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社会保険事務所年金相談窓口の50%超が非常勤職員

社会保険事務所の年金相談窓口に座っている職員さん。

私たちから見れば、すべての人が社会保険事務所(または社会保険庁)の正規職員であるようにも見えますが、実は違います。

社会保険事務所の年金窓口の正規職員と非常勤職員数

上記図は、内閣官房「年金業務・組織再生会議(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/nenkin/index.html)」平成20年6月19日社会保険庁ヒアリング資料[資料2] 6ページを参考に作成したものです。

平均的な年金事務所(社会保険事務所)の来訪相談体制の箇所を見ると、7~8人の人員体制のうち正規職員が2~3人、有期雇用職員(非常勤職員)が4~5人となっており、実に過半数が有期雇用職員(非常勤職員)で組織されていることがわかります。

議事録(平成20年6月19日)より、該当部分を抜粋します。

『年金相談などや補助的業務ということで、現在のいわゆる謝金職員、賃金職員に相当する有期雇用職員ということで、雇用契約期間は1年程度、更新が可。給与については、平均でおおむね170万円から300万円弱ということで、現行の謝金職員とおおむね同等を想定しております。』(4ページ社会保険庁総務部長)

『現在平均的な年金事務所の来訪相談体制ということで、これは現在のものとしておりますけれども、1事務所全部で7名から8名、その内訳として正規職員が2ないし3名、プラス社会保険労務士あるいは有期雇用職員4、5人の体制ということでございます。』(6ページ社会保険庁総務部長)

※謝金職員(ここでは来訪窓口で働く非常勤職員のこと)といえども年金窓口には一定の経験・能力を有する人を配置しているため、対応において問題はありません。

低賃金、残業代・昇給・ボーナスなしで働く謝金職員

年金相談は、その対応如何によっては人の一生を左右することもあり、専門性と共に非常に神経を使う仕事です。

しかも、社会保険庁や年金不信に対する「苦情」「クレーム」も、正規職員と同じように受け止めなければなりません。

ところが、年金相談窓口の仕事は位置づけとしては「年金相談等や補助的業務」というくくりで扱われているため、謝金職員の待遇は非常に低水準に抑えられています。

社保事務所窓口で働く謝金職員Aさんの給与明細

2009年3月7日のテレビ東京「週間ニュース新書」では、「官製ワーキングプア」の問題が取り上げられており、その中で社会保険事務所の年金相談窓口で働く方(Aさん・・・非正規公務員)の給与明細が公開されていました。

Aさんは7年前に年金相談員となり、週5日、朝8時30分~17時15分までフルタイムで勤務。

「非正規公務員だが専門職。仕事量も増えている」とのことで、ねんきん特別便のときには朝から50~60人も並んでいて、「8時間も待ったよ」「何でこんなに遅いんだ」と怒られることもあったそうです。

しかし、昇給もボーナスもなく、月に何日か1~2時間の残業を行うが残業代も一切なし。

番組で公開した3ヵ月分の給与明細を見ると

  • 出勤20日=基本給130,095円
  • 出勤19日=基本給141,600円
  • 出勤17日=基本給142,000円

となっていました。

また、別の社会保険事務所におけるBさんの『人事異動通知書』をも公開され、そこには次のように記されていました。

『年金相談(I社会保険事務所)に委嘱する。日額7,100円を給する。任期は1日とする。但し任命権者から別段の通知がない場合は、平成21年3月31日までの間に限り任用を日々更新する。』(I…番組では実名ですが、ここでは伏せておきます。)

求人情報も調べてみました

グーグルで「非常勤 社会保険事務所 窓口」と検索すると、年金相談窓口に関するいくつかの求人情報が出てきます。

検索結果上位に出てくるフルタイム勤務(8:30~17:15)3点をピックアップしてみます。

  • A社会保険事務所=14万1168円
  • B社会保険事務所=13万4900円~14万9100円
  • C社会保険事務所=13万5,600円以上

時給880円

社会保険庁非常勤職員で組織される労働組合で構成されている「社会保険庁非常勤職員労働組合全国協議会(http://www.jichiro.gr.jp/shahohijokin/index.html)」の『社保非常勤労組全国協結成宣言(2008年1月28日)』より、待遇に関する一文を抜粋します。

『「謝金職員」「賃金職員」という非常勤職員の立場で3ヶ月~1年の雇用更新を続けながら、もう10年以上働いている仲間もたくさんいます。「謝金」で時給880円。』

時給880円で、日給にすると7000円程度。
年収では200万円未満となる薄給ですが、
これは社会保険事務所に限らず非常勤公務員全体で言えることなのです。

衆議院予算委員会(2009年2月25日)より抜粋

2009年2月25日の衆議院予算委員会より、官製ワーキングプアの箇所を一部(2箇所)抜粋します。(社民党菅野哲雄衆議院議員による総務大臣への質問より。原文では数字箇所は漢数字です。)

『総務省の研究会報告書によると、地方自治体で働く臨時、非常勤の数は約50万人、労働組合の調査では約60万人とも言われています。他方、常勤、いわゆる正職員の数は、平成7年から昨年まで14年連続して減少し、約38万3千人も減りました。正社員を減らして非正規に置きかえていくやり方は民間と全く同じなんです。自治体の相談員や学童保育の職場では臨時、非常勤が職員の9割を占め、学校給食や保育士なども5割以上が臨時、非常勤です。常勤職員と同じような働き方をしながら、事務職で働く臨時、非常勤の賃金が物件費として物と同様に扱われている現状、年収で200万円に達しないような人が約6割。大臣、このような官製ワーキングプアとも言えるような自治体の臨時、非常勤の実態をどのように認識しておられますか。』

『一方で人事院は、国家公務員の非常勤に対して、通勤費のみならず、期末手当の支給を求めています。ところが、総務省の研究会報告が手当の支給はまかりならぬとしているのは、私は理解に苦しむんです。国家公務員と地方公務員では臨時、非常勤の扱いについても法律が異なるという説明では、だれも納得できません。大臣、自治体の臨時、非常勤の方々の通勤費、一時金や退職金などの手当支給を検討すべきじゃないですか。』

東京新聞(2008年9月29日)によると、

『非正規職員の少なくとも67%は「年収200万円以下の官製ワーキングプア(働く貧困層)に該当する」とみられる。』

※民間は77%(2007年)。

ちなみに・・・

1日に平均2500人の求職者が訪れるという『ハローワーク池袋』では、その窓口の職業相談員のうち、なんと約7割が非正規公務員ということです。(先の「週間ニュース新書」より)

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