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社会保険事務所に行ってみましょう

今どき社会保険事務所初体験という方も少ないと思いますが、「根本的にお役所が嫌い」という方も少なくありません。そういう方のために、社会保険事務所で年金相談をする時の流れをご紹介いたします。(年金の支給漏れ、年金請求の場合)

社会保険事務所はどこでもOK

今はコンピュータで全国の社会保険事務所がつながっておりますので、住所の近くの社会保険事務所でも、その他の社会保険事務所でも、年金相談に応じてもらえます。普通はご自宅に近い社会保険事務所に出向きます。

最初に受付番号札を取ります

社会保険事務所で最初にすることは受付番号札を取ることです。銀行や郵便局においてある機械と同じようなもので、番号が書かれた紙を取って順番を待ちます。場所によって待ち時間の流れが違いますが、午前ならば10時前に行けば混む事は少ないように思います。

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年金の基礎年金番号とは?

年金の基礎年金番号とは、個人個人に付された年金の背番号のようなものです。一生で一つの番号が使われることになっています。

平成9年1月からの基礎年金番号

平成9年になる前は、加入する年金制度ごとに年金番号が付され、年金記録の管理が行われてきました。これを国民年金と厚生年金、船員保険、共済年金共通で使える一つの年金番号にした、その番号を基礎年金番号と言います。基礎年金番号は年金受給者となってからも引続き使用されるため、年金証書にも10桁の基礎年金番号が記されます。

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旧制度の年金を受給する人とは

年金が1階部分が基礎年金という今の形になったのは、昭和61年4月1日からです。その法改正の前に年金をもらっていた人は、旧制度の給付をもらい続けることになっています。

旧制度の給付をもらう人

昭和61年4月1日に60歳以上の人、つまり昭和15年4月1日以前に生まれた人は、旧制度の年金を受給することになっていますが、場合によってはその前から年金を受給している人たちもいます。

昭和61年3月31日以前に施行されていた旧厚生年金保険法の老齢年金、旧船員保険法の老齢年金、または共済組合が支給する退職年金(昭和61年4月1日に55歳に達しているもの)、もしくは減額退職年金(昭和61年4月1日に55歳に達しているもの)。この人たちは、旧国民年金法の老齢年金又は通算老齢年金を受けることになります。

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年金の保険料納付済期間とは?

「保険料納付済期間は保険料を払った期間でしょ」
もしかしたらそう思われるかもしれませんが、それでは保険料を払わない第3号被保険者は?半額免除の期間は?

年金の保険料納付済期間は、第1号被保険者期間と、第2号被保険者・第3号被保険者の期間を合算したものです。

第1号被保険者としての保険料納付済期間

第1号被保険者として、規定通り保険料を納付した期間はもちろんのこと、「督促及び滞納処分」の規定によって徴収された保険料も保険料納付済期間に含まれます。また、保険料「半額免除」などの規定により、国民年金保険料の一部を納付免除された期間のうち、納付すべき部分について納付した期間も保険料納付済期間とされます。半額免除が認められたからといって、決められた半額の部分が未納ならば、保険料納付済期間とはなりません。

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年金を担保にお金を借りるには?

原則的に年金を担保としてお金を借りることはできませんが、独立行政法人福祉医療機構または独立行政法人福祉医療機構の代理店の金融機関でならば、年金を担保にお金を借りることができるのです。

これは具体的には独立行政法人福祉医療機構の「年金担保貸付事業」を利用するもので、厚生年金保険、船員保険、国民年金の支払を受けているかたに、生業、住居、冠婚葬祭、医療などに必要な資金を融資しています。なお労災の年金給付に関しても同様ですが、労災の説明は省略します。

年金を担保に融資を受けられる対象

次に上げる証書を持つ人で、年金を受給している人たちです。

  1. 厚生年金保険年金証書
  2. 国民年金・厚生年金保険年金証書
  3. 船員保険年金証書・第二種特別支給金決定証書
  4. 国民年金証書
  5. 労働者災害補償保険年金証書

2については、厚生年金基金および厚生年金基金連合会から支払われるものは対象とならず、4については無拠出制の老齢福祉年金は対象となりません。

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年金の強制加入と任意加入

年金は支え合いということもあり、一定の要件に該当する人は強制的に加入させられるものです。国民年金の手続をしていないから自分は年金に入っていないというのは間違いで、一定の場合にのみ任意加入となるのです。

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年金の第2号被保険者とは?

年金の第2号被保険者とは、70歳未満の会社員やOL、私立学校の先生、公務員など、被用者年金各法の被保険者、組合員又は加入者をいいます。

65歳以上は第2号被保険者?

65歳以上で老齢年金の受給権を得ている人、つまり一般的には年金制度に25年以上加入している人は第2号被保険者とはなりません。ただし、厚生年金の加入年齢は70歳未満ですので、たとえば68歳の人は厚生年金の被保険者ではあるけれども年金制度の第2号被保険者はないということになります。

もし、65歳を過ぎても老齢厚生年金等の受給権が無い場合は、70歳まで第2号被保険者となります。この辺は、国民年金加入の人が、通常は65歳まで任意加入被保険者となれるところ、年金の受給権がない場合に70歳まで特例で任意加入被保険者となれるものと均衡をとっているのかもしれません。

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年金の第1号被保険者とは?

年金の第1号被保険者は、国民年金だけに加入している人たちです。要件に合う人たちは、強制的に第1号被保険者となります。

第1号被保険者になる人

日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の者であつて第2号被保険者及び第3号被保険者のいずれにも該当しない人が第1号被保険者になります。

※社会保険庁 平成17年、平成20年「国民年金被保険者実態調査」

属性女性の第1号被保険者男性の第1号被保険者
資料年平成17年平成20年平成17年平成20年
臨時・パート30.1%32.1%19.3%19.0%
常用雇用8.2%10.3%16.2%17.0%
自営業主7.8%6.7%28.3%27.0%
家族従事者13.6%12.9%7.1%7.1%
無職36.7%34.8%25.3%25.5%
不詳3.6%3.2%3.7%4.5%

年金の本などでは「自営業が第1号被保険者で、会社員が第2号被保険者で・・・」と書かれているのですが、近年では非正規雇用者数が増大しており、雇用されつつ第1号被保険者であるという人の数も少なくないのが現状です。

むしろ、景気の悪化は中小零細企業の開業減・倒産増を加速させ、大企業でも正社員の抑制を進めるものと考えられるため、雇用される第1号被保険者の人数は今後益々増えていくものと思われます。

※常用雇用でも、働いている事業所が厚生年金に加入していなければ、厚生年金の加入者(第2号被保険者)ではなく第1号被保険者となります。(厚生年金が適用になる会社とは?

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年金の第3号被保険者とは?

年金の第3号被保険者とは、第2号被保険者の配偶者で、第2号被保険者の収入によって生計を維持する20歳以上60歳未満の人です。「配偶者」なので専業主夫でも可ですが、99%が夫第2号被保険者、妻第3号被保険者といわれていますので、説明は専業主婦が第3号被保険者ということで決め打ちします。

第3号被保険者の要件

夫が第2号被保険者(会社員、公務員、私立学校の教師等)で、その夫によって生計を維持されている20歳以上60歳未満ということで、第2号被保険者のパートの妻はどうでしょうか。これは第3号被保険者になることはできません。

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年金の被保険者資格取得時期はいつ?

国民年金の第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者のそれぞれの資格取得時期は、次のようになっています。

第1号被保険者の資格取得時期

  1. 20歳に達した日(誕生日の前日)
  2. 日本国内に住所を有するに至った日
  3. 被用者年金各法にもとずく老齢給付等を受けることができるものでなくなった日

1は、4月1日生まれの人が20歳になったときは、3月31日に国民年金第1号被保険者の資格を取得します。2は海外に住んでいれば任意加入ですので、日本に住所を有するようになった時に第1号被保険者として国民年金に強制加入することになります。(第2号被保険者、第3号被保険者に該当するときを除く)3はあまり例はありませんが、国会議員互助年金法による普通退職年金が、60歳未満であれば死亡一時金外にも失権事由があるため、そのような時は任意加入から強制加入になります。

ちなみに、被用者とは雇われるもので、会社員や公務員を指しますので、被用者年金各法にもとずく老齢給付とは老齢厚生年金や退職共済年金を意味します。

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年金の被保険者資格喪失時期はいつ?

国民年金の第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者のそれぞれの資格喪失時期は、次のようになっています。

第1号被保険者の資格喪失時期

  1. 死亡した日の翌日
  2. 日本国内に住所を有しなくなった日の翌日(ただし、日本国内に住所を有しなくなった日にさらに第2号被保険者、または第3号被保険者に該当するに至った時はその日。)
  3. 60歳に達した日(誕生日の前日)
  4. 60歳までの間に厚生年金や共済年金等の老齢給付または退職年金等を受けることができる者となった日

2に関して、例えば日本国内に住む24歳の花嫁修業中の独身女性。海外に行って海外に住む商社マンに嫁いだ場合、国内にいる間は第1号被保険者です。ここで、婚姻せず単純に海外に在住することとなった場合は海外に移り住んだ日の「翌日」に国民年金第1号被保険者の資格を喪失します。しかし、海外に嫁いだのですから、海外に移住した「その日」に国民年金第1号被保険者の資格を喪失し、その日に国民年金第3号被保険者の資格を取得します。つまり、海外に移り住んだ日は第3号被保険者となるわけです。

4は、国民年金の第1号被保険者からは外れるけれど、任意加入したかったら国民年金に任意加入して任意加入被保険者になることもできます。つまり、「すでに年金をもらう資格を持っていて、厚生年金や共済年金等の年金がもらえるのならば、もう国民年金に強制加入させる必要はないね」ということです。

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年金の被保険者期間はいつからいつまで?

60歳になる人によく聞かれます。「年金は何月まで払えばいいの?」その答えは年金の被保険者期間の計算の仕方にあります。年金の計算で混乱するのは1日生まれの人たちです。

被保険者期間の計算は「月から前月」

年金の被保険者期間を計算する場合、月を単位とします。国民年金の人も、厚生年金の人も、共済年金の人も、被保険者の資格を取得した日の属する月から、その資格を喪失する日の属する月の前月まで、年金の被保険者期間とします。

たとえば4月1日生まれの人を例に見てみます。この人が被保険者の資格を取得するのはいつでしょうか?被保険者の資格を取得した日の属する月だから4月??

いえ、答えは3月に被保険者資格を取得します。法律では誕生日の前日に1歳年を取るということになっていますので、まず「被保険者の資格を取得した日」は3月31日になるのです。そして、その日の属する月ですから3月が正解になります。

ついで、被保険者の資格を喪失する月はいつでしょうか?「資格を喪失する日の属する月の前月まで」となっていますから、まず資格を喪失する日が3月31日というのはよいとして、その前月ですので2月ということになります。

つまり、4月1日生まれの人の年金の被保険者期間は、もしもずっと国民年金の第1号被保険者としたら20歳3月から60歳2月までということになります。ややこしいですね。

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年金の種別の変更とは?

国民年金加入者が第1号被保険者、厚生年金が第2号被保険者、専業主婦等が第3号被保険者といいますが、この1号、2号、3号を行ったり来たりすることが、年金では「種別の変更」といいます。

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第3号保険料問題と基礎年金拠出金

国民年金の第3号被保険者は保険料を払わくとも国民年金に加入できます。では、その保険料はどこから払われているのでしょうか?カギを握る基礎年金拠出金をご説明します。

自営業(国民年金)の夫の妻は国民年金の保険料を払い、会社員(厚生年金)の夫の妻は国民年金の保険料負担なし。これについて不公平の声もありますし、誤解も多いのが現実です。

国民年金の保険料負担のない会社員の妻は「夫の給料から私の分も払っている」とおっしゃる方もおりますが、果たして本当のところはどうなのでしょうか。答えは基礎年金拠出金の中にありました。なお、ここでは共済年金は省きますが、厚生年金とあるところは共済年金も同様と読み取ってください。

基礎年金拠出金とは?

厚生年金の親玉である政府は毎年度、給付(国民年金の基礎年金)に要する費用のうち第2号被保険者と第3号被保険者の負担分を基礎年金拠出金として負担・納付しています。つまり、年金の1階部分(基礎年金)を支給する費用に充てるため、被保険者個々人に対して「あなたはいくら」「キミはいくら」といように拠出するのではなく、厚生年金をひと塊としてドカッと現金を渡すわけです。誰に??国民年金にです。これもまた親玉は政府ですので、イメージとしては、政府A(国民年金部門)に対して政府B(厚生年金部門)が基礎年金拠出金という財源費用を払うイメージです。

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年金の端数処理はどうやるの?

年金の端数処理の方法は、時系列に3つに分けられます。1つ目が計算過程の端数処理、2つ目が年金額確定時点の端数処理、そして3つ目が毎支払期に支払う年金額の端数処理です。

年金の端数処理その1「計算過程の端数処理」

年金給付の額を計算する過程において、50銭未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、50銭以上1円未満の端数が生じたときは、これを1円に切り上げることができる。ただし、この規定を適用した場合と、しない場合で計算した年金給付の額に100円を超える差額が生じる場合はこの規定は適用されない。

つまり、計算過程では、1円未満は四捨五入ということです。たとえば厚生年金をもらえる人は次のように計算します。

まず、定額部分と報酬比例部分の計算をしたところ、次のような結果となったとします。

定額部分 712.382円44銭
報酬比例部分 1.342.378円62銭

そこで、両方共に四捨五入しますので、
定額部分が 712.382円
報酬比例部分 1.342.379円
とします。
そして合計 2.054.761円となります。
ここで、ひとまず次の端数処理の説明です。

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年金の支給期間はややこしい!月or翌月?

