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消えた年金問題 記事一覧

年金支給漏れが、過去6年で22万人

とんでもない数字が出てきたものです。
何かといいますと、本来当然にもらえるはずの年金をもらいそびれていた、または少ない金額でもらっていたという件数が22万人なのです。

年金の支給漏れ、または年金のもらい忘れなどといいますが、2001年4月から2007年2月末までの6年間のうち、社会保険庁が年金額を訂正した数字が、正確には21万8474件。

政府野党の要求があって出したものですが、要求がなければ埋もれていたと思うと、なんと恐ろしいことでしょうか。2001年3月以前も年金の支給漏れは発生していましたが、それに関しては資料の保存期間が過ぎているので件数も支給漏れ年金総額も不明とのことです。

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年金の支給漏れが起こるワケ

年金を請求するときは社会保険事務所等の窓口に行って手続をします。しかし、その年金の専門官というフィルターを通しても年金の支給漏れが起こることが、年金の難しいところです。

手続の際、社会保険事務所の担当官に年金加入歴に漏れがないかどうかを聞かれるのですが、その時に転職の多い人や、パート、アルバイト、社員、請負、派遣など多様な働き方をしてきた人は、どれが年金期間になって、どれが年金記録でないのかの判別すら難しいのが現実です。そもそも、短期の就職の場合、遠い昔のことですと、会社名すら忘れていることもあります。

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宮崎さん、ミヤサキさん、ミヤザキさん

年金の支給漏れの原因の一つに名前の間違いがあります。濁音が入る、入らないなど同じ漢字で違う読み方をする名前の方は、年金の請求の際に絶対にやっておかなければいけないことがあります。

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社会保険事務所の職員対応の差

「過去の厚生年金加入歴に関する質問なんて、なにもしてくれなかった」
社会保険事務所の担当官によっては。年金の支給漏れに関する意識や窓口対応そのものに差があることがあります。

良い職員さんだと、こちらが言わなくても年金支給漏れの心配をしてくれて、一つ一つ確認をとりながらパソコン上で出来る調査をしてくれます。質問をしても嫌な顔をせずに丁寧に教えてくれるので、相談者は気持ちよく、納得しながら手続をすることができるのです。
(関連:社会保険事務所年金相談窓口の50%超が非常勤職員

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社会保険庁が年金納付記録を紛失

平成18年の8月21日から12月末までの4ヶ月に、社会保険庁が年金特別相談を実施しましたが、その中で社保庁が年金納付記録を紛失したという事例が86人分も発覚しました。人数は少ないですが、重い意味を持つ86人です。

年金の支給漏れの大半は、厚生年金の一部というケースなのですが、この場合調べれば国の方に何らかのデータが残っていることが多いのです。

しかし、今回の場合は国の方に一切データが残っておらず、年金受給者側で記録を証明して認められた年金納付記録なのです。

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「ねんきん定期便」とは?

平成19年3月から、一部の人を対象に「ねんきん定期便」がスタートしていたのですが、基礎年金番号の未統合記録を該当者に通知する「ねんきん特別便」が実施されることに伴い、本格始動は平成21年4月からということになりました。

「ねんきん定期便」とはなに?

ねんきん定期便は、社会保険庁から個人宛に送付される通知のことで、年金加入記録や年金見込額等が記載されます。

標準報酬月額に誤りがある可能性のある人や「ねんきん特別便」の未回答者など、年金記録が正しくない恐れがある人については『オレンジ色』の封筒となっていますので、オレンジ色の封筒が届いた人は、特に慎重に年金記録をチェックする必要があります。

※ねんきん定期便が『水色』の封筒で届いた場合、訂正の可能性は低いのですが、チェックしなくてよいというわけではありません。

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社会保険事務所に行ってみましょう

今どき社会保険事務所初体験という方も少ないと思いますが、「根本的にお役所が嫌い」という方も少なくありません。そういう方のために、社会保険事務所で年金相談をする時の流れをご紹介いたします。(年金の支給漏れ、年金請求の場合)

社会保険事務所はどこでもOK

今はコンピュータで全国の社会保険事務所がつながっておりますので、住所の近くの社会保険事務所でも、その他の社会保険事務所でも、年金相談に応じてもらえます。普通はご自宅に近い社会保険事務所に出向きます。

最初に受付番号札を取ります

社会保険事務所で最初にすることは受付番号札を取ることです。銀行や郵便局においてある機械と同じようなもので、番号が書かれた紙を取って順番を待ちます。場所によって待ち時間の流れが違いますが、午前ならば10時前に行けば混む事は少ないように思います。

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年金記録の訂正が24万人分も

最近は年金の支給漏れ関連のニュースが多いわけですが、今回のニュースは年金の納付記録の訂正です。これは、これから年金をもらう人も、すでにもらっている人も、かなり多くの方が行わなければならない手続きです。

2006年(平成18年)8月からの半年間。全国の社会保険事務所で年金記録にからむ相談をした180万人中、なんと24万人に基礎年金番号に統一されていない年金記録があったことが判明しました。

しかし、これは氷山の一角。社会保険庁には持ち主の分からない年金記録が5000万件あることがすでにわかっており、団塊世代の方の年金受給に伴い、同様の納付記録の訂正はますます増えてくると思います。

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年金支給漏れ、注目の裁判になりそうです

5月1日に、東京都の男性が、国による年金の記録ミスが原因で、本来もらえるはずであった年金がもらえなくなったのは国に責任があるとして東京地裁に裁判を起こしました。

要約すればこういうことです。年金がもらえる年齢になったときに、本来入っていた厚生年金の被保険者期間が113ヶ月にもかかわらず、18ヶ月とされていた。(1989年当時)そして、それはおかしいと調査を依頼したが、国の解答は「間違いなし」

しかし、2005年に年金手帳に不審な点が見つかったことから国に再調査を依頼したところ、やはり113ヶ月の厚生年金被保険者期間だということがわかり、さかのぼった分の年金を一時金として受け取ろうとしたが、時効(5年)があるために、受け取れる一時金には限度があったということです。(493万円分もらえず)

そこで男性は、国のミスなのに時効を盾に年金を全額支給しないというのはおかしいとして裁判を起こしたわけです。

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生年月日不明の年金記録が30万件以上も

平成19年5月11日、社会保険庁より、生年月日不明の年金記録が30万件以上もあることが明らかになりました。1件や2件のミスの話ではないところに、何かしら姿勢みたいなものが見て取れます。

生年月日のない年金記録

誰のものかわからない年金記録が社会保険庁のデータには5000件あります。その大半は厚生年金で基礎年金番号に統合されていないものと推測することができますが、それらのデータを自分のものだと照合する時に、「名前」「生年月日」「会社名」をもとにするのですが、割と多いのが会社名の欠落です。

これはあなたが何社も退職している人であれば、1つや2つ、会社名が抜けていてもおかしくないくらいよくあることなのですが、それでもどうして年金記録を見つけ出すことができるかといえば、名前と生年月日で一致するデータを照合できるためです。

名前と生年月日が一致した人が世の中に複数いるということはまずないですし、しかも年金記録漏れを起こしているという絞込みを考えますと、名前と生年月日が合えば、まずもってその人のものだと判明することができますし、現実に社会保険事務所での照合調査でもそのように取り扱っています。

しかし、会社名もない、生年月日もないとなると、そうはいきません。今回の30万件という数字は、そのような不幸な重なり合いが十分に起こりえる数字です。

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国民年金保険料の納付記録廃棄

あなたの年金記録もなくなっているかもしれない・・・そんなコワイ話ががようやく具体的に表に出てきました。なんと、284もの自治体で国民年金の納付記録が廃棄されていたのです!

【 5月15日、日経新聞の記事 】

2001年度末まで国民年金保険料の徴収業務をしていた市区町村のうち、全体の15%の284が加入者の氏名や納付実績を手書きした名簿をすべて廃棄していたことが社会保険庁の調査で分かった。業務が02年度に社保庁に移管された後は保存義務がなくなったため、保管場所などに困って捨てたとみられる。こうした市区町村では過去の記録の再調査は難しく、加入者が領収書を保管していなければ年金受取額が減る例も出てきそうだ。

国民年金には現在、自営業者を中心に2190万人が加入している。廃棄された名簿に記載されていた加入者の総人数は不明。社保庁は廃棄した市区町村名も公表していない。本人が保険料を払ったと主張しているにもかかわらず、記録がない加入者が3月末時点で全国に約2万600人いる。本人の勘違いだけでなく、社保庁などが記録を消失したケースがある。

本当に保存に困っただけでしょうか?

年金記録という、人の人生の中で最重要と言える情報を、保存義務が過ぎたからといって破棄できるものなのでしょうか。しかも、これほどの自治体が破棄していたことを見ると、何か裏があるように思えてなりません。

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どうなる年金支給漏れの救済?

年金の支給漏れについて、時効を適用せずに全額補償する動きは、本来なら当然ながらも大きな前進です。しかし、領収書なしで救済するということについては問題が多く、どういう認定基準が出てくるのか、非常に興味深いところです。

支給漏れ年金問題、どこまで前進?

5,000万件にも上る宙に浮いた年金記録の問題と「消えた年金記録」の問題。共に根が深い問題なのですが、特に深刻なのが「消えた年金記録」の問題です。

「消えた年金記録」は、読んで字のごとく、年金記録が書かれた書類データ自体が破棄・紛失したものであって、探そうにも探せない年金記録です。

そのため、「消えた年金記録」については、年金受給者自らが証明するしか手段がなく、ここが非常に厄介なのです。

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「消えた年金記録の件数」3つの考え

テレビなどの報道をみていると、「消えた年金記録」という言葉の使い方について、3通りの使われ方をしていることに気が付きました。どれも間違いではないのですが、事実を誤認してしまう恐れもありそうです。

私たちにとっての「消えた年金記録」

私たち国民にとっては、もらえるはずの年金がもらえないこと、または普通の手続をしてもらえなくなる恐れのある年金すべてが「消えた年金記録」です。

ですので、「消えた年金記録5000万件」という使い方をした場合には、国に年金記録自体が残っていて、照合すれば自分のものになる可能性の高いものについても「消えた年金記録」として扱います。

言葉通りの「消えた年金記録」

国にあるべき年金記録のうち、破棄・消失している部分の年金記録が、言葉通りの「消えた年金記録」です。

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年金支給漏れの時効分25万人950億円

年金の支給漏れを発見たものの、時効として受け取れなかった年金は、該当者が既に判明している部分の推計だけでも25万人950億円(1人あたり約38万円相当)になります。ここでは計算の流れに注目してみました。

この数字が出てきたのは、平成19年5月30日の衆院厚生労働委員会で、柳沢厚生労働相が、社保庁の試算として明らかにしました。

どうやって計算したのか?

