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「1万円年金」「2万円年金」「5万円年金」

公的年金の歴史の中で登場する「1万円年金」「2万円年金」「5万円年金」というもの・・・1万円年金が昭和40年改正、2万円年金が昭和44年改正、5万年金が昭和48年改正で、それぞれモデル年金として設定されたものです。(それぞれ年金月額です。)

1万円年金

昭和40年の年金改正まで、厚生年金の定額部分は加入期間によらない定額制でした(加入期間20年以上)。昭和29年改正と、昭和34年改正で厚生年金の老齢年金の年金額の計算式を見てみると次のような具合になっています。

【昭和29年改正】

年金額=24,000円(定額部分)+平均標準報酬月額×5/1000×加入月数

【昭和34年改正】

年金額=24,000円(定額部分)+平均標準報酬月額×6/1000×加入月数

そして【昭和40年改正】では、これまでの定額部分の一律定額制を見直し、加入月数に比例するしくみに改めました。また、報酬比例部分の乗率を「6/1000」から「10/1000」へ引き上げ、標準的な老齢年金の月額が1万円となる年金が実現しました(1万円年金)。このときの厚生年金の老齢年金の計算式は次の通りです。

年金額=「250円×加入月数」(定額部分)+「平均標準報酬月額×10/1000×加入月数」(報酬比例部分)

なお、標準的(な年金額)とは、厚生年金に加入する標準的な収入を得る男子が、厚生年金の支給要件である制度的な加入期間である20年を加入した時の年金額です。

具体的な数字を入れると、
加入期間=20年
標準報酬月額の平均=25,000円
年金額=「250円×240月」(定額部分)+「25,000円×10/1000×240月」(報酬比例部分)=「60,000円」(定額部分)+「60,000円」(報酬比例部分)=年金額120,000円(年金月額1万円)

国民年金は2人で1万円(昭和40年改正)

国民年金は「厚生年金の定額部分」に相当するとの考えをもとに給付水準の引き上げが行なわれ、昭和34年改正時には、

年金額=「20年未満の加入年数×900円」+「20年を超える加入年数×1200円」

だったところ、昭和40年改正により、

年金額=加入年数×2400円

へと引き上げられました。
国民年金の場合、制度的な加入年数は25年ですので、
25×2400=60,000円となり、
年金月額は5,000円。
つまり、国民年金は夫婦2人で月額1万円となるように設定されたのです。

2万円年金

昭和40年改正で給付水準が引き上げられたものの、経済の高度成長に伴う生活水準の向上、および核家族化の進展などにより、老後の所得保障として年金への期待が高まり、より一層の給付水準の充実が望まれるようになりました。

そこで昭和44年改正では、定額部分の単価を引き上げるとともに、報酬比例部分については『財政再計算時の』当時の男子の平均的な標準報酬月額で、当時の男子新規裁定者の平均的な加入期間加入した場合をモデルとして設定することとし、2万円年金が実現しました(平均加入年数24年4ヶ月:平均標準報酬月額38,069円:妻は加給年金対象となりうる主婦)。厚生年金の老齢年金の計算式は次の通りです。

年金額=「400円×加入月数」(定額部分)+「平均標準報酬月額×10/1000×加入月数」(報酬比例部分)+12,000円(加給:配偶者がいる一定のケース)

計算式では、定額部分単価が250円から400円に変わっただけですが、標準報酬月額は、昭和32年10月1日以後のものだけを対象として計算するように改められたため、低い標準報酬が平均標準報酬月額に組み込まれないようになりました。(つまり、報酬比例の面でも給付水準がアップ)

具体的に数字を入れて計算すると、

年金額=「400円×292月」(定額部分)+「38,069円×10/1000×292月」(報酬比例部分)+「12.000円」(加給年金)・・・計算過程を省略して月額に直すと・・・「9,733円」(定額部分)+「9,264円」(報酬比例部分)+「1,000円」(加給年金の月額)=年金月額19,997円(2万円年金)

国民年金は2人で2万円(昭和44年改正)

昭和40年改正の時の「2人で年金月額1万円」同じように、昭和44年改正でも国民年金は厚生年金にならい「2人で年金月額2万円」となるように改められました。昭和44年改正における国民年金の老齢年金の計算式は次の通りです。

年金額=加入年数×3,840円
(加入年数の想定は不明ですが、おそらく31年だと思われます。)

5万円年金

さらなる高齢化と核家族化の進展、高齢者を取り巻く環境の変化等により、老後の所得保障としての年金への期待は一層高まります。昭和30年代初めから続く高度経済成長により物価も高騰。年金給付額の実質的な価値の低下が問題となってきたため、国民年金・厚生年金ともに賃金再評価制度・物価スライド制度のしくみが取り入れられ、給付水準については厚生年金で現役の厚生年金被保険者の平均賃金の6割程度を目標とすることとし、5万円年金が実現しました。

年金額=「1,000円×加入月数」(定額部分)+「平均標準報酬月額(再評価後)×10/1000×加入月数」(報酬比例部分)+28.800円(加給:配偶者がいる一定のケース)

モデルは平均加入年数が27年、平均標準報酬月額84,600円、加給年金の対象になる妻がいる男性としているので、具体的に数字を入れて計算すると、

年金額=「1,000円×324月」(定額部分)+「84,600円×10/1000×324月」(報酬比例部分)+「28.800円」(加給年金)・・・途中経過を省略して月額に直すと・・・「27,000円」(定額部分)+「22,842円」(報酬比例部分)+「2,400円」(加給年金の月額)=年金月額52,242円

国民年金は2人で5万円(昭和48年改正)

昭和48年改正での国民年金の老齢年金の計算式は次のようになります。夫婦2人で年金月額5万円になるように設定されています。

年金額=加入年数×9,600円
(加入年数の想定は不明ですが、おそらく31年だと思われます。)

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