ややこしい年金の支払期間や支払い期月。年金の支給期間(支給停止期間も含む)は月の翌月から月までです。ちなみに被保険者期間は月から月の前月まで。保険料免除期間は月の前月から月までです。

年金の支給期間(開始)

「年金をもらえるのはいつからか?年金をもらえるとしになったけれど、何月からもらえるのか。」いざ年金をもらう時になると、最初の年金受給が楽しみになります。いったい年金の支給期間はいつからいつまでなのでしょうか。

国民年金法18条(厚生年金36条と同様)の条文を見てみますと、年金給付の支給は、これを支給すべき事由が生じた日の属する月の翌月から始め、権利が消滅した日の属する月で終わるものとする。と書いてあります。

つまり、月の翌月から月までということで、例えば国民年金の老齢基礎年金をもらえる人が65歳の誕生日が5月5日とすると、「5月の翌月」である6月から年金の支給が開始されます。そして、実際に年金を手にできるのは、8月15日(数日前後することもあり)ということになります。なぜなら年金は、偶数月の2月・4月・6月・8月・10月・12月の15日に支給されるのが原則で、それぞれ前2か月分が支払いの対象だからです。8月15日に振り込まれる年金は、6月と7月の分が対象ということです。

ただし・・・
これは、65歳までの年金(特別支給の老齢厚生年金)をもらっている人が、65歳前に裁定請求書(はがき)を出して65歳から国民年金(+65歳以降の厚生年金)をもらうときの話。

年金をもらうのが初めてという場合には、裁定請求(裁定請求書の受付は誕生日の前日以降可)に2~3ヶ月ほど時間が掛かるため、その分実際の支払い(振込)が遅れることになります。(初回の支払い月は奇数月になる場合もある。遅れた分もらえる年金額が少なくなるということはない。)

関連:65歳からの年金は何月からもらえる?

年金の支給期間(終了)

年金給付の支給は「月の翌月から月」までということですから、老齢年金の場合死亡した時に老齢基礎年金の受給権を喪失します。例えば80歳の8月5日に死亡してしまった場合は、8月分まで年金が支払われることになります。「本人が亡くなっているのに亡くなった月の分はどうなるの?」と思われるかもしれませんが、これは未支給の年金として、亡くなった人の遺族が受け取ることができます。

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年金支給月はどうなっているの?

年金支給は、年に6回偶数月です。年金支給月は毎年2月・4月・6月・8月・10月・12月で、前2月分が支払われますが、年金の請求が遅れた時や支給停止のときは、次のようになっています。

前支払期月に支払うべきであった年金は

65歳をとっくに過ぎているのに年金の請求をしていなかった時、または障害年金の最低請求の手続が遅れ、受給権は3月だったのに11月に裁定された場合などの時は、裁定後の直近の年金支払月を待たずに、裁定前に経過してしまっていた分の年金を裁定が済み次第支払われます。

例えば10月に裁定されたときは、本来ならば12月15日に現実の年金支払いが始まりますが、11月に経過分の年金が支給されることもあるということです。

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未支給年金とは?

年金の受給権者が死亡した時に出てくるのが「未支給年金」の話です。本来、死亡した人に支払われるはずだった年金は、一定の遺族が自分の名前で請求することができます。未支給年金を受給できるのは、次の人たちです。

未支給年金を請求できる遺族

たとえば老齢年金の受給権者の人が4月に亡くなった場合、4月まで老齢年金をもらう権利を持ちつつも、死亡してしまったためにその分の年金を受け取ることができません。そこで、死亡した受給権者に変わって、次の遺族が本来死亡者に支払われるはずであった未支給年金を、自分の名前で請求することができるのです。

  1. 配偶者
  2. 子供
  3. 父母
  4. 祖父母
  5. 兄弟姉妹

未支給年金と生計の同一

全員に共通する条件は、受給権者の死亡の当時、その者と生計を同じくしていたという事実が必要です。請求者と死亡者の世帯が異なるときは、未支給年金を請求する遺族が死亡者と生計を同じくしていたという証明を町内会長、事業主、家主などの第三者からとり、生計同一申立書を提出します。

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年齢だけで受給資格期間(25年)が短くなる人とは?

年金の受給資格期間は、通常25年が原則ですが、昭和5年4月1日以前に生まれた人の場合は必ずしも25年の受給資格期間がなくても年金がもらえます。

昭和5年4月1日以前生まれの特例

年金を受け取るには、最低条件として受給資格期間が25年なくてはなりません。受給資格期間は、保険料納付済期間、保険料免除期間、合算対象期間とを合計して計算しますが、昭和5年4月1日以前生まれの人たちは例外として、次の受給資格期間があれば、年金の受給資格を得ることができます。

  • 大正15年4月2日から昭和2年4月1日までの間に生まれた者=21年
  • 昭和2年4月2日から昭和3年4月1日までの間に生まれた者=22年
  • 昭和3年4月2日から昭和4年4月1日までの間に生まれた者=23年
  • 昭和4年4月2日から昭和5年4月1日までの間に生まれた者=24年

なぜ受給資格期間が25年でなくていいの?

原則25年の受給資格期間なのに、この生年月日の人だけが25年なくてもいいというのは、何も知らないと不公平に感じてしまいます。そこで、その訳をご説明しますと、この年代の人たちは、生まれた時にすでにある程度の年齢になっていた人たちなのです。

国民年金が誕生したのが昭和36年4月1日ですので、昭和5年4月1日以前生まれの人は、すでに31歳以上になっています。60歳まで29年しかありませんので、その中で25年の受給資格期間を満たすというのは困難という他ありません。

そこで、受給資格期間の特例をみてもわかるように、60歳まで残されている期間に5年の猶予を持たしたものを受給資格期間としたのです。

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厚生年金20年加入で年金受給の特例とは?

昭和31年4月1日以前にまれの人は、厚生年金や共済年金、またはその加入合計が20年~24年で、年金の受給資格を満たしたものとみなされます。(通常は25年の受給資格期間が必要です)

厚生年金など20年(~24年)に加算されるもの

  1. 厚生年金保険の被保険者期間(会社員)
  2. 共済年金の組合員期間(公務員)
  3. 私立学校教職員共済法の加入者期間

上記の期間または、それを合算した期間が、生年月日に応じて次の受給資格期間の特例の期間にあてはまれば、老齢年金を受給することができるようになります。

厚生年金等期間のみの受給資格の特例の期間

  • 昭和27年4月1日以前生まれ=20年
  • 昭和27年4月2日~昭和28年4月1日生まれ=21年
  • 昭和28年4月2日~昭和29年4月1日生まれ=22年
  • 昭和29年4月2日~昭和30年4月1日生まれ=23年
  • 昭和30年4月2日~昭和31年4月1日生まれ=24年

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厚生年金の中高齢の特例とは?

厚生年金の中高齢の特例とは、厚生年金に男性40歳以降、女性35歳以降に15年~19年加入していれば、それだけで年金の受給資格を満たすこととする特例です。

厚生年金中高齢の特例対象生年月日

  • 昭和22年4月1日以前に生まれ=15年
  • 昭和22年4月1日~昭和23年4月1日生まれ=16年
  • 昭和23年4月1日~昭和24年4月1日生まれ=17年
  • 昭和24年4月1日~昭和25年4月1日生まれ=18年
  • 昭和25年4月1日~昭和26年4月1日生まれ=19年

厚生年金の中高齢の特例は、旧厚生年金法のなごりで、この経過措置を経た後は廃止されるものです。昭和61年の年金法律改正前は、厚生年金に男性40歳以降、女性35歳以降に15年入っていれば年金をもらえるというしくみだったもので、このしくみの廃止のために20年に引き上げることとしたのです。

なぜ20年かというと、20年から25年に引き上げるのは被用者年金(厚生年金や共済年金のこと)の特例において任せられるからです。被用者年金の特例は、昭和31年4月1日以前生まれの人が対象ですが、この厚生年金の中高齢の特例とあわせて昭和22年4月2日生まれから昭和31年4月1日生まれまで、16年~24年の引き上げを順々に行うことができるのです。

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船員・坑内員の受給資格期間の特例とは?

船員や坑内員だった人の年金は、一定の要件によって、年金の受給資格期間が25年なくても年金の受給資格を得られることになっています。また、受給資格期間を見る際の被保険者期間にも割り増しの特例があります。

船員・坑内員の受給資格期間の特例

35歳に達した月以降の船員や坑内員で働いた期間のうち、旧厚生年金の第3種被保険者であった期間と、船員任意継続被保険者としての厚生年金保険の被保険者期間が、生年月日に応じて定める次の期間であれば、年金の受給資格を満たしたものとみなされます。

ただし、10年以上は船員任意継続被保険者としての厚生年金保険の被保険者期間以外の被保険者期間でなければなりません。

  • 昭和22年4月1日以前に生まれた者=15年
  • 昭和22年4月1日から昭和23年4月1日までの間に生まれた者=16年
  • 昭和23年4月1日から昭和24年4月1日までの間に生まれた者=17年
  • 昭和24年4月1日から昭和25年4月1日までの間に生まれた者=18年
  • 昭和25年4月1日から昭和26年4月1日までの間に生まれた者=19年

あくまで厚生年金の船員・坑内員です

この特例は、あくまで厚生年金の第3種被保険者としての船員・坑内員期間が対象です。表は厚生年金の中高齢の特例と同じです。

旧厚生年金保険法では、35歳以上の第3種被保険者(厚生年金の船員・坑内員)期間が15年以上ならば老齢年金が支給されるとされていたわけですが、これは、船員・坑内員という仕事が50歳でリタイアすることを想定していたものとされています。確かに労働環境は厳しいですよね。

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元軍属等の「旧令共済組合の特例」とは?

旧令共済組合の特例は、原則25年の年金の受給資格がない人が、戦時中の陸軍軍属など「旧令共済組合」の期間を受給資格期間に合算できるというものです。

「旧令共済組合の特例」の該当条件

旧令共済組合の特例は、国民年金第1号被保険者としての被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が1年以上であり、かつ、旧陸軍共済組合等旧令共済組合の組合員であった期間を合算した期間が25年(昭和5年4月1日以前生まれの24年~21年の特例あり)以上である者が、65歳に達した時は、老齢年金が支給される。

この老齢年金の額は、第1号被保険者としての被保険者期間にかかる保険料納付済期間および保険料免除期間について計算した額とする。

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加給年金が妻のものになる振替加算とは?

加給年金は、厚生年金や共済年金に20年以上加入した夫の年金にくっついてくるものです。しかし、妻が65歳になると、今度はその加給年金は振替加算と名前を変え、妻の年金として一生支給されるようになるのです。

振替加算は、元加給年金

振替加算というものは、元々は夫(一般的には)の年金にくっついている加給年金が姿を変えたものです。よって、振替加算の受給の大前提は、夫に加給年金が付くかどうかということです。

夫の厚生年金(共済年金も同じ考え)に妻を対象とした加給年金がつく条件は、老齢年金の1階部分の年金(生年月日によって特別支給の老齢厚生年金の定額部分だったり、65歳からの老齢基礎年金だったりします。)が支給されるときに、生計を維持する65歳未満の妻(大前提は)がいることです。

ただし、妻自身が厚生年金に20年以上入っている場合や、障害年金をもらえる権利がある場合には、加給年金は支給されなくなってしまいます。これは、「妻自身たくさん年金をもらえるのだから、家族扶養手当的な意味合いの加給年金は必要ないでしょ」という考えからです。

加給年金が振替加算に変わるとき

夫に支給されている加給年金は、妻が65歳になると、振替加算として妻の年金に変わります。なお、妻とは大正15年4月2日から昭和41年4月1日までに生まれた人を指します。

振替加算が行われる月は、妻が65歳に達した日の属する月の翌月からです。ただし、妻が年上のケースなど、夫の加給年金が出る間もない場合は、夫の年金に1階部分が支給される時点で、いきなり振替加算が行われます。

振替加算が行われないことも

加給年金の支給条件と同じように、妻自身が20年以上の厚生年金を受け取れる、または障害年金を受け取れる場合には振替加算は行われません。ただし、加給年金と違うところとして、振替加算の場合は、妻が障害年金をもらっているケースでは、単に支給を止めておくという意味だということです。障害年金の事由が解消されるか失権した場合で老齢基礎年金に切り替えた時、振替加算が行われます。

振替加算の特殊な例

ほぼ無いケースですが、いわゆる合算対象期間という年金額に反映されない期間と、学生納付特例期間(学生免除)だけの場合、本来ならば老齢基礎年金の受給権は発生しませんが、このような場合でも振替加算の要件に該当すれば、老齢基礎年金の支給要件に該当するものとみなして振替加算相当額の老齢基礎年金が支給されることになっております。もちろん、このような実例はみたことがありません。

