在職老齢年金

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厚生年金増額対策その6「在職老齢年金」

在職老齢年金とは、60歳以上となった人が、
年金をもらいつつ、なおも厚生年金に加入して働くことです。

厚生年金の保険料は70歳まで払うことになっていますので、
片方で保険料を払い、片方で厚生年金を受け取る。
そういう年金の形が在職老齢年金です。

厚生年金や共済年金のように、別の年金があるわけではなく、
そのような年金のもらい方の呼び名というわけです。

平成17年4月から無くなった、厚生年金の一律2割カット

平成17年3月までは、厚生年金に加入して働くだけで、
60歳台前半の労働の場合は年金が2割もカットされていました。
しかし、労働意欲がなくなるなど、数々の批判もあり、
平成17年4月からは、60歳台前半の労働に対する
厚生年金の一律カットはなくなりました。
これで、ずいぶん働きやすくなったといえます。

年齢別に3つに分けられる在職老齢年金

在職老齢年金は、60歳以降一律ではなく、
大きく分けると次の3つに分けられます。

厚生年金をカットされる基準で言えば65歳前半が比較的
年金カットをされやすい基準であるのに対し、
65歳以降はカットされる基準が大幅に緩やかになっています。
65歳までは正社員くらい働くならカットというイメージで、
65歳以降は、役職で働くくらいならばカットというイメージです。

また、厚生年金の保険料は70歳未満は掛かりますが、
70歳以降は掛かりません。

在職老齢年金の対象となる人は?

厚生年金に加入するにはいくつか要件がありますが、
それに該当するときに、在職老齢年金という話が出てきます。

在職老齢年金の対象とならない働き方

在職老齢年金の対象とならなければ、
年金をカットされることはなくなります。
もちろん、その場合厚生年金の保険料も払わなくなるのですから、
厚生年金はそれ以上増えなくなりますが、
在職老齢年金での年金カットは、単に減らされるだけの話なので、
厚生年金に加入しない働き方を選択するのも"あり"だと思います。
在職老齢年金の対象にならない働き方一例は次の通りです。

その場合、年金対策としては、
国民年金の任意加入に入る。
民間の個人年金を利用する。
という方策が考えられます。

60歳台前半(60歳以上~65歳未満)の在職老齢年金

60歳前半の在職老齢年金は、4通りの計算パターンがあります。
年金額の多さと収入の多さで分かれておりますが、
説明は、多数の方が該当する1パターンだけにいたします。

年金が月28万円以下、月収が48万円以下。

前提として年金の計算には加給年金は入りません。
また、月収は、月々の給与の他、
過去1年以内にもらった賞与を12等分したものも加算します。

さて、実際の計算ですが、年金額と月給を足した金額が28万円を
超えたら、年金カットが開始されます。
そのカットの金額は28万円を超えた金額の半額です。
例えば合計30万円なら28万円を引いた額の半額で1万円が年金から引かれます。

合計40万円なら12万円の半額で6万円が年金から引かれます。
つまりは手にする金額が28万円を超えたら年金の方から半分を
持っていかれるとたけ考えておけばいいわけです。

そして厳密に言えばこの28万円と、48万円という
二つの基準となる数字は毎年度変動するのですが、
来年も同じ数字でいきそうな気配ですので、
今のところはこのように覚えていても差し支えないと思います。

60歳台前半の在職老齢年金まとめ

・基本月額=老齢厚生年金(加給年金を除く)÷12
・総報酬月額相当額=標準報酬月額+以前1年間の標準賞与額÷12

基本月額+総報酬月額相当額 ≦ 28万円
支給停止額 0円

基本月額 ≦ 28万円 , 総報酬月額相当額 ≦ 48万円
支給停止額=(基本月額+総報酬月額相当額ー28万円)÷2

基本月額 ≦ 28万円 , 総報酬月額相当額 > 48万円
支給停止額=(基本月額+48万円ー28万円)÷2
+(総報酬月額相当額ー48万円)

基本月額 > 28万円
厚生年金では考えられないので省略

60歳代後半以降の在職老齢年金

平成19年4月から、 その時すでに70歳を超える方を除き、
70歳以降の人にも在職老齢年金のしくみが適用になります。

ただし、60歳代前半の在職老齢年金とは違い、
カットされる基準は大幅に緩和されています。

60歳前半では年金と月収が28万円を超えると年金カットでしたが、
60歳代後半以降の在職老齢年金では、年金と月収の合計が
48万円を超えなければ年金はカットされません。

しくみ自体は60歳前半同様に、超えた分の半分の額が年金カットです。
60歳代後半以降の場合は48万円を超えた半分の金額です。

しかも、金額以上に有利な点があります。
それは、65歳からの年金では1階部分(定額部分)が老齢基礎年金に
変わりますが、この1階部分は計算の対象としないのです。

つまり、65歳以降もらう年金から、老齢基礎年金と加給年金を除いた
年金額が計算の対象ですので、要するに、
もらう年金の2階部分(厚生年金)と、月収の合計額が
48万円を超えたときに年金がカットされるということになるのです。

在職老齢年金まとめ

60歳前半は年金と月収が28万円を超えたら年金カット、
65歳以降は年金と月収が48万円を超えたら年金カット。
ほとんどの方はその理解で問題はないと思います。

60歳前半は、雇用保険からの高年齢雇用継続給付という給付があり、
それに該当する人は、どの金額で働くのが最も得策かを計算する
ことになるかと思いますが、厚生年金も人によって年金の出る年齢が
違っていたり特例があったりで60歳前半話の話は複雑なところです。

ぜひ、社会保険事務所へ出向き、正確な数字で
計算されることをおすすめいたします。

在職老齢年金早見表