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厚生年金 記事一覧

腰砕け?パート労働者の厚生年金適用

パート労働者への厚生年金適用拡大について、4月13日に閣議決定されましたが、新たな基準での厚生年金適用者の増加はわずか10万人台になる模様です。

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2010年共済年金廃止、厚生年金へ一元化

公務員や私学教職員の年金である共済年金が、2010年度に廃止になり、厚生年金へ一元化されることになりました。(4月13日政府閣議決定)

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「パート厚生年金適用拡大」企業の声は?

72.7%の企業がパート厚生年金適用拡大に反対(アンケートの数字と理由の出所:日本商工会議所の「パート労働者への厚生年金適用拡大に関する緊急アンケート」)

パートの厚生年金適用が拡大すれば、当然ながら企業の保険料負担は大きくなります。今現在の給与に加えて単純に負担が増えるだけ。しかし、パート労働者にとっては不安定になりがちな将来の安定に向けて利益面が大きいです。

パート労働者の少ない給与の中で、保険料負担が増えるのは…という声もあるかもしれませんが、厚生年金は半分が会社負担ですし、給与によっては国民年金の保険料よりも少ない負担で国民年金プラスアルファの年金がもらえるようになります。

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保険給付の制限とは?(厚生年金)

国民年金と同じく厚生年金でも年金の給付制限の規定があります。なお、国民年金は「給付の制限」で、厚生年金は「保険給付の制限」です。

全面的な制限(故意の保険事故)

  1. 被保険者又は被保険者であつた者が、故意に、障害又はその直接の原因となつた事故を生ぜしめたときは、当該障害を支給事由とする障害厚生年金又は障害手当金は、支給しない。(厚生年金法第73条)
  2. 遺族厚生年金は次のものには支給されない。●被保険者又は被保険者であつた者を故意に死亡させた者には、支給しない。●被保険者又は被保険者であつた者の死亡前に、その者の死亡によつて遺族厚生年金の受給権者となるべき者を故意に死亡させた者についても、同様とする。●遺族厚生年金の受給権は、受給権者が他の受給権者を故意に死亡させたときは、消滅する。(厚生年金法第76条)

※解説・・・1は全部又は一部ではなく、一切支給しない。2は親族を死亡させて遺族厚生年金をもらおうとするようなケース。また、遺族厚生年金を独り占めしようとするようなケース。

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厚生年金と税金(公課の禁止とは)

厚生年金の保険給付では、国民年金と同様に支給事由に老齢、障害、遺族があります。「老齢」の年金給付である老齢厚生年金と脱退手当金は所得税法では雑所得とみなされ、課税対象となります。

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厚生年金の受給権(受給権の保護とは)

厚生年金の保険給付を受ける権利は、原則的に他人に譲り渡したり、担保に供したり、差し押さえたりすることができないことになっています。

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厚生年金が適用になる会社とは?

厚生年金は、会社(法人)であれば、社長1人でも加入しなければなりません。その他従業員5人以上の個人事業でも業種によっては厚生年金に加入なければなりません。

厚生年金の強制適用

「法人の会社は厚生年金に強制適用」ということは法律で決まっておりますが、現実には保険料負担を嫌って一部に未加入の会社が存在するなど、あいまいとなっていた部分です。しかし、これからは法律どおりに厚生年金の加入を促進させようとする動きが進み、厚生年金の強制加入事業所で未加入となっているところは当然に厚生年金に加入していくことになります。

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厚生年金の任意適用の認可と取り消し

厚生年金の任意適用事業所とは、法人でない個人事業の一定の要件を満たした事業所です。どういう条件で保険関係が成立し、または消滅するのかを見ていきます。

厚生年金の任意適用事業所とは?

  1. 常時5人未満の従業員を使用する適用業種を行う個人の事業所
  2. 常時従業員を使用する非適用業種を行う個人の事業所

1は、法人でないのなら、5人未満の個人事業はいずれも厚生年金加入は任意ということです。2は、労災や雇用保険では従業員5人以上は原則適用になるところですが、健康保険・厚生年金は人数によらずに任意です。

厚生年金の任意適用事業所の認可

【 要件(いずれも必要) 】

  1. 事業所に使用される者(適用除外の規定に該当する者を除く)の2分の1以上の同意を得ること
  2. 事業主の申請があること
  3. 社会保険庁長官の認可があること

1は、厚生年金の適用事業となった場合に、勤務形態等で厚生年金の被保険者となるべきものの2分の1以上の同意が必要ということです。なにしろ労働者側の保険料負担もあるわけですので。2は、一応事業主にも負担が生じるということで、厚生年金適用を決定する最終決定権を守っている形を取っています。

【 厚生年金任意適用の認可の効果 】

社会保険庁長官の認可のあった日から強制適用事業所と事実上変わらない事業所となるため、その事業所に使用される70歳未満のもので、厚生年金の適用要件に該当する人は被保険者となります。

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厚生年金に加入し、被保険者となる人とは?

1人会社の社長って、厚生年金に加入するの?パートはどれくらい働くと厚生年金に加入することになるの?外国人は厚生年金の被保険者になる?などなど厚生年金の加入、被保険者要件をまとめてみました。

【 1人会社の社長でも厚生年金の被保険者 】

法人の理事、取締役、代表社員および無限責任社員等法人の代表者または業務執行者であっても、法人から労務の対象として報酬を受けているものは、法人に使用されるものとして被保険者となります。

【 パートは4分の3要件で厚生年金加入 】

パートは所定労働時間および所定労働日数のおおむね4分の3以上で常用的使用関係になるのなら、一般社員と同じく厚生年金の適用となり、厚生年金の被保険者となります。「おおむね」となっていることから、ここの事情を勘案し、最終的な決定は保険者が行います。(事務的には社会保険事務所)

【 外国人は厚生年金適用? 】

日本人でも外国人でも、厚生年金の適用要件は変わりありません。また、厚生年金の適用を見る際に、性別や従事する業務の種類なども関係ありません。

【 大学4年で職務実習を受けている人の厚生年金は? 】

最高学年の在学者で、卒業後に就職する予定の会社(厚生年金の適用事業所)で職務実習を受けているものは、会社に勤務する他の厚生年金被保険者と同様の勤務形態である場合は被保険者となります。

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厚生年金の任意単独被保険者とは?

会社は厚生年金の適用ではないけれど、自分だけ厚生年金に入りたいという時に使える制度です。ただし、事業主の保険料負担が増えますし、現実的にはなかなか使えそうにありません。

厚生年金の任意単独被保険者?

国民年金にも年金制度に任意で加入する任意加入被保険者という制度があります。しかし、国民年金とは違い、厚生年金の場合には事業主の同意がなければ任意単独被保険者にはなれません。

何らかの事情で会社が厚生年金に入っていないわけですので、もともと会社が従業員を雇っても厚生年金に加入させる必要はありません。当然、厚生年金保険料の会社負担はありません。

しかし、厚生年金に任意加入させるとなると、厚生年金に加入させる人の分の保険料の半額が会社負担となりますので、任意加入には会社(事業主)の同意が条件となっています。

任意単独被保険者になる条件は、厚生年金の適用事業所以外の事業所に使用される70歳未満の者で、事業主の同意プラス社会保険庁長官の認可です。会社自体の厚生年金適用というわけではないので、任意加入するのは単独。だから「任意単独被保険者」です。

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70歳以上も厚生年金に入れる高齢任意加入被保険者

厚生年金は70歳未満の会社員、国民年金は任意加入で頑張っても70歳未満でさようなら。しかし、厚生年金については年金の受給資格期間の足りない人に限り、70歳以上でも年金の受給権獲得まで任意で厚生年金に入ることができるのです。

2つの高齢任意加入被保険者

70歳以上も任意で厚生年金に加入できる高齢任意加入被保険者は、会社自体が厚生年金の適用事業所かどうなのかによって、手続や保険料負担に差が生じます。

いつまで高齢任意加入被保険者になれるのか

70歳以降でも厚生年金に加入できる高齢任意加入被保険者は、老齢・退職を支給事由とする年金たる給付で、「政令で定める給付」の受給権を有しないものが、受給資格期間を満たすまで任意加入することができるとされています。政令で定める給付は次の通りです。

  • 老齢厚生年金
  • 老齢基礎年金
  • 退職共済年金
  • 旧国民年金法、旧厚生年金法、旧船員保険法等による老齢年金、通算老齢年金
  • 恩給法による退職を支給事由とする年金たる給付
  • 国会議員互助年金法による普通退職年金

