夫が社会保険(厚生年金・健康保険)の加入者で、妻がパート労働者である場合、妻自身の社会保険の適用は、その働き方や年収に応じて3パターンに分けることができます。
パート妻の社会保険適用パターン(パターン1~3)
パート妻の働く日数・時間及び年収は、社会保険の適用を考える際に次の3つに分けることができます。
- パターン1・・・「1日または1週間の所定労働時間」および「1月の所定労働日数」が通常の就労者のおおむね4分の3以上である者
- パターン2・・・『「1日または1週間の所定労働時間」もしくは「1月の所定労働日数」が通常の就労者のおおむね4分の3未満である者』+『原則として年収130万円未満(※180万円未満)で主に被保険者(夫)の収入で生計を維持している者』
- パターン3・・・『「1日または1週間の所定労働時間」もしくは「1月の所定労働日数」が通常の就労者のおおむね4分の3未満である者』+『原則として年収130万円以上(※180万円以上)』
※所定労働時間については保険者(社会保険事務所や健康保険組合)が労働状況等を総合的に勘案して、常用的使用関係に該当するかを判断します。
※年収の180万円の箇所は、妻が60歳以上である場合(医療保険のみ)、または厚生年金保険法による障害厚生年金の受給要件に該当する程度の障害である場合です。
※1日の労働時間が一般労働者8時間勤務ならば、その4分の3で6時間以上(1週40時間勤務ならば30時間以上)。1ヶ月の労働日数が一般労働者22日勤務ならば、その4分の3で16.5日という具合になります。
※日雇い労働や、期間雇用のうち2ヶ月以内の有期雇用など一定の場合には社会保険の適用にはなりません。(厚生年金の適用除外者とは?)
パターン1の社会保険(医療保険・年金)
医療保険は?
健康保険等被用者保険の被保険者
年金は?
厚生年金保険等被用者年金保険の被保険者
(国民年金の第2号被保険者)
パターン2の社会保険(医療保険・年金)
医療保険は?
健康保険等被用者保険の被扶養者
年金は?
夫が加入している厚生年金保険等被用者年金保険の被保険者の被扶養配偶者(国民年金の第3号被保険者)
関連:第3号被保険者に関する内部リンク
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パターン3の社会保険(医療保険・年金)
医療保険は?
国民健康保険の被保険者
年金は?
国民年金の被保険者
(国民年金の第1号被保険者)
被扶養者の年間収入に事業収入も入る場合には?
上記被扶養者の年間年収を見るときに、給与収入だけではなく事業収入もある場合には、事業収入も合わせて年収を判断することになります。
では、事業における経費は?
以下、各都道府県民生主管部(局)国民年金主管課(部)長あて社会保険庁年金保険部国民年金課長通知「国民年金法における被扶養配偶者の認定基準の運用について」(昭和61年4月1日庁保険発第一八号)から・・・
「年間収入」とは、認定対象者が被扶養配偶者に該当する時点での恒常的な収入の状況により算定すること。したがつて、一般的には、前年の収入によつて現在の状況を判断しても差し支えないが、この場合は、算定された年間収入が今後とも同水準で得られると認められることが前提であること。なお、収入の算定に当たつては、次の取扱いによること。
- 1.恒常的な収入には、恩給、年金、給与所得、傷病手当金、失業給付金、資産所得等の収入で、継続して入るもの(又はその予定のもの)がすべて含まれること。
- 2.恒常的な収入のうち資産所得、事業所得などで所得を得るために経費を要するものについては、社会通念上明らかに当該所得を得るために必要と認められる経費に限りその実額を総額から控除し、当該控除後の額をもつて収入とすること。
- 3.給与所得(給与、年金、恩給等)は、控除前の総額を収入とすること。
参考1:パート労働者と雇用保険
雇用保険に加入するには、次の要件を満たす必要があります。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上(※)あること
- 1年以上引続き雇用されることが見込まれること
週の所定労働時間が30時間以上であれば一般被保険者、20時間以上30時間未満であれば短時間労働被保険者となります。(65歳以上の場合、65歳前から引続き同一の事業主に雇用されている方に限り、高年齢継続被保険者となります。)
参考2:パート労働者と労災保険
労災保険は、労働時間・労働日数に限らずパートタイム労働者も正社員も被保険者となります。そのためパートだからといって、業務上のケガや業務に起因する病気に対して健康保険で診察・治療を行なうことは誤りとなります。