過去6年間で、支給漏れ年金の発見にて、実際に年金額を訂正した年金の受給者、約22万人から約1000人をサンプル調査したもので、そのうち約30%の人たちが5年間の時効によって過去の年金を受け取れなかったということです。

そこで、現実に支給漏れがあった6年間22万人を1年あたりの人数に計算すると、22万人÷6で、1年あたり3万7千人が支給漏れにて年金額を訂正する計算となります。

そして、その3万7千人のうち、サンプル調査で出てきた30%を掛けて、さらに平均余命などを掛け合わせるなどすると、時効で受け取れない部分の年金をもっている人たちは、約25万人と推定されるのです。

そこから、時効がなければ本来支給されていた額は、総額約950億円となるわけです。(平均余命をどのように計算したのかは、残念ながらわかりません。)

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厚生年金支給漏れがみつかって年金額が下がる人もいる?

年金記録訂正で『減額』でも受給額減らさぬ方針へ
本人の年金記録が特定できて、かえって年金受給額が減額されるようなケースにおいては「修正なし」とする運用に改められました。(日経新聞報道2008年5月~)

年金の支給漏れ対策は全体的に見れば歓迎すべきことなのですが、厚生年金の支給漏れが見つかったばっかりに、もらえる年金額が少なくなる人も出てくるのです。どういうことかと言いますと・・・

厚生年金支給漏れが見つかって年金額が下がるケース

国民年金の支給漏れが見つかった場合は何も問題はないのですが、厚生年金の支給漏れが見つかった場合には、人によっては、「加給年金」「振替加算」が支給されなくなる恐れがあるのです。

加給年金については、年金に関する雑誌等で度々取り上げられているのでご存知の方も多いかと思いますが、典型的なケースでは夫が厚生年金に20年以上勤めていて、妻が専業主婦の場合に、夫の年金に加給年金(40万円)が支給され、妻が65歳になると加給年金は消えて妻の振替加算として老齢基礎年金の上にくっつく形となります。(振替加算は生年月日により金額が異なります)

参考:弊所加給年金のページ

妻の厚生年金が20年を超えると

例えば加給年金の制度を知っていて、自らの年金記録を正確に把握し、自らの意思で厚生年金の被保険者期間を20年未満に抑えている人は、支給漏れ年金という話は出てこないかと思います。

しかし、支給漏れ年金の調査が実行され、それまで見落としていた(支給漏れで厚生年金期間とカウントされていなかった)厚生年金期間が加算され、妻の厚生年金期間が20年を超えてしまうと加給年金も振替加算もストップしてしまいます。そして、何より懸念されるのは、その受給していたお金の行方です。

問題になりそうです

通常ならば、受け取る権利のない年金を誤って受給していた場合、そのお金は国に返還しなければなりません。しかし、年金の支給漏れの問題との絡みで言えば、非常に複雑です。

自分の知らぬ間に年金の支給漏れが生じていて、「年金の支給漏れが見つかったので加給年金(振替加算)の分年金額が下がります。しかも、今まで受け取っていた分はさかのぼって返して」そんな風に言われて果たして納得できるでしょうか。

または、年金を少しでも取り戻そうと、自ら頑張って支給漏れを発見したところ、年金額ダウン。該当する人はそう多くはないとは思いますが、とは言っても年金のしくみ上ありえる話ですので、これからそういう話も出てくることと思います。

※2008年1月9日の産経新聞に、宙に浮いた年金が統合されることによる年金額ダウンのケースについて、これを受け入れなければいけないのかどうかということに関する記事が掲載されておりましたので一部引用させて頂きます。

『この件について、各地の社会保険事務所の対応が統一されていないのも問題になりそうだ。年金減額を説明された女性は「額が減ると聞いて、『それなら訂正しないで』と言ったら、『記録漏れが分かった以上、元に戻すことはできない』と言われた」と話す。一方、社会保険庁は「本人の了解や納得が得られなければ、無理に記録訂正はできない」として、記録をそのままにすることを否定していない。(原文まま)』

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支給漏れ年金騒動最中、国民年金徴収作業はしっかりと

6月初頭、わが家に社会保険事務所の国民年金徴収員が、保険料の催促に訪れました。私もよくないのですが、保険料をまとめて払うというスタイルのため時々徴収員が訪れます。しかし、支給漏れ年金がこれだけ問題になっているこの時期に徴収作業とは少し驚きました。

国民年金支払い、私のいけない告白

私は自営業なので国民年金に加入しています。
口座振替を勧められることもありますが、現金払いによって保険料を払う実感を確かめ続けたいとの思いから、ずっと納付書による現金払いです。

しかし、私はあまり計画性があるほうではありませんので、ちょくちょく保険料の存在を忘れ、数ヶ月保険料の支払いが滞ることがあるのです。

そのため私のところには、社会保険事務所の国民年金保険料徴収員がそのたびに催促に訪れ、数日後に現金を用意して支払いを済ませます。まるで目覚まし時計に促されているようで、後ろめたさもありますので「毎度すみません・・・」と心の中で反省しています。

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その昔、女性の厚生年金は55歳からの支給でした

旧法の厚生年金では、男性60歳、女性55歳が年金受給開始年齢でした。これから年金をもらう人には関係ないと思いきや、支給漏れ年金が見つかり時効撤廃が成立した時は、関係ないとも言い切れません。

時効撤廃で過去の厚生年金規則が注目に

これを書いている平成19年6月時点では、支給漏れ年金の時効は撤廃されていませんし、いろいろな取扱がどうなるかわかりませんが、場合によっては経過措置と共に無くなっていった厚生年金の規定が生きてくるかもしれません。

例えば年金漏れが見つかり、さかのぼって一時金をもらう時に、何歳から年金が出ていたか、漏れの部分はその前か後か、といったことが計算上関係するようになってくると思われます。知っていないと見逃される恐れが高いだけに、特に年配の方は、過去の年金のルールを知っておくことにはメリットがあるものと思います。

昭和61年4月前の女性の厚生年金

昭和61年4月前の厚生年金、いわゆる旧法の厚生年金ですが、女性の年金支給開始年齢は55歳でした。(男性は昭和29年の改正で60歳引き上げは済んでいます)

そして、昭和61年4月以後の新法の厚生年金からは60歳にするということが決まりました。女性の厚生年金支給開始年齢は、経過措置をもって、生年月日ごとに60歳引き上げが実施されたのです。

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脱退手当金とは?(厚生年金)

かつて短期間で会社を辞める女性社員が、厚生年金の脱退手当金を受け取るケースが多かったのですが、今は少しの厚生年金加入期間でも年金に反映されますので、脱退手当金は必要なくなりました。脱退手当金をもらった昭和61年4月までの分は、合算対象期間に反映されます。

脱退手当金と合算対象期間

脱退手当金を受け取った部分にかかる厚生年金の被保険者期間、昭和36年4月1日~昭和61年3月31日までの分は合算対象期間となります。

年金をもらうために必要な受給資格期間の25年(原則)に、脱退手当金の対象となった厚生年金の加入期間が算入されますので、「無年金」を防止するにはこの脱退手当金の対象となった期間が一役買うことになります。(ただし年金額には反映されず。)

廃止された脱退手当金

脱退手当金は、昭和60年改正によって廃止されました。
ただし、昭和16年4月1日以前に生まれた者には支給するということになりました。なぜならこの方々は昭和61年4月1日(昭和60年改正法施行日)に45歳以上で、このときから厚生年金の加入期間である65歳(当時)までは20年未満のため、若い世代に比べて厚生年金加入期間が掛け捨てになってしまう可能性が高かったからです。

昭和16年4月1日以前に生まれの人たちは、その後の状況次第で脱退手当金の道を残すことで、掛け捨て防止の道も残したということになります。

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こんな人は危ない!年金の支給漏れチェック

年金の支給漏れは、起こりやすい人と起こりにくい人がおります。全員が社会保険事務所で年金加入記録の確認をすることは大前提ですが、注意しなければならない人はどういう人なのでしょうか。

転職・転勤・出向経験の多い方

かつて厚生年金では、会社が変わるとその度ごとに年金番号を発行していたという事実がありました。1つの厚生年金被保険者証で2社、3社の会社の記録が入っていたり、1社しか入っていなかったり、または複数の厚生年金の年金番号を持っているのに同じ会社のものであったり・・・

何も転職だけではなく、転勤によって新たに年金番号が発行されることもありましたし、出向によって年金番号が追加されるということもありました。ですので、自分が勤めていた会社の年金番号があっても、それだえで安心はできないのです。例え短い期間であってもです。

女性の方の結婚前のOL期間

65歳からの厚生年金は、たとえ1ヶ月の勤務歴であっても年金として反映されます。例えば22歳で大学を卒業して23歳で結婚、専業主婦になっても、その間の1年間の厚生年金期間として生きています。

仮にその後国民年金に加入しなかった期間があっても昭和61年3月までは合算対象期間として受給資格期間として通算されますから、さらにその後第3号被保険者となる、または働きに出る、国民年金に任意加入をするなどして年金の受給権を得ることができれば、わずかな厚生年金加入期間であっても、無駄になることはありません。

名前の問題「結婚による姓の変更、間違えやすい名前、偽名等」

結婚等で性が変わった人は、変更前、変更後で別人として年金記録が管理されていることがあります。また、名前の読み方が複数考えられる場合や、難しい漢字の方の場合、違う名前で他人として管理されていることもあります。

もしくは事情により偽名で働いていた人も、年金記録は偽名で登録したもので管理されていることもあることから統合するのは…どうするのでしょう?偽名のケースは実務上経験がありませんが、恐らくは厚生年金被保険者証や年金手帳を保管していれば認められると思いますし、照会作業上、勤めていた会社名と偽名が一致していれば問題ないのではないでしょうか。

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年金相談と依頼状(委任状)[印刷用PDF臨時掲載]

「親の年金記録漏れを調べたい」…このようなとき、社会保険事務所へ持参するものに「依頼状(委任状)」というものがあります。せっかく何時間も待たされて自分の番が来ても、必要な書類がなければ年金相談に応じてもらうことはできません。ここでは依頼状(委任状)の書き方をお伝えしようと思います。

依頼状(委任状)に書く内容

依頼状(委任状)は、特に決められた用紙があるわけではありませんので、A4かB5サイズの紙に必要事項を書いて、年金相談を受けるときに提出すれば足ります。記載内容は次のとおりです。

  • 本人(父親の年金記録を聞きたいのでしたら父親)の年金手帳に記載されている基礎年金番号、または年金証書に記載されている基礎年金番号と年金コード。
  • 本人の住所
  • 氏名
  • 生年月日
  • 依頼内容
  • 本人が来られない理由(多忙等でも可)
  • 依頼される方の住所
  • 依頼される方の氏名
  • 依頼される方の生年月日
  • 本人と依頼される方との関係(友人でも可)
  • 署名押印(本人が本人の印でする)

「依頼内容について」は、細かく書きすぎるとかえってそれ以外のことがやりにくくなりますので、例えば「年金見込額照会回答表や年金記録一覧表など、年金記録の確認のための資料をすべて出し、その詳細を聞き、その場で年金の記録もれが確認できたものについては記録を統合する。」

または、「年金記録漏れ調査にかかる手続一切を委任する」というように、その場で必要な調査・手続が生じたときに動きが取れるように記載するのが良いと思います。

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基礎年金の国庫負担「2分の1」引上げはどうなる?