振替加算の額

振替加算の額は、妻の生年月日によって変わります。大正15年4月2日生まれから昭和41年4月1日生まれが振替加算の行われる条件ではありますが、これから年金をもらい始める若い人ほど振替加算の額は低額となります。参考までに平成18年度価格を記しておきます。

  • 大正15年4月2日 ~ 昭和 2年4月1日=227,900円
  • 昭和 2年4月2日 ~ 昭和 3年4月1日=221,700円
  • 昭和 3年4月2日 ~ 昭和 4年4月1日=215,800円
  • 昭和 4年4月2日 ~ 昭和 5年4月1日=209,700円
  • 昭和 5年4月2日 ~ 昭和 6年4月1日=203,500円
  • 昭和 6年4月2日 ~ 昭和 7年4月1日=197,600円
  • 昭和 7年4月2日 ~ 昭和 8年4月1日=191,400円
  • 昭和 8年4月2日 ~ 昭和 9年4月1日=185,300円
  • 昭和 9年4月2日 ~ 昭和10年4月1日=179,400円
  • 昭和10年4月2日 ~ 昭和11年4月1日=173,200円
  • 昭和11年4月2日 ~ 昭和12年4月1日=167,100円
  • 昭和12年4月2日 ~ 昭和13年4月1日=161,100円
  • 昭和13年4月2日 ~ 昭和14年4月1日=155,000円
  • 昭和14年4月2日 ~ 昭和15年4月1日=148,800円
  • 昭和15年4月2日 ~ 昭和16年4月1日=142,900円
  • 昭和16年4月2日 ~ 昭和17年4月1日=136,700円
  • 昭和17年4月2日 ~ 昭和18年4月1日=130,600円
  • 昭和18年4月2日 ~ 昭和19年4月1日=124,700円
  • 昭和19年4月2日 ~ 昭和20年4月1日=118,500円
  • 昭和20年4月2日 ~ 昭和21年4月1日=112,400円
  • 昭和21年4月2日 ~ 昭和22年4月1日=106,400円
  • 昭和22年4月2日 ~ 昭和23年4月1日=100,300円
  • 昭和23年4月2日 ~ 昭和24年4月1日=94,100円
  • 昭和24年4月2日 ~ 昭和25年4月1日=88,200円
  • 昭和25年4月2日 ~ 昭和26年4月1日=82,000円
  • 昭和26年4月2日 ~ 昭和27年4月1日=75,900円
  • 昭和27年4月2日 ~ 昭和28年4月1日=70,000円
  • 昭和28年4月2日 ~ 昭和29年4月1日=63,800円
  • 昭和29年4月2日 ~ 昭和30年4月1日=57,700円
  • 昭和30年4月2日 ~ 昭和31年4月1日=51,700円
  • 昭和31年4月2日 ~ 昭和32年4月1日=45,600円
  • 昭和32年4月2日 ~ 昭和33年4月1日=39,400円
  • 昭和33年4月2日 ~ 昭和34年4月1日=33,500円
  • 昭和34年4月2日 ~ 昭和35年4月1日=27,300円
  • 昭和35年4月2日 ~ 昭和36年4月1日=21,200円
  • 昭和36年4月2日 ~ 昭和37年4月1日=15,300円
  • 昭和37年4月2日 ~ 昭和38年4月1日=15,300円
  • 昭和38年4月2日 ~ 昭和39年4月1日=15,300円
  • 昭和39年4月2日 ~ 昭和40年4月1日=15,300円
  • 昭和40年4月2日 ~ 昭和41年4月1日=15,300円
  • 昭和41年4月2日 ~=0円

離婚するなら振替加算をもらってから

振替加算は妻が老齢基礎年金をもらえる65歳に行われます。ということは、65歳前に離婚した場合、振替加算は行われないまま権利を失うということになるのです。

当然夫の加給年金も失権します。ということは、振替加算の前に離婚するということは、年金の上では損だということができます。年金分割にしても、加給年金は分割できませんので。

一度振替加算が行われてしまえば、あとはずっと妻の年金として一生涯支給され続けますので、この辺のことも考えておくとよいかと思います。

【補足:離婚時の年金分割で振替加算が支給停止になることもある】

自分自身(妻)の厚生年金の被保険者期間と、離婚時の年金分割により厚生年金の被保険者期間であったとみなされた期間を含めた期間が20年以上になる場合には、振替加算は支給されなくなりますのでご注意ください。

例えば、68歳の妻が、振替加算が加算された老齢基礎年金を受給していたとしても、老齢厚生年金の計算の基礎となった自分自身の厚生年金の被保険者期間と「離婚時みなし被保険者期間」を含めた期間が20年以上になる場合には、振替加算が支給停止となります。

極端な話、自分自身の厚生年金の被保険者期間が19年11ヶ月で1か月分の分割を受けた場合でも、振替加算は支給停止になります。(老齢厚生年金は増額されるものの、その増額以上の金額の振替加算額が減額になるという理不尽も。)

続きを読む 加給年金が妻のものになる振替加算とは?

厚生年金第3種(船員・坑内員)の被保険者期間特例

旧法での厚生年金では、坑内員や船員は第3種被保険者と呼ばれており、この期間の年金記録については被保険者期間の特例が適用になります。受給資格期間のほか厚生年金については年金額の計算でも特例が使えますが、国民年金は実期間となります。

第3種被保険者期間の計算の特例

第3種被保険者期間(坑内員・船員)については、受給資格期間を見る場合に、実期間に次のような上乗せした特例期間で被保険者期間を見ることになっています。また、厚生年金の年金額の計算においてもこの特例を使用します。

【 昭和61年3月31日まで 】

第3種被保険者期間=被保険者期間(実期間)×4/3倍

【 昭和61年4月1日~平成3年3月31日 】

第3種被保険者期間=被保険者期間(実期間)×6/5倍

【 平成3年4月1日以降 】

第3種被保険者期間=被保険者期間(実期間)

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年金の時効は2年と5年

年金支給漏れの騒動の中で注目された時効の問題。基本は、払う方が「2年」、もらう方が「5年」ですが、一時金などではそうでもないことも。ここでは条文に則って、国民年金と厚生年金の時効を見てみます。

国民年金の時効

国民年金の時効は、国民年金法102条に記してあります。

  1. 年金給付を受ける権利は、その支給事由が生じた日から5年を経過したときは、時効によって消滅する。
  2. (1)の時効は、当該年金給付がその全額につき支給を停止されている間は、進行しない。
  3. 保険料その他この法律の規定による徴収金を徴収し、又はその還付を受ける権利及び死亡一時金を受ける権利は、2年を経過したときは、時効によって消滅する。
  4. 保険料その他この法律に規定する徴収金についての督促は、時効中断の効力を有する。

【 時効の年数と起算日 】

  • 年金給付を受ける権利(5年)…起算日は年金給付の支給事由が生じた日の翌日
  • 死亡一時金を受ける権利(2年)…起算日は死亡の日の翌日
  • 保険料・徴収金を徴収する権利(2年)…起算日は納期限の翌日
  • 保険料・徴収金の還付を受ける権利(2年)…起算日は、還付の請求すべき旨の通知が債権者に到達した日の翌日

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年金相談と依頼状(委任状)[印刷用PDF臨時掲載]

「親の年金記録漏れを調べたい」…このようなとき、社会保険事務所へ持参するものに「依頼状(委任状)」というものがあります。せっかく何時間も待たされて自分の番が来ても、必要な書類がなければ年金相談に応じてもらうことはできません。ここでは依頼状(委任状)の書き方をお伝えしようと思います。

依頼状(委任状)に書く内容

依頼状(委任状)は、特に決められた用紙があるわけではありませんので、A4かB5サイズの紙に必要事項を書いて、年金相談を受けるときに提出すれば足ります。記載内容は次のとおりです。

  • 本人(父親の年金記録を聞きたいのでしたら父親)の年金手帳に記載されている基礎年金番号、または年金証書に記載されている基礎年金番号と年金コード。
  • 本人の住所
  • 氏名
  • 生年月日
  • 依頼内容
  • 本人が来られない理由(多忙等でも可)
  • 依頼される方の住所
  • 依頼される方の氏名
  • 依頼される方の生年月日
  • 本人と依頼される方との関係(友人でも可)
  • 署名押印(本人が本人の印でする)

「依頼内容について」は、細かく書きすぎるとかえってそれ以外のことがやりにくくなりますので、例えば「年金見込額照会回答表や年金記録一覧表など、年金記録の確認のための資料をすべて出し、その詳細を聞き、その場で年金の記録もれが確認できたものについては記録を統合する。」

または、「年金記録漏れ調査にかかる手続一切を委任する」というように、その場で必要な調査・手続が生じたときに動きが取れるように記載するのが良いと思います。

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離婚時の年金分割と、国の年金財政

離婚時の年金分割制度の背景の一つとして、国の年金財政の問題があります。財政的に言えば、「離婚が増えれば国が助かる」しくみとも言えなくもありません。

離婚時年金分割と遺族年金の関係

離婚をすれば遺族厚生年金の受給権はなくなります。40年50年連れ添った夫婦でも、離婚してしまえば、たとえ1ヵ月後に夫が亡くなったとしても妻に遺族厚生年金は支給されません。

遺族厚生年金は夫の全厚生年金期間の報酬比例部分の4分の3ですが、夫婦とも平均的な寿命まで生きるとすれば、夫が築いてきた年金の多くが、死亡後も妻に支給されることになります。女性のほうが平均寿命が5年くらい長いですから、夫死亡後もそれだけの期間、夫の年金が生きてくることになります。

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専業主婦にやさしい離婚時の年金分割

離婚時の年金分割制度は、一番恩恵を受けるのは専業主婦の妻です。逆に、共働きの夫婦は計算をした結果分割が少し、または下手をすれば妻の持ち出しになることもあります。自営業の夫婦の場合はこの制度は関係なし。専業主婦でも婚姻期間が短ければ、年金分割はわずかなものとなります。

家計を支えた献身的な妻、ランチ三昧の妻

たとえば・・・
家族のため、あまり働かない夫のかわりにバリバリ働くAさん。常に自分を犠牲にし、食べるものも質素、オシャレも我慢してきて50歳。子供も独立し、自分の人生を歩もうと離婚することになりました。

Aさんの年金分割は?

Aさんは夫よりも稼いでいたために、年金分割をすると逆に夫に対して年金を与えることになるのです。自分から別れを切り出したために、なかなか分割ゼロという合意は得られず、しぶしぶ年金を別けることになりました。内心くやしくて仕方ありません。

そしてAさんと同級生のBさん。夫は商社マンでBさんは専業主婦(国民年金の第3号被保険者)。趣味はランチめぐりです。夫の稼ぎだけで十分楽しく暮らしていたのですが、事情により離婚することに。

Bさんの年金分割は?

Bさんはずっと専業主婦でしたので計算は簡単です。夫婦の婚姻期間中にある夫の厚生年金(報酬比例部分)を最大半分に別けるだけ。もちろん合意の上でです。

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夫に厳しい遺族年金

年金制度は、事実婚の妻を遺族年金の対象にするなど先進的な面がある一方で、古臭い考え方も今の時代までスライドしてきています。その一つが遺族年金の夫と妻の受給要件の違いです。

遺族年金から見た年金の夫婦像

遺族年金は、国民年金が遺族基礎年金、厚生年金が遺族厚生年金ですが、それぞれ受給要件は違えど、根本に流れている基本精神は共通しています。

それは、「夫は一家の大黒柱として家族を養うもの」「妻は専業主婦。夫に守られる存在」ということです。例え話として、夫婦で子供なしのケースと、夫婦と子供一人のケースで遺族年金の受給要件を見てみます。

夫婦と中学生の子供1人。夫が受け取る遺族年金は?

夫婦と中学生の子供1人。体の弱い夫のために妻が働き家計を支えています。そして不幸にも妻が亡くなり夫と子供だけに。さて遺族年金は?