老齢年金等の受給権者は、高齢任意加入被保険者になることはできませんが、遺族給付や障害給付の受給権者でも、高齢任意加入被保険者になることはできます。なお、受給資格期間とは、年金をもらえる最低限の条件である、原則25年の年金加入期間をいいます。

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第4種被保険者(旧厚生年金任意加入制度)

第4種被保険者は、昭和61年に廃止になった厚生年金の任意加入制度です。厚生年金の加入記録に「第4種被保険者」があって、「これは何だったかな?」となってしまった方のために取り上げてみました。

厚生年金第4種被保険者の概要

今の厚生年金の任意加入制度は任意単独被保険者、高齢任意加入被保険者の2つですが、共に事業所で働いている人が対象です。しかし、昭和61年に廃止になった第4種被保険者は、会社等を辞めた後も厚生年金の被保険者となり続けられる制度です。

旧厚生年金保険法では、厚生年金の老齢年金の受給資格期間は原則として「厚生年金保険の被保険者期間が20年以上」でした。当時はまだ厚生年金は厚生年金として、国民年金は国民年金として別々の制度であった時代の話です。ですから、10年以上厚生年金の被保険者期間を有するものは、退職等で被保険者でなくなったときに、老齢年金の受給資格を満たすまでの間、第4種被保険者として任意で厚生年金に加入できたのです。

要件は、退職等で厚生年金の被保険者でなくなった場合に、被保険者の資格を喪失してから6月以内に社会保険庁長官に申出ることです。期間は厚生年金保険の被保険者期間が20年になるまでですが、中高齢の特例により、生年月日により男子40歳以降、女子35歳以降に15年~19年の被保険者期間を満たした場合にはそれまでの期間第4種被保険者となることができます。

昭和61年の年金改正で、国民年金も厚生年金も共済年金もすべて基礎部分が合体したために、必要なくなった制度ですが、ある程度年齢が上の人や、この第4種被保険者に期待を掛けていた人たちに対して、いきなり廃止というと支障がありますので、昭和61年以降もある一定の要件に会う人だけはこの第4種被保険者になり続けることができることとしました。

特に加給年金は、厚生年金に20年間加入しているか、中高齢の特例の厚生年金加入期間を満たすかをすれば支給されますから、期待権の保護とでもいうべき経過措置ということができるでしょう。

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厚生年金の適用除外者とは?

厚生年金の適用除外者とはどういう人たちでしょうか?厚生年金の適用される会社においても厚生年金の被保険者から除外されるケースをみてみます。

厚生年金の適用除外と法12条

厚生年金の適用除外というと、「パートの4分の3要件」が頭に浮かびます。すなわち、通常勤務の従業員に比べて週あたりの労働日数、労働時間が4分の3未満ならば厚生年金の適用から外れるというものです。

しかし、その規定は法律で決まっているわけではなく、昭和55年6月6日、各.都道府県保険課(部)長宛の内かんが今も運用されているものなのです。

ここではその違いを少し触れたところで、厚生年金法12条に記されている厚生年金の適用除外の方を取り上げたいと思います。

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厚生年金被保険者の種別とは?

今は現役の人にこのような分類はありませんが、かつて厚生年金の任意継続被保険者は第4種被保険者、坑内員・船員は第3種被保険者というような分類をしておりました。今は昔の話しながらも、自分の年金を正しくもらうためには知っておいても損はありません。

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厚生年金と厚生年金基金の期間の計算

厚生年金の被保険者期間の計算方法と、厚生年金基金の加入員期間の計算方法は、同月得喪の部分で扱いが異なります。

厚生年金と厚生年金基金の同月得喪の違い

同一の月に、厚生年金の被保険者の資格を取得、喪失した場合は、その月は厚生年金の被保険者であった月とみなされます。

ところが厚生年金基金の加入員の期間計算では、同一の月に加入員資格の取得及び喪失があった場合は、加入員の資格を取得した日にさかのぼって、加入員でなかったものとみなされます。

厚生年金は1ヶ月とみなし、厚生年金基金はさかのぼってなかったものとなるわけです。

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厚生年金保険料の督促、滞納処分、延滞金の流れ

厚生年金の保険料を納めない場合の知識として、条文を追って督促、滞納処分、延滞金の流れを追っていきます。普通の人には、あまり関係のないところです。

督促(厚生年金法86条より)

厚生年金保険料その他徴収金を滞納するものがあるときは、社会保険庁長官は、期限を指定して、これを督促しなければならないとされています。

  1. 督促をしようとするときは、社会保険庁長官は、納付義務者に対して、督促状を発する。
  2. 督促状は、納付義務者が、健康保険法第11条の規定によって督促を受けるものであるときは、同法同条の規定による督促状に併記して、発することができる。
  3. 督促状により指定する期限は、督促状を発する日から起算して10日以上を経過した日でなければならない。ただし、保険料の繰上徴収事由のいずれかに該当する場合は、この限りではない。

1は、社会保険庁長官の名前で督促するということです。3の繰上徴収とは、次の事由に該当したときは、国が納期前であっても保険料を徴収できるというものです。

  1. 納付義務者が1.国税・地方税その他の公課の滞納によって、滞納処分を受けるとき。2.強制執行を受けるとき。3.破産の宣告を受けたとき。4.企業担保権の実行手続の開始があったとき。5.競売の開始があったとき。
  2. 法人たる納付義務者が、解散をした場合。
  3. 被保険者の使用される事業所が、廃止された場合。
  4. 被保険者の使用される船舶について船舶所有者の変更があった場合、またはその船舶が滅失し、沈没し、若しくはまったく運航に耐えなくなるに至った場合。

つまりは、厚生年金保険料の取りっぱぐれが起きそうな事由ばかりですね。

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厚生年金の計算で使う平均標準報酬月額とは?

厚生年金の年金額を計算する時に使用する「平均標準報酬額」と「平均標準報酬月額」ですが、とくに算出がややこしいのが平均標準報酬月額の方です。これは、国が自動的に計算してくれるものなので気にしなければ問題ないのですが、賃金水準も物価水準も違う過去の給料を、どうやって計算しているのか、気になりませんか?

関連:標準報酬月額とは?

「平均標準報酬月額」の計算ルール

厚生年金の年金額を計算する時に、計算の元となるのは勤務実績に応じた給与と厚生年金加入期間です。それを時代ごとの記録を抽出して、一定の計算で現在の価格に評価しなおし、それをさらに平均して「平均標準報酬月額(平成15年3月までの厚生年金期間)」と「平均標準報酬額(平成15年4月からの厚生年金期間)」を算出します。

そして、厚生年金の年金額を出すにはさらに所定の数式で計算して、ようやく厚生年金の年金額が正しく算出されるのです。このようにつらつらと計算の流れを書いておりますが、ここでお話しする平均標準報酬月額ひとつとっても、手作業で計算するとなると本当に大変な作業となります。ですので普通は機械ではじき出された数字をそのまま信用して、最終的な計算だけ社会保険事務所の窓口で説明を受けたり、または、我々がお客様に説明したりするのです。

しかし、お客様の中には、「平均標準報酬月額の計算のどこかでごまかしがあるのではないか?」と思う方もおりまして、私も実際に電卓をたたきながら平均標準報酬月額を計算したことがあります。

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厚生年金支給漏れがみつかって年金額が下がる人もいる?