国民年金(基礎年金)の支給に関しては、平成16年改正によって、「3分の1」から「2人の1」へ引き上げることが決まりました。しかし、あれやこれや財源の確保を検討・準備・一部実施をしているうちに『年金支給漏れ問題』が起こり、予定がもろくも崩れ去る勢いです。時効撤廃も計算外だったでしょうし、支給漏れ件数も想像以上・・・果たして国庫負担2分の1への道のりは険しい?

平成16年年金改正と基礎年金の国庫負担引上げ

平成16年の法律改正では、基礎年金の国庫負担割合を3分の1(2003年で約5.6兆円)から2分の1に引き上げることが決まりました。

そして、具体的な方策や実施時期について法附則で、「2004(平成16)年度から年金課税の見直しによる増収分を財源として国庫負担割合の引上げに着手し、2005(平成17)年度及び2006(平成18)年度に適切な水準へ引き上げた上で、2分の1に引き上げる特定年度については、2007(平成19)年度を目途に所要の安定した財源を確保する税制の抜本的な改革を行った上で、2009(平成21)年度までのいずれかの年度を定めるものとする」と定められました。

すでに行っている基礎年金の国庫負担、財源確保対策

基礎年金の国庫負担財源確保として、すでに行っているのは65歳以上の人の公的年金等控除の最低額を140万円から120万円へ引き下げたことと、65歳以上で所得金額が1,000万円以下の人の老年者控除(1人50万円)を廃止したことです。(平成18年度~)

しかし、これによる財源確保の金額は約1,600億円ということで、国庫負担を2分の1に引き上げるのに必要な分、2兆7000億円には程遠い金額となっています。

なお、この必要とする金額は消費税で言うと1%に相当する金額です。

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特例納付とは?

「消えた年金問題」で、国民年金の年金記録の消失事例が目立つ「年金の特例納付」。1970年~1980年の間において「無年金」を減らすことを目的として計3回行われました。その特例納付の行われた時期と、納付金額が平成19年7月2日、明らかになりました。

特例納付の時期、件数、納付額

国民年金保険料の未納分の後払い、「特例納付」が行われた時期と件数、納付額は次の通りです。

  1. 1:1970年7月~1972年6月=約219万件(約172億円)
  2. 2:1974年1月~1975年12月=約280万件(約628億円)
  3. 3:1978年7月~1980年6月=約229万件(約1675億円)

なお、特例納付保険料は、第1回目が月額450円。第2回目が月額900円。第3回目が月額4,000円となっています。(平成16年財政再計算結果資料より)

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国民年金名簿未保管200旧市町村名

2007年7月4日、社会保険庁は年金記録問題検証委員会において、国民年金被保険者の名簿を保管していない200旧市町村の名前を明らかにしました(2002年3月末時点の旧自治体単位での集計)。国民年金は、厚生年金よりも関連資料が少ないため、調査においてかなり不利になることは間違いなさそうです。

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消えた年金問題「照合」「突合」「統合」の違いとは?

消えた年金問題のニュースにおいて使われている「照合します」「突合します」「統合します」というイメージの似た言葉。年金請求者の視点から、いつの段階でどの言葉が一番フィットするのかを見ていきます。(あくまで、年金実務的での話です。)

照合とは?

年金の請求者から見て照合とは、社会保険庁のオンラインデータに存在する5000万件の宙に浮いた年金記録から、基礎年金番号に含まれていない本人の年金記録を検索において探し出す作業をいいます。

例えば次のような年金記録の持ち主がいるとします。

  • 年金手帳あり(基礎年金番号あり)
  • 厚生年金被保険者証2枚あり
  • その他勤務歴3社あり(資料残存なし。年金番号不明)

この場合、まず基礎年金番号で年金記録を確認します。そして、基礎年金番号に含まれていないものでも、厚生年金被保険者証の番号をパソコンで入力し、この厚生年金番号があるかどうかを確認するのが第1段階の照合です。

そして、年金番号がない3社分の年金記録がパソコン上にないかどうか検索します。名前、生年月日、会社名をそのまま検索したり、組合せで検索したりするのですが、これが最も「照合」という言葉にフィットしている作業です。

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消えた年金認定の基準方針案「2原則」とは?

年金保険料を払ったのに、社会保険庁に年金記録が存在せずに領収証もない、いわゆる消えた年金対策として、2007年7月4日「年金記録確認中央第3者委員会」の基本法新案が明らかになりました。「明らかに不合理でない」「一応確からしい」の認定2原則とはどういうものでしょうか?

「消えた年金」一歩前進

年金記録もなければ領収証もない「消えた年金」に対し、今までは回復の手段がありませんでした。しかし、今回新たに「明らかに不合理でない」「一応確からしい」という新たな認定原則が出てきたことで、随分と救われる可能性が広がってきたように思います。

判断の基準としては、申し立てた内容が明らかに不合理ではなく、および一応確からしいということが認められ、総合的に見て認定できるとされた場合に消えた年金が回復、認定されることになります。具体的な内容は下記のとおりです。

消えた年金対策 判断の基準1「明らかに不合理でない」

国民年金と厚生年金それぞれにおいて、判断の基準は次のようになっており、明らかに不合理でなければ認められることになります。

国民年金

  • 納付したと主張する保険料が、当時の保険料の額と大きく齟齬(そご)していない。
  • 特例納付を行ったとする時期が、その実施期間中である。
  • 特例納付の手続を社会保険事務所で行っている。

厚生年金

  • 加入期間や標準報酬などの申立て内容。

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年金加入記録の確認方法のおさらい

消えた年金問題で、もはやほとんどの人が自分の年金記録を確認したものと思われますが、社会保険事務所窓口の混雑を避けるために静観して見ている方もいらっしゃると思います。そこで、まだ自分の年金加入記録を確認していない人のために、年金記録の確認方法をおさらいしてみようと思います。

年金記録の確認方法4つ

年金記録の確認方法は、社会保険事務所の窓口での確認の他、電話、インターネット、郵便の4つの方法があります。

年金記録の確認方法1「社会保険事務所窓口」

社会保険事務所に出向いて年金記録を確認する方法です。その場で確認できることはもちろん、パソコン画面上の年金記録を印刷してもらって持ち帰ることができます。

これが郵送の場合「被保険者記録照会回答票」が送られてくるだけですが、窓口ならば年金見込額や繰上げや繰下げをした場合の見込額なども出してもらえます。

また、説明を聞けること、疑問点があった場合にすぐに質問できること、年金記録の訂正もその場で行えることなど窓口ならではのメリットは多いです。

デメリットは待つことや労力の問題だと思いますが、正直一生の生活を支える年金のことを思えば、何度社会保険事務所に出向いても、なんでもないことだと思います。

社会保険事務所への基本的な持参物は年金手帳ですが、年金手帳が見つからない場合には、本人であることを確認できるもの(運転免許証、保険証等)のほか、社会保険事務所や社会保険業務センターからの郵送物があれば、一緒に持参します。

よくわからない人は、認印も身分証明証も通帳も、年金に関係しそうなものすべて持参することをおすすめします。当然年金手帳が複数あるときには、そのすべてを持参します。

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昭和40年代に「消えた年金(国民年金)」が多いワケ

国民年金で「消えた年金」となってしまっているのは昭和40年代半ばから後半にかけてが多いように思います。なぜか昭和40年代だけ数ヶ月、ないしは3年4年と国民年金に空白がある。その他はきちんと納付しているのに・・・。おそらくその原因は、国民年金被保険者台帳の廃棄時期と無関係ではないようです。

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氏名のない年金記録の存在が発覚

2007年7月17日、政府は社保庁コンピュータにある年金記録のうち、氏名のない年金記録が含まれていることを認めました。該当者不明5000万件のうち何件が氏名のない年金記録なのかは明らかにされていません。

民主党の質問主意書に回答

※質問主意書・・・国会議員が会期中、内閣に対して書面で行なう質問で、質問主意書を受け取つた内閣は、その日から7日以内に回答しなければならない。

従来より氏名のない年金記録の存在は指摘されていたものの、その存在を政府が認めたのは初めてです。下記がその当該部分となります。

民主党長妻昭議員の質問主意書から抜粋
参照:「消えた年金」問題の安倍総理の不作為責任等に関する質問主意書

「七 厚生年金においてオンライン上の記録で、氏名が無い(空欄)ケースはあるのか。氏名が無いケースで、生年月日を頼りに、奇跡的に統合できたケースがあるという話を聞くが本当か。5000万件の記録の中で氏名が無いものは何件あるか。調査するおつもりはあるか。」

表題「衆議院議員長妻昭君提出「消えた年金」問題の安倍総理の不作為責任等に関する質問に対する答弁書」より抜粋

「七 社会保険オンラインシステムによって管理している記録において、お尋ねの氏名が収録されていない記録が存在していることは承知している。この場合においても、本人の生年月日や職歴等を確認すること等により、基礎年金番号への統合を行なうことができたものもある。また、未統合の記録のうち、氏名が収録されていない件数については、今後、統合作業を行なう中で把握することとしている。」

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年金に結びつかない脱退手当金の対象期間

自分の年金記録を確認していく中で、思わぬ厚生年金の記録が見つかることがあります。しかし、会社を退職したときにもらうお金の中に、脱退手当金として年金を清算したものが含まれていた場合、その年金加入期間は年金額には反映されません。過去脱退手当金を受け取ったのは女性に多く、悔しい思いをしている人は大勢いると思われます。

脱退手当金の概要

当サイト関連ページ:「脱退手当金とは?