まず、国民年金の遺族基礎年金は子供が受給権を取得しますが、父と同居しているために支給停止です。そして、厚生年金については子供に対して遺族厚生年金の権利が発生します。ただし、18歳までです。

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必要?25年ルール(受給資格期間)

支給漏れのせいで年金加入25年に満たない人は、いったいどのくらい存在するのでしょう。そもそも25年ルールは必要?と考えていたところ、「国政モニターの声に対する回答」というものを見つけました。質問者と厚生労働省の回答を少し見ていきます。

「国民年金受給資格年数見直しを」から

全文はこちらをご覧ください。
http://www8.cao.go.jp/monitor/answer/h17/ans1802-005.pdf

質問事項は、
「~そもそも受給資格年数というのはどういう目的で設定されているのか~なぜ25年も必要なのか~受給資格年数の見直しを~」
というもので、その答えがなんとも消化不良なものでした。

回答者の答えの要旨は
「免除や任意加入を利用すれば、25年を満たすことはできますよ。25年未満で年金受給ですと年金額が少なくなってしまいますよ。」そして、「25年未満でもよしとすると未納が増え、世代間扶養が成り立たない。」さらには「年金は損得、見返りではない」という結論に・・・

第13回社会保障審議会年金部会から

平成20年11月27日の社会保障審議会年金部会の「老齢基礎年金の受給資格期間(25年)の見直しについて」の議論の中で年金課長は、受給資格期間の25年について次のように発言しています。

『~この歴史的な背景としては、(略)当時、国民年金制度発足当時、厚生年金が20年としていたこと。あるいは免除制度という形で別途対応がなされていたこと。それから、25年ないと意味ある年金が確保できないという考え方で25年ということになっていったわけでございます。~もともと25年というのは、年金水準の目標の設定に当たって25年という意味を持っていたものが、64年改正で40年フルペンションということに変わった中でも資格期間としては、25年が残っているということでございます。』

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6月29日の解雇日と、社会保険料の節約

北海道で食肉偽装問題を起こし、休業することになったあの会社。問題発覚後間もなく、いきなり従業員を解雇するということになりました(その後一部撤回)が、6月29日を解雇日としたことと社会保険料の関係をお話いたします。

月末の前日退職(解雇)と社会保険料

厚生年金と健康保険は、月を単位として保険料が徴収されます。
「資格を取得した日(入社日等)の属する月から資格を喪失した日(退職・解雇日の翌日)の属する月の前月まで」が被保険者期間となります。

「資格を取得した日」については月の初めでも、月末でも1ヶ月として計算されるということはわかりやすいところなのですが、問題は退職・解雇の日です。

条文の言い回しが回りくどいのですが、月末の日をもって退職する場合には、退職日の翌日、つまり次の月の初日が資格喪失日になりますので、その前月までが被保険者期間となります。

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60歳未満の会社員の妻=第3号被保険者ではない場合

「夫が会社員で妻が20歳以上60歳未満であれば、国民年金の第3号被保険者として保険料を払わなくてもよい。」ほとんどの場合その通りですが、夫が65歳を超えていると、そうはいえないケースも出てきます。夫が5歳以上年上の夫婦に関係する話です。

(夫)厚生年金の被保険者と国民年金の第2号被保険者

最初に、夫の年金の流れを見ていきます。
仮に20歳からずっと会社員をしているとして、60歳にしてなおも会社員で継続するのならば、この間は厚生年金の被保険者であり、同時に国民年金の第2号被保険者となります。

そして65歳になった後、その時点で年金の受給資格である25年(原則)があるときは、厚生年金の被保険者ではあるけれども国民年金の第2号被保険者ではなくなります。

逆に65歳以降も年金の受給資格がない場合には、受給資格を得られるまで65歳未満の時と同様に厚生年金の被保険者であり、かつ国民年金の第2号被保険者であり続けます。(70歳まで)

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第3号被保険者問題とは?

今の年金制度は、全員拠出が原則の社会保険方式です。にもかかわらず、保険料を負担せずに被保険者になれる国民年金の第3号被保険者制度に対しては、長く問題視されつつも、ズルズルと今日に至っております。

国民年金の第3号被保険者とは?

国民年金の第3号被保険者とは、ごく一般的に言うと、会社員の夫に扶養されている20歳以上60歳未満の妻のことです。

正確には、厚生年金や共済年金に加入しているもの(国民年金の第2号被保険者)に扶養(年収130万円未満)されている、20歳以上60歳未満の配偶者です。

第3号被保険者割合は、の99%が妻、1%が夫となっていますので、ここでは妻と断定して話を進めます。

第3号被保険者の問題点「不公平感」

第3号被保険者問題の一番問題とされているのが保険料負担の不公平感です。第3号被保険者の保険料は誰が負担しているかと言えば、第2号被保険者全員で負担しているわけで、その中には母子家庭の母や、独身女性、共働き女性も含まれています。

また、将来自分の年金を受け取るのに、自分で保険料を払わなければならない自営業妻の専業主婦、自営業共働きの女性、厚生年金に入れない母子家庭の母、学生から無職の人まで、第1号被保険者と比べても不公平感はぬぐえません。

片方では保険料を払い、片方では保険料負担なしで同じ金額の年金を受け取る。所得が低い人や障害があって保険料が免除になっている人ならまだ保険料負担がないことに納得できますが、その免除の人たちは免除の種類に応じて受け取れる年金額は2分の1、3分の1など削られたものになってしまいます。

それに対して第3号被保険者は、第1号被保険者、第2号被保険者と同じく、基礎年金はカットなしの全額給付です。専業主婦(第3号被保険者)のいる家庭というのは、育児・介護等やむをえないケースを除き、夫一人で家計を支えることができる比較的恵まれた世帯ということができますので・・・(最近ではそうでもないかもしれませんが。)

負担か給付の改善はいずれ・・・

第3号被保険者については、負担を高めるか給付を抑制する、または話は大きくなりますが年金一元化による最低保障年金に組み入れるなどをしないと、第3号被保険者に対する不公平感はなくならないように思います。

負担については、例えば専業主婦(第3号被保険者)のいる会社員の夫(第2号被保険者)については、個別に保険料を割高にするなど・・・

もしくは給付について改善するのなら、第3号被保険者期間は保険料全額免除期間や保険料半額免除、保険料4分の1免除等と同じ扱いにするといった具合です。

保険料の負担なく、給付は保険料負担者とまったく同じというのは、さすがにもう改善しなければいけない時期に来ていると思います。

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昭和36年、昭和61年、平成9年が年金の節目

最低限年金のことを知るために、次の3つの節目だけは必ず押さえておく必要があります。昭和36年「国民年金誕生(国民皆年金)」、昭和61年「年金制度の統合(基礎年金制度の誕生)」、平成9年「基礎年金番号の誕生」の3つです。

昭和36年4月1日~国民年金誕生(国民皆年金)

国民年金の誕生よりも前、昭和17年の6月には厚生年金の前身である「労働者年金」が誕生し、昭和19年10月には「厚生年金保険」と改名、そして戦争と経て昭和29年に厚生年金法の改正により今の厚生年金保険が成立しました。

最初は男性で軍需工場に働く人たちだけが対象だったのが、次第にホワイトカラー、女性へと対象を広げ、昭和29年の改正からは会社員の多くが厚生年金に加入することになり、老後の生活保障の道が出来上がりました。

そして遅れること7年。自営業等も年金に入れる国民年金が誕生し、これによって一定の要件にある国民すべてが年金制度に加入、国民皆年金が確立したのです。(公務員は共済組合等)

昭和61年4月~年金制度の統合(基礎年金制度の誕生)

昭和61年4月には、それぞれバラバラだった国民年金、厚生年金、共済年金が一つにまとまり、新たな年金制度(基礎年金制度)が誕生しました。

それまでも国民年金は加入期間に応じて年金額が決まる定額制であったのに対し、厚生年金や共済年金も、1階部分の年金は定額制を採用していました。

そこで1階部分はすべて基礎年金として一つにまとめ、厚生年金・共済年金に入っている期間であっても1階部分だけは国民年金を支給することになりました。

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年金保険料の「まとめ払い・一括払い」の決まり

最近、年金の保険料をまとめて払いたいと言うような声を多く聞くようになりました。そこで、年金保険料の前払いや後払い、一括払いについて少しお話をさせていただきます。

年金保険料のまとめ払い(前払い|前納)

「将来の分の保険料をまとめて払いたい」
意外とこのように考える方が多いのには驚きですが、年金保険料は、前納のしくみにおいて、最高1年分しか前払いをすることができません。

ですので、「60歳までの4年分を先に払っておきたい」
「任意加入で65歳までの5年分の保険料を先に収めたい」
このような希望は、残念ながら叶えられないのです。
もっと長い期間前払いできてもいいように思いますが、保険料の金額自体が変わってしまったり、法律自体が変わる可能性もありますので、1年以上前払いができないのは仕方がないのかもしれません。

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年金での年齢の数え方は、学校と同じです

年金の年金の数え方は、「誕生日」に年を取るのではなく、「前日」に1歳年を取る決まりになっています。これは、学校で同学年のグループが4月2日生まれから翌年の4月1日生まれであるのと同じです。

前日にカウントされる年齢

年金で登場してくる生年月日は、「~年、4月2日生まれから~年4月1日生まれ」というようになっています。法律を知るまでは何の疑問も持ちませんでしたが、つまりは前日に年を取ることで年度内(4月1日から3月31日まで)に生まれた人たち、ということになるのです。

なぜ前日か?ということについては「誕生日だとまるまる24時間取れないから」「誕生日前日から当日にまたぐ0時0分は前日だから」というような理由がありますが、要は民法でそう決まっているのです。

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遺族年金の裁定請求の添付書類等

遺族年金の裁定請求において必要となる添付書類等を見てみます。

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未支給年金請求の添付書類等

老齢年金を受給中の人が亡くなってしまうときなど、未支給の年金を請求するのに必要な添付書類等を見てみます。

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海外在留邦人や外国人の年金請求書類等

在留邦人や外国人が年金請求する時や、年金受給者が海外で年金を受け取る時などの書類等を見てみます。

在留邦人や外国人が年金請求する時

在留邦人が年金請求する時

住民票に変わるもの:在留証明書または滞在国が発行する住民票に準じるもの

所得証明:滞在国に税申告している場合は申告書の写等。滞在国で申告していない場合は申立て。

外国籍の人が海外から年金請求する時

戸籍に変わるもの:居住国の発行した証明で日本領事館確認のもの

加給対象者の確認:結婚証明書または配偶者が日本人のときは配偶者の戸籍に婚姻の事実が記載されていれば抄本

外国籍の国内居住者が年金請求する時

戸籍・住民票にかわるもの:外国人登録原票記載事項証明書

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年金保険料の「悪質な滞納者」と滞納処分

日本年金機構法では、年金保険料の悪質な滞納者に対する強制徴収は、国税庁へ委任することになっています。「悪質な滞納者」とは、いったいどのような滞納者のことを言うのでしょうか?

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「日本年金機構」を定める日本年金機構法の概要

消えた年金問題が起こり、社会保険庁が廃止・解体されるかわりに年金新法人「日本年金機構」が設立されることが決まりました。ここでは日本年金機構を定めている日本年金機構法の概要を見ていきます。

日本年金機構法のあらまし

1.年金新法人の組織等

  • 名称:日本年金機構
  • 役職員:非公務員、民間的な勤務条件
  • 国の監督:厚生労働大臣が直接的に管理監督し、事業計画・予算を認可、 業務改善命令等
  • 設立:平成22年4月までにおいて政令で定める日(平成22年1 月を予定) 同時に、社会保険庁を廃止

2.国と新法人の役割

  • 国は、公的年金に係る財政責任・管理運営責任(年金特別会計を備え、保険料徴収・年金の支払は国の歳入・歳出。年金手帳及び年金証書は、国(厚生労働大臣)の名義。)
  • 法人は、厚生労働大臣から委任を受け、その直接的な監督下で、公的年金 に係る一連の運営業務

※つまり、実務を新組織(日本年金機構)に変えるということ。

3.強制徴収の委任

  • 保険料の滞納処分は、厚生労働大臣の一定の監督の下で、法人に委任
  • 厚生労働大臣は、悪質な滞納者に対する滞納処分について必要があると認 めるときは、法人からの申し出に基づき、滞納処分の権限を、財務大臣を 通じて国税庁長官に委任

※「悪質な滞納者」とは、2年以上滞納、滞納額が高額、財産隠匿など。

4.民間へのアウトソーシングの推進(振り分けのための第三者機関)

次の事項について、学識経験者の意見を聞いた上で、政府が基本計画を閣議決定

  • 新法人が自ら行う業務と委託する業務との区分その他の委託の推進につ いての基本的事項
  • 法人の職員の採用についての基本的事項

※「この業務なら外部委託の方が効率的」などの決定を、外部機関に判断させるということ。

5.鵬員の採用(採否審査のための第三者機関)

  • 法人の設立委員が、労働条件及び採用基準を提示し、職員を募集
  • 設立委員は、人事管理の学識経験者の意見を聴いて、 採否を決定

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年金保険料(掛け金)支出の節税効果

年金といえば、もらうときの事ばかりを考えてしまいがちですが、保険料(掛け金)を支払う時の各種控除による節税効果も年金の魅力の一つです。払う時の控除には、社会保険料控除(国民年金、厚生年金、共済年金、国民年金基金、厚生年金基金)、小規模企業共済等掛金控除(個人型確定拠出年金等)、個人年金保険料控除(個人年金保険)などがあります。また、企業が拠出する企業型確定拠出年金の掛け金は全額損金算入となります。

それぞれいくらくらいの節税効果になるのか

ここでは、具体的に年間いくらまでの保険料(掛け金)が所得控除の対象となるのかを見てみます。(掛け金を企業が拠出する企業型確定拠出年金は損金算入)

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「教えて君」についてとネットでの年金相談

弊所では現在年金相談は行なっていませんが、社会保険労務士その他年金を扱うサイトの中には無料で年金相談に応じてくれるところが少なからず存在します。(年金相談を受け付けている場所・無料サイト【All About】 )そして、場合によっては実際に年金相談のメールを送ってみることもあるかと思いますが、悪気はなくとも「教えて君」といったネット上であまりマナーの良くないとされる存在と思われてしまうかもしれませんので注意が必要です。

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標準報酬月額とは?

