72.7%の企業がパート厚生年金適用拡大に反対(アンケートの数字と理由の出所:日本商工会議所の「パート労働者への厚生年金適用拡大に関する緊急アンケート」)
パートの厚生年金適用が拡大すれば、当然ながら企業の保険料負担は大きくなります。今現在の給与に加えて単純に負担が増えるだけ。しかし、パート労働者にとっては不安定になりがちな将来の安定に向けて利益面が大きいです。
パート労働者の少ない給与の中で、保険料負担が増えるのは…という声もあるかもしれませんが、厚生年金は半分が会社負担ですし、給与によっては国民年金の保険料よりも少ない負担で国民年金プラスアルファの年金がもらえるようになります。
給料の低い人ほどオトクな厚生年金
将来もらえる年金の中で、1階部分、つまり定額部分は現役時代の給与の多い少ないに関係なく期間だけを見て計算されます。現役時代月給100万円の人も、10万円の人も、同じ金額がもらえますので、1階部分と2階部分の合計で見た場合、年金は明らかに給与の低い人のほうがリターン率は高く、お得にできているのです。
つまり、パート労働者にとっては歓迎すべき制度改正になるもの・・・のはずでしたが、フタを開けたら一部のパート労働者だけしか適用にならずに、その他多数のパート労働者は現状のまま。結局企業側の反対の声が通った形ですが、企業としては、パート労働者が退社した後のためのことにまで面倒見きれないといったところでしょうか。もちろん経営自体の存続に関わる企業もあるとは思いますが、これだけ反対の数が多いと、根本的な従業員に対する考えが疑われてなりません。
「パート厚生年金適用拡大」企業の声
パート労働者厚生年金適用拡大の賛成72.7%、反対20.7%、その他6.7%のうち、賛成と反対の理由を見てみます。
まず、パート労働者厚生年金適用反対側の理由は、
「保険料や事務負担などの雇用コスト増加が企業経営を圧迫する」75.3%、「パート労働者の多様な働き方を阻害する」73.2%、「社会保障制度全体の見直しの中で慎重に検討すべき」45.4%
そして、パート労働者厚生年金適用賛成側の理由は、
「パート労働者の老後の生活の安定への配慮」60.7%、「多様な労働力の有効活用の観点からも必要」54.8%