昭和36年まで、厚生年金は厚生年金で20年加入していなければ年金の受給権は得られませんでした。そして昭和36年から昭和61年までは国民年金と併せて20年でもよしとされましたが、その期間、夫が会社員の専業主婦は国民年金に任意加入でした。

そのため、結婚してからは国民年金に入らないという女性も多く、結果的にOLをしていた厚生年金の加入期間は掛け捨てになってしまう可能性は高いものでした。

そのため当時は女性が結婚退職した場合、厚生年金を脱退手当金で清算し、一時金で払い戻すということが自然と行なわれていましたし、ある意味合理的な考え方でした。

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基礎年金番号未統合5000万件の名寄せ方法

オンライン上にあるとされる、基礎年金番号に未統合の記録5000万件の名寄せの方法は、次のように行ないます。※ここでの内容は、あくまで国が自主的に行なう名寄せの話ですので、私たちが社会保険事務所へ行き、照合を行なう作業とは異なります。

基礎年金番号への名寄せ方法「氏名」

基礎年金番号への統合にかかる基本となる名寄せ情報は、「氏名」「生年月日」「性別」です。この3つをフィルターとして消去法で正しい情報を残していきます。

3つとも一致していれば、もちろん本人への通知へつながりますが、そうでないものをどうするのかということが課題となっています。まず氏名については、「かな氏名」「漢字氏名」「性別」にわけて考察されます。

かな氏名

例として、登録された情報が「シンドオ☐シヅオ」の場合、同音間違い「シヅオ」と「シズオ」、濁点の有無「シヅオ」と「シツオ」、姓名間のスペースの有無「シンドオ☐シヅオ」と「シンドオシヅオ」のそれぞれのパターンで異なっているものを同一人とみなします。

漢字氏名

例として、登録された情報が「斉藤」の場合、新旧字体の違い「斉藤」「齋藤」「齊藤」「齎藤」など異なる字体を『斉藤』と統一して同一人とみなします。

姓が違うもの

婚姻や離婚による姓の変更を想定し、名前のみでも同一人とみなします。例として「山田花子」さんと「斉藤花子」さんは同一人とみなします。

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「日本年金機構」を定める日本年金機構法の概要

消えた年金問題が起こり、社会保険庁が廃止・解体されるかわりに年金新法人「日本年金機構」が設立されることが決まりました。ここでは日本年金機構を定めている日本年金機構法の概要を見ていきます。

日本年金機構法のあらまし

1.年金新法人の組織等

  • 名称:日本年金機構
  • 役職員:非公務員、民間的な勤務条件
  • 国の監督:厚生労働大臣が直接的に管理監督し、事業計画・予算を認可、 業務改善命令等
  • 設立:平成22年4月までにおいて政令で定める日(平成22年1 月を予定) 同時に、社会保険庁を廃止

2.国と新法人の役割

  • 国は、公的年金に係る財政責任・管理運営責任(年金特別会計を備え、保険料徴収・年金の支払は国の歳入・歳出。年金手帳及び年金証書は、国(厚生労働大臣)の名義。)
  • 法人は、厚生労働大臣から委任を受け、その直接的な監督下で、公的年金 に係る一連の運営業務

※つまり、実務を新組織(日本年金機構)に変えるということ。

3.強制徴収の委任

  • 保険料の滞納処分は、厚生労働大臣の一定の監督の下で、法人に委任
  • 厚生労働大臣は、悪質な滞納者に対する滞納処分について必要があると認 めるときは、法人からの申し出に基づき、滞納処分の権限を、財務大臣を 通じて国税庁長官に委任

※「悪質な滞納者」とは、2年以上滞納、滞納額が高額、財産隠匿など。

4.民間へのアウトソーシングの推進(振り分けのための第三者機関)

次の事項について、学識経験者の意見を聞いた上で、政府が基本計画を閣議決定

  • 新法人が自ら行う業務と委託する業務との区分その他の委託の推進につ いての基本的事項
  • 法人の職員の採用についての基本的事項

※「この業務なら外部委託の方が効率的」などの決定を、外部機関に判断させるということ。

5.鵬員の採用(採否審査のための第三者機関)

  • 法人の設立委員が、労働条件及び採用基準を提示し、職員を募集
  • 設立委員は、人事管理の学識経験者の意見を聴いて、 採否を決定

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年金時効特例法とは?

年金時効特例法は、支給漏れが発見されたにもかかわらず、5年間の時効により受給できなかった年金がもらえるように変更された法律です。ここでは、どんな人が年金時効特例法の対象になるのか。また、必要な手続きや添付書類はどのようなものなのかを見ていきます。(公布・施行の日は平成19年7月6日)

年金時効特例法の対象となる人

年金時効特例法の対象者は2通りに分けられます。
1つはすでに年金支給漏れが判明して年金記録を訂正したものの、5年間の時効によってそれ以前の年金をもらえなかった人たち。もう1つは支給漏れ年金の潜在的被害者で、これから年金記録が訂正される人たちです。

既に年金記録が訂正されている人

  1. 年金記録の訂正により、年金額が増えた人・・・年金(老齢年金・障害年金・遺族年金)の時効消滅分が全期間遡って支給される。
  2. 年金記録の訂正により、年金の受給資格が確認され、新たに年金を受給できるようになった人(例えば、本来ならば60歳から年金がもらえたはずなのに、一部の年金記録が漏れていたために受給資格の25年に少し足りなかった場合で、67歳の時に支給漏れが発見され、遡って年金を受給するようなケース。この場合、5年以上前の62歳までの年金が時効消滅。)・・・年金(老齢年金・障害年金・遺族年金)の時効消滅分が全期間遡って支給される。
  3. 上記1,2に該当する人が亡くなっている場合、その遺族が未支給の時効消滅分を受給できる。(遺族の範囲は、本人が亡くなった当時、生計を同じくされていた「配偶者、子供、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹」で、優先順位は記載順。)

今後、年金記録が訂正される人

今後、年金記録が訂正された結果、上記1~3と同じように年金額が増える人。(増額された年金や身支給年金を全額受給できる。)

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ワケありの履歴(厚生年金)と消えた年金

自分自身の消えた年金対策を、急ぐべきか、政府の対応を待って取組むべきか。制度上、時効特例によって慌てる必要はなくなりましたが、支給漏れの解消は記憶頼りの部分が多いだけに、万が一のこと(本人、または配偶者等の死亡)を考えると早めに取組んだほうが良さそうです。

消えた年金対策は、「制度上は」急ぐことはない…けれど

2007(平成19)年7月6日、年金時効特例法が施行されたことにより、年金の記録漏れがあったとしても、または、これからの手続きにおいて年金の記録漏れが見つかったとしても、漏れた分の年金は遡って支給されることとなりました。

今までは年金を受給する時効が5年という縛りがあったために、急がなければ年金をもらいそびれてしまうこともありましたが、年金時効特例法により、急がなくともゆっくりと年金記録を調査して、年金の記録漏れがあってもそのときじっくり取組めば、5年に限らず年金受給権を得たときからの分の年金がもらえることになったのです。

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年金保険料の遡り納付と掛け捨てリスク

年金保険料は、受給年齢に近くなるほど掛けるリスクが少なくなり、若い人ほどリスクが高い。そんな当たり前のことを考えてみました。

「遡って年金保険料を納めろ!」は正しいか

過去、国会議員が国民年金の年金保険料を収めていなかったことが問題になったことがありましたが、実際未納だった議員の年金保険料は、法律どおりに過去2年分だけ納められました。

しかし、もしそれ以上遡って保険料を納められたとして、未納分を全期間収めたとしたら、それは褒められたことだったでしょうか。

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会社が無くても天引きがなくても厚生年金は・・・

給与から厚生年金保険料が天引きされていないからといって、年金記録が絶対にないということはありません。また、昔勤めていた会社が現在無くなっていても、厚生年金の加入記録がなくなるということはありません。

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「消えた年金」国民年金保険料180人分判明

社会保険庁は2007年9月3日、領収証など証拠資料があるために年金記録として認められたものが、新たに180人分判明したと公表しました。今回の判明分はすべて国民年金の納付記録に関わるもので、国にあるべき該当者の国民年金保険料の納付記録はどこにもありませんでした。

まさしく消えた年金記録

「年金記録が実際に消えているわけではない」
何度も聞いたフレーズですが、この180人分の年金記録については、社会保険庁のコンピュータにも、マイクロフィルムにも、市町村が保管する名簿にもまったく残されておりませんでした。

今回の納付記録の紛失の件は、社会保険庁が2006年8月から実施した特別年金相談の中から、2007年1月から3月末まで受付した115万件の中から調査・判明したもので、社保庁が総務省の「年金記録問題検証委員会」に提出した資料から明らかになりました。

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確定拠出年金の運用漏れ8万人分211億円

確定拠出年金のある会社を退職した時や転職した時において、必要な手続きを行なわないままでいると、それまで掛けてきた掛け金が塩漬けになるばかりではなく、毎月50円の管理手数料が掛かります。2007年9月6日、国民年金基金連合会の調べでは、その塩漬けになっている総額は、なんと8万人分で211億円ということです。

そもそも確定拠出年金とは?