【平成23年7月6日追記】

「4月、5月、6月」の報酬を元にして算出される標準報酬月額(定時決定)について、
平成23年4月から一つ新たな仕組みが導入されました。

これは、業種(例えば引越し屋、不動産屋、農業法人)や部署(例えば人事、総務、会計)の性質上、毎年「4月、5月、6月」に繁忙期を迎えて報酬が多くなる、もしくは逆のケースについて、定時決定により決定する標準報酬月額が不当なものにならないよう、「昨年7月~当年6月」の月平均の報酬から算出した標準報酬月額と比較して大きな差(原則2等級以上の差)が生じた場合に、標準報酬月額を後者のものにすることを可能にしたものです。(「被保険者の同意」を要件としており、被保険者に不利益にならないよう配慮されています。)

下記は、厚生労働省が関係機関に発したPDF資料へのリンクです。
クリックすると新たなウインドウが開きます。

健康保険法及び厚生年金保険法における標準報酬月額の定時決定及び随時改定」の一部改定について
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T110427T0020.pdf

(平成23年3月31日付け:PDF165.90KB)

「「健康保険法及び厚生年金保険法における標準報酬月額の定時決定及び随時改定の取扱いについて」の一部改正等に伴う事務処理等について」に関するQ&Aについて
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T20110610S0080.pdf

(平成23年6月3日付け:PDF285.80KB)

厚生年金では、納める保険料の額を決定したり保険給付の額を決定したりする時に、計算の元になるものを給料などの報酬そのものの金額ではなく、区切りのよい幅で区分した「標準報酬月額」というものを使用します。

給料297,120円ならば標準報酬月額300,000円、給料425,320円ならば標準報酬月額440,000円という具合です。

なお、健康保険でも標準報酬月額を使用しますが、厚生年金の標準報酬月額とは等級以外の仕組みは同じです。

厚生年金の計算で使う平均標準報酬月額とは?
http://www.office-onoduka.com/nenkinblog/2007/06/post_65.html
厚生年金保険 標準報酬月額表の変遷
厚生労働省サイト内PDFファイル。ねんきん定期便など、自分の年金記録確認の際に役に立つ、あると便利な表です。
http://www.sia.go.jp/top/kaikaku/kiroku/teikibin/pdf/standard.pdf

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軍属ほか陸軍・海軍関係人事関係資料の保管先

陸軍・海軍といった軍隊に所属しつつ軍人でない人のことを「軍属」と言い、軍属であった期間は、旧令共済組合加入期間として厚生年金の基礎部分に加算されます。

そして、軍属としてどこに所属していたかの記録は、厚生労働省(社会・援護局)または都道府県に保管されています。(軍属に関する記録の確認は複雑で、結果が判明するまで平常時でも半年から1年程度時間が掛かります。まずは社会保険事務所にて相談し、助言どおりに書類の申請や各種問い合わせ等を進めていくことになります。)

なお、軍隊に所属する軍人の方は、12年(計算の仕方で純粋な12年ではない場合もある)の期間があれば恩給が支給され、12年未満でその後国家公務員・地方公務員になれば共済年金に通算されるという仕組みになっています。

※関連ページ:元軍属等の「旧令共済組合の特例」とは?
※外部リンク:旧軍人軍属の恩給、軍歴証明書に関する業務(厚生労働省)


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パート妻の社会保険適用3パターン

夫が社会保険(厚生年金・健康保険)の加入者で、妻がパート労働者である場合、妻自身の社会保険の適用は、その働き方や年収に応じて3パターンに分けることができます。

パート妻の社会保険適用パターン(パターン1~3)

パート妻の働く日数・時間及び年収は、社会保険の適用を考える際に次の3つに分けることができます。

  • パターン1・・・「1日または1週間の所定労働時間」および「1月の所定労働日数」が通常の就労者のおおむね4分の3以上である者
  • パターン2・・・『「1日または1週間の所定労働時間」もしくは「1月の所定労働日数」が通常の就労者のおおむね4分の3未満である者』+『原則として年収130万円未満(※180万円未満)で主に被保険者(夫)の収入で生計を維持している者』
  • パターン3・・・『「1日または1週間の所定労働時間」もしくは「1月の所定労働日数」が通常の就労者のおおむね4分の3未満である者』+『原則として年収130万円以上(※180万円以上)』

※所定労働時間については保険者(社会保険事務所や健康保険組合)が労働状況等を総合的に勘案して、常用的使用関係に該当するかを判断します。

※年収の180万円の箇所は、妻が60歳以上である場合(医療保険のみ)、または厚生年金保険法による障害厚生年金の受給要件に該当する程度の障害である場合です。

※1日の労働時間が一般労働者8時間勤務ならば、その4分の3で6時間以上(1週40時間勤務ならば30時間以上)。1ヶ月の労働日数が一般労働者22日勤務ならば、その4分の3で16.5日という具合になります。

※日雇い労働や、期間雇用のうち2ヶ月以内の有期雇用など一定の場合には社会保険の適用にはなりません。(厚生年金の適用除外者とは?

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「1万円年金」「2万円年金」「5万円年金」

公的年金の歴史の中で登場する「1万円年金」「2万円年金」「5万円年金」というもの・・・1万円年金が昭和40年改正、2万円年金が昭和44年改正、5万年金が昭和48年改正で、それぞれモデル年金として設定されたものです。(それぞれ年金月額です。)

1万円年金

昭和40年の年金改正まで、厚生年金の定額部分は加入期間によらない定額制でした(加入期間20年以上)。昭和29年改正と、昭和34年改正で厚生年金の老齢年金の年金額の計算式を見てみると次のような具合になっています。

【昭和29年改正】

年金額=24,000円(定額部分)+平均標準報酬月額×5/1000×加入月数

【昭和34年改正】

年金額=24,000円(定額部分)+平均標準報酬月額×6/1000×加入月数

そして【昭和40年改正】では、これまでの定額部分の一律定額制を見直し、加入月数に比例するしくみに改めました。また、報酬比例部分の乗率を「6/1000」から「10/1000」へ引き上げ、標準的な老齢年金の月額が1万円となる年金が実現しました(1万円年金)。このときの厚生年金の老齢年金の計算式は次の通りです。

年金額=「250円×加入月数」(定額部分)+「平均標準報酬月額×10/1000×加入月数」(報酬比例部分)

なお、標準的(な年金額)とは、厚生年金に加入する標準的な収入を得る男子が、厚生年金の支給要件である制度的な加入期間である20年を加入した時の年金額です。

具体的な数字を入れると、
加入期間=20年
標準報酬月額の平均=25,000円
年金額=「250円×240月」(定額部分)+「25,000円×10/1000×240月」(報酬比例部分)=「60,000円」(定額部分)+「60,000円」(報酬比例部分)=年金額120,000円(年金月額1万円)

国民年金は2人で1万円(昭和40年改正)

国民年金は「厚生年金の定額部分」に相当するとの考えをもとに給付水準の引き上げが行なわれ、昭和34年改正時には、

年金額=「20年未満の加入年数×900円」+「20年を超える加入年数×1200円」

だったところ、昭和40年改正により、

年金額=加入年数×2400円

へと引き上げられました。
国民年金の場合、制度的な加入年数は25年ですので、
25×2400=60,000円となり、
年金月額は5,000円。
つまり、国民年金は夫婦2人で月額1万円となるように設定されたのです。

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物価上昇率の推移

物価上昇率の推移・・・昭和27(1952)年~平成26(2014)年

年金で使用する物価上昇率(全国消費者物価指数※)は、昭和48年以降、物価スライドという形で年金額に反映されてきました。

(※生鮮食品を含む総合指数。定義・・・消費者物価指数は、全国の世帯が購入する家計に係る財及びサービスの価格等を総合した物価の変動を時系列的に測定するもの。)

そして、平成16年の改正による物価スライド制の廃止以降も、物価上昇率は、年金額を変動させる「改定率」の計算の一要素となっており、物価上昇率が年金額を決める重要な要素であることに変わりありません。

このページでは、過去に物価上昇率(全国消費者物価指数)がどのような推移をたどってきたのかを見ていくとともに、5年に1度の財政検証(財政再計算)において、物価上昇率の見通しの決め方に恣意的な点があることを指摘します。

物価上昇率の推移(昭和)

昭和30年前半から昭和40年後半頃までの高度経済成長により、物価上昇率は、高い水準となっていましたが、昭和48年(1973年)10月に勃発した第4次中東戦争をきっかけとするオイルショックの時期以降、一転して物価上昇率は下降傾向となっています。

  • 昭和27年(1952年)=5.0%
  • 昭和28年(1953年)=6.5%
  • 昭和29年(1954年)=6.5%
  • 昭和30年(1955年)=-1.1%
  • 昭和31年(1956年)=0.3%
  • 昭和32年(1957年)=3.1%
  • 昭和33年(1958年)=-0.4%
  • 昭和34年(1959年)=1.0%
  • 昭和35年(1960年)=3.6%
  • 昭和36年(1961年)=5.3%
  • 昭和37年(1962年)=6.8%
  • 昭和38年(1963年)=7.6%
  • 昭和39年(1964年)=3.9%
  • 昭和40年(1965年)=6.6%
  • 昭和41年(1966年)=5.1%
  • 昭和42年(1967年)=4.0%
  • 昭和43年(1968年)=5.3%
  • 昭和44年(1969年)=5.2%
  • 昭和45年(1970年)=7.7%
  • 昭和46年(1971年)=6.3%
  • 昭和47年(1972年)=4.9%
  • 昭和48年(1973年)=11.7%
  • 昭和49年(1974年)=23.2%
  • 昭和50年(1975年)=11.7%
  • 昭和51年(1976年)=9.4%
  • 昭和52年(1977年)=8.1%
  • 昭和53年(1978年)=4.2%
  • 昭和54年(1979年)=3.7%
  • 昭和55年(1980年)=7.7%
  • 昭和56年(1981年)=4.9%
  • 昭和57年(1982年)=2.8%
  • 昭和58年(1983年)=1.9%
  • 昭和59年(1984年)=2.3%
  • 昭和60年(1985年)=2.0%
  • 昭和61年(1986年)=0.6%
  • 昭和62年(1987年)=0.1%
  • 昭和63年(1988年)=0.7%

物価上昇率の推移(平成)

昭和61年(1986年)12月から平成3年(1991年)2月までの「バブル景気」において、物価上昇率は、年間最大で3%程度上昇したものの、バブル崩壊後は、平成9年(1997年)4月に実施された消費税3%から5%への増税に伴う駆け込み需要の影響と思われる一時的な上昇を除けば再び下降傾向を示し、長期にわたるデフレが日本経済を苦しめる結果となりました。

  • 平成元年(1989年)=2.3%(消費税3%)
  • 平成2年(1990年)=3.1%
  • 平成3年(1991年)=3.3%
  • 平成4年(1992年)=1.6%
  • 平成5年(1993年)=1.3%
  • 平成6年(1994年)=0.7%
  • 平成7年(1995年)=-0.1%
  • 平成8年(1996年)=0.1%
  • 平成9年(1997年)=1.8%(消費税3%→5%)
  • 平成10年(1998年)=0.6%
  • 平成11年(1999年)=-0.3%
  • 平成12年(2000年)=-0.7%
  • 平成13年(2001年)=-0.7%
  • 平成14年(2002年)=-0.9%
  • 平成15年(2003年)=-0.3%
  • 平成16年(2004年)=0.0%
  • 平成17年(2005年)=-0.3%
  • 平成18年(2006年)=0.3%
  • 平成19年(2007年)=0.0%
  • 平成20年(2008年)=1.4%
  • 平成21年(2009年)=-1.4%
  • 平成22年(2010年)=-0.7%
  • 平成23年(2011年)=-0.3%
  • 平成24年(2012年)=0.0%
  • 平成25年(2013年)=0.4%
  • 平成26年(2014年)=2.7%(消費税5%→8%)

平成26年(2014年)の2.7%は、平成9年(1997年)の時と同様に、4月実施の消費税の5%から8%への増税に伴う駆け込み需要による影響が大きいものと考えられます。

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ねんきん特別便「青色」「緑色」+「灰色」「黄色」?

