展開しています。

【平成23年2月11日追記】

『運用3号』制度について、厚生労働省が公表した詳細資料へのリンクです。
「運用3号」に関する経緯等について(PDF:201KB)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000011je9-att/2r98520000011jik.pdf

「運用3号」職員向け「Q&A」集(第2版)(PDF:310KB)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000011je9-att/2r98520000011jid.pdf

(平成23年1月31日 第20回年金記録回復委員会資料より)

【平成23年2月24日追記】

「運用3号制度」について、見直しの動きが出てきました。

『国民年金第3号被保険者の切り替え漏れ問題について、細川律夫厚生労働相は24日の予算委員会で、1月から始めた救済を一時停止する方針を示した。今後の対応は総務省と協議して近く結論を出す。同日午前の衆院予算委員会で鴨下一郎議員(自民)の質問に答えた。』(毎日新聞2月24日より引用)

【平成23年3月3日追記】

問題化したので決定時期変更で責任回避?

『国民年金:3号被保険者切り替え漏れ 責任なすりつけ? 厚労省、決定時期前倒し

サラリーマンの妻など国民年金の第3号被保険者(3号)が夫の扶養から外れた際などの切り替え漏れを救済する「運用3号」制度に関し、厚生労働省は2日、これまで「昨年12月」と説明してきた決定時期を「昨年3月」へと前倒しした。厚労省は、昨年3月29日に同省の年金記録回復委員会に運用3号の案を提示し、12月14日の同委員会の了承を得て決定したと説明してきた。細川律夫厚労相も同様の答弁をしている。昨年3月の決定なら、当時の長妻昭前厚労相が責任者となるが、12月なら細川氏の最終判断となる。運用3号を巡っては、自民党が細川氏の責任をただす構えを見せており、決定日変更は野党の追及をかわす狙いもあるとみられている。大塚耕平副厚労相は2日の会見で「3月29日に政務三役と関係幹部が最終的に協議して省として決めた」と述べた。』(毎日新聞3月3日より引用)

本決定が2010年3月ならば、有識者を集めた年金記録回復委員会の議論(第14回 2010年12月)はお飾りだということなのでしょうか。「決定」の定義がどうあれ、問題が拡大してから制度決定時期を変更するということについて、どうしても保身の意図を感じてしまいます。

【平成23年3月4日追記】

平成23年3月4日の衆議院予算委員会により、驚くべき3つの点が明らかになりました。
(質問者 世耕弘成議員、回答者 細川律夫厚生労働大臣)

●その1-過去2年分の保険料納付は運用3号の適用を受ける必須条件ではなかった。

これまで「最大過去2年分の保険料の支払い」は「運用3号の適用」の条件であるかのように新聞・テレビ等で報じられていました。また、私自身も通知等を読みそのように解釈しておりましたが、実際には、過去2年分の保険料の支払実績とは関係なく、運用3号の救済を受けられることが明らかになりました。(必要なのは「支払う意思の確認」であって、支払った結果ではない。)つまり、3号から1号への切り替え漏れにより過去20年間不整合記録となっている人については、運用3号への適用後、最終的に過去2年分の保険料の支払いが履行されなかったとしても、過去2年より前の18年間については「運用3号」として実質3号被保険者として扱われる訳です。過去2年間については、保険料を納めれば1号としての保険料納付済期間となり、未納ならば1号としての未納期間とされます。

●その2-運用3号の施行日前の受付について、現場により不公平が存在した可能性がる。

運用3号の施行日は平成23年1月1日ですが、現場によっては平成22年12月から受付を行っていたということが明らかになりました。(世耕議員指摘による。)これは、現場向けの説明会の時期や、担当者が親切な人か杓子定規の人かということによって、適用が受けられるかどうかの差が生じていた可能性があるということです。(大臣答弁「昨年12月15日より前に(救済申請を)受け付け、適用しているケースも一部ある可能性もある。」)

●その3-運用3号制度の12月15日内部通知を厚生労働大臣は知らなかった。

平成22年12月14日第19回年金記録回復委員会の議題の一つに運用3号制度が取り上げられ厚生労働大臣も出席していたのですが、翌日12月15日に出された内部通知(厚生労働省年金局事業企画課長通知)については、厚生労働大臣は知らなかったということが明らかになりました。

【平成23年3月8日追記】

運用3号制度については「きちんとした法律制度で対応」することになりました。
(8日の衆議院予算委員会。菅首相答弁より。)

【平成23年3月9日追記】

平成23年3月8日の厚生労働委員会(大塚厚生労働副大臣答弁)により、従来から、事実上運用3号と同じ扱いが現場で『多数』行われていたということが明らかになりました。これは、旧社会保険事務所に裁定請求に来たときに、窓口の職員が本当は第1号被保険者と訂正すべき不整合記録について、現実には訂正されないまま、結果として本来の年金受給額より多い年金をもらっている人が『たくさん』居るというものです。

つまり、「運用3号」というしくみを立ち上げたことでで不公平・理不尽な点が問題となりましたが、そのようなことはもうすでに存在していたわけであり、「運用3号」について課長通知で行おうとするなど民主党の不手際は責められるものの、事実上の「運用3号」を見過ごしていた歴代厚生労働大臣、旧政権にも責任があるということになります。

それにしても、これまでどれくらいの割合で不整合記録の訂正が行われなかったのでしょうか。また、その対象者数はどれくらいなのか、実際の年金額よりも多く払っている金額は全体でどれくらいなのか等、公表を待ちたいと思います。(妻自身の年収が130万円を超えたことにより3号を外れた場合の記録は調査困難かもしれませんが、夫が2号から1号になった場合の対象者は容易に調べられるはずです。)