年金記録訂正で『減額』でも受給額減らさぬ方針へ
本人の年金記録が特定できて、かえって年金受給額が減額されるようなケースにおいては「修正なし」とする運用に改められました。(日経新聞報道2008年5月~)

年金の支給漏れ対策は全体的に見れば歓迎すべきことなのですが、厚生年金の支給漏れが見つかったばっかりに、もらえる年金額が少なくなる人も出てくるのです。どういうことかと言いますと・・・

厚生年金支給漏れが見つかって年金額が下がるケース

国民年金の支給漏れが見つかった場合は何も問題はないのですが、厚生年金の支給漏れが見つかった場合には、人によっては、「加給年金」「振替加算」が支給されなくなる恐れがあるのです。

加給年金については、年金に関する雑誌等で度々取り上げられているのでご存知の方も多いかと思いますが、典型的なケースでは夫が厚生年金に20年以上勤めていて、妻が専業主婦の場合に、夫の年金に加給年金(40万円)が支給され、妻が65歳になると加給年金は消えて妻の振替加算として老齢基礎年金の上にくっつく形となります。(振替加算は生年月日により金額が異なります)

参考:弊所加給年金のページ

妻の厚生年金が20年を超えると

例えば加給年金の制度を知っていて、自らの年金記録を正確に把握し、自らの意思で厚生年金の被保険者期間を20年未満に抑えている人は、支給漏れ年金という話は出てこないかと思います。

しかし、支給漏れ年金の調査が実行され、それまで見落としていた(支給漏れで厚生年金期間とカウントされていなかった)厚生年金期間が加算され、妻の厚生年金期間が20年を超えてしまうと加給年金も振替加算もストップしてしまいます。そして、何より懸念されるのは、その受給していたお金の行方です。

問題になりそうです

通常ならば、受け取る権利のない年金を誤って受給していた場合、そのお金は国に返還しなければなりません。しかし、年金の支給漏れの問題との絡みで言えば、非常に複雑です。

自分の知らぬ間に年金の支給漏れが生じていて、「年金の支給漏れが見つかったので加給年金(振替加算)の分年金額が下がります。しかも、今まで受け取っていた分はさかのぼって返して」そんな風に言われて果たして納得できるでしょうか。

または、年金を少しでも取り戻そうと、自ら頑張って支給漏れを発見したところ、年金額ダウン。該当する人はそう多くはないとは思いますが、とは言っても年金のしくみ上ありえる話ですので、これからそういう話も出てくることと思います。

※2008年1月9日の産経新聞に、宙に浮いた年金が統合されることによる年金額ダウンのケースについて、これを受け入れなければいけないのかどうかということに関する記事が掲載されておりましたので一部引用させて頂きます。

『この件について、各地の社会保険事務所の対応が統一されていないのも問題になりそうだ。年金減額を説明された女性は「額が減ると聞いて、『それなら訂正しないで』と言ったら、『記録漏れが分かった以上、元に戻すことはできない』と言われた」と話す。一方、社会保険庁は「本人の了解や納得が得られなければ、無理に記録訂正はできない」として、記録をそのままにすることを否定していない。(原文まま)』

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その昔、女性の厚生年金は55歳からの支給でした

旧法の厚生年金では、男性60歳、女性55歳が年金受給開始年齢でした。これから年金をもらう人には関係ないと思いきや、支給漏れ年金が見つかり時効撤廃が成立した時は、関係ないとも言い切れません。

時効撤廃で過去の厚生年金規則が注目に

これを書いている平成19年6月時点では、支給漏れ年金の時効は撤廃されていませんし、いろいろな取扱がどうなるかわかりませんが、場合によっては経過措置と共に無くなっていった厚生年金の規定が生きてくるかもしれません。

例えば年金漏れが見つかり、さかのぼって一時金をもらう時に、何歳から年金が出ていたか、漏れの部分はその前か後か、といったことが計算上関係するようになってくると思われます。知っていないと見逃される恐れが高いだけに、特に年配の方は、過去の年金のルールを知っておくことにはメリットがあるものと思います。

昭和61年4月前の女性の厚生年金

昭和61年4月前の厚生年金、いわゆる旧法の厚生年金ですが、女性の年金支給開始年齢は55歳でした。(男性は昭和29年の改正で60歳引き上げは済んでいます)

そして、昭和61年4月以後の新法の厚生年金からは60歳にするということが決まりました。女性の厚生年金支給開始年齢は、経過措置をもって、生年月日ごとに60歳引き上げが実施されたのです。

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厚生年金受給は65歳までは1年以上、65歳からは1月以上

わずかしか会社員・OLをやっていなかった人は、要件を満たせば60歳からちょっとだけ厚生年金が支給されます。ただし、65歳までの厚生年金(特別支給の老齢厚生年金と言います)は、1年以上厚生年金の加入期間がなければ支給されません。

すずめの涙の厚生年金

60歳になると、年齢的には厚生年金が支給されます。ただし、1年以上は厚生年金に加入していなければ、65歳まで年金はもらえません。11ヶ月でもダメです。12ヶ月以上厚生年金に入っている人だけが65歳まで厚生年金をもらえます。

しかし、今年金をもらう人は60歳からしばらくは報酬比例部分だけの年金の受給となりますので、1年の厚生年金期間しかない人ならば、年間で1万5千円、2万円、2万5千円といった、微々たる金額の年金受給となります。

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65歳までの厚生年金で優遇される人

男性なら昭和36年4月1日以前生まれ人、女性なら昭和41年4月1日以前生まれの人で、65歳までに厚生年金の受給資格ができた人は、一定の要件に合えば、定額部分・報酬比例部分のWで年金を受給することができます。

65歳までの厚生年金で優遇される人

65歳までの厚生年金は、現在経過的になくなる運命にあります。

最初は報酬比例部分の年金が支給され、途中からダブルの年金が支給される昭和16年4月2日~昭和24年4月1日以前生まれの男性(女性はすべて5年遅れ)。最初から最後まで報酬比例部分の年金しかもらえない昭和24年4月2日~昭和28年4月1日の男性。そして報酬比例部分の年金だけしかもらえないのに、それすら支給開始年齢が遅れていく28年4月2日~36年4月1日生まれの男性。

しかし、一定要件の障害者、厚生年金の長期加入者、元船員・坑内員の人などは、通常は報酬比例部分しか支給されない厚生年金の期間においても、定額部分も含めてダブルで受給することができるのです。

障害者の特例

前提は、65歳未満の老齢厚生年金の受給権者であることです。(原則25年の年金加入期間、短縮措置も使用可)

その上で、次のいずれにも該当するものは、生年月日に応じ、60歳ないしは64歳に達した時から「特別支給の老齢厚生年金(定額部分・報酬比例部分両方)」の支給を請求することができるのです。

  1. 昭和16年4月1日(女性は昭和21年4月2日)以後生まれ
  2. 厚生年金保険の被保険者ではない
  3. 傷病により障害等級に該当する程度の障害状態にある(傷病が治らない場合にあっては、その傷病にかかる初診日から起算して1年6ヶ月を経過した日以後において、その傷病により障害状態にある)

1は、これ以前に生まれた人はもとより定額部分も含めたダブルでの厚生年金を60歳から支給できますので特例は必要のない人たちです。2は、働けない状態を想定していますので、会社員など厚生年金の被保険者であるときは、この特例は使えません。ただ、あくまで厚生年金の被保険者でなければいい訳で、厚生年金の適用のない事業所で働くことや、請負やパートなどで働くなど、厚生年金の適用のない働き方であれば特例を使えます。3は、厚生年金の障害等級の1~3級です。カッコ内は、事後重症のことで、厚生年金の加入期間等にあるケガ・病気に起因して障害となる場合です。

※注意…この障害者の特例は「請求」が要件です。これによって定額部分と報酬比例部分がパックで支給されるようになります。なお年金額の改定は、請求があった月の翌月からとなります。

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厚生年金が順調に増えなくなる分岐点(定額部分の限度)

厚生年金(老齢厚生年金)は、加入すればするだけ増えるものです。しかし、厚生年金の定額部分の計算には生年月日に応じて一定の限度が決められていますので、厚生年金の長期加入者は少し注意しておいた方がよいかもしれません。

厚生年金定額部分の限度

65歳未満の厚生年金には定額部分である1階部分(国民年金の老齢基礎年金に相当)と、報酬比例部分の2階部分があります。定額部分は働いた期間のみによって年金額が決定し、報酬比例部分は働いた期間に加えて、その他人それぞれの報酬額の多寡によって年金額にも影響してきます。

そして、この定額部分の方は、生年月日によって次のように被保険者期間の上限が定められているのです。(平成17年4月1日施行)

  • 昭和4年4月1日以前生まれ=420月
  • 昭和4年4月2日~昭和9年4月1日生まれ=432月
  • 昭和9年4月2日~昭和19年4月1日生まれ=444月
  • 昭和19年4月2日~昭和20年4月1日生まれ=456月
  • 昭和20年4月2日~昭和21年4月1日生まれ=468月
  • 昭和21年4月2日以後生まれ=480月

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厚生年金定額部分(1階部分)の計算の1,676円とは?

65歳未満の老齢厚生年金の年金額の計算において、定額部分(1階部分)で出てくる1,676円とはどういう数字なのか、ご存知ですか?