確定拠出年金は国民年金や厚生年金のような公的年金とは異なり、会社が独自に行なう私的年金および企業年金というジャンルに属します。国民年金が1階部分、厚生年金が2階部分とすれば確定拠出年金は3階部分の年金になります。

また、確定拠出年金の場合、読んで字のごとく掛け金の「拠出」が確定しているだけで、将来もらえる年金額については、運用次第。ここは、厚生年金基金のように給付が約束されている確定給付年金とは異なるところです。

※運用・・・実際の運用の事務作業等は企業が委託している金融機関等が行ないますが、運用の判断自体は加入者自身が行ないます。運用の選択肢は株式、投資信託、預貯金などがありますが、運用の知識不足や安全性重視の気持ちから、現実には大部分が定期預金など預貯金にて運用されているということです。

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企業年金連合会も年金支給漏れ(3人に1人)

企業年金連合会は、2007年9月5日、60歳以上の受給資格者の約3割にあたる124万人に、本来支払うべき年金を支給していない事実を公表しました。このニュースを理解するには「企業年金とは?」「企業年金連合会とは?」「厚生年金基金とは?」・・・といくつもの理解が欠かせません。事実、わかりにくいからこそ3人に1人もの年金が支給漏れになっているのです。

企業年金とは?(企業年金連合会の理解の前に)

企業年金は、国民年金や厚生年金のような公的年金とは異なり、会社が従業員の老後のために特別に設けた私的年金です。国民年金が1階、厚生年金が2階、企業年金が3階として例えられることもあります。

企業年金の種類はいくつもありますが、今回のニュースで出てきた企業年金連合会が関係する企業年金は「厚生年金基金」で、働く会社によって厚生年金基金の有無は異なります。

厚生年金基金とは?

厚生年金基金は、3階部分に位置する企業年金ですが、他の企業年金のように単なる3階部分というわけではありません。2階部分の厚生年金の一部も3階部分の厚生年金基金が代行して扱っているために、受給年齢に達した時にもらえる年金も、本来の厚生年金部分の一部が入った3階部分の年金となるのです。

また、厚生年金基金は会社、または業種(例えばタクシー・・・東京乗用旅客自動車厚生年金基金)によって設立されています。

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国ばかりではない厚生年金の年金記録がない原因

過去に勤めていた厚生年金の年金記録がない場合、その原因は国のずさんな管理ばかりではありません。本人の勘違い、または会社側の手続きミス等も原因となっているケースがあります。

法律どおりとは限らない厚生年金の加入歴

厚生年金の加入記録を残すには、厚生年金の適用を受けて保険料を納めているということが必要です。「法律では確かに厚生年金の加入であるはずなので、厚生年金の年金記録がないのはおかしい」といっても、大前提の保険料を納めた実績がなければ、そもそも厚生年金に加入していなかったということになります。

会社自体が厚生年金に加入してなかった

本来厚生年金の加入義務のある会社なのに、厚生年金の加入手続きをしていなかった場合は、そこで正社員として働いていても厚生年金には加入となりません。もしくは、元々厚生年金の加入義務のない事業所で正社員として働く場合も同様です。

なお、それにも関わらず、給料から厚生年金保険料の従業員負担分が控除されていた場合の取り扱いについては、現在のところ救済されるということにはなっていません。(2007年10月現在:以降法改正等に注目するところ)

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「第三者委員会」消えた年金審査終了わずか2.3%

2007年11月15日の毎日新聞によると、6月から11月11日までの中央・地方第三者委員会への年金記録の訂正申立て件数は計2万5,641件で、審査が終了した件数は599件(全体の2.3%)となっています。このような状況の中、社会保険労務士に対しての第三者委員会調査員協力要請があり、募集をはるかに上回る応募が見られました。

「第三者委員会」消えた年金審査終了わずか2.3%

毎日新聞が伝えた第三者委員会の進展状況はとても深刻です。
現在の申込みベースで見てもすべての審査終了まで何年掛かるかわかりません。(『第三者委関係者から「単純計算すると、審査終了まで10年以上かかる」との声も出ている。(記事まま)』)

第三者委員会が始まってからそろそろ半年になろうかという状況で2.3%。事例を積み上げながら判定基準を決めるためにじっくりと取り組んでいるということも考えられますが、あまりにも進み具合が遅いです。

もちろん、そこで実際に作業をしている方々はまじめに尽力されていることは確かですが、いかんせん人が足りなすぎるような気がします。

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年金請求遅れでの時効分886億円

2004年度から2006年度までの3年間に年金受給開始の裁定請求が遅れたために、5年の時効によりもらえなくなった年金の推計が、5万8355人分で推計886億円になることが社会保険庁により明らかにされました。(2007年11月16日)このような請求の遅れによる時効分については、宙に浮いた年金が見つかった時に5年の時効が適用されない年金時効特例法には該当しないだけに、特段の注意が必要です。

時効で失われた年金

年金の請求は、5年が経過すると経過した分から時効によりもらえる権利が消滅してしまいます。すでにわかっている1999年度から2003年度の時効分の年金合計1155億円と合わせると、8年間で2000億円の年金がもらえなくなったということになります。

時効による消滅率は?

普通に年金を請求して、そのうち何人の人が時効でもらえない年金があったのでしょうか。社会保険庁によると、2004年度から2006年度において年金を新たに受け取ったおよそ482万人のうちの1.2%の人において、請求遅れによる時効分の年金が存在したということです。

2006年度に限れば年金の受給が開始された165万411人のうち2万505人に時効分の年金が存在し、これを1人当りに直すと162万円もの金額が受け取れなくなった計算になります。

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「消えた年金」新語流行語大賞トップ10に大臣受賞?

2007年12月3日に発表された2007ユーキャン新語・流行語大賞で「消えた年金」がトップ10入り。この言葉自体が新語・流行語として選出されること自体が不謹慎な印象を受けrのですが、受賞したのは厚生労働大臣・・・なぜ!?

「消えた年金」が新語・流行語?賞の対象?

世間が「消えた年金」について認識していなかった頃から、民主党長妻議員が執拗に調査・追及を重ね、一気に世間に認知された「消えた年金」の存在。

人によっては年金の受給資格が得られずに無年金となってしまうこともある深刻な問題にもかかわらず、これが流行語大賞のトップ10に入っているのですから驚きです。

そもそも、新語・流行語大賞とはどのような賞なのでしょうか?
自由国民社のホームページを見ると次のように記されていました。

「この賞は、1年の間に発生したさまざまな「ことば」のなかで、軽妙に世相を衝いた表現とニュアンスをもって、広く大衆の目・口・耳をにぎわせた新語・流行語を選ぶとともに、その「ことば」に深くかかわった人物・団体を毎年顕彰するもの。」

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社会保険庁を自主退職する職員が急増

2007年の4月から9月の半年間で、社会保険庁の職員を自主退職した人数は317人。これは消えた年金が発覚した2006年度の391人に匹敵するペースで、内訳は若手職員の自主退職が半数を占めているということです。(記事元2007年11月22日日刊ゲンダイ)

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ねんきん特別便とは?

ねんきん特別便とは、「国が調べた宙に浮いた年金の中で、あなたの年金である可能性が高いものが見つかりましたよ」という注意喚起のための通知です。(平成19年12月から3月までのねんきん特別便のこと。)4月~10月までのねんきん特別便は「該当しそうな宙に浮いた年金はありませんでしたが、念のため確認して下さいね」という意味合いのものです。

「ねんきん特別便」は誰に送られるもの?

「ねんきん特別便」は、すでに年金を受給している人と、年金の現役加入者すべての人に、1人1回に限り送付される通知物です。宙に浮いた年金記録5000万件のうち基礎年金番号と結びつく可能性が高い人に対しても、そうでない人に対しても「ねんきん特別便」が送付されることにっています。

「ねんきん特別便」は、いつ送られてくるの?

ねんきん特別便の送付時期は、「1.基礎年金番号に統合される可能性の高い年金記録がみつかったかどうか」「2.あなたが年金受給者か年金の現役加入者か」という違いによって、次のようになっています。

「1」の方のねんきん特別便

国の調査において、基礎年金番号に統合される可能性の高い年金記録がみつかった場合における当該対象者へ送付されるねんきん特別便は、2007年(平成19年)12月から2008年(平成20年)3月のいずれかの時期に送付されることになっています。

送付される順番は、まず宙に浮いたオンライン上にある「5000万件」の年金記録の中から「氏名・性別・生年月日」の3件で検索(1次名寄せ)して、完全一致もしくはほぼ完全一致した年金記録の対象者に対してねんきん特別便の送付を行います。

そして、条件を広げて検索(2次名寄せ)した、比較的精度の下がる年金記録の対象者に対してして順次ねんきん特別便の送付するとされています。

「2」の方のねんきん特別便

【すでに年金受給している人】

2008年(平成20年)4月から5月までにねんきん特別便が送付されることになっています。

【年金の現役加入者】

2008年(平成20年)6月から10月までにねんきん特別便が送付されることになっています。

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年金照合にマッチしそうな校正業の方の技術

5000万件のオンライン上の年金記録において最も特定が困難とされているのは、社保庁職員や学生アルバイトなどが年金記録をオンライン入力する際に誤読・誤入力してしまった年金記録です。このような年金記録については、いずれは残存する書類についてオンライン上の年金記録と突合せを行なうことが考えられますが、それは何年掛かるかわからない話です。

可能ならば誤って入力したオンライン上の年金記録を持ち主の元へもどす作業が先決・・・そこで、年金照合にマッチしそうな専門家、「校正」の方の力を借りるということも一つの手段となりうるのではないでしょうか。(朝日新聞2007年12月12日17面「私の視点」での校正業の方の話から)

バラつきがある社会保険事務所での年金照会

私たちが社会保険事務所で自分の年金記録が正しいかどうかを調べる時には、一般的な流れとして、まず基礎年金番号や持っているその他の年金番号を打ち込んで年金記録を出力してもらいます。

そして、「氏名」「生年月日」「性別」で打ち込んでもらい、出てきた年金記録と自分の記録・記憶を照らし合わせて年金記録を確定させます。

さらに、自分の記憶よりも出力された年金記録が少ない時には、名前の条件を変えたり性別を変えて入力してみたりすることになりますが、そこの部分(以降「検索能力」と言うことにします。)は担当者によってバラつきがあります。

ある窓口担当者はこちらが言ったパターンだけでしか検索してくれない・・・ある窓口担当者は少し調べただけで「もう無いと思います」と白旗・・・

逆に、検索のうまい窓口担当者になると、こちらでお願いした検索パターンだけではなく「これもやってみましょう」「これではどうでしょう」というように、時間を掛けて嫌な顔をせずに丁寧に検索してくれます。

検索能力のスキルの問題だけではなく、取組む姿勢によってもバラつきがあります。

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生年月日のまるめ年金記録はどうなったのか?

