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2008年12月厚生年金・国民年金情報通 一覧

年金記録訂正後にも(受給まで)長期間待たされる不幸

【93歳の女性が1200万円の「消えた年金」を受け取れず死亡。】

「消えた年金」のせいで無年金扱いだった93歳の女性が、2008年5月にようやく13年分の国民年金の記録漏れが訂正され、消えた年金記録が本人のものだと認められました。

しかし、支払われるべき33年分の未払いの年金分、約1200万円が支払われる前、2008年11月上旬に女性は不幸にも亡くなってしまったのです。

※その後、11月中旬には社会保険庁は直近5年分の約220万円を女性の遺族に支払い、残額は12月中の支払いに向けて処理中。(2008年12月5日衆議院予算委員会|http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/001817020081205006.htmより)

※日刊ゲンダイ(2008年12月11日)によると、生前に受給できなかった総額が1000万円を超えるのは初のケースとのこと。

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女性の世代間年金格差 若者の第3号被保険者が…

女性の間の「世代格差」から「世代格差」へ
(第3号被保険者の話)

国民年金の第1号被保険者や、国民年金の第2号被保険者(OLなどの厚生年金加入者等)にとって、保険料負担のない第3号被保険者に対する不公平感は小さくはありません。

過日行われた厚生労働省社会保障審議会年金部会においても、第3号被保険者問題の話に及んだ時に、委員の一人は次のように述べました。(平成20年7月2日第10回会議)

『私はずっと1号被保険者でした。本当に低収入でありながら保険料をこつこつ納めてきた者としては、第3号被保険者は、我々以上に高収入という人がほとんどだったので不公平というか、中立ではないなということを感じてきました。

自分が今、2号になったときに、3号の保険料は2号の保険料で賄っているわけですけれども、先ほど樋口委員がおっしゃったように、逆進性というんでしょうか、低収入の方が高収入の専業主婦の保険料を払っているというところもあるわけですので、その辺のところを考えますと、個人単位化という方向もこれから検討していただきたいなと思っています。』

国民年金の保険料を払わずとも保険料を払ったものとみなされる国民年金の第3号被保険者。厚生年金に加入する会社員(または公務員)の配偶者であって、年収130万円未満という要件からも、第3号被保険者の99%は女性です。(そのため、ここでは第3号=専業主婦として話を進めます。)

第3号被保険者は基礎年金制度が始まった昭和61年4月1日から存在するのですが、その昭和61年当時から約20年経過した現在、その人数自体はほぼ一定を保っています。まずは、その推移からご覧ください。

表1:第3号被保険者の推移

※厚生労働省社会保障審議会年金部会平成20年第10回資料より(社会保険庁「事業年報」、総務省統計局「人口推計」)

年度被保険者合計第1号被保険者(任意加入含む)第3号被保険者(A)20-59歳日本人女性人口(B)A/B
昭和616,332万人1,951万人1,093万人3,383万人32.3%
626,411万人1,929万人1,130万人3,398万人33.3%
636,493万人1,873万人1,162万人3,410万人34.1%
平成元6,568万人1,816万人1,179万人3,423万人3.44%
26,631万人1,758万人1,196万人3,430万人34.9%
36,835万人1,854万人1,205万人3,446万人35.0%
46,894万人1,851万人1,211万人3,462万人35.0%
56,928万人1,861万人1,216万人3,479万人35.0%
66,955万人1,876万人1,219万人3,494万人34.9%
76,995万人1,910万人1,220万人3,497万人34.9%
87,020万人1,936万人1,202万人3,503万人34.3%
97,034万人1,959万人1,195万人3,501万人34.1%
107,050万人2,043万人1,182万人3,503万人33.7%
117,062万人2,118万人1,169万人3,505万人33.3%
127,049万人2,154万人1,153万人3,481万人33.1%
137,017万人2,207万人1,133万人3,465万人32.7%
147,046万人2,237万人1,124万人3,443万人32.6%
157,029万人2,240万人1,109万人3,424万人32.4%
167,029万人2,217万人1,099万人3,399万人32.3%
177,045万人2,190万人1,092万人3,376万人32.4%
187,041万人2,123万人1,079万人3,368万人32.0%

このように、20歳~59歳の日本人女性の人口に対する第3号被保険者の割合は「32.3%」から「32.0%」とほとんど変化を見せていませんし、第3号被保険者の被保険者数自体もほとんど変化はありません。

しかし、次の表を見るとどうでしょう。

表2:第3号被保険者の年齢別割合

※厚生労働省社会保障審議会年金部会平成20年第10回資料(社会保険庁「事業年報」、総務省統計局「人口推計」。第3号被保険者割合は第3号被保険者被保険者数を日本人女子人口で割ったもの。)より加筆。※求人倍率は『リクルートワークス研究所』の大学新卒者の年別データ。

※水色の箇所は数値の落ち込みの大きい部分と、若年層についてはそれ以後の経過分。

年度
求人倍率
20-24歳25-29歳30-34歳35-39歳40-44歳45-49歳50-54歳55-59歳
昭和63
1.01倍
32.3%5.6%33.3%48.5%45.7%44.0%38.4%31.5%21.1%
平成元
1.25倍
33.3%5.0%32.1%49.0%46.9%45.5%38.2%32.9%22.4%
2(1990)
1.40倍
34.1%4.7%30.3%49.7%47.8%46.8%38.3%34.0%24.0%
3(1991)
1.40倍
34.4%5.0%30.1%50.0%48.7%45.0%40.7%35.7%24.1%
4(1992)
1.08倍
34.9%5.0%29.0%49.7%49.5%44.7%42.3%36.1%24.9%
5(1993)
0.76倍
35.0%4.9%28.4%48.7%50.6%44.7%42.8%37.4%24.7%
6(1994)
0.64倍
35.0%4.8%27.3%48.5%50.7%45.5%43.8%36.7%25.4%
7(1995)
0.63倍
35.0%5.1%27.0%47.4%50.8%45.9%44.1%36.3%25.5%
8(1996)
0.70倍
34.9%5.3%26.7%47.2%50.1%44.9%41.0%37.3%26.3%
9(1997)
0.72倍
34.9%4.9%25.6%45.5%50.0%45.3%40.2%38.6%27.2%
10(1998)
0.53倍
34.3%4.8%24.7%44.4%48.8%45.5%39.3%38.9%27.3%
11(1999)
0.48倍
34.1%4.9%23.3%42.1%48.9%45.2%39.5%39.0%26.7%
12(2000)
0.59倍
33.7%4.8%22.2%41.8%47.5%45.5%39.7%39.3%25.1%
13(2001)
0.59倍
33.3%4.8%21.1%39.7%47.1%44.9%40.1%36.9%26.9%
14(2002)
0.54倍
33.1%4.9%20.5%39.0%46.5%44.7%39.8%36.6%27.9%
15(2003)
0.64倍
32.7%4.9%20.2%37.7%45.4%44.6%40.1%36.1%28.5%
16(2004)
0.83倍
32.6%4.5%19.7%36.9%44.1%44.3%40.5%37.0%29.0%
17(2005)
0.95倍
32.4%4.8%19.3%36.2%44.3%42.9%39.4%36.9%30.7%
18(2006)
1.06倍
32.3%5.0%19.2%35.0%42.9%43.1%40.3%37.4%29.1%
昭63-平18比較0%-0.6%-14.1%-13.5%-2.8%-0.9%+1.9%+5.9%+8.0%

第3号被保険者の総数は同じなのですが、年齢別割合では若年層の第3号被保険者割合が減少を続けており、年齢層の高い層においては、その割合は現状維持もしくは増加傾向となっています。

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