平成19年12月から始まった『ねんきん特別便』の送付。
当初は、年金記録が結びつく可能性の高い人に送付(送付期間は平成19年12月~平成20年3月まで)された「青色(ブルー)」のねんきん特別便と、年金記録に誤りがある可能性の低い「緑色(グリーン)」のねんきん特別便(送付期間は平成20年4月以降)の2種類と言われてきました。

ところが、一部には「青色」または「緑色」のねんきん特別便に加えて「灰色(グレー)」もしくは「黄色(イエロー)」のねんきん特別便が送付されることもあります。

※ここで取り上げた「青色(ブルー)」「緑色(グリーン)」「灰色(グレー)」「黄色(イエロー)」の封筒はこちら「ねんきん特別便:政府広報オンライン」でも確認できます。

なお、「灰色(グレー)」と「黄色(イエロー)」については、厳密にはねんきん特別便ではなく、ねんきん特別便を補足する「年金加入記録の確認のお知らせ」なのですが、政府広報でも4色同列に並べた上で「ねんきん特別便、お手元に届いたら、必ずご回答をお願いします。」と記していますので、ここでは4色とも『ねんきん特別便』として話をすすめます。

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「年金積立金」2007年度は10兆円減で138兆円に

2008年(平成20年)8月22日に厚生労働省が公表した「平成19年度年金積立金運用報告書」によると、2007年度末における国民年金・厚生年金の年金積立金は、サブプライムローン等の影響による年金積立金の市場運用の収益悪化(前年度末比-5兆6千億円)に年金給付のための積立金取り崩しが加わり、2006年度末の149兆1337億円から10兆4852億円減少し、138兆6485億円となりました。

年金積立金額の推移(平成13年度~平成19年度)

2007年度は大きな落ち込みを見せた国民年金・厚生年金の年金積立金ですが、これまでの運用実績・積立金額はどのようなものだったのでしょうか。

「平成19年度年金積立金運用報告書」の20ページ、図2-11の「年金積立金の運用実績(承継資産の損益を含む場合)」から平成13年度~平成19年度の国民年金・厚生年金の年金積立金の額と収益の箇所を抜粋します。

平成13年度平成14年度平成15年度平成16年度
資産額(年度末)
収益額
収益率
144兆3,315円
2兆7,787億円
1.94%
141億5,415億円
2,360億円
0.17%
145兆6,311億円
6兆8,714億円
4.90%
147兆96,19億円
3兆9,588億円
2.73%

平成17年度平成18年度平成19年度13~19年度合計
資産額(年度末)
収益額
収益率
150兆231億円
9兆8,344億円
6.83%
149兆1,337億円
4兆5,669億円
3.10%
138兆6,485億円
-5兆1,777億円
-3.53%

23兆684億円
2.26%

2002年2月から2007年末頃までの実感なき好景気(「いざなぎ景気」を超えたことから一部には「いざなみ景気」と言われていますが)のためか、過去7年の年金積立金の推移を見てみると2007年度を除けば常にプラスの収益となっています。しかし、収益性の高さの比較ではノルウェーやカナダ、スウェーデンなど諸外国に劣ります。

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平成21年度の年金「最大2.6%」の実質減額?

※平成21年度の年金額は据え置きとなりました(=2008年の消費者物価指数(生鮮食品を含む総合指数)は2007年比1.4%の上昇にとどまったため、実質的には1.4%の目減り)

国民年金や厚生年金など公的年金の受給額は、基本的には生活水準を一定に保つために物価に連動する仕組みとなっています。(物価が上がれば年金受給額も上がり、物価が下がれば年金受給額も下がる・・・「年金スライド」)

2008年は原油高や穀物高による物価(急)上昇・・・2009年度(2009年4月~)の年金額はとりわけ物価に連動してほしいところですが、2009年度は次の2つの事情により最大で2.6%分の物価連動は行なわれない・・・つまり法律上は年金据置となることが決まっているのです。

  • 「1.7%の特例」という過去のツケ
  • 「マクロ経済スライド」という年金給付抑制システム

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65歳からの年金は何月からもらえる?

9月20日の誕生日で65歳になったAさん。
10月15日に65歳以降の年金が振り込まれていると思い、
朝一番で銀行に行き振込み額を確認してみましたが、
通帳にはこれまでと同じ年金額が・・・

Aさんの年金履歴は厚生年金が2年ほどで国民年金が35年。
そのため60歳からもらっていた「特別支給の老齢厚生年金」は生活の足しにもならないほどの金額でしたが、65歳になれば国民年金の老齢基礎年金がもらえるために、ずっとこの日(10月15日の年金支給日)を心待ちにしていました。

少し前に65歳からの年金の裁定請求のはがきが来ましたが、きちんと返信しています。なのになぜ・・・?

答えは、

  • 年金の支払い月
  • 年金の支給期間

に関する決まりにありました。

関連:年金の支給期間はややこしい!月or翌月?

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女性の世代間年金格差 若者の第3号被保険者が…

女性の間の「世代格差」から「世代格差」へ
(第3号被保険者の話)

国民年金の第1号被保険者や、国民年金の第2号被保険者(OLなどの厚生年金加入者等)にとって、保険料負担のない第3号被保険者に対する不公平感は小さくはありません。

過日行われた厚生労働省社会保障審議会年金部会においても、第3号被保険者問題の話に及んだ時に、委員の一人は次のように述べました。(平成20年7月2日第10回会議)

『私はずっと1号被保険者でした。本当に低収入でありながら保険料をこつこつ納めてきた者としては、第3号被保険者は、我々以上に高収入という人がほとんどだったので不公平というか、中立ではないなということを感じてきました。

自分が今、2号になったときに、3号の保険料は2号の保険料で賄っているわけですけれども、先ほど樋口委員がおっしゃったように、逆進性というんでしょうか、低収入の方が高収入の専業主婦の保険料を払っているというところもあるわけですので、その辺のところを考えますと、個人単位化という方向もこれから検討していただきたいなと思っています。』

国民年金の保険料を払わずとも保険料を払ったものとみなされる国民年金の第3号被保険者。厚生年金に加入する会社員(または公務員)の配偶者であって、年収130万円未満という要件からも、第3号被保険者の99%は女性です。(そのため、ここでは第3号=専業主婦として話を進めます。)

第3号被保険者は基礎年金制度が始まった昭和61年4月1日から存在するのですが、その昭和61年当時から約20年経過した現在、その人数自体はほぼ一定を保っています。まずは、その推移からご覧ください。

表1:第3号被保険者の推移

※厚生労働省社会保障審議会年金部会平成20年第10回資料より(社会保険庁「事業年報」、総務省統計局「人口推計」)

年度被保険者合計第1号被保険者(任意加入含む)第3号被保険者(A)20-59歳日本人女性人口(B)A/B
昭和616,332万人1,951万人1,093万人3,383万人32.3%
626,411万人1,929万人1,130万人3,398万人33.3%
636,493万人1,873万人1,162万人3,410万人34.1%
平成元6,568万人1,816万人1,179万人3,423万人3.44%
26,631万人1,758万人1,196万人3,430万人34.9%
36,835万人1,854万人1,205万人3,446万人35.0%
46,894万人1,851万人1,211万人3,462万人35.0%
56,928万人1,861万人1,216万人3,479万人35.0%
66,955万人1,876万人1,219万人3,494万人34.9%
76,995万人1,910万人1,220万人3,497万人34.9%
87,020万人1,936万人1,202万人3,503万人34.3%
97,034万人1,959万人1,195万人3,501万人34.1%
107,050万人2,043万人1,182万人3,503万人33.7%
117,062万人2,118万人1,169万人3,505万人33.3%
127,049万人2,154万人1,153万人3,481万人33.1%
137,017万人2,207万人1,133万人3,465万人32.7%
147,046万人2,237万人1,124万人3,443万人32.6%
157,029万人2,240万人1,109万人3,424万人32.4%
167,029万人2,217万人1,099万人3,399万人32.3%
177,045万人2,190万人1,092万人3,376万人32.4%
187,041万人2,123万人1,079万人3,368万人32.0%

このように、20歳~59歳の日本人女性の人口に対する第3号被保険者の割合は「32.3%」から「32.0%」とほとんど変化を見せていませんし、第3号被保険者の被保険者数自体もほとんど変化はありません。

しかし、次の表を見るとどうでしょう。

表2:第3号被保険者の年齢別割合

※厚生労働省社会保障審議会年金部会平成20年第10回資料(社会保険庁「事業年報」、総務省統計局「人口推計」。第3号被保険者割合は第3号被保険者被保険者数を日本人女子人口で割ったもの。)より加筆。※求人倍率は『リクルートワークス研究所』の大学新卒者の年別データ。

※水色の箇所は数値の落ち込みの大きい部分と、若年層についてはそれ以後の経過分。

年度
求人倍率
20-24歳25-29歳30-34歳35-39歳40-44歳45-49歳50-54歳55-59歳
昭和63
1.01倍
32.3%5.6%33.3%48.5%45.7%44.0%38.4%31.5%21.1%
平成元
1.25倍
33.3%5.0%32.1%49.0%46.9%45.5%38.2%32.9%22.4%
2(1990)
1.40倍
34.1%4.7%30.3%49.7%47.8%46.8%38.3%34.0%24.0%
3(1991)
1.40倍
34.4%5.0%30.1%50.0%48.7%45.0%40.7%35.7%24.1%
4(1992)
1.08倍
34.9%5.0%29.0%49.7%49.5%44.7%42.3%36.1%24.9%
5(1993)
0.76倍
35.0%4.9%28.4%48.7%50.6%44.7%42.8%37.4%24.7%
6(1994)
0.64倍
35.0%4.8%27.3%48.5%50.7%45.5%43.8%36.7%25.4%
7(1995)
0.63倍
35.0%5.1%27.0%47.4%50.8%45.9%44.1%36.3%25.5%
8(1996)
0.70倍
34.9%5.3%26.7%47.2%50.1%44.9%41.0%37.3%26.3%
9(1997)
0.72倍
34.9%4.9%25.6%45.5%50.0%45.3%40.2%38.6%27.2%
10(1998)
0.53倍
34.3%4.8%24.7%44.4%48.8%45.5%39.3%38.9%27.3%
11(1999)
0.48倍
34.1%4.9%23.3%42.1%48.9%45.2%39.5%39.0%26.7%
12(2000)
0.59倍
33.7%4.8%22.2%41.8%47.5%45.5%39.7%39.3%25.1%
13(2001)
0.59倍
33.3%4.8%21.1%39.7%47.1%44.9%40.1%36.9%26.9%
14(2002)
0.54倍
33.1%4.9%20.5%39.0%46.5%44.7%39.8%36.6%27.9%
15(2003)
0.64倍
32.7%4.9%20.2%37.7%45.4%44.6%40.1%36.1%28.5%
16(2004)
0.83倍
32.6%4.5%19.7%36.9%44.1%44.3%40.5%37.0%29.0%
17(2005)
0.95倍
32.4%4.8%19.3%36.2%44.3%42.9%39.4%36.9%30.7%
18(2006)
1.06倍
32.3%5.0%19.2%35.0%42.9%43.1%40.3%37.4%29.1%
昭63-平18比較0%-0.6%-14.1%-13.5%-2.8%-0.9%+1.9%+5.9%+8.0%

第3号被保険者の総数は同じなのですが、年齢別割合では若年層の第3号被保険者割合が減少を続けており、年齢層の高い層においては、その割合は現状維持もしくは増加傾向となっています。

続きを読む 女性の世代間年金格差 若者の第3号被保険者が…

日本よりも短い外国の年金制度の受給資格期間

日本においては、公的年金(国民年金・厚生年金・共済年金)を受給するために、原則として各年金制度を通算して25年以上加入していなければ1円も年金がもらえないという仕組みとなっています。(例外:厚生年金20年加入で年金受給の特例とは? 年齢だけで受給資格期間(25年)が短くなる人とは?

その原則25年間の期間のことを「受給資格期間」と言いますが、諸外国の年金制度を比べてみると、受給資格期間が25年もの長期間である国は例外的で、おおむね10年程度で受給資格期間自体がない国も散見されます。

諸外国の年金受給期間の現状は?

具体的に諸外国の受給資格期間はどのようになっているのか。
下記表をご覧ください。

※第13回社会保障審議会年金部会(平成20年11月19日)参考資料集第3分冊の1ページ『協定締結・署名済国及び協定協議国の年金制度における受給資格期間について(数値2007年)』より転載・注釈転入・一部加筆編集あり。

諸外国の年金制度の受給資格期間
アメリカ10年相当(40加入四半期)
1000ドル(118,000円)の収入につき1四半期が付与される(最高で年間4加入四半期まで)。
イギリスなし
2007年の法改正により受給資格期間は撤廃。ただし、1945年4月6日より前に生まれた男性及び1950年4月6日より前に生まれた女性は、 旧法が引き続き適用され、年金受給には、それぞれ11年又は9.75年の被保険者期間が必要。
ドイツ5年
フランスなし
ベルギーなし
チェコ25年
受給資格年齢(61歳10ヶ月、子を養育していない女性60歳)から受給する場合。なお、65歳から受給する場合は15年
オランダなし
カナダOAS税方式(Old Age Security:老齢保障制度)10年居住
CPP(Canada Pension Plan:カナダ年金制度)なし
豪州AP税方式(Age Pension:社会保障制度)10年居住
→「10年連続して居住」又は「連続して5年、合計10年」のいずれかを満たすこと。
SG(Superannuation Guarantee:退職保障制度)なし
韓国10年
スペイン15年
イタリア5年
アイルランド5年相当(260週)
2012年より10年相当(520週)
ハンガリー15年
スウェーデンなし
保証年金については最低3年の居住期間が必要
ルクセンブルク10年

25年という最も受給資格期間の長いチェコにしても、日本の老齢基礎年金および老齢厚生年金、退職共済年齢の原則の年金支給開始年齢である65歳から受給する場合には「15年」ということになっており、諸外国とのバランスにおいては、日本の25年ルールはいかにも長いと言わざるを得ません。

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社会保険事務所年金相談窓口の50%超が非常勤職員

社会保険事務所の年金相談窓口に座っている職員さん。

私たちから見れば、すべての人が社会保険事務所(または社会保険庁)の正規職員であるようにも見えますが、実は違います。

社会保険事務所の年金窓口の正規職員と非常勤職員数

上記図は、内閣官房「年金業務・組織再生会議(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/nenkin/index.html)」平成20年6月19日社会保険庁ヒアリング資料[資料2] 6ページを参考に作成したものです。