2007年10月25日の参院厚生労働委員会で、民主党の蓮舫議員の質問に対し社会保険庁の石井博史運営部長が答える形で明らかになった生年月日のまるめ年金記録。一部の年金記録において生年月日(オンライン上)が正しく管理されずに1日~9日が「1日」、10日~19日が「10日」、20日~29日が「20日」、30日~31日が「30日」となっていたというこの問題はその後どうなったのでしょう?12月17日からねんきん特別便が送付され始めていますが、このまるめ年金記録については反映されているのかどうか・・・?

生年月日のまるめ年金記録

生年月日のまるめ年金記録は、オンライン上に存在する宙に浮いた年金記録約5000万件の中の、氏名などがない約524万件において多く存在することが判明。

時期で言えば1963年(昭和38年)から1966年(昭和41年)頃に交付された年金記録で多く発生しており、それは団塊世代(1947年~1949年)の方の就職時期とも一部重なります。

社保庁側は現時点(2007年10月25日)において4500万件の方には顕著に発生していないとの見方をしているのですが、果たしてどうなのでしょうか?

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過程が知りたい!年金記録の照合調査

オンラインにおいても自分の年金記録が喪失していた場合、私たちは書面台帳やマイクロフィルムを調べてもらうために照合調査を依頼します。そして待つこと数ヶ月。何も見つからなかった場合には「調べましたがありませんでした」というそっけない短い文面で結果を伝達されるだけとなります。

しかし、それでは次のような疑問には応えられません。
「どこに存在する台帳・マイクロフィルムを、どのように調べたのか?」
「調べる過程はどのようなものか?」
「調べた担当者は誰か?(実名が無理ならば担当した所属名・役職名)」

年金の照合調査で、結果しか伝えられない不満

年金記録の照合調査には、オンライン上のものから書面台帳・マイクロフィルムの調査というように複数ありますが、その結果は『誰がやっても同じ』ではありません。

まずはオーソドックスな調べ方をして、それでも見つからない時には、知識・経験・ヒラメキ・・・発見の可能性をどれだけ導き出せるか、どれだけ忍耐強く深いところまで調べていけるか、少なからず人に左右されることになります。

年金記録の照合調査をお願いする側としては、新人1年目の担当官に調べてもらえるのか、熟練の担当官に調べてもらえるのか、それはまったくわかりません。

また、本当に調査を行なったのかどうか、どこの場所をどのように調べたのかどうか、まったく見えないところで行なわれていますので、信用するしかないのです。

しかし、この根深い年金不信の中、「ない」という結果しか書いていない通知を見て「やるだけのことはやった」と納得・信用でき人はどれだけいるでしょうか?

照合調査の申立て件数が膨大で担当官の人数が不足している中、物理的に見ても1件1件緻密に調べることができない現状。場合によっては本当にいい加減な照合調査で結果を出していることもないとは言えません。

中には調べる人が調べれば見つかっていたはずの年金記録が「ない」という結論になることも・・・

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「西暦・元号早見表」と25・88の法則

年金記録の確認などで、「西暦だと何年だろう?」「元号では何年だろう?」と迷うことはないですか?そんな時は次の2つの数字を覚えていれば、西暦から元号へ、または元号から西暦へと簡単に変換することができます。その数字とは、25と88です。(昭和以後における計算)

西暦・元号25と88の法則

自分の誕生日の西暦・元号以外は西暦・元号がいつも混乱してしまう・・・そんな方は「25と88の法則」を覚えておくとよいかもしれません。

これは、昭和の場合には西暦や元号に対して数字の25を足し引きして、平成の場合には西暦や元号に対して88を足し引きするというものです。

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「インターネットの年金記録照会」の利用体験

今は社会保険庁のホームページにある「年金個人情報提供サービス」を利用することで、自宅に居ながら自分の年金記録を確認することができます。(すでに老齢年金を受給している方等は利用できません。)ただ、実際に利用してみるとなかなかスムーズに先に進めないこともありまして・・・

年金個人情報提供サービスのログインまでの右往左往

年金個人情報提供サービス、すなわちインターネットの年金記録照会ですが、利用する大前提として事前に個人の情報を登録し、自分だけのページを見るための「ユーザID」「パスワード」を取得しなければなりません。

「ユーザID」・・・お客様専用番号や、お客様識別記号など分かりやすい名称であればわかりやすくて親切なのに・・・という不満を持ちつつも、パソコン上で必要事項を入力し、社会保険庁からユーザID,パスワードが届くのを待ちます。

そして2~3週間後。
ユーザID、パスワードが書かれた封筒が届きます。

ユーザID・パスワードの文字に不満

届いたユーザIDとパスワードを見てみると、英語の大文字と小文字と数字、そしてパスワードの方にはびっくりマーク「!」も使われていました。(例えばこのような感じです・・・「Rhs4WLn!1」)

このサービスの利用者の中にはパソコンが苦手な方もいるでしょう。そんな人がびっくりマークを入力できるでしょうか?大文字小文字を交えた入力も大変です。

お客様パスワード??

郵送されるユーザIDとパスワードを入力してログインすればいいと思っていたところ、パソコン画面の入力の欄には「お客様パスワード」を入力する欄もありました。

「お客様パスワード?」とすぐには思い出せなかったため、「ユーザID・パスワードを忘れてしまった方はこちらをご覧下さい。」というリンクをクリック。

すると、「”ユーザID”、”パスワード”、“お客様設定パスワード”が分からなくなった場合は、改めてご利用登録をしていただくようお願いします。」というメッセージが・・・

つまり最初からやり直しです。
なぜ3つも入力する必要があるのか?と思いつつも、再度やり直せばまた時間が掛かってしまうため、何とか申し込みをしたときのメモを見つけ出すことに。そして「お客様設定パスワード」も用意でき、入力準備が整いました。

続きを読む 「インターネットの年金記録照会」の利用体験

厚生年金給与記録の不正な処理とは?

会社員が入る厚生年金は、個人の給料の額に応じて保険料が決まる形になっています。給料の約15%(平成19年9月~20年8月水準)を厚生年金の保険料として支払うのですが、負担は会社と会社員が半分ずつです。

月の給料が50万円ならば、厚生年金保険料は約75,000円。
その半分の約37,500円を会社が負担し、残り半分を会社員の給料から天引き。会社が会社負担分とあわせて国に保険料を納めます。もちろん厚生年金の保険料が高い人ほど、その分将来受け取る年金が高くなります。

しかし、会社員の給料から天引きされる厚生年金の保険料が、納められるはずの国ではなく不正に抜き取られていたとしたら・・・

入っているはずの厚生年金に加入していないことにされている。または、高額の給料で高い保険料が天引きされているのに、実際には安い給料で国に登録されている。会社員の見えないところでそのようなことが行なわれている可能性があるのです。

しかも、厚生年金給与記録の不正減額については、一部社会保険事務所の指導の下で行なわれていたということもあり・・・被害がどれだけになるのか想像もつきません。

厚生年金給与記録の不正減額と不正利得金額例

厚生年金の給与記録を正しく届け出た場合と、不正に減額して届け出た場合とでは、国に納める厚生年金保険料はどのくらいの違いになるのでしょうか。給与50万円を15万円に不正減額した場合を見てみます。(厚生年金保険料14.996%:平成19年9月~平成20年8月分)

【給与50万円における正規の厚生年金保険料負担】

  • 会社負担=37,490円
  • 会社員負担=37,490円

【給与15万円における正規の厚生年金保険料負担】

  • 会社負担=11,247円
  • 会社員負担=11,247円

【この場合の会社の不正利得と会社員の不利益】

  • 会社の不正利得金額・・・(会社負担として本来納めるべき37,490円 - 不正減額で国に納める11,247円) + (会社員から天引きしている37,490円 - 不正減額で国に納める11,247円)=52,486円
  • 会社員の不利益=37,490円 - 11,247円=差額26,243円・・・その保険料分の増えるはずの年金が増えなくなります。

関連:厚生年金に1ヶ月加入すると、将来いくらの年金になりますか?

会社は、本来ならばこの会社員一人に対して、厚生年金の保険料としてマイナス37,490円の負担をしなければならないところ、給与記録を不正に減額したために負担が減ってマイナス11,247円に。

なおかつ会社員は自分の知らぬところで給与記録の減額が行われ、会社はちゃっかりと高い給料の厚生年金保険料37,490円を徴収していますので、差額26,243円は会社の不正利得となります。

そこから会社が負担する11,247円を支払えば、14,996円が浮く・・・すなわち本来の負担37,490円どころかプラス14,996円になりますので、不正処理の前と後では52,486円も違いがでてくるわけです。

厚生年金被保険者記録不正のパターンは?

  • 1.厚生年金に加入なし。従業員も承知していて天引きが行なわれていないパターン。
  • 2.厚生年金に加入なし。従業員の給料から天引きだけは行なわれているパターン・・・例えば退職日を月末ではなく月末1日前にして、退職する月分の厚生年金保険料が発生しないにもかかわらず、最後の月分も余計に天引きするなど。
  • 3.厚生年金に加入。給与記録は不正に減額したにもかからわず、従業員からは元の給与の水準で厚生年金保険料を天引きするパターン

2のパターンの場合、年金記録(厚生年金被保険者記録)自体に穴が開きますので、比較的不正を見つけるのは容易かと思いますが、問題は3のパターンです。

3の場合は厚生年金保険料の納付実績があることから、そこに不正があるという事実はなかなかみつけられません。古い記録になれば1ヶ月の給料が1万円、2万円ということもあり、現段階からその当時もらっていた給料の水準をチェックすることは容易ではありません。

もっとも年金記録のチェックにおいて、給料(標準報酬月額)まで目を配らせる人はそう多くはないと思いますが。

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「消えた長妻議員の議事録発言」を検索してみました

日刊ゲンダイ2008年1月26日号によると、2007年10月24日行なわれた第168回衆議院厚生労働委員会の民主党長妻議員の発言の一部が、理事会の合意や発言者の了解もないまま厚生労働委員長(自民党茂木委員長)により削除されたそうです。(削除は2008年1月15日)

いったいどの部分のどういう内容なのか・・・
実際に検索して調べてみました。

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「1466万件(1430万件)」年金記録照合作業もズサン?

