厚生年金・国民年金情報通厚生年金・国民年金増額対策室

« 年金保険料の「悪質な滞納者」と滞納処分 | メイン | 年金時効特例法とは? »

「日本年金機構」を定める日本年金機構法の概要

消えた年金問題が起こり、社会保険庁が廃止・解体されるかわりに年金新法人「日本年金機構」が設立されることが決まりました。ここでは日本年金機構を定めている日本年金機構法の概要を見ていきます。

日本年金機構法のあらまし

1.年金新法人の組織等

  • 名称:日本年金機構
  • 役職員:非公務員、民間的な勤務条件
  • 国の監督:厚生労働大臣が直接的に管理監督し、事業計画・予算を認可、 業務改善命令等
  • 設立:平成22年4月までにおいて政令で定める日(平成22年1 月を予定) 同時に、社会保険庁を廃止

2.国と新法人の役割

  • 国は、公的年金に係る財政責任・管理運営責任(年金特別会計を備え、保険料徴収・年金の支払は国の歳入・歳出。年金手帳及び年金証書は、国(厚生労働大臣)の名義。)
  • 法人は、厚生労働大臣から委任を受け、その直接的な監督下で、公的年金 に係る一連の運営業務

※つまり、実務を新組織(日本年金機構)に変えるということ。

3.強制徴収の委任

  • 保険料の滞納処分は、厚生労働大臣の一定の監督の下で、法人に委任
  • 厚生労働大臣は、悪質な滞納者に対する滞納処分について必要があると認 めるときは、法人からの申し出に基づき、滞納処分の権限を、財務大臣を 通じて国税庁長官に委任

※「悪質な滞納者」とは、2年以上滞納、滞納額が高額、財産隠匿など。

4.民間へのアウトソーシングの推進(振り分けのための第三者機関)

次の事項について、学識経験者の意見を聞いた上で、政府が基本計画を閣議決定

  • 新法人が自ら行う業務と委託する業務との区分その他の委託の推進につ いての基本的事項
  • 法人の職員の採用についての基本的事項

※「この業務なら外部委託の方が効率的」などの決定を、外部機関に判断させるということ。

5.鵬員の採用(採否審査のための第三者機関)

  • 法人の設立委員が、労働条件及び採用基準を提示し、職員を募集
  • 設立委員は、人事管理の学識経験者の意見を聴いて、 採否を決定

日本年金機構法の概要

趣旨

  • 公的年金制度は、全国民の強制加入を前提に、世代間扶養と所得再分配を行う仕組みであり、安定的な運営のためには、国民の信頼に応えることができる事 業運営体制が不可欠である。
  • このため、社会保険庁を廃止し、厚生労働大臣が公的年金に係る財政責任一管理運営責任を担うこととする一方、新たに非公務員型の年金公法人を設置し、 厚生労働大臣の直接的な監督の下で、一連の運営業務を担わせることとする。
  • この年金公法人においては、 「能力と実績に基づく職員人事の徹底 」「民間企業へのアウトソーシングの推進」等により、サービスの向上及び効率的かつ効果的な業務遂行の実現を図る。

法人の組織等(日本年金機構)

1.名称

日本年金機構

2.役員

  • 理事長、副理事長、理事、監事を置く
  • 理事長及び監事は、厚生労働大臣が任命副理事長及び理事は、理事長が厚生労働大臣の認可を受けて任命

3.理事会

法人の運営に係る重要事項を審議し、決定する。

4.役職員の地位等

  • 役職員は、非公務員とする。(刑法等の罰則の適用は、公務員とみなす。)
  • 役職員又は役職員であった者には、秘密保持義務を課す。
  • 役職員の報酬又は給与は、勤務成績等が考慮されるものでなければならない。
  • 役職員は、保険料により運営される年金事業の意義を自覚し、強い責任感を持 って、誠実かつ公正に職務を遂行する旨の服務の誓約を行う。

