中高齢の特例

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厚生年金増額対策その2「中高齢の特例」

中高生の特例というしくみに該当すれば、
男性で40歳以上、女性で35歳以上の年齢の期間に、
厚生年金に15~19年加入しているという条件で、
厚生年金に20年加入したものとみなしてくれます。

昔は20年以上厚生年金に加入すれば年金が出ていました。
今でも27年4月1日以前生まれの人は、
厚生年金に20年加入していれば年金は支給されます。

この中高齢の特例というのはそのような時代の名残ですので、
生年月日によってはその特例も使えなくなるものです。
原則25年以上公的年金に加入しなければ年金が出ないという
今の時代には合わなくなった制度なのでしょう。

それでは、どういう生年月日の方々が、
この特例を使えるのかをみてみます。

生年月日中高齢加入年数
昭和22年 4月 1日以前生まれ15年
昭和22年 4月 2日~昭和23年 4月 1日

16年

昭和23年 4月 2日~昭和24年 4月 1日

17年

昭和24年 4月 2日~昭和25年 4月 1日18年
昭和25年 4月 2日~昭和26年 4月 1日19年

「中高齢の特例」メリットを生かせる人

中高齢の特例のメリットを生かせる方というのは、
実計算で厚生年金全加入暦が20年ない方です。
すでに実計算で25年以上ある人には関係ないお話です。
それでは中高齢の特例のメリットを3つ上げてみます。

1.加給年金がつく

20年以上の厚生年金加入がなくとも男性40歳、
女性35歳以降の期間において、
上記表の通りの年数があれば加給年金が付きます。

加給年金についての詳細はこちらを参照

中高齢の特例によって、20年の厚生年金加入期間が無くとも
加給年金のメリットを享受できるということです。

当然妻に対する「特別加算」も付きます。
例えば昭和22年4月2日~昭和23年4月1日生まれの方を見てみると、
男性ですと40歳以降16年厚生年金の加入があれば
加給年金が出るわけです。

2.年金受給資格が得られる

仮に昭和22年4月1日以前生まれの男性の方が
40歳からの期間で15年間厚生年金に加入して、
それ以外に公的年金は入っていなかったとします。
普通に考えたら25年無いので年金自体出ないと思ってしまうところです。

公的年金に原則25年加入して初めて年金自体が出るという話は
いくつか例外がありますが、今回の話はそのうちの一つです。

中高齢の特例と似た「厚生年金加入期間の特例」

ここでは、中高齢の特例と同じように、
年金の受給資格が得られる特例をご紹介します。

「厚生年金加入期間の特例」といいますが、加入の年齢は関係なく、
厚生年金の加入期間を合計したものが20年~24年で、
公的年金の受給資格が得られるようになります。
本来なら25年ないとダメというところですので、
中高齢の特例同様、該当する方には助かるものです。

生年月日厚生年金加入年数
昭和27年 4月 1日以前生まれ20年
昭和27年 4月 2日~昭和28年 4月 1日21年
昭和28年 4月 2日~昭和29年 4月 1日22年
昭和29年 4月 2日~昭和30年 4月 1日23年
昭和30年 4月 2日~昭和31年 4月 1日24年

表の年数を満たす方はそれだけで年金が出ることになります。
つまり、31年の4月1日までに生まれた方には、
少なくとも、どちらかの特例を使えることになります。

高齢になってから年金期間を作るのは大変ですので、
こういう制度を利用できる方はラッキーですね。
残念ながら、31年4月2日以降生まれの方は利用できません。

3.定額部分(1階部分)の年金がプラスになる

中高齢の特例では20年とみなしてくれるとお話してきましたが、
加給年金だけではなく年金の定額部分、
つまり1階部分の加入期間のみで計算される部分の計算上でも
年金額の計算上20年としてくれるのです。

収入の多い少ないで変化する2階部分の厚生年金までは
さすがに20年としないのですが、それでも1階部分は
概ね、もらえる年金全体の2分の1ですので大きいところです。

例えば昭和22年4月1日以前生まれで
中高齢において15年ちょうどの厚生年金加入期間をもつ人。
年金期間が20年と見なされることで5年分の定額部分が発生します。

結果的に厚生年金定額部分の年金額は、
ほぼ国民年金の計算と同じになりますので、
80万円(国民年金満額)×40年分の5年=年金額10万円分。

さらに要件に合えば加給年金・特別加算が付きますので
最高で年金10万円+加給年金等40万円=50万円になります。

しかも、15年分の保険料支払いでOKという所も大きいです。
厚生年金は70歳以降でも加入できますので、このような分岐点を知り、
場合によっては多少社会に復帰するなどして
年金加入期間を調整することも大きな意味を持ちます。

「中高齢の特例」利用のデメリット

中高齢の特例を使うと、メリットばかりかと思いきや、
そうではありません。
夫が厚生年金に20年以上加入して、加給年金が付く場合、
妻が中高齢の特例に該当すると、その時点で加給年金も、
その後の振替加算ももらえなくなります。

加給年金のところでも触れましたが、
妻は厚生年金加入期間が20年未満でないと加給年金はもらえません。
中高齢の特例で、実際の厚生年金加入期間が15~19年でも
20年とみなされるわけですので、このような不利益も生じるのです。

中高齢の特例に該当する場合は
妻自身の年金の定額部分の増額分、
夫に出る加給年金、妻に転化する振替加算、
すべてを計算の対象にしてシュミレーションする必要があるのです。
何歳まで生きた場合、どちらが総額でトクなのか、
詳しく調べる必要があるのです。

関連:厚生年金支給漏れがみつかって年金額が下がる人もいる?
(妻が中高齢の特例で厚生年金20年とみなされてしまうと加給年金が・・・)

参考:厚生年金保険法附則61条より中高齢の特例関連 (平成18年度)

(中高齢者等に係る老齢厚生年金の加給年金額等の特例)
第六十一条
附則第十二条第一項第四号から第七号までのいずれかに該当する者について、 附則第十四条第一項(第一号に限る。)、厚生年金保険法第四十四条第一項若し くは第三項(同法附則第九条の二第三項、第九条の三第二項及び第四項(同条第 五項においてその例による場合を含む。)並びに第九条の四第三項及び第五項 (同条第六項においてその例による場合を含む。)並びに平成六年改正法附則第 十八条第三項、第十九条第三項及び第五項、第二十条第三項及び第五項並びに第 二十七条第十三項及び第十四項において準用する場合を含む。)、第四十六条第 七項、第六十二条第一項の規定又は同法附則第十六条の規定を適用する場合にお いて、その者の老齢厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が二百 四十に満たないときは、当該月数は二百四十であるものとみなす。

2 附則第十二条第一項第四号から第七号までのいずれかに該当する者に支給する 老齢厚生年金の額のうち附則第五十九条第二項第一号に掲げる額及び厚生年金 保険法附則第九条の二第二項第一号(同法附則第九条の三第一項及び第三項 (同条第五項においてその例による場合を含む。)並びに第九条の四第一項 (同法附則第二十八条の三第二項及び第二十八条の四第二項においてその例に よる場合を含む。)及び第四項(同法附則第九条の四第六項においてその例に よる場合を含む。)並びに平成六年改正法附則第十八条第二項、第十九条第二 項及び第四項並びに第二十条第二項及び第四項においてその例による場合を含 む。)に掲げる額を計算する場合において、その者の老齢厚生年金の額の計算 の基礎となる被保険者期間の月数が二百四十に満たないときは、当該月数を二 百四十とする。