「老後資金なので株や投資信託は怖いけれど、長期定期預金なら確かだろう。」・・・実はそこにも落とし穴があります。
最近では5年間10年間というように長期間でお金を預けるものもあり、途中で金利のアップが予定されたものも多く見かけますが、そこには私たち金融の素人には何のことか分かりにくい「満期繰上特約」や「期間延長特約」といったものが付いている場合があります。
「満期繰上特約付定期預金」や「期間延長特約付定期預金」というコトバの語感から、単純に『特約』なので私たちに有利なものなのかな?と思いきや・・・実はこれは私たちに不利なしくみだったのです。
資産を堅実に守っていかなければならない年金生活者の方や、退職金が入り、これからまとまったお金を運用しようとする方は特に要注意だと思います。
「満期繰上特約」も「期間延長特約」も同じ
満期8年の定期預金で「4年の満期繰上特約付」
もしくは、
満期4年の定期預金で「8年の期間延長特約付」
この2つの商品設計は同じです。
前者は、一応8年で満期になる定期預金ですが、金融機関の判断により、満期を4年に繰り上げることができるというもの。
後者は、一応満期は4年ですが、同じく金融機関の判断により、満期を8年に延長することができるというものです。
続きを読む 長期定期預金の「満期繰上特約」「期間延長特約」
「タンス預金」
100円ショップの存在が象徴的なデフレの時、去年よりも今年、今年よりも来年と年々モノの値段が安くなりましたので、老後資金を「タンス預金」で眠らせていても問題ありませんでした。(去年の100円が今年の101円の価値に、そして来年は102円の価値になっているというイメージ)
しかし、物の値段が上がりインフレになると、タンスに入れたままのお金は、何もしなくても相対的に価値が低くなってしまいます。(去年の100円が今年は99円の価値に、そして来年は98円の価値になるというイメージ)
原油など原材料やモノの値段は上がり、食糧も世界的な獲得競争により値段が上がる・・・元々長期的に見れば物価は上昇するもの(物価上昇率の推移)ですが、このような状況を考えると、今後インフレ率が急激に上昇しても何ら不思議ではありません。これはタンス預金を取り崩しながら細々と暮らす年金生活者にとってはつらいところです。
そこで注目したいのが、
「10年物個人向け国債(個人向け国債変動10年)」です。
続きを読む 老後のインフレリスクに強い「10年物個人向け国債」
2000年から2006年までの日本の物価(全国消費者物価指数)の推移を見てみると、おおむねマイナスの数字が並んでいます。
(物価上昇率の推移)
しかし、2000年を100とした時の2006年の総合指数(消費者物価指数のうち物価全体の動きを総合した指数)を見た時に、100よりも下回っている国は、日本(98.1)と香港(95.3)だけで、あとはすべて100を超えています。
続きを読む 2000年-2006年 世界の物価上昇ランキング
もともと年金制度の誕生期には、被保険者ばかりで受給権者はおりません。(老齢年金についてのみの話。以下同じ。)
厚生年金は途中何度か適用の拡大を行い、そのつど順調に被保険者(支え手)の数を増やしてきましたが、時間的なもらい手の自然増のほか、少子高齢化、経済状況等の要因による働き口そのものの減少、および厚生年金に加入しない働き方の増加などにより『年金制度の成熟化』は進み、少ない支え手で年金受給権者を支えていくという、年金財政としてはとても厳しい状況へと進んできております。
ここでは厚生年金のもらい手「老齢年金の受給権者数」と支え手「厚生年金の被保険者数」の比率の推移を見ていきます。
続きを読む 厚生年金「もらい手」と「支え手」の比率推移
社会保険庁は、年金記録の訂正にて本人のものと特定できる年金記録が新たに判明し、かえって『減額』となるような場合には、これを減額訂正しないとの方針を固めました。(2008年5月~:日経新聞5月8日号より)
年金減額の場合は年金記録『修正なし』へ
年金の記録漏れについて社会保険事務所等で年金記録の確認を行ない、本人の新たな年金記録が見つかった場合には通常自分の年金額は増えることになります。
しかし、漏れていた部分が何十年も前のもので、安い給料を元に計算した保険料の納付期間であった場合等一定の場合においては、年金額がかえって減額されてしまうこともありえるのです。(厚生年金支給漏れがみつかって年金額が下がる人もいる?)