5.法人の事務所等

本部----ブロック機関----年金事務所

※社会保険庁----地方社会保険事務局----社会保険事務所
の関係に近いものです。

6.資本金

政府出資 (年金事務所の土地建物等を想定)

日本年金機構の業務運営

1.国と公法人の役割分担

  • 国は、公的年金に係る財政責任・管理運営責任を担う。(年金特別会計を備え、保険料の徴収・年金の支払は、国の歳入・歳出 。年金手帳及び年金証書は、国(厚生労働大臣)の名義で発行。)
  • 法人は、厚生労働大臣から委任を受け、その直接的な監督の下で、公的年金に係る一連の運営業務(適用・徴収・記録管理・相談t裁定・給付等)を担う。

2.業務運営の基本理念

法人は、その業務運営に当たり、国民の意見を反映しつつ、サービスの質の向上を図るとともに、業務運営の効率化、公正性及び透明性の確保に努めなければならないこと等を定める。

3.法人の業務

  • 厚生年金保険法及び国民年金法の規定により法人が行うこととされた事務
  • 健康保険法及び船員保険法の規定により法人が行うこととされた事務 (全国健康保険協会の管掌する健康保険及び船員保険に関する適用及び徴収)
  • 児童手当法の規定により法人が行うこととされた拠出金の徴収に関する事務

4.民間委託

  • 法人は、厚生労働大臣の定める基準に従って、業務の一部を委託する。
  • 委託を受けた者には、秘密保持義務を課す。

5.業務方法書、年度計画等

  • 法人が業務方法書を作成し、厚生労働大臣が認可
  • 年度計画(事業計画・予算)・・・法人が年度計画(事業計画・予算)を作成し、厚生労働大臣が認可。事業年度終了後、厚生労働大臣が実績を評価。
  • 中期目標・中期計画・・・厚生労働大臣が、3∼5年の期間に法人が達成すべき目標を設定。法人が中期計画を策定し、厚生労働大臣が認可。中期目標期間の終了後、厚生労働大臣が実績を評価。

6.報告撤収、改善命令等

厚生労働大臣は、法人に対し、報告徴収、立入検査、業務改善命令、法令違反等の是正命令を行うことができる。

7.財務及び会計

  • 法人の会計は、企業会計原則。
  • 法人は、毎事業年度、財務諸表を作成し、厚生労働大臣の承認を受ける。
  • 法人は、財務諸表、決算報告書等について、厚生労働大臣が選任する会計監査人の監査を受ける。
  • 政府は、法人の業務に要する費用を交付するものとする。その際、当該交付金の財源の国庫負担又は保険料の別ごとの内訳及び当該内訳に対応した交付金の使途を明らかにするものとする。

8.年金個人情報の利用及び提供の制限

年金個人情報については、年金事業の実施並びに全国健康保険協会による健康保険事業に関する事務、介護保険料等の特別徴収、他制度との併給調整等の事務を遂行する場合以外には、利用又は提供できないものとする。

9.年金委員

厚生労働大臣は、年金事業に関する国民の理解を高めるための啓発を行い、被保険者等からの相談に応じる等の活動を行う年金委員を委嘱する。

10.罰則

守秘義務違反、業務改善命令違反等に対して、所要の罰則を定める。

法人の設立準備(公布日施行)

1.基本計画

政府は、法人への業務の円滑な引継ぎを確保し、適正かつ効率的な運営を図るため、次の事項について基本計画を定める。(閣議決定)

  • 法人が自ら行う業務と民間へ委託する業務との区分、委託先の選定に係る基準その他の業務の委託の推進についての基本的な事項
  • 法人の設立に際して採用する職員の数その他の職員の採用についての基本的な事項

政府は、基本計画を定めようとするときは、あらかじめ、専門的な学識又は実践的な能力を有し、中立の立場で公正な判断をすることができる学識経験者の意見を聴くものとする。(内閣官房の下の会合)