厚生年金定額部分の計算式

65歳未満の老齢厚生年金の定額部分の計算は、次の式に則って計算されます。

厚生年金の定額部分=1,676円×被保険者期間の月数×物価スライド率

つまり、定額部分に関しては現役時代の報酬額は関係なく、厚生年金の加入期間の長さだけによって年金額が決まります。多少の誤差はありますが、65歳以降の1階部分、老齢基礎年金と同様の考え方です。

1,676円の秘密

計算の途中で出てくる1,676円とはどういうものか。
これは、厚生年金の加入期間1ヶ月あたりの、老齢厚生年金(定額部分)の年金額の増加分に相当しますが、その数字のヒントは、老齢基礎年金の満額の金額から紐解くことができます。

【平成19年度の物価スライド数値0.985】

この0.985は、平成15年度から平成19年度の前年物価下落率合計値です。(-0.9%,-0.3%,0%,-0.3%, 0.3%※合計すると-1.2となりますが、過去の物価特例措置との絡みで-1.5%となります)

1,676円×被保険者期間の月数×物価スライド率
=1,676円×被保険者期間の月数×0.985
ここで、老齢基礎年金が40年で満額になるので、
被保険者期間に40年(480月)を入れてみると、
=1,676円×480×0.985=804,480円×0.985≒792,400円

ほぼ平成19年度の老齢基礎年金の満額(792,100円)と同じ金額です。つまり、1,676円という数字が、ほぼ老齢基礎年金の1ヶ月単価と同じだということです。若干厚生年金の単価のほうが高いので、その分は65歳以降に「経過的加算」として厚生年金の方で加算されます。

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老齢厚生年金・雇用保険の支給調整と事後清算

老齢厚生年金をもらえる人が、雇用保険の基本手当を受給した場合、たとえ1日でもその月は老齢厚生年金が支給停止になります。すると、同じ日数分の基本手当ての受給でも、厚生年金の支給停止月数が異なるという不合理が起きますが、それを修正するのが事後清算です。

事後清算の概略説明

例えばAさんとBさん。3月に退社して4月から雇用保険の基本手当を受給を開始しましたが、Aさんは毎月30日分の基本手当てを2ヶ月受け取り、Bさんは毎月15日分の基本手当てを受け取っていたとします。

Bさんの場合、日数ベースで考えると30日=1ヶ月分しか基本手当てをもらっていませんが、支給停止はAさんと同じ2ヶ月…不合理。

そこで、事後清算により支給停止2ヶ月から実質支給1か月分を差し引いて、あとから1か月分の年金支給停止を解除という流れになるのです。

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遺族厚生年金

遺族基礎年金とは違い、子供であることや、子供のある妻に限定していない遺族厚生年金の受給要件。そういう点ではいずれ受給する可能性が高く、どうしたらもらえるのか?ということは知っておいたほうがよいかもしれません。

遺族厚生年金の支給要件

遺族厚生年金の支給要件は、大きく分けると亡くなった方がどういう方かということと、遺族がどのような立場に人かということに分けられます。

亡くなった人の要件

遺族厚生年金の支給要件は、短期要件と長期要件とに分けられます。前者のイメージは、厚生年金に加入して間もない方の死亡、後者はその逆に年金をもらえるくらい長く厚生年金に加入していた方の死亡です。短期要件か長期要件かによって、年金額の計算は異なるものとなります。

【 短期要件 】

  1. 厚生年金の被保険者が死亡した時(現役)
  2. 厚生年金の被保険者であった者が、被保険者の資格喪失後に被保険者であった間に初診日がある傷病により、その初診日から起算して5年を経過する日前に死亡した時
  3. 障害等級1級または2級の障害厚生年金の受給権者が死亡したとき

【 長期要件 】

  1. 老齢厚生年金の受給権者または、受給資格期間を満たしている者が死亡した時

※老齢厚生年金の受給資格があるということは、イコール老齢基礎年金の受給要件を満たしているということになりますので、保険料納付済期間と合算対象期間を合わせて原則25年以上(短縮特例あり)あるということになります。

短期要件1と2の場合の保険料納付要件

短期要件で遺族厚生年金を受給する場合には、一定の期間保険料の未納がないことなど、保険料の納付に関して一定の条件が決められております。(保険料納付要件と言います)

【 保険料納付要件の原則 】

死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間があるときは、当該被保険者期間にかかる保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の3分の2以上を満たしていること。

【 保険料納付要件の特例 】

死亡日が平成28年3月31日以前で遺族厚生年金を支給する場合は、死亡日の前日において死亡日の属する月の前々月までの1年間(死亡日に国民年金の被保険者でなかった者は、死亡日の属する月の前々月以前の直近の国民年金の被保険者期間にかかる月までの1年間)のうちに保険料納付済期間と保険料免除期間以外の国民年金の被保険者期間(つまり保険料滞納期間)がなければ保険料納付要件は満たされる。ただし、当該死亡に掛かるものが死亡日において65歳以上である時を除く。

遺族厚生年金を受け取れる遺族の範囲

遺族厚生年金を受けることができる遺族の範囲は、死亡した被保険者または被保険者であった者の死亡の当時、その者により「生計を維持」されていたもので、死亡したものの「配偶者、子、父母、孫、祖父母(兄弟姉妹は入りません)」で、妻以外には年齢等の条件があります。

生計を維持していたものとは、被保険者等の死亡の当時、その者と生計を同じくしていたものであって、年間850万円以上の収入を将来にわたって有すると認められる者以外のものを言います。

なお、妻は生計維持のみが要件で、16歳でも65歳でも80歳でも要件を満たします。(30歳未満の妻に対する遺族厚生年金は、5年間の有期給付)

遺族の年齢等の条件

【 妻 】

年齢要件なし。(30歳未満の妻に対する遺族厚生年金は、5年間の有期給付)障害要件不要。苗字が違っていてもOK。
事実上婚姻関係と同様の事情にある者(内縁関係にある者)も含む。

【 子・孫 】

死亡の当時、18歳に達する日以後の最後の3月31日までの間にあるか、または20歳未満で障害等級の1級若しくは2級に該当する障害の状態にあり、がつ、現に婚姻をしていないこと。

被保険者または被保険者であった者の死亡の当時、胎児であった子が出生した時は、将来に向かって、その子は被保険者または被保険者であった者の死亡の当時、そのものによって生計をいじしていた子供とみなされ、遺族の範囲に含まれる。

【 夫・父母・祖父母(義父母は入らず) 】

死亡の当時55歳以上であること。ただし、60歳になるまでは支給停止。
(今はあまり関係ありませんが、平成8年4月1日前に被保険者等が死亡していた場合には、障害等級1級または2級に該当する障害の状態にあること。)

遺族厚生年金を受給する遺族の順位

  1. 配偶者、子
  2. 父母
  3. 祖父母

【 妻と子が同順位の時 】

子に対する遺族厚生年金は、妻が遺族厚生年金の受給権を有する期間、支給停止されます。

例外として、妻が国民年金法による遺族基礎年金の受給権を有さず、子が当該遺族基礎年金の受給権を有する時は、妻に対する遺族厚生年金は支給停止され、子に遺族厚生年金が支給されます。

例えば、死亡した夫と妻が同居して暮らし、子は祖母と暮らしていたケースの場合、夫が亡くなると妻は「生計を同一にする子のない妻」となって遺族基礎年金の受給要件を満たしませんので、子供に遺族基礎年金が支給されます。そのような場合は遺族厚生年金も子供に支給されるということです。

【 夫と子が同順位の時 】

夫に対する遺族厚生年金は、子が遺族厚生年金の受給権を有する期間、支給停止されます。

【 最先順位の者だけが受給権者 】

上記同順位の場合は複数が受給権者となりますが、基本的に遺族厚生年金を実際に受給することができるのは最先順位者のみで、その受給権は転給(上位順位者の受給権が消滅し、下位の者に受給権が転がってくること。例えば労災がそのしくみです)することはありません。

遺族厚生年金を受け取ることができる遺族とならない場合とは、「父母ならば、配偶者と子」が、「孫ならば、配偶者と子、または父母」が、「祖父母ならば、配偶者と子、父母、または孫」がそれぞれ受給権を取得した場合です。

また、父母、孫、祖父母の有する遺族厚生年金の受給権は、被保険者または被保険者であった者の死亡の当時胎児であった子が出生した時は消滅します。

例えば、収入がかなり多く、亡くなった夫に生計維持されていないような妻が子供を産むケースで、父母に行っていた遺族厚生年金の受給権が、妻が子を産むことによって、子供が遺族厚生年金の受給権を有することになりますので、父母の受給権は消滅(失権)することになるのです。