【平成23年4月12日追記】

厚生労働省は、11日に行われた「第2回社会保障審議会第3号被保険者不整合記録問題対策特別部会」において、第3号被保険者の不整合記録にかかる推計結果とともに関連資料を公表しました。
第3号被保険者不整合記録問題対策の対象者の整理について(PDF:106KB)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000018mel-att/2r98520000018mj4.pdf

第1回特別部会における委員の依頼資料(PDF:336KB)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000018mel-att/2r98520000018mjd.pdf

第3号被保険者の不整合記録の状況について(PDF:37KB)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000018mel-att/2r98520000018mjm.pdf

第3号被保険者不整合記録問題対策に関する主な論点(PDF:154KB)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000018mel-att/2r98520000018mjv.pdf

論点に関する参考資料(PDF:318KB)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000018mel-att/2r98520000018mk4.pdf

3号不整合記録問題に関連するこれまでの行政実務、判例等の考え方(PDF:574KB)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000018mel-att/2r98520000018mkd.pdf

公表資料の過去の判例や論点整理を見ていると、単なる不公平論では片付かないこの問題の複雑さを改めて実感させられます。自民党が、運用3号について国会での追及では、議論の分かれる『不公平論』ではなく『手続き論』に重きを置いていた理由もよくわかります。

最終的には、過払い分は返還を求めないという、不公平が残る決着となりました。

平成23年1月1日から施行された『運用3号適用』

平成23年(2011年)1月1日から、『運用3号適用』という新たな年金の制度が始まりました。

これは、例えば会社員の夫をもつ年金種別「第3号被保険者」の妻が、その後夫が脱サラしたことにより夫婦共に「第1号被保険者」となるべきところ、手続き忘れにより妻の年金種別が「第3号被保険者」のままになっているようなケースを想定しているものです。

夫が会社員から自営業へ脱サラ(2号から1号へ)

図のように、夫が会社員から自営業に脱サラした場合、専業主婦をしている妻の年金種別は3号から1号へ変わります。

妻の実態に即したあるべき年金記録(3号から1号へ)

同じ専業主婦でも、2号(厚生年金)の夫をもつ妻は、年金保険料を納めなくてもよい3号でいられますが、夫が1号(国民年金)になれば、妻の年金種別も法律上1号となり、夫とともに年金保険料を払う立場に変わります。

しかし、中には年金種別の変更手続きを忘れ、もしくはわからないまま届けをしない人もおり、年金種別が誤って3号になったままになっていることもあるのです。(下記図)

妻の誤っている年金記録(本来1号のところを3号のままにしている)

その場合、記録上3号になっている間は保険料を請求されることはありませんが、事後的に第1号被保険者であることが判明した場合には、さかのぼって年金記録を第1号被保険者に訂正することになるため、過去2年分の保険料を後払いできた部分を除き1号未納となります。

これにより、今までは老齢基礎年金の額が減らされたり、年金加入期間が足りなくなることにより無年金になるという事態も発生していました。

もちろん、まだ60歳になっていない人については、「1号」に訂正後の国民年金の保険料は自己負担ですし、払えなかった月にかかる将来の年金は減らされてしまいます。

ここまでが、平成22年12月までの話です。

少しかわいそうな気もしますが、きちんと届出義務を果たして、まじめに保険料を納めている「元3号」である「1号」の主婦のことを考えれば、法律通りの妥当な措置であると思われます。

ところが、今回新たに出来た制度では、不整合記録(本当は「1号」なのに「3号」となっていた記録)の「3号」を「1号」に訂正する今までのやり方を変更し、誤りである「3号」になっていた年金記録を「運用3号」とすることで、事実上「3号」と変わらぬ扱いにするようにしたのです。(下記図)

※注1-厳密には62歳以下であれば、最大で過去2年分は「1号」となりますが、その点については図示しておりません。(最大というのは、例えば60際の人ならば過去2年は1号として2年分の保険料を求められますが、訂正する人が61歳ならば、法的に59歳から60歳までの1年分しか1号になり得ません。また、62歳を超える人については過去2年のうちに1号となりうる期間がないので結果的に保険料を求められることはないということです。)

※注2-平成23年3月4日まで、当ページにおいては「この特例の適用には当該過去2年分の保険料納付が必要」であると記載しておりましたが、正しくは、当該過去2年分の保険料納付を「求められる」ものの、手続き時点で納付の意思を示せば、最終的に納付を拒否したとしても2年より前の期間については「運用3号」が適用されるということです。(平成23年3月4日衆議院予算委員会の答弁により判明。)

なお、この点については、平成22年12月14日第19回年金記録回復委員会において「一方で真面目に納めた方への背信行為との指摘があることもごもっとも(略)不公平感を考慮し時効が成立していない期間については公平性の観点から直近2年は払ってもらうことで整理した。」と語られていることと反しており、新たな疑念(過去2年分の保険料納付を「求める」と言う表現で、あたかも過去2年分は納付実績が必須条件であるかのような印象操作をおこなってきた?)が生じたところです。

妻の訂正後の年金記録(本来1号の部分を特別に3号として扱う)

対象となる年金記録は、昭和61年(1986年)4月以降の不整合記録ですので、平成23年(2011年)1月以降に訂正する人の中には、制度上、長ければ25年を超える年金記録が、「実態1号=未納(誤って3号になっていた年金記録)」→「納付済み扱い」になるわけです。