2.設立委員

厚生労働大臣は、法人の設立委員を命じて、法人の設立事務を処理させる。

3.職員の採用

  • 設立委員は、法人の職員の労働条件及び採用基準を提示して、職員を募集する。
  • 社会保険庁長官は、社会保険庁の職員の意思を確認し、法人の職員となる意思を表示した者の中から、名簿を作成して設立委員に提出する。
  • 設立委員は、職員の採否を決定するに当たっては、人事管理に関する学識経験者からなる会議の意見を聴くものとする。
  • 設立委員から採用する旨の通知を受けた社会保険庁の職員は、法人の成立の時 において、法人の職員として採用される。

(法人に採用されなかった社会保険庁の職員の転任、退職又は免職は、国家公務員法の定めるところによる。)

関係法律の改正

1.権限の委任等の規定撃備(厚生年金保険法・国民年金法等)

社会保険庁長官が行うと定められている業務は、厚生労働大臣が行うことに改めるとともに、厚生労働大臣は、法人に権限の委任承び事務の委託をして行わせることとする。

2.法人に強制徴収を行わせるための規定整備(厚生年金保険法・国民年金法等

保険料の滞納処分は、厚生労働大臣から権限の委任を受け、法人において実施することとし、法人における滞納処分業務の公正性、客観性を担保するととも に、国の監督体制を十分に確保するために必要な措置を講じる。

  • 滞納処分こついての厚生労働大臣の事前認可
  • 滞納処分の実施規程の策定及び厚生労働大臣の認可
  • 滞納処分の実施職員の任命について厚生労働大臣の認可

3.強制徴収の国税庁への委任

厚生労働大臣は、悪質な滞納者に対する滞納処分について必要があると認める ときは、法人からの申し出に基づき、政令で定めるところにより、保険料の滞 納処分の権限を、財務大臣を通じて国税庁長官に委任できることとする。

4.その他

  • 「社会保険庁」の廃止(厚生労働省設置法から削除)
  • 保険医療機関等に対する指導・監査等の事務は、地方厚生局において実施するものとする。(平成20年10月1日施行)
  • 以上のほか、関係各法に閲し、社会保険庁の廃止及び年金公法人の設立に伴う所要の改正を行う。

施行期日等

  • 施行期日は、平成22年4月1日までにおいて政令で定める日(22年1月予定)・・・法人の設立準備に関する規定は、公布日。Ⅴの地方厚生局に係る規定は、平成20年10月1日。
  • 政府は、この法律の施行後3年を目途として、この法律の施行の状況、国民年金の保険料の納付の状況、機構における業務の効率化及び改善の状況等を勘案 して、機構の組織及び業務の存続の必要性の有無を含めた在り方その他政府管掌年金事業の運営に関する全般的な検討を行い、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
厚生年金増額対策まとめ厚生年金繰り下げ受給加給年金中高齢の特例60歳台前半の特例定時決定育児休業
退職改定任意単独被保険者高齢任意加入被保険者在職老齢年金3歳未満の養育特例
国民年金増額対策まとめ任意加入被保険者国民年金繰り下げ受給保険料免除制度国民年金基金時効の2年間
前払制度(保険料前納)会社員(厚生年金加入)付加年金第3号被保険者
年金Q&A公的年金制度と年金問題老後の年金生活の実態よくある年金の勘違い年金と税金
年金、ここが損得の分れ目国民年金の保険料国民年金保険料の免除厚生年金の保険料
年金の受給全般老齢基礎年金の受給老齢厚生年金の受給加給年金の受給寡婦年金
厚生年金保険への加入国民年金への加入年金の任意加入離婚時の年金分割
遺族厚生年金 遺族基礎年金中高齢寡婦加算在職老齢年金QA国民年金基金QA
年金の手続きその他年金受給者の手続き裁定請求書の書き方と留意点年金相談事例厚生年金の受給開始年齢
年金読書録(年金、年金生活、社会保障関連の本)消えた年金記録とは?プライバシーポリシー