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脱退手当金とは?(厚生年金)

かつて短期間で会社を辞める女性社員が、厚生年金の脱退手当金を受け取るケースが多かったのですが、今は少しの厚生年金加入期間でも年金に反映されますので、脱退手当金は必要なくなりました。脱退手当金をもらった昭和61年4月までの分は、合算対象期間に反映されます。

脱退手当金と合算対象期間

脱退手当金を受け取った部分にかかる厚生年金の被保険者期間、昭和36年4月1日~昭和61年3月31日までの分は合算対象期間となります。

年金をもらうために必要な受給資格期間の25年(原則)に、脱退手当金の対象となった厚生年金の加入期間が算入されますので、「無年金」を防止するにはこの脱退手当金の対象となった期間が一役買うことになります。(ただし年金額には反映されず。)

廃止された脱退手当金

脱退手当金は、昭和60年改正によって廃止されました。
ただし、昭和16年4月1日以前に生まれた者には支給するということになりました。なぜならこの方々は昭和61年4月1日(昭和60年改正法施行日)に45歳以上で、このときから厚生年金の加入期間である65歳(当時)までは20年未満のため、若い世代に比べて厚生年金加入期間が掛け捨てになってしまう可能性が高かったからです。

昭和16年4月1日以前に生まれの人たちは、その後の状況次第で脱退手当金の道を残すことで、掛け捨て防止の道も残したということになります。

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この3点だけ知っておきたい離婚と年金分割

離婚による年金分割。「これだけは知っておきたい」というポイント3点をご説明いたします。ひょっとしたら、離婚の時期を考え直さなければいけなくなるかもしれません。

(1)離婚の年金分割で、遺族年金の権利はなくなります。

「遺族年金は、子どもがいたり年齢の要件があったり、どうせ私には関係ない」
そんなことはありません。国民年金の遺族基礎年金は受給要件が厳しいのですが、遺族厚生年金は妻が受給対象でしたら、妻の要件は生計維持だけで足ります。

60歳の妻でも、70歳の妻でも、80歳の妻でも、子どもがいなくても、遺族厚生年金の対象になります。年金額にして、夫の厚生年金の報酬比例部分の3/4。そこに65歳未満ならば一定の要件のもと中高齢の寡婦加算(年間約60万円)、65歳を過ぎても経過的寡婦加算として一定額が減額された年金を受け取ることができます。しかも、一生涯。(再婚等をしたら失権)

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熟年結婚は早く、熟年離婚は遅く(加給年金と振替加算)

年金の制度上、熟年結婚するのなら、夫になる予定の人の年金(定額部分)が出る前にするのが得。熟年離婚をするのなら、自分自身に振替加算がつく65歳以降が得になります。

熟年結婚は早目がお得

1回目の結婚でも2回目の結婚でも構いませんが、夫となる結婚予定の方(以後夫とします)の年金次第で、あなたの年金にも影響が出てきます。

というのは加給年金と振替加算の話なのですが、簡単に言えば、夫に対して1階部分に年金が出るときに、妻が65歳未満であれば、夫の年金に40万円もの加給年金が支給されます。そして、妻が65歳になると、今度は加給年金の支給が終わり、妻に対して振替加算が支給されるようになります。

なお、夫の1階部分に年金が出るときに妻が65歳以上のときには、加給年金は支給されませんが、いきなり妻に振替加算が支給されるようになります。

そしてポイントは、夫の1階部分の年金が支給される直前に結婚しても大丈夫だということです。

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死亡間際の入籍でも遺族厚生年金は支給される?

遺族厚生年金の妻に対する支給要件は比較的ハードルが低く、妻の要件としては基本的に生計維持されていれば支給されます。それでは、夫70歳、妻40歳、入籍数ヶ月の妻にも遺族厚生年金は支給される?

たとえ遺族厚生年金目当でも

例えば…男性70歳、パート勤めの女性40歳。お互い独身で趣味サークルで知り合いました。男性は余命半年を告げられています。女性は男性に対して知人以上の感情はありませんでしたが、ふと良からぬことを考え始めました。

「いま入籍したら、遺族厚生年金が私のものに・・・」

女性は年金のことをよく勉強していていたのです。
男性と一緒にいる時間を長くして、次第に男性も自分に良くしてくれる女性に惹かれ始めました。

そして数ヶ月。ついに一緒に暮らし始め、少しでもいいから夫婦として暮らそうと入籍することになりました。そして1ヵ月後、男性は亡くなりました。

女性にとってはまさに予定通り。今後再婚等をしない限り、一生涯遺族厚生年金を受け取ることができるのです。

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中高齢寡婦加算35歳→40歳は、1,500万円の年金カット

今年平成19年(2007年)4月から、厚生年金の中高齢寡婦加算対象年齢が35歳から40歳に引き上げられました。小さな改正と思いきや、金額にすると、とてもインパクトのある改正であることがわかります。

中高齢寡婦加算は1年約60万円の年金

中高齢寡婦加算をごくごく簡単に説明しますと、遺族厚生年金を受け取れる妻に遺族基礎年金の対象となる子供がない場合に、遺族厚生年金に加えて年間約60万円の年金(中高齢寡婦加算)が加算されるというものです。

中高齢寡婦加算は40歳から65歳まで

ここが法律で変わったところですが、従来は35歳になっていれば一応中高齢寡婦加算を受け取れる権利は得る事ができていました。(実際の支給は40歳から)

平成18年度の中高齢寡婦加算の金額は、594,200円(年間)ですから、へたをすると老後の老齢基礎年金くらい大きな金額です。それが、今回の法律改正で40歳からと改められました。

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加給年金の支給停止時期はいつ?(厚20年の話)

妻が厚生年金に原則20年以上加入していると、夫に支給される加給年金(年間約40万円)が支給されなくなります。それでは、支給停止になってしまうのはいつなのでしょうか?1.妻の厚生年金加入が20年(原則)になったとき?2.妻が60歳になったとき(年金の受給権を取得した時)?3.妻の年金に定額部分がついたとき?4.妻が65歳になったとき?

妻の年金受給権発生で、加給年金の支給停止です

答えは2番です。今後65歳未満の年金はなくなっていく運命にありますから、生年月日によっては61歳~64歳で、夫の加給年金が支給停止になります。

妻の厚生年金加入20年についても、中高齢の特例によって生年月日によって15年~19年の厚生年金加入で20年とみなされてしまいますので注意が必要です。(女性は35歳以降の厚生年金加入期間)

  • 昭和22年4月1日以前に生まれた者=15年
  • 昭和22年4月1日から昭和23年4月1日までの間に生まれた者=16年
  • 昭和23年4月1日から昭和24年4月1日までの間に生まれた者=17年
  • 昭和24年4月1日から昭和25年4月1日までの間に生まれた者=18年
  • 昭和25年4月1日から昭和26年4月1日までの間に生まれた者=19年

年金が下がる原因の一つ

妻に対する加給年金は、年間約40万ですから月に直すと3万円程度になります。妻が年金をもらい始め、夫の年金が下がった時は、まずこれを原因と一つとして考えてみてください。

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60歳~厚生年金カットなしで高年齢雇用継続給付受給

60歳で定年退職、そして再雇用。給料がガクンと落ちた人には、雇用保険から給付金が支給されます(高年齢雇用継続給付=支給要件あり)。しかも、やり方によっては在職老齢年金のしくみによる厚生年金のカットなしで継続給付が受けられるのです。

高年齢雇用継続給付の概要と厚生年金カット

高年齢雇用継続給付とは、60歳まで働いてきた人が、60歳以降に賃金が75%未満になってしまったときに雇用保険から給付金が支給されるというものです。給付金は、1回限りではなく、60歳から65歳未満において、毎月要件に合う月に、賃金の最大15%(61%未満に低下の場合)が支給されるものです。

例えば60歳の定年退職当時、月収40万円だった人が、再雇用後は20万円となった場合、61%以上の下落ですので20万円の15%、約3万円が雇用保険から毎月支給されます。

ただし、その時厚生年金ももらっている場合には、高年齢雇用継続給付の金額に応じて支給調整されることになっています。上記15%の給付金をもらったときにカット率が最大となり、標準報酬月額の6%の厚生年金がカットされることになります。15%よりも少ない給付金の時は、それに応じた少ない厚生年金カットとなるしくみです。(在職老齢年金とは別の話です)