保険料を払ってきた正真正銘「1号」の主婦からすれば、実態は同じ「1号」にもかかわらず、手続きミスをした方が結果的に得をするという、なんとも理解しがたい不公平な優遇措置となっているのです。

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2010年08月

日本人100歳以上人口比 0.00031683%(平成21年時点)

平成22年7月以降、100歳以上高齢者の所在不明実態が次々に明らかになってきていますが、これを受けて一部諸外国から日本の長寿世界一(日本女性:86.44歳)に対して疑問の声が上がっています。

しかし、100歳以上高齢者に限って言えば、いくら長寿国とはいえ日本人総人口に対する100歳以上高齢者の割合は小さなものであり、『平均寿命』に与えるインパクトは微々たるものであると言えそうです。

100歳以上の人口割合(1-全体、2-男性、3-女性)

計算に用いる資料は次の2点です。

厚生労働省:百歳高齢者に対する祝状及び記念品の贈呈について
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2009/09/dl/h0911-3g.pdf

平成21年9月1日現在データ
URLは公表資料PDFの全体版。5ページ目の平成21年データを使用。

総務省:平成21年10月1日現在『人口推計』
http://www.stat.go.jp/data/jinsui/2009np/pdf/2009np.pdf

PDFファイル。10ページ目の平成21年データを使用。

1.100歳以上の人口割合(全体)

100歳以上の人口「40,399人」
日本人の総人口「1億2751万人」

40,399人÷1億2751万人≒0.0003168%

2.100歳以上の人口割合(女性)

100歳以上の女性人口「34,952人」
日本人の女性人口「6538万人」

34,952人÷6538万人≒0.0005345%

3.100歳以上の人口割合(男性)

100歳以上の男性人口「5,447人」
日本人の男性人口「6213万人」

5,447人÷6213万人≒0.000087%

3156人に1人しか存在しない100歳以上高齢者

100歳以上高齢者の人口割合「0.0003168%」の裏を返せば、
3,156人に1人しか100歳以上の人が存在していないことになります。

消えた100歳以上高齢者が与える『平均寿命』への影響

仮に人口3,156人の一つの町があり、平均寿命は80歳とします。
たった1人居るはずだった100歳のおばあさんが実は50歳で亡くなっていたとすると、この町の平均寿命はどのくらい変化するでしょうか。

ここでは『平均寿命』を恣意的に計算してみます。

まず、平均寿命を「町人全体の実寿命の総和」を「町人口3156人」で割ったものとします。

●年齢の総和=3,156人×80歳=252,480歳

ところが100歳のおばあさんは50歳で亡くなっていたので「-50歳」します。

●修正後の年齢の総和=252,480歳-50歳=252,430歳

これを町人口3,156人で割って平均寿命をだしてみると

●平均寿命=252,430歳÷3,156人=79.984157609歳

平均寿命への影響は

●80歳-79.984157609歳≒0.0158歳

実際の日本人女性の統計で計算

次に、上記と同じように実際の日本人女性で計算してみます。

100歳以上の女性人口「34,952人」
日本人の女性人口「6538万人」
日本人女性の平均年齢「86.44歳」

100歳以上の人は一律100歳とし、極端ですが「34,952人」全ての人が50歳で亡くなっていたとして計算してみます。

●年齢の総和=6538万人×86.44歳=56億5144万7200歳

減少するのは「34,952人」の(100歳-50歳=50歳)分なので
34,952人×50歳=174万7600歳分を減らします。

●修正後の年齢の総和=
56億5144万7200歳-174万7600歳=56億4969万9600歳

改めて女性の総人口で割って平均年齢を導きます。

●56億4969万9600歳÷6538万人=86.41歳

平均年齢の差は

●86.44歳-86.41歳=0.03歳

※注:実際の平均寿命は現時点の0歳児の平均余命を表しています。本来の平均寿命を求める計算は非常に複雑です。(参考外部リンク:平均寿命 - Wikipedia

続きを読む 日本人100歳以上人口比 0.00031683%(平成21年時点)

2010年02月

職業別「求人」「求職」ギャップ(平成17年-21年比較)

求人数と求職者数のギャップ

  • 看護師等・・・「保健師、助産師、看護師」
  • 接客業等・・・「接客・給仕の職業」
  • 医師・薬剤師等・・・「医師、歯科医師、獣医師、薬剤師」
  • 保育士等・・・「社会福祉専門の職業」
  • 美容師等・・・「生活衛生サービスの職業」
  • 電気機械組立工等・・・「電気機械器具組立・修理の職業」
  • 配達員等・・・「運搬労務の職業」
  • スーパー店員等・・・「商品販売の職業」
  • 清掃員等・・・「その他の労務の職業」
  • 一般事務員等・・・「一般事務の職業」

上記図は、平成21年12月の職種別の「求人」と「求職」の差を示したものです。プラスになっている職種(赤)は、働きたい人の数に対して仕事が多く、マイナスになっている職種(青)は仕事の数が足りていないこと(人材過剰ということ)を意味しています。

使用したデータは、全国ハローワークの職業紹介実績の統計である『職業安定業務統計』
職業別一般職業紹介状況[実数](常用(含パート))
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000003v91-att/2r98520000003vhl.pdf

PDFファイル227KB
の「有効求人」と「有効求職」の値で、職種(中分類)ごとに両者の差を計算しました。

その結果、65の職業分類のうち、「求人数」が「求職者数」を上回っていたのはわずか『10』しかなく、残りは全て求職過多となっていました。(65の職業分類は、上記資料元62の中分類と、中分類の無い3つの大分類の合計で「分類不能の職種」は除きました。また、有効求人の値を「求人数」、有効求職の値を「求職者数」としました。以下同じ。)

一昔前ならば職に困らないと思われた『情報処理技術者』や、働き口が多く、いつでも働けそうなイメージがあった『商品販売の職業(スーパー店員、コンビニ店員等)』までも、平成21年12月のデータではマイナスに・・・

果たして、このような状況は昔からのことなのでしょうか、それとも悪化してきているのでしょうか?

