社会保険庁は、2008年7月4日(金曜)の年金業務・社会保険庁監視等委員会において、国民年金の消えた年金記録(領収証がある一方で国に年金記録が存在しないもの)の2007年12月時点での件数が2480件にのぼることを明らかにしました。
2006年(平成18年)8月から12月の累計『55件』で大騒ぎになった正真正銘消えた年金記録ですが、2480件はその45倍にもなります。公表されたのが北海道洞爺湖サミット直前の週末ということで注目度は低いのですが・・・。
2480件の多くは昭和40年代後半
当該消えた年金記録2480件の訂正にかかる期間で多いのは昭和40年代後半です。ちょうど団塊の世代(昭和22年~24年生まれ)が20代半ば前後・・・就職、結婚、引越しなど人生のイベントも多く、もともと年金記録にミスが起こりえる時期・・・そのあたりも影響していると思われます。
また、訂正月数は1ヶ月から102ヶ月(8年半…年金約17万円に相当)となっています。
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65歳から受給できる国民年金(老齢基礎年金)は、40年間保険料を支払った場合に定額で約80万円の年金額となります。
全国一律同額の保険料で年金額も同じですが、長生きすればするほど年金受給額が多くなるという公的年金の性格上、統計的には長生きの人たちの生涯年金受給額は(統計上の平均値の比較において)短命の人たちと比較すると年金の生涯受給額は多くくなります。(相対的な比較)
男女都道府県別でみた平均寿命の最長と最短
厚生労働省の「平成17年都道府県別生命表の概況」(以下同)において全国平均男女の平均寿命(0歳児の平均余命)の比較をすると、女性(85.75歳)は男性(79.89歳)よりも5.86歳も平均寿命が長くなっています。
これは、女性のほうが男性よりも5.86年分長く年金を受取れることを意味しており、国民年金(老齢基礎年金)の満額(40年保険料納付)を80万円(以下同じ)とすると、女性と男性とでは約468万(単純な掛合わせ)の国民年金生涯受給額の差となります。
そして、平均寿命を都道府県別にみてみると、男女それぞれの最大差は、男性の場合1位の長野県(79.84歳)と47位の青森県(76.27歳)との差が3.57歳(国民年金約285万円分)、女性の場合は1位の沖縄県(86.88歳)と47位の青森県(84.80歳)との差が2.08歳(国民年金約166万円分)となっています。
これを、女性の1位沖縄県(86.88歳)と男性の47位青森県(76.27歳)で比べてみると、その差は10.61歳となり、国民年金でいえば約848万円(10.61×80万円)もの差となるわけです。
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「ねんきん特別便」の確認はがきを返信しても督促ハガキが来る??
日刊ゲンダイ2008年7月15日号によれば、日刊ゲンダイ記者が3月中に「ねんきん特別便」の(確認はがきの)返信をしたにもかかわらず、「現在までにご回答をいただいておりません」という6月19日付けの督促ハガキが届いたとのことです。これはいったい・・・?
ねんきん特別便の督促ハガキ送付のワケとは?
督促ハガキを送られた記者は、不安になって「ねんきん特別便専用ダイヤル」に電話をします(つながりにくい状態のため3日に分けてようやく通話)
そして、督促ハガキの番号と名前を告げると、「届いています」との返事。督促ハガキは4月に作成しているので行き違いがあったかもしれないとの答えでした。
その後記者は真相を聞くために、社会保険庁の年金保険課、企画課とたらい回しをされた挙句元の「ねんきん特別便専用ダイヤル」の社会保険業務センターへ電話。
「督促ハガキを出す前に確認すれば、郵送代や印刷代が節約できたのでは?(原文まま)」との問いに対して「おっしゃる通り、こういう行き違いはないほうがいい。ただ、6月は年1回の年金受給者へ通知書を送る月に当たり、業務が多忙を極めていたこともあります。(原文まま)」
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『認定率1位の新潟県72.7%~認定率50位の福井県9.4%…格差7倍超』
2008年(平成20年)7月17日。
消えた年金記録の審査・調査を行なう総務省「第三者委員会(年金記録確認第三者委員会)」が、受付を開始してから丸1年が経過しました。
総務省の調べでは、2007年7月の審査開始から2008年3月末までの判定結果5,016件の集計で、全国各県に1つずつある地方第三者委員会(北海道のみ4つ)50箇所の認定率に大きな開きがあることが明らかになりました。
総務省の分析では、
『「会社からの給与明細を保管していた」など、本人に有利な材料がある申し立てが多かった地方委ほど、認定率が高かった。逆に「亡くなった親が保険料を払い、自分は関与していなかった」など、あいまいな申し立てが多い地方委の認定率は低い傾向が見られたという。(読売新聞2008年7月18日)』
とのことですが、一方で北関東のある地方委員は、
『審査には、資料集めを担当する事務室職員の先入観や、委員の主観がかなり入る。(同じく読売新聞2008年7月18日)』
と証言するように、少なからず個人のパーソナリティも影響しているように思われます。
ここでは、県ごとに最大7倍もの大きな差が生じたという点に着目し、あくまで認定率格差が生じている可能性の一つとして「県民性との関係」を探ってみたいと思います。
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