平均的な年金事務所(社会保険事務所)の来訪相談体制の箇所を見ると、7~8人の人員体制のうち正規職員が2~3人、有期雇用職員(非常勤職員)が4~5人となっており、実に過半数が有期雇用職員(非常勤職員)で組織されていることがわかります。

議事録(平成20年6月19日)より、該当部分を抜粋します。

『年金相談などや補助的業務ということで、現在のいわゆる謝金職員、賃金職員に相当する有期雇用職員ということで、雇用契約期間は1年程度、更新が可。給与については、平均でおおむね170万円から300万円弱ということで、現行の謝金職員とおおむね同等を想定しております。』(4ページ社会保険庁総務部長)

『現在平均的な年金事務所の来訪相談体制ということで、これは現在のものとしておりますけれども、1事務所全部で7名から8名、その内訳として正規職員が2ないし3名、プラス社会保険労務士あるいは有期雇用職員4、5人の体制ということでございます。』(6ページ社会保険庁総務部長)

※謝金職員(ここでは来訪窓口で働く非常勤職員のこと)といえども年金窓口には一定の経験・能力を有する人を配置しているため、対応において問題はありません。

低賃金、残業代・昇給・ボーナスなしで働く謝金職員

年金相談は、その対応如何によっては人の一生を左右することもあり、専門性と共に非常に神経を使う仕事です。

しかも、社会保険庁や年金不信に対する「苦情」「クレーム」も、正規職員と同じように受け止めなければなりません。

ところが、年金相談窓口の仕事は位置づけとしては「年金相談等や補助的業務」というくくりで扱われているため、謝金職員の待遇は非常に低水準に抑えられています。

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年金「100年安心」発言録

『政府といたしましては「100年安心」と謳ったことはありませんが・・・』

2009年3月31日の衆議院本会議における舛添厚生労働大臣の発言で、一過性ながらも再び「100年安心」という言葉がクローズアップされました。

年金「100年安心」は、与党が2004年の年金法改正時において喧伝してきたことで、その意味は、100年後であっても現役の平均手取り収入の50%の年金給付水準を確保するというものです。

今でこそ「100年安心」と発言する与党議員はいなくなりましたが、当時の厚生労働大臣、厚生労働副大臣は確かに「100年安心」あるいはそれに準ずる発言をしていました。(あるいは慎重、否定的な発言も)

このページでは、その「100年安心」発言をピックアップし、改めて再確認してみようと思います。

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特定の主婦だけ年金優遇 平成23年「運用3号適用」施行

平成23年1月1日前に年金を訂正した主婦は?

「正直者が馬鹿をみる」「保険料納付者への背信行為」「理不尽」「不公平」・・・広く認知されるほど不満の声が上がりそうな年金の制度が施行されました。

平成22年12月までに自分の年金記録を見直し、誤って第3号被保険者になっていた年金記録を第1号被保険者に訂正したことのある人は要注意。怒りに震えることになるかもしれません。

※注・・・年金の第3号被保険者の99%は主婦(1%は主夫)ですので、ここでは第3号被保険者=主婦として話を展開しています。

【平成23年2月11日追記】

『運用3号』制度について、厚生労働省が公表した詳細資料へのリンクです。
「運用3号」に関する経緯等について(PDF:201KB)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000011je9-att/2r98520000011jik.pdf

「運用3号」職員向け「Q&A」集(第2版)(PDF:310KB)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000011je9-att/2r98520000011jid.pdf

(平成23年1月31日 第20回年金記録回復委員会資料より)

【平成23年2月24日追記】

「運用3号制度」について、見直しの動きが出てきました。

『国民年金第3号被保険者の切り替え漏れ問題について、細川律夫厚生労働相は24日の予算委員会で、1月から始めた救済を一時停止する方針を示した。今後の対応は総務省と協議して近く結論を出す。同日午前の衆院予算委員会で鴨下一郎議員(自民)の質問に答えた。』(毎日新聞2月24日より引用)

【平成23年3月3日追記】

問題化したので決定時期変更で責任回避?

『国民年金:3号被保険者切り替え漏れ 責任なすりつけ? 厚労省、決定時期前倒し

サラリーマンの妻など国民年金の第3号被保険者(3号)が夫の扶養から外れた際などの切り替え漏れを救済する「運用3号」制度に関し、厚生労働省は2日、これまで「昨年12月」と説明してきた決定時期を「昨年3月」へと前倒しした。厚労省は、昨年3月29日に同省の年金記録回復委員会に運用3号の案を提示し、12月14日の同委員会の了承を得て決定したと説明してきた。細川律夫厚労相も同様の答弁をしている。昨年3月の決定なら、当時の長妻昭前厚労相が責任者となるが、12月なら細川氏の最終判断となる。運用3号を巡っては、自民党が細川氏の責任をただす構えを見せており、決定日変更は野党の追及をかわす狙いもあるとみられている。大塚耕平副厚労相は2日の会見で「3月29日に政務三役と関係幹部が最終的に協議して省として決めた」と述べた。』(毎日新聞3月3日より引用)

本決定が2010年3月ならば、有識者を集めた年金記録回復委員会の議論(第14回 2010年12月)はお飾りだということなのでしょうか。「決定」の定義がどうあれ、問題が拡大してから制度決定時期を変更するということについて、どうしても保身の意図を感じてしまいます。

【平成23年3月4日追記】

平成23年3月4日の衆議院予算委員会により、驚くべき3つの点が明らかになりました。
(質問者 世耕弘成議員、回答者 細川律夫厚生労働大臣)

●その1-過去2年分の保険料納付は運用3号の適用を受ける必須条件ではなかった。

これまで「最大過去2年分の保険料の支払い」は「運用3号の適用」の条件であるかのように新聞・テレビ等で報じられていました。また、私自身も通知等を読みそのように解釈しておりましたが、実際には、過去2年分の保険料の支払実績とは関係なく、運用3号の救済を受けられることが明らかになりました。(必要なのは「支払う意思の確認」であって、支払った結果ではない。)つまり、3号から1号への切り替え漏れにより過去20年間不整合記録となっている人については、運用3号への適用後、最終的に過去2年分の保険料の支払いが履行されなかったとしても、過去2年より前の18年間については「運用3号」として実質3号被保険者として扱われる訳です。過去2年間については、保険料を納めれば1号としての保険料納付済期間となり、未納ならば1号としての未納期間とされます。

●その2-運用3号の施行日前の受付について、現場により不公平が存在した可能性がる。

運用3号の施行日は平成23年1月1日ですが、現場によっては平成22年12月から受付を行っていたということが明らかになりました。(世耕議員指摘による。)これは、現場向けの説明会の時期や、担当者が親切な人か杓子定規の人かということによって、適用が受けられるかどうかの差が生じていた可能性があるということです。(大臣答弁「昨年12月15日より前に(救済申請を)受け付け、適用しているケースも一部ある可能性もある。」)

●その3-運用3号制度の12月15日内部通知を厚生労働大臣は知らなかった。

平成22年12月14日第19回年金記録回復委員会の議題の一つに運用3号制度が取り上げられ厚生労働大臣も出席していたのですが、翌日12月15日に出された内部通知(厚生労働省年金局事業企画課長通知)については、厚生労働大臣は知らなかったということが明らかになりました。

【平成23年3月8日追記】

運用3号制度については「きちんとした法律制度で対応」することになりました。
(8日の衆議院予算委員会。菅首相答弁より。)

【平成23年3月9日追記】

平成23年3月8日の厚生労働委員会(大塚厚生労働副大臣答弁)により、従来から、事実上運用3号と同じ扱いが現場で『多数』行われていたということが明らかになりました。これは、旧社会保険事務所に裁定請求に来たときに、窓口の職員が本当は第1号被保険者と訂正すべき不整合記録について、現実には訂正されないまま、結果として本来の年金受給額より多い年金をもらっている人が『たくさん』居るというものです。

つまり、「運用3号」というしくみを立ち上げたことでで不公平・理不尽な点が問題となりましたが、そのようなことはもうすでに存在していたわけであり、「運用3号」について課長通知で行おうとするなど民主党の不手際は責められるものの、事実上の「運用3号」を見過ごしていた歴代厚生労働大臣、旧政権にも責任があるということになります。

それにしても、これまでどれくらいの割合で不整合記録の訂正が行われなかったのでしょうか。また、その対象者数はどれくらいなのか、実際の年金額よりも多く払っている金額は全体でどれくらいなのか等、公表を待ちたいと思います。(妻自身の年収が130万円を超えたことにより3号を外れた場合の記録は調査困難かもしれませんが、夫が2号から1号になった場合の対象者は容易に調べられるはずです。)

【平成23年4月12日追記】

厚生労働省は、11日に行われた「第2回社会保障審議会第3号被保険者不整合記録問題対策特別部会」において、第3号被保険者の不整合記録にかかる推計結果とともに関連資料を公表しました。
第3号被保険者不整合記録問題対策の対象者の整理について(PDF:106KB)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000018mel-att/2r98520000018mj4.pdf

第1回特別部会における委員の依頼資料(PDF:336KB)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000018mel-att/2r98520000018mjd.pdf

第3号被保険者の不整合記録の状況について(PDF:37KB)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000018mel-att/2r98520000018mjm.pdf

第3号被保険者不整合記録問題対策に関する主な論点(PDF:154KB)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000018mel-att/2r98520000018mjv.pdf

論点に関する参考資料(PDF:318KB)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000018mel-att/2r98520000018mk4.pdf

3号不整合記録問題に関連するこれまでの行政実務、判例等の考え方(PDF:574KB)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000018mel-att/2r98520000018mkd.pdf

公表資料の過去の判例や論点整理を見ていると、単なる不公平論では片付かないこの問題の複雑さを改めて実感させられます。自民党が、運用3号について国会での追及では、議論の分かれる『不公平論』ではなく『手続き論』に重きを置いていた理由もよくわかります。

最終的には、過払い分は返還を求めないという、不公平が残る決着となりました。

平成23年1月1日から施行された『運用3号適用』

平成23年(2011年)1月1日から、『運用3号適用』という新たな年金の制度が始まりました。

これは、例えば会社員の夫をもつ年金種別「第3号被保険者」の妻が、その後夫が脱サラしたことにより夫婦共に「第1号被保険者」となるべきところ、手続き忘れにより妻の年金種別が「第3号被保険者」のままになっているようなケースを想定しているものです。

夫が会社員から自営業へ脱サラ(2号から1号へ)

図のように、夫が会社員から自営業に脱サラした場合、専業主婦をしている妻の年金種別は3号から1号へ変わります。

妻の実態に即したあるべき年金記録(3号から1号へ)

同じ専業主婦でも、2号(厚生年金)の夫をもつ妻は、年金保険料を納めなくてもよい3号でいられますが、夫が1号(国民年金)になれば、妻の年金種別も法律上1号となり、夫とともに年金保険料を払う立場に変わります。

しかし、中には年金種別の変更手続きを忘れ、もしくはわからないまま届けをしない人もおり、年金種別が誤って3号になったままになっていることもあるのです。(下記図)

妻の誤っている年金記録(本来1号のところを3号のままにしている)

その場合、記録上3号になっている間は保険料を請求されることはありませんが、事後的に第1号被保険者であることが判明した場合には、さかのぼって年金記録を第1号被保険者に訂正することになるため、過去2年分の保険料を後払いできた部分を除き1号未納となります。

これにより、今までは老齢基礎年金の額が減らされたり、年金加入期間が足りなくなることにより無年金になるという事態も発生していました。

もちろん、まだ60歳になっていない人については、「1号」に訂正後の国民年金の保険料は自己負担ですし、払えなかった月にかかる将来の年金は減らされてしまいます。

ここまでが、平成22年12月までの話です。

少しかわいそうな気もしますが、きちんと届出義務を果たして、まじめに保険料を納めている「元3号」である「1号」の主婦のことを考えれば、法律通りの妥当な措置であると思われます。

ところが、今回新たに出来た制度では、不整合記録(本当は「1号」なのに「3号」となっていた記録)の「3号」を「1号」に訂正する今までのやり方を変更し、誤りである「3号」になっていた年金記録を「運用3号」とすることで、事実上「3号」と変わらぬ扱いにするようにしたのです。(下記図)

※注1-厳密には62歳以下であれば、最大で過去2年分は「1号」となりますが、その点については図示しておりません。(最大というのは、例えば60際の人ならば過去2年は1号として2年分の保険料を求められますが、訂正する人が61歳ならば、法的に59歳から60歳までの1年分しか1号になり得ません。また、62歳を超える人については過去2年のうちに1号となりうる期間がないので結果的に保険料を求められることはないということです。)

※注2-平成23年3月4日まで、当ページにおいては「この特例の適用には当該過去2年分の保険料納付が必要」であると記載しておりましたが、正しくは、当該過去2年分の保険料納付を「求められる」ものの、手続き時点で納付の意思を示せば、最終的に納付を拒否したとしても2年より前の期間については「運用3号」が適用されるということです。(平成23年3月4日衆議院予算委員会の答弁により判明。)