そこで、平成21年12月のデータを基本として、過去との比較のために平成19年12月、平成17年12月の2つの時点のデータにおいても同様に「求人」「求職」ギャップを計算しつつ、その結果を一つの表にまとめてみることにしました。以下、全体→大分類→中分類という順番で見ていきます。

全体としての「求人」「求職」ギャップ

まず、全体的な「求人数」「求職者数」の状況から、「求人」「求職」ギャップを確認しておきます。

職業平成21年12月平成19年12月平成17年12月
職業計-1,432,477
【求人数】
1,062,992
【求職者数】
2,495,469
【有効求人倍率】
0.43
774
【求人数】
1,791,272
【求職者数】
1,790,498
【有効求人倍率】
1.00
59,459
【求人数】
1,958,117
【求職者数】
1,898,658
【有効求人倍率】
1.03

「平成17年12月」「平成19年12月」の比較では、「求人数」が低下する一方「求職者数」も緩やかに低下していたため、わずかに「求人」が「求職」を上回る状況でした。

しかし、平成20年9月のリーマンショック以後の経済環境・雇用環境の悪化にともない、平成21年12月のデータにおいては、求人数が2年前比「-728,280(-59%)」と激減する一方、求職者数は「+704,971(+139%)」となり、その差は『1,432,477』へと大きく拡大しました。

大分類で見た「求人」「求職」ギャップ

次は、専門的・技術的職業、事務的職業、サービスの職業といった大きな分類によって職業を分けたときの「求人」と「求職」の差を見ていきます。

表の並びは、平成21年12月のデータにおいて「求人数」-「求職者数」の差がプラスのものから順番に並べています。(この後の中分類の表も同じです。)

職業(大分類)平成21年12月平成19年12月平成17年12月
サービスの職業20,379146,857136,388
家庭生活支援サービスの職業、生活衛生サービスの職業、飲食物調理の職業、接客・給仕の職業、居住施設・ビル等の管理の職業、その他のサービスの職業
保安の職業18,65239,03640,968
自衛官、司法警察職員、その他の保安の職業・・・刑務官、消防官(消防官・消防士・救急隊員)、警備員(警備員・守衛・夜警員・法廷警備員・国会衛視)、他に分類されない保安の職業(道路管理員・入国警備官・他に分類されないその他の保安の職業)
専門的・技術的職業-2,325223,173210,889
科学研究者、農林水産業・食品技術者、機械・電気技術者、鉱工業技術者(機械・電気技術者を除く)、建築・土木・測量技術者、情報処理技術者、その他の技術者、医師、歯科医師、獣医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、医療技術者、その他の保健医療の職業、社会福祉専門の職業、法務の職業、経営専門の職業、教育の職業、宗教家、文芸家、記者、編集者、美術家、デザイナー、写真家、音楽家、舞台芸術家、その他の専門的職業
管理的職業-5,563-2,817-2,156
管理的公務員、会社・団体の役員、会社・団体の管理職員、その他の管理的職業
農林漁業の職業-6,524-1,575-2,160
農業の職業、林業の職業、漁業の職業
運輸・通信の職業-28,25636,09634,760
鉄道運転の職業、自動車運転の職業、船舶・航空機運転の職業、その他の運輸の職業、通信の職業
販売の職業-144,21041,00752,516
商品販売の職業、販売類似の職業
事務的職業-522,740-350,104-337,458
一般事務の職業、会計事務の職業、生産関連事務の職業、営業・販売関連事務の職業、外勤事務の職業、運輸・通信事務の職業、事務用機器操作の職業
生産工程・労務の職業-585,122-34,68320,854
金属材料製造の職業、化学製品製造の職業、窯業製品製造の職業、土石製品製造の職業、金属加工の職業、金属溶接・溶断の職業、一般機械器具組立・修理の職業、電気機械器具組立・修理の職業、輸送用機械器具組立・修理の職業、計量計測機器・光学機械器具組立・修理の職業、精穀・製粉・調味食品製造の職業、食料品製造の職業(精穀・製粉・調味食品製造の職業を除く)、飲料・たばこ製造の職業、紡織の職業、衣服・繊維製品製造の職業、木・竹・草・つる製品製造の職業、パルプ・紙・紙製品製造の職業、印刷・製本の職業、ゴム・プラスチック製品製造の職業、革・革製品製造の職業、装身具等身の回り品製造の職業、その他の製造・制作の職業

※表中の職業の羅列は、
JILPT(独立行政法人 労働政策研究・研修機構)の資料シリーズNo.48
新訂 職業名索引(職業分類表)
http://www.jil.go.jp/institute/chosa/2008/documents/048_05.pdf

PDFファイル:2.05MB
を参照しています。(次の表も同じ)

印刷業や製造業など、経営環境の悪くなっている職種が含まれているだけに、「生産工程・労務の職業」の落ち込みぶりは目立ちます。

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2010年02月

22年度「年金記録問題予算」昨比アップも要求比半減

284億円(21年度の年金記録問題解決対策予算)
→1779億円(22年度の年金記録問題解決対策予算『概算要求』)
→910億円(22年度の年金記録問題解決対策予算)

これがなければ民主党への政権交代が起きなかったのでは?と思えるほど大きな問題である「年金記録問題」ですが、民主党初の本予算となる平成22年度予算では、どの程度年金記録問題解決に向けた予算が組まれたのでしょうか?