消えなくても済むはずの年金も・・・
オンライン内5,000万件の年金記録とは別の「旧台帳1466万件」の年金記録照合作業が2007年12月から行なわれていますが、その現場がいささか問題含みのようです。

※ここでいう1466万件の旧台帳とは、昭和29年4月以前に厚生年金の被保険者資格を喪失し、昭和34年3月までに被保険者資格の再取得をしていない人の年金記録1,430万件と、昭和25年4月以前に船員保険の被保険者資格を喪失した年金記録36万件を合計したマイクロフィルムで保管されたものです。(オンラインには入力されていません。)

「1466万件(1430万件)」年金記録照合作業関連の各報道の流れ

この1466万件(1430万件)年金記録照合作業にかかる報道の始まりは2007年12月末発売の週刊現代1月5日・12日合併号『本紙記者が作業員になってみた!怒りと絶望の「年金照会現場」潜入ルポ」からでした。

その後日刊ゲンダイ2008年1月12日号『もはや絶望的、バイト1300人がやっている「年金照合現場」の驚愕実態』を報じましたが、ここまでは日本人アルバイトの作業現場の話。

そして今度は、週刊現代2月9日号『"年金ドロボー"社保庁の信じがたい不祥事はお台場でおきていた「年金照合現場」で中国人バイトが「大量転記ミス→失踪」』を報じ、この中国人アルバイトの件は1月30日民主党の厚生労働・総務部門合同会議で社保庁側が出席、説明することとなり、1月31日には次のように新聞各紙が報じることとなったのです。

  • 日経新聞 『年金記録1,430万件 派遣外国人が入力作業 社保庁、フルキャストに委託、漢字のミス相次ぐ』
  • 読売新聞 『年金記録転記で大量ミス 中国人アルバイトが誤記』
  • 毎日新聞 『厚生年金 転記作業で派遣の中国人ら大量ミス』
  • 東京新聞 『中国人ら大量転記ミス 年金記録 派遣会社に社保庁委託25万件やり直し』
  • 日刊ゲンダイ2月1日号 『社保庁年金記録照合やる気なし 目に余る中国人バイトの入力ミス』

外国人アルバイトの転記ミス問題が一際大きく報じられましたが、そもそも1466万件年金記録照合作業は具体的にはどのようなものなのでしょうか?

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国民年金の納付記録の記号「A」や「Z」の意味は?

国民年金の年金記録(納付記録)を調べる時にもらう『被保険者照会(国民年金納付記録)』。「AAAAA・・・」やら「ZZZZZ・・・」やらズラッと記号が並んでいるのですが・・・それだけでも頭がクラクラしそうです。ここでは、国民年金の被保険者照会に記載されている記号の内容を一覧にしました。

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年金記録訂正で『減額』でも受給額減らさぬ方針へ

社会保険庁は、年金記録の訂正にて本人のものと特定できる年金記録が新たに判明し、かえって『減額』となるような場合には、これを減額訂正しないとの方針を固めました。(2008年5月~:日経新聞5月8日号より)

年金減額の場合は年金記録『修正なし』へ

年金の記録漏れについて社会保険事務所等で年金記録の確認を行ない、本人の新たな年金記録が見つかった場合には通常自分の年金額は増えることになります。

しかし、漏れていた部分が何十年も前のもので、安い給料を元に計算した保険料の納付期間であった場合等一定の場合においては、年金額がかえって減額されてしまうこともありえるのです。(厚生年金支給漏れがみつかって年金額が下がる人もいる?

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昭和40年代後半に多い国民年金の消えた年金記録

社会保険庁は、2008年7月4日(金曜)の年金業務・社会保険庁監視等委員会において、国民年金の消えた年金記録(領収証がある一方で国に年金記録が存在しないもの)の2007年12月時点での件数が2480件にのぼることを明らかにしました。

2006年(平成18年)8月から12月の累計『55件』で大騒ぎになった正真正銘消えた年金記録ですが、2480件はその45倍にもなります。公表されたのが北海道洞爺湖サミット直前の週末ということで注目度は低いのですが・・・。

2480件の多くは昭和40年代後半

当該消えた年金記録2480件の訂正にかかる期間で多いのは昭和40年代後半です。ちょうど団塊の世代(昭和22年~24年生まれ)が20代半ば前後・・・就職、結婚、引越しなど人生のイベントも多く、もともと年金記録にミスが起こりえる時期・・・そのあたりも影響していると思われます。

また、訂正月数は1ヶ月から102ヶ月(8年半…年金約17万円に相当)となっています。

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「ねんきん特別便」返信しても督促ハガキが来る!?

「ねんきん特別便」の確認はがきを返信しても督促ハガキが来る??

日刊ゲンダイ2008年7月15日号によれば、日刊ゲンダイ記者が3月中に「ねんきん特別便」の(確認はがきの)返信をしたにもかかわらず、「現在までにご回答をいただいておりません」という6月19日付けの督促ハガキが届いたとのことです。これはいったい・・・?

ねんきん特別便の督促ハガキ送付のワケとは?

督促ハガキを送られた記者は、不安になって「ねんきん特別便専用ダイヤル」に電話をします(つながりにくい状態のため3日に分けてようやく通話)

そして、督促ハガキの番号と名前を告げると、「届いています」との返事。督促ハガキは4月に作成しているので行き違いがあったかもしれないとの答えでした。

その後記者は真相を聞くために、社会保険庁の年金保険課、企画課とたらい回しをされた挙句元の「ねんきん特別便専用ダイヤル」の社会保険業務センターへ電話。

「督促ハガキを出す前に確認すれば、郵送代や印刷代が節約できたのでは?(原文まま)」との問いに対して「おっしゃる通り、こういう行き違いはないほうがいい。ただ、6月は年1回の年金受給者へ通知書を送る月に当たり、業務が多忙を極めていたこともあります。(原文まま)」

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年金「第三者委員会」地域認定率の差と県民性

『認定率1位の新潟県72.7%~認定率50位の福井県9.4%…格差7倍超』

2008年(平成20年)7月17日。
消えた年金記録の審査・調査を行なう総務省「第三者委員会(年金記録確認第三者委員会)」が、受付を開始してから丸1年が経過しました。

総務省の調べでは、2007年7月の審査開始から2008年3月末までの判定結果5,016件の集計で、全国各県に1つずつある地方第三者委員会(北海道のみ4つ)50箇所の認定率に大きな開きがあることが明らかになりました。

総務省の分析では、
『「会社からの給与明細を保管していた」など、本人に有利な材料がある申し立てが多かった地方委ほど、認定率が高かった。逆に「亡くなった親が保険料を払い、自分は関与していなかった」など、あいまいな申し立てが多い地方委の認定率は低い傾向が見られたという。(読売新聞2008年7月18日)』

とのことですが、一方で北関東のある地方委員は、
『審査には、資料集めを担当する事務室職員の先入観や、委員の主観がかなり入る。(同じく読売新聞2008年7月18日)』

と証言するように、少なからず個人のパーソナリティも影響しているように思われます。

ここでは、県ごとに最大7倍もの大きな差が生じたという点に着目し、あくまで認定率格差が生じている可能性の一つとして「県民性との関係」を探ってみたいと思います。

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ねんきん特別便「青色」「緑色」+「灰色」「黄色」?

平成19年12月から始まった『ねんきん特別便』の送付。
当初は、年金記録が結びつく可能性の高い人に送付(送付期間は平成19年12月~平成20年3月まで)された「青色(ブルー)」のねんきん特別便と、年金記録に誤りがある可能性の低い「緑色(グリーン)」のねんきん特別便(送付期間は平成20年4月以降)の2種類と言われてきました。

ところが、一部には「青色」または「緑色」のねんきん特別便に加えて「灰色(グレー)」もしくは「黄色(イエロー)」のねんきん特別便が送付されることもあります。

※ここで取り上げた「青色(ブルー)」「緑色(グリーン)」「灰色(グレー)」「黄色(イエロー)」の封筒はこちら「ねんきん特別便:政府広報オンライン」でも確認できます。

なお、「灰色(グレー)」と「黄色(イエロー)」については、厳密にはねんきん特別便ではなく、ねんきん特別便を補足する「年金加入記録の確認のお知らせ」なのですが、政府広報でも4色同列に並べた上で「ねんきん特別便、お手元に届いたら、必ずご回答をお願いします。」と記していますので、ここでは4色とも『ねんきん特別便』として話をすすめます。

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図解:厚生年金の「消された年金」とは?

社会保険事務所職員の関与が指摘される厚生年金の「消された年金」とは、大きく分けて「1.標準報酬月額の引き下げ」「2.厚生年金加入期間の短縮」の2つに分けることができます。

第三者委員会(総務省年金記録確認第三者委員会)で認定されたケースの中から、2つのケースを見てみます。(2008年9月25日読売新聞夕刊参照)

(※標準報酬月額とは、厚生年金保険料を決める基準額のことで、実際の給料を1等級98,000円~30等級62万円までに分けられた仮定的な枠にあてはめて、一人一人の標準報酬月額が決定されます(2008年現在)。そして、厚生年金保険料は標準報酬月額に厚生年金の保険料率を掛けて決定されれます。)

1.標準報酬月額の引き下げによる「消された年金」

1つ目は過去に遡って標準報酬月額が引き下げられたケースです。

厚生年金の標準報酬月額が引き下げられた
ことによる消された年金

本来ならば、厚生年金の資格喪失の時点まで53万円の標準報酬月額だったところ、退職・会社の解散の後になり不自然な形で標準報酬月額が20万円に引き下げられています。

このような標準報酬月額の引き下げの場合、厚生年金に加入している事実には代わりがなく、被保険者本人が、生涯その事実に気がつかないままということも十分に考えられます。

2.厚生年金加入期間の短縮による「消された年金」

2つ目は、厚生年金の加入期間が短縮されたケースです。

厚生年金の加入期間短縮による消された年金

本来会社を退職するまで厚生年金に加入し続けるべきところ、会社を退職および会社の倒産の後になって、遡って資格を喪失(厚生年金を脱退)したことにされています。

この場合、厚生年金の加入期間そのものが減らされますので、被保険者本人の被害は上記1のケース以上のものとなります(期間が同じならば)。場合によってはこのせいで年金加入資格自体を満たせず、無年金となるおそれもあります。

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図解:厚生年金の「消された年金」その2

2008年(平成20年)10月3日、社会保険庁は厚生年金の標準報酬月額の大幅な引き下げ(5等級以上の引き下げ)が「75万件」あることを明らかにしました。

また、その他にも過去6ヶ月以上さかのぼって標準報酬月額を引き下げたものが「53万3千件」、標準報酬月額の引き下げの同日、または翌日に厚生年金の資格を喪失したものが「15万6千件」あり、厚生年金記録の改ざんが疑われる総件数は100万件を超える可能性が出てきました。

関連:図解:厚生年金の「消された年金」とは?

