国民年金増額対策その8「会社員になる」

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国民年金増額対策その8「会社員になる」

※注意:数字は平成16年当時のものです。
会社員になり厚生年金の被保険者になると、その保険料は会社と本人で半分ずつの負担となります。
※下記計算は平成16年10月からは毎年0.354%ずつUPした額で計算したものが正しい数字になります。
※国民年金も平成17年4月からは毎年280円ずつ負担が増えることになっています。(13,300円プラスα)

仮に20万円の給与なら13,58%が保険料なので、保険料は27,160円です。 その半分が本人負担なので一月13,580円の負担です。

保険料の金額だけ見て比較しても何もなりませんので、同時に給付の面も見る必要があります。 厚生年金の被保険者=国民年金第2号被保険者となり、この13,580円には国民年金の保険料も含まれています。

ただし本人が直接払っているわけではないのですが、その辺は飛ばして考えても差し支えないかと思います。 結果的にこの13,580円で将来は国民年金から老齢基礎年金が出て、厚生年金からは老齢厚生年金が出ますので同じことです。

極端な例ですが、分かり易くする為にこの人は20歳から60歳まで会社員をしていて月収はずっと20万円と仮定します。 今後厚生年金の保険料が上がることは決定していますが、とりあえず現行の保険料率をキープして計算しますとずっと13,580円の保険料負担で、 65歳からは毎月いくらの年金が出るかをみてみると。

国民年金からは毎月6万6千円が出ます。
厚生年金からは毎月約3万6千円が出ます。

さらにこの20歳から60歳まで妻の方を扶養していたならば、妻の方が第3号被保険者となり新たに保険料を負担することなく 妻の分として国民年金から毎月6万6千円が加算されます。 そして厚生年金に20年入っていたので妻との年齢差によっては加給年金+特別加算=計年額約40万円(月3万3千円)が妻が65歳になるまでもらえます。

つまり最高でもらえるケースですと毎月13,580円の負担で、 年金は自分がもらう92,000円+加給年金等33,000円+妻がもらう国民年金66,000円=191,000円になります。 自分ひとりでも92,000円です。

これが国民年金13,300円だけの加入ですと毎月66,000円で頭打ちです。 その他障害年金・遺族年金に関しても国民年金だけの給付と、国民年金+厚生年金を併せた給付とでは大きく違いがあります。 かなり厚生年金の方が手厚いのです。 以上が一般的な立場である折半負担を元にした考え方になります。

2.厚生年金はそれほど恵まれていないという考え方

厚生年金の保険料は会社と本人の折半と述べましたが、実は会社負担の分がなかったら給料が上がっていたはずだという考え方も存在します。

つまり先ほどの例ですと、20万円の給料で本人が27,160円の保険料を全額負担となれば会社が負担すべきであった13,580円は給料に反映されるという考え方です。 分かりにくいかもしれませんが、会社は負担する半分の保険料の原資をお給料を引くことで確保していると考えられるわけです。

なので形式的には折半負担でも、実際は本人の全額負担となんら変わらないという話なのです。 この考え方に立って先ほどのように計算するとどうなるか検証してみます。

毎月27,160円の負担で、独身の場合は年金額は毎月92,000円でした。 国民年金単独ですと毎月13,300円の負担で年金は毎月66,000円です。 両者の負担を均衡する為に、国民年金を27,160円の負担とするならば、 その給付は134,800円になります。 逆転してしまうことがわかりました。

次に先ほどのように妻が居るケースですとどうでしょう。 毎月27,160円の負担は変わらず、給付は加給年金等がなしで合計158,000円、加給年金等があるときで合計191,000円になり、再度逆転しました。

ここに一つの答えを導くことができます。 厚生年金では扶養する妻がいた場合、妻は保険料を一切負担せずに(夫の保険料が増えるわけではない)国民年金に加入できる為に、とても有利になるということです。

ちなみにそうした第3号の妻の分の保険料は厚生年金全体で負担していますので会社員である国民年金第2号の、 独身の男性、女性、既婚の男性、女性みんなで負担しているのです。 結局のところ後者の考え方に立てば会社員の独身男性、独身女性は既婚者に比べるとメリットは少ないということが言えると思います。

3.最後に国民年金基金で比較

上の例では年金の保険料負担対年金給付をみる為に、国民年金を約2倍して比較してみました。 ところが現実では国民年金は13,300円以上負担できないので非現実的です。 そこで国民年金に国民年金基金を積み立てた例と厚生年金との比較で見てみるとします。

平成16年度の東京都の国民年金基金を使い、国民年金と基金を併せて先ほどの厚生年金の人の保険料27,160円に近づけてみます。 すると国民年金は13,300円、基金は12,600円=合計1月25,900円。(死亡保障なし。終身年金。全部で3口。20歳加入とする) そして年金額は1月あたり国民年金の66,000円+基金の5万円=116,000円。 対する厚生年金は保険料27,160円。年金は月あたり92,000円(独身)でした。

結論

2つの考え方で検証してみましたが、やはり前者の考え方の方が大勢を占めていると思います。 できることなら2階建てで年金のもらえる厚生年金に加入した方が安心感はあるのではないでしょうか。 特に扶養する配偶者が居るときは断然有利です。 やはり第3号という制度は享受できる立場にある人にとってはあり難いものでしょう。

平成17年4月から救済措置として第3号の届け出忘れに対して、遡って認められるようになりました。

ただし平成17年4月から2年経過後は、2年以上前の第3号被保険者未届期間については、 やむを得ない理由がある場合のみ保険料納付済期間とすることができることになっています。