年金カットされずに雇用保険の継続給付をもらう

結論から言えば、週20時間から30時間の間の時間で働くと、高年齢雇用継続給付をもらいつつ、60歳前半の厚生年金もそのまま受給できます。

まず厚生年金や健康保険ですが、そこで働く正社員の所定労働時間と労働日数の概ね4分の3以上で働く場合に被保険者となります。1ヶ月の所定労働日数が20日の会社であれば、週30時間以上かつ1ヶ月15日以上働く場合に被保険者となるわけです。

そして雇用保険ですが、こちらは週20時間以上働く人が被保険者とされます。

よって、週30時間未満の労働で厚生年金の被保険者から外れつつ、週20時間以上働いて雇用保険の被保険者に入っていれば、高年齢雇用継続給付の対象になりつつ在職老齢年金のしくみから外れ、しかも高年齢雇用継続給付による年金カットの支給調整も行われません。厚生年金の保険料も払う必要がなくなります。

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もらいすぎる配偶者加給年金

法改正により遺族年金の30歳未満有期年金化や、中高齢寡婦加算の年齢要件の引上げなど、厳しい改正が行われる反面、もらいすぎる年金支給も存在します。それは、配偶者加給年金の要件から生じるもらいすぎです。

配偶者加給年金の妻の3つの要件

配偶者加給年金は、夫が20年以上厚生年金に加入したときに、妻が次の3つの要件を満たした場合、年間約40万円が夫に支給されるものです。

  • 厚生年金加入20年未満
  • 65歳未満
  • 年収850万円未満

厚生年金19年、共済年金19年加入でも出る配偶者加給年金

明らかに元公務員の人に有利なしくみなのですが、厚生年金加入20年未満ということであれば、厚生年金19年数ヶ月、共済年金19年数ヶ月加入という条件でも配偶者加給年金は支給されます。

妻が60歳になり、合計39年分の年金をもらえるようになっても、妻が65歳になるまでは、なお40万円の配偶者加給年金が夫に支給されるのです。

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「特別支給の老齢厚生年金」裁定請求の添付書類等

1年以上の厚生年金加入期間と年金受給資格のある人は、60歳から65歳までの間、特別支給の老齢厚生年金を受給することができます。ここでは、特別支給の老齢厚生年金の裁定請求時の添付書類等を見てみます。

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厚生年金には最高何年間加入できるのか?

国民年金は20歳から60歳まで、最高でも40年の加入しかできませんが、厚生年金は20歳前であっても厚生年金適用で働く会社員であれば厚生年金に加入することができます。それでは、現行法上で最高だと何年間加入することが可能なのでしょうか?

厚生年金の加入期間の最高は54年

厚生年金に加入できる最も若い人たちは、義務教育が終わる中学卒業後の4月からとなりますので、おおむね16歳ということができます。

そして、平成14年4月からは、厚生年金の適用の最高年齢が70歳未満ということになりましたので、70歳から16歳を引くと、最高で54年ということになります。

なお、平成19年4月からは厚生年金加入の年齢制限はなくなりましたが、保険料の徴収は70歳までということで変わりはありません。

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老齢厚生年金の繰下げができない人とは?

平成19年4月から始まった老齢厚生年金の繰下げ支給ですが、一定の場合にはこの繰下げの仕組みを利用できないこともあるのです。具体的には老齢基礎年金の繰上受給を選択した一部の人、遺族基礎年金や遺族厚生年金の受給権者である人、障害厚生年金の受給権者である人です。

老齢厚生年金の繰下げができる基本的な考え

老齢厚生年金の繰下げは、65歳からもらえる老齢厚生年金を、受給を先延ばしすることで、その分年金額が増大するというものです。

つまり、繰下げを実現するには、年金をもらわないという一定の我慢が必要なのですが、先延ばしするべき老齢厚生年金を先に受給してしまったり、老齢厚生年金をもらわなくとも、他に十分な年金をもらえるので我慢する必要のない人には、繰下げが適用にならないわけです。(あくまで考え方として)

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厚生年金保険料と被保険者負担分の端数処理

2004年10月から厚生年金の保険料は段階的に0.354%ずつ引き上げられ、最終的には2017年9月以降18.3%で固定されます。そのため厚生年金保険料引き上げ経過中の14.996%や16.766%等、保険料額の結果にも1円未満の端数が出やすくなりました。ここでは、その厚生年金保険料の引き上げの推移と、「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」による被保険者負担分の1円未満の端数の処理について触れてみようと思います。

2017年までの厚生年金保険料の推移

厚生年金の保険料が13.58%(2004年9月まで)から2017年度の18.30%になるまでの推移は次のようになっています。(0.354%・・・皮肉にも毎年神輿【みこし:354】を担がされているといえます。)

  • 2004年(平成16年)9月まで=13.58%
  • 2004年(平成16年)10月から=13.934%
  • 2005年(平成17年)9月から=14.288%
  • 2006年(平成18年)9月から=14.642%
  • 2007年(平成19年)9月から=14.996%
  • 2008年(平成20年)9月から=15.35%
  • 2009年(平成21年)9月から=15.704%
  • 2010年(平成22年)9月から=16.058%
  • 2011年(平成23年)9月から=16.412%
  • 2012年(平成24年)9月から=16.766%
  • 2013年(平成25年)9月から=17.12%
  • 2014年(平成26年)9月から=17.474%
  • 2015年(平成27年)9月から=17.828%
  • 2016年(平成28年)9月から=18.182%
  • 2017年(平成29年)9月から=18.30%

これを被保険者と事業主(会社)が折半で負担するわけです。

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70歳以上の従業員に対する年金手続き

平成19年4月から、厚生年金の適用する会社で働く一定の70歳以上の従業員にも、65歳以降の人と同様の在職老齢年金のしくみが適用されるようになりました。これにより、健康保険は適用のまま、厚生年金は保険料は徴収しないものの、収入の多い人は在職老齢年金のしくみによって年金がカットされることになります。それと同時に、70歳以上の従業員を雇用する会社としては、対象者に対する一定の手続きが必要となりました。

70歳以上で年金手続きが必要となる対象者

今回の改正により、一定の70歳以上の従業員に掛かる年金の手続きが必要となりましたが、その対象者は次のすべてを満たした人とされています。

  • 生年月日が昭和12年4月2日以降であって、70歳以上である人。(すなわち平成19年4月1日時点において70歳以上の方は対象外。)
  • 会社が厚生年金の適用となっており、勤務日数および勤務時間がそれぞれ当該事業場で働く一般の従業員の概ね4分の3以上であること。(70歳未満であれば厚生年金の適用となる社員、役員のこと。)
  • 過去に厚生年金保険の被保険者期間がある人。(新たに入社した人が、過去の履歴において1月も厚生年金に加入したことがない人であれば、対象外。)

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国ばかりではない厚生年金の年金記録がない原因

過去に勤めていた厚生年金の年金記録がない場合、その原因は国のずさんな管理ばかりではありません。本人の勘違い、または会社側の手続きミス等も原因となっているケースがあります。

法律どおりとは限らない厚生年金の加入歴

厚生年金の加入記録を残すには、厚生年金の適用を受けて保険料を納めているということが必要です。「法律では確かに厚生年金の加入であるはずなので、厚生年金の年金記録がないのはおかしい」といっても、大前提の保険料を納めた実績がなければ、そもそも厚生年金に加入していなかったということになります。

会社自体が厚生年金に加入してなかった

本来厚生年金の加入義務のある会社なのに、厚生年金の加入手続きをしていなかった場合は、そこで正社員として働いていても厚生年金には加入となりません。もしくは、元々厚生年金の加入義務のない事業所で正社員として働く場合も同様です。

なお、それにも関わらず、給料から厚生年金保険料の従業員負担分が控除されていた場合の取り扱いについては、現在のところ救済されるということにはなっていません。(2007年10月現在:以降法改正等に注目するところ)

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厚生年金給与記録の不正な処理とは?