厚生年金の「消された年金」その2

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年金記録訂正後にも(受給まで)長期間待たされる不幸

【93歳の女性が1200万円の「消えた年金」を受け取れず死亡。】

「消えた年金」のせいで無年金扱いだった93歳の女性が、2008年5月にようやく13年分の国民年金の記録漏れが訂正され、消えた年金記録が本人のものだと認められました。

しかし、支払われるべき33年分の未払いの年金分、約1200万円が支払われる前、2008年11月上旬に女性は不幸にも亡くなってしまったのです。

※その後、11月中旬には社会保険庁は直近5年分の約220万円を女性の遺族に支払い、残額は12月中の支払いに向けて処理中。(2008年12月5日衆議院予算委員会|http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/001817020081205006.htmより)

※日刊ゲンダイ(2008年12月11日)によると、生前に受給できなかった総額が1000万円を超えるのは初のケースとのこと。

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22年度「年金記録問題予算」昨比アップも要求比半減

284億円(21年度の年金記録問題解決対策予算)
→1779億円(22年度の年金記録問題解決対策予算『概算要求』)
→910億円(22年度の年金記録問題解決対策予算)

これがなければ民主党への政権交代が起きなかったのでは?と思えるほど大きな問題である「年金記録問題」ですが、民主党初の本予算となる平成22年度予算では、どの程度年金記録問題解決に向けた予算が組まれたのでしょうか?

平成22年度予算案の主要事項(厚生労働省)
http://nk.jiho.jp/servlet/nk/release/pdf/1226490983016

PDF24ページ目「第2 信頼できる年金制度に向けて」より転載します。

※金額は平成22年度予算(カッコ内は21年度)

1 年金記録問題の解決910億円(284億円)
(1)紙台帳とコンピュータ記録との突合せ427億円(106億円)
被保険者名簿等の紙台帳等について、年金記録統合管理・照合システム(電子画像データ検索システム)を活用して個人単位でのコンピュータ記録との突合せを開始する。その際、予算を効率的・効果的に活用するため、受給に結び付く可能性の高い台帳等から優先的に照合する。初年度については、全体の約10%の突合せを行う。
(2)常に年金記録が確認できる仕組み(新規)40億円
年金加入者などの方が、パソコンを使いインターネットで即時に自身の保険料納付状況などの年金記録を閲覧、印刷できる仕組みを充実し、新たにID・パスワードもインターネットで取得できるようにする。また、自宅にパソコンのない方なども、市区町村や郵便局等で、職員等のサポートにより、年金記録を閲覧、印刷ができるようにする。
(3)年金受給者への標準報酬月額等のお知らせ122億円(111億円)
厚生年金受給者に対し、標準報酬月額の情報を含む年金記録をご本人に確認いただくため、お知らせを送付する。
(4)「今後解明を進める記録」の解明・統合等320億円(67億円)
サンプル調査など各種の解明作業による基礎年金番号に統合されていない記録の統合の促進、再裁定等の事務処理の促進などの対策を強化する。また、年金制度の本来の役割を確保するため、厚生年金の未適用事業所対策や徴収対策の強化を図るとともに、国民年金の適用・収納対策への効果的な取組みを実施する。

「年金記録問題」の解決に向けた予算は昨年度に比べて3.2倍(284億円→910億円)ものアップとなりましたが、かつての紙台帳照合についての発言『一年以内の作業終了には、莫大な人・モノ・カネが必要となるでしょう。全省庁から余剰人員を集めても不足する人員は、守秘義務を課したうえで、信頼できる民間に委託をして、国家プロジェクトとして取り組む覚悟が必要です。』(長妻昭著『消えた年金」を追って』リヨン社・初版発行2007年10月31日128ページより引用)、あるいは『そんなもの全部一年二年でやってくださいよ、人、物、金を集中投下して。』(厚生労働省:平成21年5月11日 171回国会 衆議院予算委員会http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/171/0018/17105110018026a.html引用)といった発言を思い返すと、ややトーンダウンした予算編成という印象です。

概算要求段階から半減した22年度「年金記録問題予算」

平成22年度予算の概算要求段階では、年金記録問題対策予算は「1,
779億円」で、年金保険料や年金受給額がわかる「年金通帳」についても予算が組まれていました。

下記表は、概算要求と平成22年度予算の金額との差額です。
(金額は平成22年度予算。カッコ内は概算要求との差額。)

1 年金記録問題の解決910億円(▲869億円)
(1)紙台帳とコンピュータ記録との突合せ427億円(▲362億円)
(2)常に年金記録が確認できる仕組み(新規)40億円(▲469億円)
概算要求では「年金通帳の導入」に509億円でした。「常に年金記録が確認できる仕組み」はその代替案でもあるため、509億円-40億円=▲469億円
(3)年金受給者への標準報酬月額等のお知らせ122億円(▲14億円)
(4)「今後解明を進める記録」の解明・統合等320億円(▲25億円)

当初2010年度(平成22年度)・2011年度(平成23年度)の集中対応期間2年間の中で、全体の7割(約6億件)の照合を完成させる予定でしたが、2010年度(平成22年度)は全体の約10%の照合、2011年度以降の計画は『明確な計画は立っていない』ということになりました。(『』2010年1月23日日経新聞5面記事より引用)

概算要求から大幅減の原因は「子ども手当」など他の予算措置のために予算確保が困難であったこと、調査の結果突合せする紙台帳の件数が少なかったこと、さらに費用対効果などが報じられているところです。

確かに、初年度見送りとなった「年金通帳」などは、あれば便利かもしれませんが、すでにねんきん定期便もありますし、深刻な税収減の中で509億円もの多額のコストを掛けて喫緊で作成する必要は薄く、現実に即した見直しかと思われます。

しかし、「国家プロジェクトとして、2年間集中的に取り組む」というスローガン(2009年衆議院選挙の政権公約)に触れる部分については、

【2009年12月13日読売新聞より】
『・・・4年間での全件照合は事実上不可能な情勢だ。年金記録の全件照合については、自公政権が10年かかると見積もっていたことに対し、野党時代の長妻氏は2年間での全件照合完了を強く要求した経緯がある。』(引用)

2年間や4年間の本当のところは、

『私もマニフェストを常に胸ポケットに入れておりますけれども、正確に言いますと、私どもが二年と申し上げておりますのは、二年間、記録問題への集中対応期間というふうに考えておりまして、集中的に二年の間に人、物、金を投下していくということでございます。そして一期四年の中で一定程度の年金の信頼を回復していく、こういうことをかねてより申し上げているところであります。』(平成21年11月18日 第173回国会 厚生労働委員会http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/009717320091118002.htm長妻厚生労働大臣発言より引用)

4年後、具体的にどの程度の照合が完了しているのでしょうか・・・

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「消えた年金」民主党政権時代の解明は400万件ほど

旧自公政権「2481万件」vs民主党政権「414万件」

民主党政権が終了して半年。

今回は、民主党議員が政権交代の成果としてアピールしていた「2860万件(2012年6月時点)」という消えた年金の解明実績についての検証です。

結論から言えば、民主党は、旧自公政権時代の実績(※)が無かったかのような表現によって、実績を過剰にアピールしていると言わざるを得ず、実際には、政権交代後の2012年6月時点での解明実績の増加件数は、わずか「374万件」でした。

※5095万件もの「消えた年金(宙に浮いた年金記録)」が確認された平成18年6月から平成21年9月までに旧自公政権内で解明した「2481万件」の年金記録。

旧自公政権時代民主党政権時代
平成18年6月~21年9月
(3年3か月)
平成21年9月~24年6月
(2年9か月)
旧自公政権時代の消えた年金の解明件数
平成21年9月時点
民主党政権時代の消えた年金の解明件数
平成24年6月時点

解明件数の計算について

平成21年9月時点のデータは、社会保険庁の「年金記録問題へのこれまでの取組(平成21年10月30日)」の中の「未統合記録の全体像(平成21年9月)」を使い計算しました。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/10/dl/s1030-8a.pdf

まずは、旧自公政権時代の実績である平成21年9月時点のデータを計算します。

具体的には、平成24年6月時点のデータで言う所の「解明された記録」の該当部分である1・2・4を合算します。
1…死亡が判明した者等の記録(653万件)
2…脱退手当金の受給等により新たな受給に結びつかないと考えられる記録(571万件)
4…平成18年6月以降基礎年金番号に統合済みの記録(1257万件)
1+2+4=2481万件
これが、旧自公政権における解明件数の実績です。

次いで、民主党政権時代の実績ですが、平成24年6月時点の実績総数を計算しつつ、そこから平成21年9月時点の実績を差し引くことで、純粋に民主党政権内で解明した消えた年金の件数を計算します。(「消えた年金」は、ここでは5095万件の宙に浮いた年金記録のことを指します。以下同じ。)

平成24年6月時点のデータは、日本年金機構の「未統合記録(5095万件)の状況と今後の対応(平成24年6月時点)」を使います。
http://www.nenkin.go.jp/n/open_imgs/service/0000006658.pdf

先ほどとは形式が異なりますが、内容は同じですので、1と2の(ア)(イ)を合算します。
1…基礎年金番号に統合済みの記録(1647万件)
2(ア)…死亡したと判断される者の記録(654万件)
2(イ)…脱退手当金受給済み等の記録(554万件)
1+2(ア)+2(イ)=2855万件
ここから、旧自公政権時代の実績「2481万件」を引きます。

2855万件-2481万件=374万件
これが、民主党政権内で解明させた消えた年金の件数です。
(平成24年6月時点まで。)

政権が終了する2012年12月までの全期間で見ても「414万件」という、政権交代に込められた期待を裏切る結果に終わっていたのです。
(この場合、旧自公政権も民主党政権も共に3年3か月での実績。図と計算はページ下部。)

続きを読む 「消えた年金」民主党政権時代の解明は400万件ほど

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