平成22年度予算案の主要事項(厚生労働省)
http://nk.jiho.jp/servlet/nk/release/pdf/1226490983016

PDF24ページ目「第2 信頼できる年金制度に向けて」より転載します。

※金額は平成22年度予算(カッコ内は21年度)

1 年金記録問題の解決910億円(284億円)
(1)紙台帳とコンピュータ記録との突合せ427億円(106億円)
被保険者名簿等の紙台帳等について、年金記録統合管理・照合システム(電子画像データ検索システム)を活用して個人単位でのコンピュータ記録との突合せを開始する。その際、予算を効率的・効果的に活用するため、受給に結び付く可能性の高い台帳等から優先的に照合する。初年度については、全体の約10%の突合せを行う。
(2)常に年金記録が確認できる仕組み(新規)40億円
年金加入者などの方が、パソコンを使いインターネットで即時に自身の保険料納付状況などの年金記録を閲覧、印刷できる仕組みを充実し、新たにID・パスワードもインターネットで取得できるようにする。また、自宅にパソコンのない方なども、市区町村や郵便局等で、職員等のサポートにより、年金記録を閲覧、印刷ができるようにする。
(3)年金受給者への標準報酬月額等のお知らせ122億円(111億円)
厚生年金受給者に対し、標準報酬月額の情報を含む年金記録をご本人に確認いただくため、お知らせを送付する。
(4)「今後解明を進める記録」の解明・統合等320億円(67億円)
サンプル調査など各種の解明作業による基礎年金番号に統合されていない記録の統合の促進、再裁定等の事務処理の促進などの対策を強化する。また、年金制度の本来の役割を確保するため、厚生年金の未適用事業所対策や徴収対策の強化を図るとともに、国民年金の適用・収納対策への効果的な取組みを実施する。

「年金記録問題」の解決に向けた予算は昨年度に比べて3.2倍(284億円→910億円)ものアップとなりましたが、かつての紙台帳照合についての発言『一年以内の作業終了には、莫大な人・モノ・カネが必要となるでしょう。全省庁から余剰人員を集めても不足する人員は、守秘義務を課したうえで、信頼できる民間に委託をして、国家プロジェクトとして取り組む覚悟が必要です。』(長妻昭著『消えた年金」を追って』リヨン社・初版発行2007年10月31日128ページより引用)、あるいは『そんなもの全部一年二年でやってくださいよ、人、物、金を集中投下して。』(厚生労働省:平成21年5月11日 171回国会 衆議院予算委員会http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/171/0018/17105110018026a.html引用)といった発言を思い返すと、ややトーンダウンした予算編成という印象です。

概算要求段階から半減した22年度「年金記録問題予算」

平成22年度予算の概算要求段階では、年金記録問題対策予算は「1,
779億円」で、年金保険料や年金受給額がわかる「年金通帳」についても予算が組まれていました。

下記表は、概算要求と平成22年度予算の金額との差額です。
(金額は平成22年度予算。カッコ内は概算要求との差額。)

1 年金記録問題の解決910億円(▲869億円)
(1)紙台帳とコンピュータ記録との突合せ427億円(▲362億円)
(2)常に年金記録が確認できる仕組み(新規)40億円(▲469億円)
概算要求では「年金通帳の導入」に509億円でした。「常に年金記録が確認できる仕組み」はその代替案でもあるため、509億円-40億円=▲469億円
(3)年金受給者への標準報酬月額等のお知らせ122億円(▲14億円)
(4)「今後解明を進める記録」の解明・統合等320億円(▲25億円)

当初2010年度(平成22年度)・2011年度(平成23年度)の集中対応期間2年間の中で、全体の7割(約6億件)の照合を完成させる予定でしたが、2010年度(平成22年度)は全体の約10%の照合、2011年度以降の計画は『明確な計画は立っていない』ということになりました。(『』2010年1月23日日経新聞5面記事より引用)

概算要求から大幅減の原因は「子ども手当」など他の予算措置のために予算確保が困難であったこと、調査の結果突合せする紙台帳の件数が少なかったこと、さらに費用対効果などが報じられているところです。

確かに、初年度見送りとなった「年金通帳」などは、あれば便利かもしれませんが、すでにねんきん定期便もありますし、深刻な税収減の中で509億円もの多額のコストを掛けて喫緊で作成する必要は薄く、現実に即した見直しかと思われます。

しかし、「国家プロジェクトとして、2年間集中的に取り組む」というスローガン(2009年衆議院選挙の政権公約)に触れる部分については、

【2009年12月13日読売新聞より】
『・・・4年間での全件照合は事実上不可能な情勢だ。年金記録の全件照合については、自公政権が10年かかると見積もっていたことに対し、野党時代の長妻氏は2年間での全件照合完了を強く要求した経緯がある。』(引用)

2年間や4年間の本当のところは、

『私もマニフェストを常に胸ポケットに入れておりますけれども、正確に言いますと、私どもが二年と申し上げておりますのは、二年間、記録問題への集中対応期間というふうに考えておりまして、集中的に二年の間に人、物、金を投下していくということでございます。そして一期四年の中で一定程度の年金の信頼を回復していく、こういうことをかねてより申し上げているところであります。』(平成21年11月18日 第173回国会 厚生労働委員会http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/009717320091118002.htm長妻厚生労働大臣発言より引用)