会社員が入る厚生年金は、個人の給料の額に応じて保険料が決まる形になっています。給料の約15%(平成19年9月~20年8月水準)を厚生年金の保険料として支払うのですが、負担は会社と会社員が半分ずつです。

月の給料が50万円ならば、厚生年金保険料は約75,000円。
その半分の約37,500円を会社が負担し、残り半分を会社員の給料から天引き。会社が会社負担分とあわせて国に保険料を納めます。もちろん厚生年金の保険料が高い人ほど、その分将来受け取る年金が高くなります。

しかし、会社員の給料から天引きされる厚生年金の保険料が、納められるはずの国ではなく不正に抜き取られていたとしたら・・・

入っているはずの厚生年金に加入していないことにされている。または、高額の給料で高い保険料が天引きされているのに、実際には安い給料で国に登録されている。会社員の見えないところでそのようなことが行なわれている可能性があるのです。

しかも、厚生年金給与記録の不正減額については、一部社会保険事務所の指導の下で行なわれていたということもあり・・・被害がどれだけになるのか想像もつきません。

厚生年金給与記録の不正減額と不正利得金額例

厚生年金の給与記録を正しく届け出た場合と、不正に減額して届け出た場合とでは、国に納める厚生年金保険料はどのくらいの違いになるのでしょうか。給与50万円を15万円に不正減額した場合を見てみます。(厚生年金保険料14.996%:平成19年9月~平成20年8月分)

【給与50万円における正規の厚生年金保険料負担】

  • 会社負担=37,490円
  • 会社員負担=37,490円

【給与15万円における正規の厚生年金保険料負担】

  • 会社負担=11,247円
  • 会社員負担=11,247円

【この場合の会社の不正利得と会社員の不利益】

  • 会社の不正利得金額・・・(会社負担として本来納めるべき37,490円 - 不正減額で国に納める11,247円) + (会社員から天引きしている37,490円 - 不正減額で国に納める11,247円)=52,486円
  • 会社員の不利益=37,490円 - 11,247円=差額26,243円・・・その保険料分の増えるはずの年金が増えなくなります。

関連:厚生年金に1ヶ月加入すると、将来いくらの年金になりますか?

会社は、本来ならばこの会社員一人に対して、厚生年金の保険料としてマイナス37,490円の負担をしなければならないところ、給与記録を不正に減額したために負担が減ってマイナス11,247円に。

なおかつ会社員は自分の知らぬところで給与記録の減額が行われ、会社はちゃっかりと高い給料の厚生年金保険料37,490円を徴収していますので、差額26,243円は会社の不正利得となります。

そこから会社が負担する11,247円を支払えば、14,996円が浮く・・・すなわち本来の負担37,490円どころかプラス14,996円になりますので、不正処理の前と後では52,486円も違いがでてくるわけです。

厚生年金被保険者記録不正のパターンは?

  • 1.厚生年金に加入なし。従業員も承知していて天引きが行なわれていないパターン。
  • 2.厚生年金に加入なし。従業員の給料から天引きだけは行なわれているパターン・・・例えば退職日を月末ではなく月末1日前にして、退職する月分の厚生年金保険料が発生しないにもかかわらず、最後の月分も余計に天引きするなど。
  • 3.厚生年金に加入。給与記録は不正に減額したにもかからわず、従業員からは元の給与の水準で厚生年金保険料を天引きするパターン

2のパターンの場合、年金記録(厚生年金被保険者記録)自体に穴が開きますので、比較的不正を見つけるのは容易かと思いますが、問題は3のパターンです。

3の場合は厚生年金保険料の納付実績があることから、そこに不正があるという事実はなかなかみつけられません。古い記録になれば1ヶ月の給料が1万円、2万円ということもあり、現段階からその当時もらっていた給料の水準をチェックすることは容易ではありません。

もっとも年金記録のチェックにおいて、給料(標準報酬月額)まで目を配らせる人はそう多くはないと思いますが。

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厚生年金基金名一覧(50音順)

厚生年金基金とは、公的年金(1階が国民年金、2階が厚生年金)の上乗せ部分である企業年金の一つ(私的年金)です。厚生年金基金のある会社で働いていた人は、知らず知らずのうちに加入していることもあるかもしれませんので、全国にある厚生年金基金の名前だけを50音順(あいうえお順)で記しておきたいと思います。

該当する名前が見つかった時には、それぞれ名前の後に「~厚生年金基金」と付けるなどして検索エンジン等で調べてみて下さい。例えば「全国社会保険労務士」ならば、「全国社会保険労務士厚生年金基金」という具合でネット検索してみますと、大抵はそれぞれの厚生年金基金のホームページへ行くことができます。

もし厚生年金基金について不明なことがある場合には、厚生年金基金の上部組織である『企業年金連合会(2005年9月までは厚生年金基金連合会という名称だった)』へ問い合わせることをお勧めいたします。

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厚生年金の「適用事業所数」「被保険者数」の推移

昭和17年(1942年)に厚生年金の前身となる「労働者年金保険法」が始まり、2年後の昭和19年(1944年)には「厚生年金保険法」と改称。工場や鉱山などで働く男子現業労働者だけを対象としていた適用範囲は拡大され、事務職や女子にも厚生年金が適用されることになりました。

その後も厚生年金は事業所の適用範囲の拡大や被保険者の対象年齢の変更などの改革を経て今日に至っているのですが、厚生年金の事業所数及び被保険者数は、どのような推移となっているのでしょうか。

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厚生年金「もらい手」と「支え手」の比率推移

もともと年金制度の誕生期には、被保険者ばかりで受給権者はおりません。(老齢年金についてのみの話。以下同じ。)

厚生年金は途中何度か適用の拡大を行い、そのつど順調に被保険者(支え手)の数を増やしてきましたが、時間的なもらい手の自然増のほか、少子高齢化、経済状況等の要因による働き口そのものの減少、および厚生年金に加入しない働き方の増加などにより『年金制度の成熟化』は進み、少ない支え手で年金受給権者を支えていくという、年金財政としてはとても厳しい状況へと進んできております。

ここでは厚生年金のもらい手「老齢年金の受給権者数」と支え手「厚生年金の被保険者数」の比率の推移を見ていきます。

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厚生年金の標準的見通しを現在の値でみると

平成19年11月21日の第6回社会保障審議会年金部会の資料4「厚生年金の標準的な年金額(夫婦2人の基礎年金額を含む)の見通し【生年度別、65歳時点】-暫定試算(厚生労働省サイトPDFファイル)」には、(生年月日ごとに)将来向かえる65歳時点の年金額と所得代替率が表に記されています。

前提は経済が好調な時期と不調な時期の2つの時期、そして出生率の高・中・低の計6通りに分けられ、表中の数字は年金をもらうのが将来になるほど年金額が大きくなるという結果になっています。これは、物価の上昇に伴う名目的な年金額の上昇ということで、生活水準という点で言えばカッコ内に記されている所得代替率の方が将来の年金のレベルを想像しやすいような気がします。

そこで、将来の見通しである所得代替率を、「将来」の現役世代の所得ではなく「現在」の所得で計算するとどうなるかをざっくり計算してみようと思います。

所得代替率

所得代替率とは、現役世代の人たちが賃金としてもらう給与・賞与の所得合計に対する年金額の割合のことを言います。

政府は、年金100年安心プランなどでは所得代替率が「50%」を超えることをアピールしていました。しかし、年金支給開始時点で50%を超える所得代替率であっても時間の経過と共に50%を下ることがあること、および現在の若い人は、将来の支給開始時点でさえも50%を上回らないことが濃厚であるために、若い人を中心に不満の声も聞かれます。

また、ここで言う年金が夫が40年間サラリーマンで平均所得を得て、その期間すべて妻がいる(専業主婦)としたときの『夫』の厚生年金+国民年金(基礎年金)+『妻』の国民年金(基礎年金)を合計したものだという、あまりにも理想的なケースを年金のモデルとしていることにも、若干の疑問が残ります。

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企業の年金負担と雇用への影響

  • 1位 「非正規雇用、請負形態等への切替」:62.1%
  • 2位 「賃金調整を行なう」:47.7%
  • 3位 「従業員の調整を行なう」:41.2%

これは、社会保険料負担が一定程度上昇した時に企業がどのような行動をとるかというものを示したものです。(経済産業省が2004年に行なったアンケート結果の一部(中堅・中小企業の回答)から)

現役世代が、比較的収入の少ない派遣社員やパートばかりになってしまえば、社会保険を支柱がぐらつき、将来無年金・低年金の人が増えれば生活保護など社会保障費が増大する可能性もあります。

しかし、厚生年金の保険料は2017年度には18.30%になることが決まっており(2004年9月までの13.58%と比較すると4.72%の引き上げ)、原油資源等コスト高・消費冷え込みなど企業をとりまく外部環境の悪化とあいまって、特に体力のない中小企業においては雇用環境がますます悪化することは必至です。

ここでは、経済産業省「企業活動と公的負担に関する緊急調査について(平成16年10月)」(PDFファイル)の中から中堅・中小企業のアンケート結果を抜粋し、社会保険料が企業に与える影響等をみていきます。

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図解:厚生年金の「消された年金」とは?