なお、この点については、平成22年12月14日第19回年金記録回復委員会において「一方で真面目に納めた方への背信行為との指摘があることもごもっとも(略)不公平感を考慮し時効が成立していない期間については公平性の観点から直近2年は払ってもらうことで整理した。」と語られていることと反しており、新たな疑念(過去2年分の保険料納付を「求める」と言う表現で、あたかも過去2年分は納付実績が必須条件であるかのような印象操作をおこなってきた?)が生じたところです。

妻の訂正後の年金記録(本来1号の部分を特別に3号として扱う)

対象となる年金記録は、昭和61年(1986年)4月以降の不整合記録ですので、平成23年(2011年)1月以降に訂正する人の中には、制度上、長ければ25年を超える年金記録が、「実態1号=未納(誤って3号になっていた年金記録)」→「納付済み扱い」になるわけです。

保険料を払ってきた正真正銘「1号」の主婦からすれば、実態は同じ「1号」にもかかわらず、手続きミスをした方が結果的に得をするという、なんとも理解しがたい不公平な優遇措置となっているのです。

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年金の『甘い経済前提』2009年当時の批判発言禄

運用利回り賃金上昇率物価上昇率
2009年 財政検証(※1)4.1%2.5%1.0%
2012年 民主党試算(※2)(※3)4.1%2.5%1.0%

※1:2009年(平成21年) 財政検証
平成21年財政検証結果(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/nenkin/
nenkin/zaisei-kensyo/dl/hontai.pdf

5ページの経済中位のケースの数値。(PDF:448.1KB)

※2:2012年 民主党試算
新制度の財政試算のイメージ(暫定版)
http://www.dpj.or.jp/download/6003.pdf

2012年2月10日公表。経済前提は1ページ下部に記載。(PDF:582KB)

※3:「民主党の試算」は、一応、政府・民主党ともに非公式であり、民主党調査会が厚生労働省に計算させた独自の試算ということにされています。しかし、2012年3月5日の衆議院予算委員会第五分科会の応答で明らかにされたところによると、自民党の河野太朗議員が、確定済みの直近のデータ(足元の現実の数字)も含めて試算するよう事前に厚生省に求めていたところ、小宮山厚生労働大臣(民主党)がそれを拒み、2009年財政検証で使用されていた経済前提を使うよう官僚に指示したということですので、実務上だとはいえ、厚生労働大臣も経済前提について確認しているわけです。また、この試算以外に政府・民主党による試算が存在しないことから、ここでは事実上の「民主党の試算」ということで話を展開しています。(なお、厚生労働省が現実的な数字に置き直して推計を出すまでに掛かる時間は数時間程度だということも、河野議員により明らかにされています。)

上記表は、上段に2009年(平成21年)2月23日付で公表された5年に1度行われる公的年金制度の『財政検証』における長期の経済前提を示し、下段に2012年2月10日に公表された民主党の新年金制度の試算における長期の経済前提を示しています。

かつて自公政権は、これら経済前提のもと年金給付削減の調整機能を働かせれば、モデル世帯において現役世代の50%水準以上の年金を受け取り続けることが可能であるとして「年金100年安心」(年金「100年安心」発言録)をうたっていたのですが、それに対する大勢の評価は「楽観的」「非現実的」「つじつま合わせ」というものでした。

2009年秋は衆議院選挙を控えていましたので、民主党議員は、ここぞとばかりに衆議院議員、参議院議員問わず舌鋒鋭く批判を展開していたものです。

2009年当時の民主党議員4人の国会発言

2009年、予算委員会など国会の中で『経済前提』に関する批判・追及を展開していた民主党議員は、調べた限りで5人でしたが、社会保険労務士でもある内山晃議員はすでに民主党を離党していますので、2012年3月現在でも民主党議員である4人についての国会発言を抜粋します。

掲載の順番は、以下の通りです。
1…2009年(平成21年)6月19日-梅村聡議員
2…2009年(平成21年)6月19日-長妻昭議員
3…2009年(平成21年)6月18日-川合孝典議員
4…2009年(平成21年)6月2日-蓮舫議員

なお、抜粋は、経済前提に関する発言部分を恣意的に抜粋したものであり、赤字部分は当方で重要と判断したものを色変換し、読みにくい漢数字はアラビア数字に直しています。

抜粋の目的は、経済前提の見直しが、事実上の民主党の約束事であったことを示すことにあります。

民主党では、コトあるごとに「個人の判断」「個人の見解」「個人の意見」という言い訳が聞かれますが、さすがに国会での発言まで安易に否定できるものではないはずです。

1…2009年(平成21年)6月19日-梅村聡議員

第171回国会 参議院本会議 第31号 平成21年6月19日
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/171/0001/17106190001031a.html

○梅村聡君 民主党・新緑風会・国民新・日本の梅村聡です。(略)5年前、2004年の年金改革において、政府・与党は100年安心の制度であることを強調しました。しかし、次第にその看板のメッキがはげ、実はいいかげんな中身であったことが暴露されつつあります。その端的な証拠と言えるのが、今回の審議の過程で明らかになった財政検証のずさんさであります例えば、財政検証の経済前提は、5年前の財政再計算における前提より高い、名目賃金上昇率2.5%、名目運用利回り4.1%を用いており、これまでの経済情勢に照らしても極めて実現性の低い数字に基づくものとなっております

2…2009年(平成21年)6月19日-長妻昭議員

第171回国会 衆議院本会議 第41号 平成21年6月19日
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/171/0001/17106190001041a.html

○長妻昭君 民主党の長妻昭でございます。(略)民主党は、本法案審議を通じて、現行の年金制度を生活できる年金とするため、最低保障年金の創設、年金の一元化など、抜本改革を主張してまいりました。政府の年金の財政検証でも、楽観的過ぎる経済前提の問題、所得代替率50%を維持するモデル世帯がほとんど存在しない問題など、数々の論点を指摘してまいりました。しかし、政府は、まともに答えようとしません。現行制度の微修正では日本の年金制度はもたないことを率直に認めることが、国民の利益にもつながります。年金制度が続いても、生活できない年金であれば、何のための年金なのですか。

3…2009年(平成21年)6月18日-川合孝典議員

● 第171回国会 参議院 厚生労働委員会 第17号 平成21年6月18日

○川合孝典君 民主党・新緑風会・国民新・日本の川合孝典でございます。(略)さらに、本法案の審議を通じて浮かび上がったのは、100年安心をうたった2004年の年金改革が早くも破綻しつつあるという事実であります。政府は、厚生年金の給付水準を現役時代の収入の50%確保という公約を掲げてきましたが、実はそれが極めて甘い経済前提に基づくものであり、現行制度のままでは実現不可能な状況となっていることが明らかとなりました。厚生労働省は、この経済前提に基づき、モデル世帯の年金給付水準が2038年以降、50.1%に固定されると試算していますが、最新の年金保険料納付率61.1%を基に試算すると48.9%となり、既に50%割れとなっていることも審議を通じて明らかとなりました。これは明らかな政府の公約違反であり、年金制度に対する国民の信頼が更に揺らぐことは避けられません。

4…2009年(平成21年)6月2日-蓮舫議員

第171回国会 厚生労働委員会 第12号 平成21年6月2日
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/171/0062/17106020062012a.html

○蓮舫君 もう一つは、5年に1回行われる財政検証なんですが、モデル世帯の所得代替率は辛うじて50.1%で、2004年の政府の公約を維持はしているんですけれども、経済前提を少し厚労省の想定とずらす、低く見積もることによってこの5割はあっという間に割り込みます。制度自体がもはや100年安心、維持可能性について私は大きな問題があると思っております。本当はこの厚労省のこうした見込みが外れると一番だれがその負担を負うかというとこれは国民であって、保険料の引上げとか給付の大幅削減という形で将来世代に大きなツケを先送りしてはいけないと私どもは考えております。

○蓮舫君 100年間にわたる年金財政の見通しを検証する前提というのは、私は相当堅めに見るべきだと考えています。世界経済危機とか金融危機、あるいは新型インフルエンザの問題など、今、世界経済、特に日本もかつてない状況に置かれていると思っております。もちろん、こうした危機を克服するために、国内も世界も世界協調で経済を押し上げるための努力をするべきだとも思っておりますが、こうしたリスクも織り込んだ現実的な経済前提で財政検証を行う方が、私は国民に対する年金制度への信頼につながってくると思うんですが

○蓮舫君 運用利回りを0.5%高めに設定すると、給付水準を実は2%押し上げる効果があると。だから、この利回りというのはやっぱり相当堅めに見ないと給付水準に私は大きな誤差が生じる、誤差どころか大きな間違いが生じると思っているんですけれども、大臣、今までの話を伺っていて、私たちはやっぱり疑いを持たざるを得ないんですよね。確かに、一時期、単年度だけを切り取って、こんなに損が出たじゃないか、こんなに見通しが悪いじゃないかという数値を置くことで100年を見ることはできませんけれども、せめてこの10年、20年の数値を入れていったところで、どう計算しても5割の所得代替率というのは私は維持ができない。どうしても楽観的にあるいは逆に置いた数字だと見ざるを得ないんですが、いかがでしょうか。

○蓮舫君 いや、今回の財政検証で唯一現実的だなと私たちが思うのは出生率だけです。それ以外は非常に甘い

○蓮舫君 あるべき姿を前提に置くというのを否定はしませんが、あるべき姿までどうやって到達するかという政策も一緒に出していただかないと、それは極めて楽観的な数字だと私たちは思います賃金上昇率も、やはりこれは相当驚くほど高い数値が前提となっています。財政検証の前提では2.5%、実質1.5%プラスと想定されているんですが、平成10年から19年までの実質賃金上昇率の単純平均でも、これはマイナスなんです。

○蓮舫君 いや、厚生年金財政において賃金上昇率は収入そのものに直結するから、こここそ相当リアルな数字を置かなければ楽観的だという批判は免れないと思うんです。資料五を御覧いただきたいんですが、民主党として厚労省に試算をお願いしました。実質経済成長率、物価上昇率、名目賃金上昇率、名目運用利回りを、それぞれ過去10年平均、過去20年平均の数値を経済前提として置いていただいて試算をしていただいた結果です。過去10年の平均値の試算は、四ですね、ここではマクロ経済スライド調整は、これは機能しません。平成43年、今から22年後に厚生年金の積立金が枯渇します。過去20年平均の試算、機械的な試算五です。平成62年、41年後に国民年金の積立金が枯渇をします。

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ここでの過去10年平均、過去20年平均とは次の通り。

平成21年財政検証関連資料(2)
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/dl/s0526-6f.pdf
(PDF:733.21KB)
6ページより。

運用利回り賃金上昇率物価上昇率
過去10年平均1.5%-0.7%-0.2%
過去20年平均2.9%0.6%0.7%

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○蓮舫君 私どもは何も不安をあおろうとしているわけではなくて、より現実的に、10年、20年間の平均値、実質こういう経済前提だった数字だったらどうだろうかといったときに、やはり今の制度というのは100年安心なんだろうか、この制度設計はそろそろ見直すときに来ているんではないんだろうかという立場に立たせていただいているんです。 平成16年度改正のフレームは大きく4つありました。1つは上限を固定した保険料の値上げ、これは国民に負担を強いました。2つ目はマクロ経済スライドを導入して給付の自動調整を図るとした、これまだ機能していません。3つ目は国庫負担を2分の1に引き上げます。4つ目が積立金の活用。この4つの改正をして、積立金をおおむね100年間で財政均衡を図って、100年後に給付費を1年分だけ残して積立金を保有すると、次世代の給付にそこを充てるんだという説明を平成16年度には受けました。

ところが、財政検証の数値を現実的な過去の平均値を使うと100年ももたない。100年にわたってもちろん経済がマイナス成長になると私たちは見ていませんけれども、前提条件を楽観的にしないと持続可能性がもたないという制度が本当に100年安心なのかどうなのか。大臣、私、ここは御決断をするべきときだと思います。特に今回は相当大きな埋蔵金を活用しますし、制度が本当に100年安心なのか、いかがでしょうか。

以上、国会発言の抜粋でした。

2009年2月の財政検証では、2008年までのデータを使用しているので、100年に1度といわれる2008年9月のリーマンショックの影響は完全に吸収されていません。

また、2009年以降の出来事として、第2のリーマンショックの可能性も指摘される「欧州債務危機」が2009年10月ギリシア危機を発端として起こり、日本国内では、2011年3月に1000年に1度の大地震に見舞われ、原発問題と含めて多大な損害を受けました。

さらに、近い将来、同程度の大地震の可能性も十分にあるという予測まであり、首都圏直下型地震での被害予測では、最大112兆円という、現在の年金積立金にも匹敵する経済的被害が想定されています。

そうした状況において、2009年当時でも国会発言のように厳しい追及をしていた民主党が、政権交代後2年半経過してもなお当時の甘い経済前提を使用して新年金改革の議論をしようとしているというのですから話になりません。

2010年から2011年にかけての『アラブの春』のように、今は5年(財政検証は5年に一度)どころか1、2年で世界情勢すらガラッと変わる世の中なのですが・・・。

続きを読む 年金の『甘い経済前提』2009年当時の批判発言禄

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