4年後、具体的にどの程度の照合が完了しているのでしょうか・・・

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2010年01月

加速する「無職高齢者世帯」の貯蓄取崩し

●1ヶ月の可処分所得額
平成12年(2000年)「220,719円」
→平成20年(2008年)「160,186円」(-59,533円
●1ヶ月の消費支出額
平成12年(2000年)「256,487円」
→平成20年(2008年)「210,378円」(-46,109円

この数字は、平成12年(2000年)と平成20年(2000年)の「世帯主が60歳以上の世帯(無職世帯)」(総務省統計局の家計調査「家計調査年報家計収支編」http://www.stat.go.jp/data/kakei/npsf.htm)のデータからピックアップしたものですが、「わずか8年の間にこれほど!?」と思えるほど、高齢者世帯の生活収支が悪化していることがわかります。

「社会保障給付」が約5万円減少

無職高齢者世帯の生活収支悪化の主因は「収入の減少」であるわけですが、とりわけ収入の大部分を占める「社会保障給付」の削減が大きく響いています。

●1ヶ月の社会保障給付額(世帯主が60歳以上の無職世帯)
平成12年(2000年)「217,672円」
→平成20年(2008年)「160,621円」(-49,383円

平成12年のデータでは、社会保障給付「217,672円」のうち公的年金給付は「216,189円」ですので、ここ(家計調査の項目)での社会保障給付はほぼ公的年金給付のことであると言えます。

これ以上年金を減らされると、さらに貯蓄の取崩しが加速しそうですが、それでも公的年金全体のバランスを考えればより一層の削減は避けられません。(マクロ経済スライドによる調整など、給付削減はすでに仕組みとして組み入れられています。)

※かつて60歳からであった厚生年金の受給開始年齢が完全に65歳支給となる2024年(平成36年)に向け、すでに2001年(平成13年)から段階的に引き上げが実施されていることも、ここでの社会保障給付の減少に影響しているのかもしれません。

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2010年01月

「太り過ぎ」は「やせ」よりも長生きする?

「太っている人」と「やせている人」
長生きするのはどちらでしょう??

「太り過ぎ」と「やせ」のイメージ

答えは「太っている人」です。
(やや太目の人が最も長生き)

データは2009年に公表された東北大学研究グループと厚生労働省研究班の2つ(詳細後述)で、両者とも40歳時点の肥満度(BMIによる)を4グループに分け、それぞれ寿命がどのようになったのかを調査しました。

BMI(体格指数)東北大学研究G厚生省研究班日本肥満学会基準(参考)
BMI30以上肥満肥満肥満4度(BMI40以上)
肥満3度(BMI35以上40未満)
肥満2度(BMI30以上35未満)
BMI25以上30未満太りすぎ太り気味肥満1度
BMI18.5以上25未満普通普通正常
BMI18.5未満やせやせ低体重

東北大学研究グループは肥満度の低いグループから4段階「やせ」「普通」「太りすぎ」「肥満」、厚生労働省研究班は「やせ」「普通」「太り気味」「肥満」に分類。(BMI25以上30未満のグループだけは「太りすぎ」「太り気味」と表記が異なるので注意。)

BMI(ボディー・マス・インデックス)は人の肥満度を表す指数で、
次のような計算式で求められます。

BMIの計算式
体重(キロ) ÷ [身長(メートル)×身長(メートル)]
【計算例】…170cm(1.7メートル)、50キロの人の場合
50(キロ) ÷ [1.7(メートル)×1.7(メートル)]
=50(キロ) ÷2.89=17.3(BMI)
※この場合、BMIは18.5未満なので「やせ」の分類に入ります。

そして、調査の結果、40歳平均余命は・・・

長生き順BMI(体格指数)東北大学研究グループ厚生省研究班
1BMI25以上30未満【太りすぎ】
男性40.5歳、女性47.0歳
(「やせ」との差)
男性6.7歳、女性5.9歳
【太り気味】
男性41.64歳、女性48.05歳
(「やせ」との差)
男性7.1歳、女性6.26歳
2BMI18.5以上25.0未満【普通】
男性38.7歳、女性46.3歳
【普通】
男性39.94歳、女性47.97歳
3BMI30以上【肥満】
男性37.9歳、女性44.9歳
【肥満】
男性39.41歳、女性46.02歳
4BMI18.5未満【やせ】
男性33.8歳、女性41.1歳
【やせ】
男性34.54歳、女性41.79歳

「スリム=長生き」というイメージがあったのですが、
男性も女性も「やせ」より太目のグループの方が長生きでした。
いったいどうしてこのような結果になったのでしょうか?