社会保険事務所職員の関与が指摘される厚生年金の「消された年金」とは、大きく分けて「1.標準報酬月額の引き下げ」「2.厚生年金加入期間の短縮」の2つに分けることができます。

第三者委員会(総務省年金記録確認第三者委員会)で認定されたケースの中から、2つのケースを見てみます。(2008年9月25日読売新聞夕刊参照)

(※標準報酬月額とは、厚生年金保険料を決める基準額のことで、実際の給料を1等級98,000円~30等級62万円までに分けられた仮定的な枠にあてはめて、一人一人の標準報酬月額が決定されます(2008年現在)。そして、厚生年金保険料は標準報酬月額に厚生年金の保険料率を掛けて決定されれます。)

1.標準報酬月額の引き下げによる「消された年金」

1つ目は過去に遡って標準報酬月額が引き下げられたケースです。

厚生年金の標準報酬月額が引き下げられた
ことによる消された年金

本来ならば、厚生年金の資格喪失の時点まで53万円の標準報酬月額だったところ、退職・会社の解散の後になり不自然な形で標準報酬月額が20万円に引き下げられています。

このような標準報酬月額の引き下げの場合、厚生年金に加入している事実には代わりがなく、被保険者本人が、生涯その事実に気がつかないままということも十分に考えられます。

2.厚生年金加入期間の短縮による「消された年金」

2つ目は、厚生年金の加入期間が短縮されたケースです。

厚生年金の加入期間短縮による消された年金

本来会社を退職するまで厚生年金に加入し続けるべきところ、会社を退職および会社の倒産の後になって、遡って資格を喪失(厚生年金を脱退)したことにされています。

この場合、厚生年金の加入期間そのものが減らされますので、被保険者本人の被害は上記1のケース以上のものとなります(期間が同じならば)。場合によってはこのせいで年金加入資格自体を満たせず、無年金となるおそれもあります。

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図解:厚生年金の「消された年金」その2

2008年(平成20年)10月3日、社会保険庁は厚生年金の標準報酬月額の大幅な引き下げ(5等級以上の引き下げ)が「75万件」あることを明らかにしました。

また、その他にも過去6ヶ月以上さかのぼって標準報酬月額を引き下げたものが「53万3千件」、標準報酬月額の引き下げの同日、または翌日に厚生年金の資格を喪失したものが「15万6千件」あり、厚生年金記録の改ざんが疑われる総件数は100万件を超える可能性が出てきました。

関連:図解:厚生年金の「消された年金」とは?

厚生年金の「消された年金」その2

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標準報酬月額の上限引き上げか(62万円→121万円?)

厚生労働省は2008年11月12日の社会保障審議会年金部会において、厚生年金の標準報酬月額の上限を見直し案を示しました。(朝日新聞2008年11月12日)

その概要は、現在の標準報酬月額の上限62万円を

  • その1・・・68万円(年収970万円相当)
  • その2・・・83万円(年収1300万円相当)
  • その3・・・121万円(年収1900万円相当)

にするというもの。

さらに、現状の厚生年金の仕組み通りの保険料に見合う年金給付をすれば年金支給額が膨らむことになるため、62万円を超えた部分については、その評価を半分にして支給を抑制するというのも案として示されました。

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若者単身の厚生年金 実質1倍以下(平成21年財政検証)

2009年5月26日、厚生労働省は「平成21年財政検証の試算結果」
を公表しました。

平成21年財政検証関連資料(1)
-年金制度における世代間の給付と負担の関係等-(PDF:4.80MB)

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/dl/s0526-6e.pdf

その8ページ「試算の詳細:世代ごとの保険料負担額と年金給付額」
には、厚生年金と国民年金のそれぞれの試算結果が掲載されており、
それを見ると若い世代ほど厳しい試算結果となっていることがわかります。
(ここでは、厚生年金に絞って話を進めていきます。)

新聞等でおなじみの厚生年金試算結果の表

まず、上記資料元より、新聞等でよく見られた下記表をご覧ください。
厚生年金のみの試算結果で、10歳ごとの掲載となっています。

2010年の年齢保険料負担額年金給付額年金給付額/保険料負担額(倍)
70歳
(1940年生まれ)
900万円5,600万円6.5倍
60歳
(1950年生まれ)
1,200万円4,700万円3.9倍
50歳
(1960年生まれ)
1,800万円5,100万円2.9倍
40歳
(1970年生まれ)
2,400万円5,900万円2.5倍
30歳
(1980年生まれ)
3,000万円7,000万円2.3倍
20歳
(1990年生まれ)
3,600万円8,300万円2.3倍
10歳
(2000年生まれ)
4,200万円9,700万円2.3倍
0歳
(2010年生まれ)
4,900万円11,200万円2.3倍
保険料負担額及び年金給付額については、65歳時点の価格に換算したもので、物価上昇率で平成21年度時点の現在価値で割り引いたもの。

さて、この表ですが、新聞等を読み込まずにパッと見た場合、一見すると平均的収入の会社員1人の厚生年金の収支が書かれたものと思ってしまうかもしれませんが、実は違います。

よく登場する『50.1%』という所得代替率の話と同じように、この表でも、いわゆる「モデル世帯」における厚生年金の負担額と給付額が示されているのです。次の表をご覧ください。

負担厚生年金保険料なし
給付1.夫の厚生年金(2階部分)
2.夫の国民年金(1階部分)
3.妻の国民年金(1階部分)
4.妻の遺族厚生年金
【計算の前提(上記資料元8ページ)】
(1)加入歴
同年齢夫婦で、夫は20歳から60歳まで厚生年金に加入し、(年齢別報酬月額は平成21年財政検証での標準報酬指数より算出。平均標準報酬月額42.9万円)) 妻はその間専業主婦(昭和61年度からは20歳以上ならば第3号被保険者、それ以前は国民年金に任意加入していない)。
(2)受給期間
男女各々60歳時点の平均余命(過去分は完全生命表、将来分は日本の将来推計人口(平成18年12月推計)における将来生命表の60歳時平均余命。 国民年金は平均余命の男女平均。)まで生存、厚生年金の場合、夫婦の老齢基礎年金、夫の死後妻が受給する遺族厚生年金も含めて計算。

『負担額』は夫1人分(厚生年金保険料)だけで、妻は第3号被保険者として国民年金保険料負担なし。

一方、『給付額』には夫と妻の2人分の基礎年金(国民年金)、夫自身の厚生年金(2階部分)、さらに夫が死亡した後、妻が受給する遺族厚生年金(※)までもが含まれているのです。

※日本人の平均寿命は、女性が男性よりも7歳くらい長生きであり、60歳時点の平均余命で見ても5歳くらいの開きがあることから、夫婦同い年のモデル世帯で見ると、妻がおよそ5年分の遺族厚生年金を受給することになるのです。

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分子にだけ含まれる所得代替率の『税金・社会保険料』

『所得代替率50%確保!』

平成16年財政再計算の時も、平成21年財政検証においても、政府は「所得代替率50%」(もらい始めた時点の年金)を年金給付水準の守るべきラインとして位置づけているのですが、そもそも所得代替率とは何を意味しているのでしょうか。

【所得代替率の計算式】

所得代替率 = 名目年金給付額
(税と社会保険料を差し引く前の給付額)
可処分所得
(税と社会保険料を差し引いた後の所得)

所得代替率は、現役世代の平均手取り収入(可処分所得)に対して、高齢者が受給できる年金額(名目年金給付額)の割合を示していますが、「税金・社会保険料」に注目してみると、分子(もらえる年金)にだけ自由に使うことの出来ない「税金・社会保険料」(=支払って手元から無くなるはずの「税金・社会保険料」)が含まれていることがわかります。

つまり、もし
『所得代替率=自由に使える年金/自由に使える現役収入』
というイメージを持っていたならば、税金と社会保険料の分を取り除いて考えなければ、実態を過大評価してしまうことにもなりかねないのです。

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