続きを読む 年金記録訂正で『減額』でも受給額減らさぬ方針へ
昭和36(1961)年度から始まった国民年金制度は、昭和61(1986)年度から全国民共通の基礎年金となり、「被保険者(支え手)」と「受給権者(もらい手)」の内訳は大きく変わることになりました。
昭和60年度までの国民年金「もらい手」と「支え手」の比率推移
昭和36(1961)年度から昭和60(1985)年度までの国民年金は、厚生年金や共済年金とは別の独立した制度として存在していました。
自営業者等は強制加入、被用者年金(厚生年金・共済年金)の被扶養配偶者(一般に専業主婦)は国民年金に任意加入ということで、国民年金制度発足当時の被保険者数は、強制加入・任意加入合わせて1824万人、基礎年金創設前の昭和60年度末は2509万人でした。
また、老齢年金は原則25年の受給資格期間が必要ですが、制度発足当時一定の年齢に達していた人は年齢に応じて資格期間を10年~24年ということにしたため、はじめて受給権者が発生するのは昭和46(1971)年度からとなり、その後順次受給権者数が増大していきました。
年度 | 被保険者数 (1) | 老齢年金受給権者数 (2) | (2)/(1) | (1)/(2) |
昭和36(1961)年度 | 1,824万人 | - | - | - |
昭和37(1962)年度 | 1,853万人 | - | - | - |
昭和38(1963)年度 | 1,883万人 | - | - | - |
昭和39(1964)年度 | 1,932万人 | - | - | - |
昭和40(1965)年度 | 2,002万人 | - | - | - |
昭和41(1966)年度 | 2,100万人 | - | - | - |
昭和42(1967)年度 | 2,173万人 | - | - | - |
昭和43(1968)年度 | 2,231万人 | - | - | - |
昭和44(1969)年度 | 2,341万人 | - | - | - |
昭和45(1970)年度 | 2,434万人 | - | - | - |
昭和46(1971)年度 | 2,367万人 | 22.9万人 | 1.0% | 103.1 |
昭和47(1972)年度 | 2,441万人 | 51.8万人 | 2.1% | 47.1 |
昭和48(1973)年度 | 2,514万人 | 78.9万人 | 3.1% | 31.8 |
昭和49(1974)年度 | 2,522万人 | 138万人 | 5.5% | 18.2 |
昭和50(1975)年度 | 2,588万人 | 273万人 | 10.6% | 9.5 |
昭和51(1976)年度 | 2,647万人 | 340万人 | 12.8% | 7.8 |
昭和52(1977)年度 | 2,720万人 | 392万人 | 14.4% | 6.9 |
昭和53(1978)年度 | 2,780万人 | 443万人 | 15.9% | 6.3 |
昭和54(1979)年度 | 2,785万人 | 491万人 | 17.6% | 5.7 |
昭和55(1980)年度 | 2,760万人 | 532万人 | 19.3% | 5.2 |
昭和56(1981)年度 | 2,711万人 | 567万人 | 20.9% | 4.8 |
昭和57(1982)年度 | 2,646万人 | 599万人 | 22.7% | 4.4 |
昭和58(1983)年度 | 2,573万人 | 631万人 | 24.5% | 4.1 |
昭和59(1984)年度 | 2,534万人 | 657万人 | 25.9% | 3.9 |
昭和60(1985)年度 | 2,509万人 | 685万人 | 27.3% | 3.7 |
※平成16年財政再計算表2-2-13、および厚生労働省年金局年金財政ホームページ「国民年金被保険者数の推移」より、千人単位の人数を四捨五入して万人単位としたものです。
昭和55(1980)年度以降、働き手のサラリーマン化が進んだことから国民年金の被保険者数はじりじり低下。そして昭和60(1985)年度末には国民年金の老齢年金受給権者数/被保険者数は27.3%に上昇。このことは「国民年金の財政維持のため厚生年金・共済年金と一緒になった」という基礎年金創設時の一面を表しています。
続きを読む 国民年金「もらい手」と「支え手」の比率推移
注1:義務化は見直されました。
注2:2011年2月1日から「クローバーのマーク」になりました。
注3:70歳以上、努力義務となりました。
後期高齢者医療制度に対する「名称が悪い」「年齢で線引きするのか」という不満渦巻く中、2008年6月からは、75歳以上のドライバーが運転する際に車に表示する『もみじマーク(高齢運転者標識)』が表示義務化となりました。(6月1日から施行の改正道路交通法による)
続きを読む 車の運転「75歳以上」もみじマークが義務化(罰則あり)