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2009年06月

分子にだけ含まれる所得代替率の『税金・社会保険料』

『所得代替率50%確保!』

平成16年財政再計算の時も、平成21年財政検証においても、政府は「所得代替率50%」(もらい始めた時点の年金)を年金給付水準の守るべきラインとして位置づけているのですが、そもそも所得代替率とは何を意味しているのでしょうか。

【所得代替率の計算式】

所得代替率 = 名目年金給付額
(税と社会保険料を差し引く前の給付額)
可処分所得
(税と社会保険料を差し引いた後の所得)

所得代替率は、現役世代の平均手取り収入(可処分所得)に対して、高齢者が受給できる年金額(名目年金給付額)の割合を示していますが、「税金・社会保険料」に注目してみると、分子(もらえる年金)にだけ自由に使うことの出来ない「税金・社会保険料」(=支払って手元から無くなるはずの「税金・社会保険料」)が含まれていることがわかります。

つまり、もし
『所得代替率=自由に使える年金/自由に使える現役収入』
というイメージを持っていたならば、税金と社会保険料の分を取り除いて考えなければ、実態を過大評価してしまうことにもなりかねないのです。

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2009年06月

若者単身の厚生年金 実質1倍以下(平成21年財政検証)

2009年5月26日、厚生労働省は「平成21年財政検証の試算結果」
を公表しました。

平成21年財政検証関連資料(1)
-年金制度における世代間の給付と負担の関係等-(PDF:4.80MB)

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/dl/s0526-6e.pdf

その8ページ「試算の詳細:世代ごとの保険料負担額と年金給付額」
には、厚生年金と国民年金のそれぞれの試算結果が掲載されており、
それを見ると若い世代ほど厳しい試算結果となっていることがわかります。
(ここでは、厚生年金に絞って話を進めていきます。)

新聞等でおなじみの厚生年金試算結果の表

まず、上記資料元より、新聞等でよく見られた下記表をご覧ください。
厚生年金のみの試算結果で、10歳ごとの掲載となっています。

2010年の年齢保険料負担額年金給付額年金給付額/保険料負担額(倍)
70歳
(1940年生まれ)
900万円5,600万円6.5倍
60歳
(1950年生まれ)
1,200万円4,700万円3.9倍
50歳
(1960年生まれ)
1,800万円5,100万円2.9倍
40歳
(1970年生まれ)
2,400万円5,900万円2.5倍
30歳
(1980年生まれ)
3,000万円7,000万円2.3倍
20歳
(1990年生まれ)
3,600万円8,300万円2.3倍
10歳
(2000年生まれ)
4,200万円9,700万円2.3倍
0歳
(2010年生まれ)
4,900万円11,200万円2.3倍
保険料負担額及び年金給付額については、65歳時点の価格に換算したもので、物価上昇率で平成21年度時点の現在価値で割り引いたもの。

さて、この表ですが、新聞等を読み込まずにパッと見た場合、一見すると平均的収入の会社員1人の厚生年金の収支が書かれたものと思ってしまうかもしれませんが、実は違います。

よく登場する『50.1%』という所得代替率の話と同じように、この表でも、いわゆる「モデル世帯」における厚生年金の負担額と給付額が示されているのです。次の表をご覧ください。

負担厚生年金保険料なし
給付1.夫の厚生年金(2階部分)
2.夫の国民年金(1階部分)
3.妻の国民年金(1階部分)
4.妻の遺族厚生年金
【計算の前提(上記資料元8ページ)】
(1)加入歴
同年齢夫婦で、夫は20歳から60歳まで厚生年金に加入し、(年齢別報酬月額は平成21年財政検証での標準報酬指数より算出。平均標準報酬月額42.9万円)) 妻はその間専業主婦(昭和61年度からは20歳以上ならば第3号被保険者、それ以前は国民年金に任意加入していない)。
(2)受給期間
男女各々60歳時点の平均余命(過去分は完全生命表、将来分は日本の将来推計人口(平成18年12月推計)における将来生命表の60歳時平均余命。 国民年金は平均余命の男女平均。)まで生存、厚生年金の場合、夫婦の老齢基礎年金、夫の死後妻が受給する遺族厚生年金も含めて計算。

『負担額』は夫1人分(厚生年金保険料)だけで、妻は第3号被保険者として国民年金保険料負担なし。

一方、『給付額』には夫と妻の2人分の基礎年金(国民年金)、夫自身の厚生年金(2階部分)、さらに夫が死亡した後、妻が受給する遺族厚生年金(※)までもが含まれているのです。

※日本人の平均寿命は、女性が男性よりも7歳くらい長生きであり、60歳時点の平均余命で見ても5歳くらいの開きがあることから、夫婦同い年のモデル世帯で見ると、妻がおよそ5年分の遺族厚生年金を受給することになるのです。

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2009年06月

年金「100年安心」発言録

『政府といたしましては「100年安心」と謳ったことはありませんが・・・』

2009年3月31日の衆議院本会議における舛添厚生労働大臣の発言で、一過性ながらも再び「100年安心」という言葉がクローズアップされました。

年金「100年安心」は、与党が2004年の年金法改正時において喧伝してきたことで、その意味は、100年後であっても現役の平均手取り収入の50%の年金給付水準を確保するというものです。

今でこそ「100年安心」と発言する与党議員はいなくなりましたが、当時の厚生労働大臣、厚生労働副大臣は確かに「100年安心」あるいはそれに準ずる発言をしていました。(あるいは慎重、否定的な発言も)

このページでは、その「100年安心」発言をピックアップし、改めて再確認してみようと思います。

続きを読む 年金「100年安心」発言録

2009年05月

時効経過国民年金保険料 違法後払い問題でようやく処分

・年金保険料の納付の時効は2年間
・年金保険料を原則25年以上納めていない人は1円も年金を受け取れない

この2つは、法律で定められた年金の基本的なルールです。

年金保険料を1ヶ月しか納めていない人も、24年11ヶ月まで頑張って納めた人も同様に老後にもらえる年金はゼロ。(あくまで原則論。実際には合算対象期間や、25年が短縮される例外もある。)

いざ年金をもらえる年齢になった時になって「足りない分を納めたい」と思っても、2年を経過してしまった未納保険料は、もはや納めることはできません。

元社保庁職員のコネの力は法律をも曲げる?

