社会保険庁は、年金記録の訂正にて本人のものと特定できる年金記録が新たに判明し、かえって『減額』となるような場合には、これを減額訂正しないとの方針を固めました。(2008年5月~:日経新聞5月8日号より)
年金減額の場合は年金記録『修正なし』へ
年金の記録漏れについて社会保険事務所等で年金記録の確認を行ない、本人の新たな年金記録が見つかった場合には通常自分の年金額は増えることになります。
しかし、漏れていた部分が何十年も前のもので、安い給料を元に計算した保険料の納付期間であった場合等一定の場合においては、年金額がかえって減額されてしまうこともありえるのです。(厚生年金支給漏れがみつかって年金額が下がる人もいる?)
まちまちだった社会保険事務所窓口の対応
日経新聞の記事によれば、今までこのような『減額訂正』の場合には、社会保険事務所の職員によって厳格に減額訂正する場合とそうでない場合があり、対応がまちまちでした。
どちらも正しい自分の年金記録にもかかわらず、片方では受給額を減額されず、一方では減額されてしまう・・・
大目に見るにしろ厳格な適用をするにしろ、全国一律どちらかに統一してもらわなければ、私たちも安心して手続きをすることができません。
2008年5月から全国一律『減額修正なし』との扱い
「わざわざ年金記録の確認に出向いたのに減額になるのは合理性に欠く」との批判等もあり、2008年5月からは本人の年金記録が見つかった場合に減額修正を行なわないということになりました。
「年金記録どおりの給付」という法律どおりの運用ではなく、減額訂正の場合には黙認(年金記録を修正なしとして扱う)するということ・・・これが正しい対応かどうかという疑問は残るものの、少なくとも減額訂正されるべき人の年金受給額が減らされなくなるということで、(減額されるかもしれないという不安なく)安心して年金記録の確認ができるようになったことはプラスです。
ただ、
- すでに年金記録の確認を終えて減額訂正された人の扱いは?
- 本来少ない年金受給額となるべき一部の人が、支給漏れという「ラッキー(結果的に)」によって多い年金額を受け取ることへの一般の人の理解は?
- 今回のことで、「今後は年金記録を厳格に管理・運用する」という消えた年金騒動以降の私たちへの暗黙の約束に対して、あいまいな運用を正式に認めることの影響は?
疑問点や懸念も残ります。
年金記録訂正で額減の場合「受給額、減らさず」・社保庁
社会保険庁は本人のものと特定できる年金記録が新たに判明した年金受給者が訂正手続きをする際に、受給額が減らないようにする方針を固めた。受給者に不利な記録訂正となる場合には「修正なし」として扱う。5月から実施するよう全国の社会保険事務所に指示を出した。窓口ではこれまで職員によって減額したりしなかったりと対応がばらばらだったが、受給者の立場で基準を統一し批判を回避する。 漏れていた年金記録が見つかり、未納や未加入とされていた期間が足されると年金額は通常増える。しかし納付額が少ない期間の記録が足されると、受給額の算定基準となる平均標準報酬月額が下がってしまい、受給額も減る場合がある。 |
注:上記のように運用面で減額せぬようにする方針が公表されていましたが、実際に減額されている事例があるとのことで注意が必要です。(2009年6月13日TBSサタズバにて。)