平成17年3月、元大阪社会保険事務局の職員だったA氏は、地元の奈良社会保険事務所の年金窓口の説明不足により妻の年金に未納が生じたとして、B氏(下記の流れ図参照)に対し2年を過ぎた未納分を納付できるように強く抗議。

保険料納付の時効(2年)もなんのその。なんと、2年経過分の保険料納付を認めさせることに成功したのです。

【抗議の伝わり方の流れ】
(流れ…2009年5月15日TBSサタデーずばッとより)

1.B氏…大阪社会保険事務局 共済係長
(抗議を受けた人)

2.C氏…大阪社会保険事務局 総務課長

3.D氏…奈良社会保険事務局 総務課長
(納付を許した人)

裏ルートの交渉??

そして抗議の翌日、
D氏からC氏、C氏からB氏、そしてB氏からA氏に納付可能の旨と納付金額が伝言され、最終的にA氏はE氏(奈良社会保険事務所 国民年金課長)に対して2年を超えた妻の国民年金未納分を納付することとなりました。

時効経過分は19ヶ月の国民年金保険料。
年金にして3万800円の増加です。
(厚生労働委員会会議録より)

厚生労働委員会での追及

この国民年金保険料の違法後払い問題については平成18年6月16日の厚生労働委員会、3年後の平成21年4月15日ならびに平成21年4月17日の厚生労働委員会において、民主党長妻昭議員が追及しています。

その該当箇所を厚生労働委員会会議録から抜粋します。

1.平成18年6月16日厚生労働委員会

衆議院会議録情報 第164回国会 厚生労働委員会 第32号 平成18年6月16日http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/164/0097/16406160097032a.html

○長妻委員 
そしてもう一つ、一ページでございますけれども、これも非常におかしな話でございますが、大阪社会保険事務局でAさんという方がいらっしゃる。このAさんという方は、社会保険庁の職員であられる方で、平成十七年三月三十一日定年退職されました、医療職、医師でございます。この職員の奥様が、いろいろ支払いをめぐって問題があるという指摘を受けまして調査いたしましたら、この一ページ目の調査報告書が出てきましたけれども、これはどこが問題ですか。

○村瀬政府参考人
苦情の申し立てを、これは大阪社会保険事務局並びに奈良の社会保険事務所に対しまして、御本人からあったわけでございます。時効によりまして徴収権が消滅しました期間に保険料をお納めいただくというのは、法律上、納付できないことになっておりますので、そういう点で法律に反する事務処理だというふうに考えております。

○長妻委員
これは、うがった見方をすると、職員であると、奥様が未納だと。普通の人は、二年より以前はさかのぼれないわけですね。ところが、書類にもありますけれども、強い抗議をしたと、この職員OBの方が。職員の方ですね。強い抗議をすると、いとも簡単に、さかのぼれる時効は二年前までのはずなのに、その前もさかのぼれてしまう。こんなコンピューター処理、ばんばんできるんですか。

非常に身内に甘いというか、普通の厚生年金や国民年金の方で、未納があって、例えば、二十五年ルールというのがありますけれども、延べ二十五年払っていないと、年金の受給資格がない上、保険料も没収される。では、そういう方が、いや、あと一年足りないからさかのぼって払わせてくれと言っても、ノーですよ。もちろん払えない。しかし、こういうコネがある方は、しかも住所地は奈良ですよ。大阪がこういうふうに便宜を図るというのはあり得るんですか、一般的に。

○村瀬政府参考人
大阪の事務局から奈良へ連絡をとって手続をとっていただいた、こういう形で確認をしております。したがいまして、本来はこの権限はすべて奈良の事務所長が持っているわけでございまして、その部分について、奈良の事務所長が大阪から確認したことによってそれを認めたということは、極めて遺憾な行為だろうというふうに思っております。

○長妻委員
懲戒処分ですか、これは。

○村瀬政府参考人
処分裁定につきましては、全体のものを見た上で決めさせていただきたいというふうに思っております。

○長妻委員
何らかの処分は出るということですね。

○村瀬政府参考人
当然、処分は出るというふうにお約束します。

○長妻委員
この方は、十九カ月不正に納入した、不正に社会保険庁が受け取ったということですけれども、十九カ月多く納入したことによって、この方は幾ら給付金額がふえましたか。

○村瀬政府参考人
現段階、まだそこの細かなデータを確認しておりませんので、後ほど御回答申し上げたいと思います。失礼しました、納付済み期間が十九カ月ふえることによりまして、年金額が約三万八百円増加するということでございます。

○長妻委員
これは年間だと思いますけれども。基本的に、これは氷山の一角だと私は思うんですよ。いろいろな御指摘で、職員とか職員のOB、職員の関係者は、強く言えばさかのぼれるんだ、こういう驚くべき内部告発をいただいています、本当かどうかわかりませんけれども。ですから、これも念のために全国調査をするとお約束ください。

○村瀬政府参考人 はい、おっしゃるように、私自身もこういう事務処理が行われていることはびっくりしている次第でございまして、しっかり調査をさせていただきます。

この時は事件が明らかになったばかりということで、類似案件の件数など詳細は明らかとなっていません。注目すべきは村瀬社会保険庁長官(当時)の『法律に反する事務処理だというふうに考えております。』『当然、処分は出るというふうにお約束します。』という言葉です。果たして3年後、その約束は守られたのでしょうか?

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2009年05月

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