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年金時効特例法とは?

年金時効特例法は、支給漏れが発見されたにもかかわらず、5年間の時効により受給できなかった年金がもらえるように変更された法律です。ここでは、どんな人が年金時効特例法の対象になるのか。また、必要な手続きや添付書類はどのようなものなのかを見ていきます。(公布・施行の日は平成19年7月6日)

年金時効特例法の対象となる人

年金時効特例法の対象者は2通りに分けられます。
1つはすでに年金支給漏れが判明して年金記録を訂正したものの、5年間の時効によってそれ以前の年金をもらえなかった人たち。もう1つは支給漏れ年金の潜在的被害者で、これから年金記録が訂正される人たちです。

既に年金記録が訂正されている人

  1. 年金記録の訂正により、年金額が増えた人・・・年金(老齢年金・障害年金・遺族年金)の時効消滅分が全期間遡って支給される。
  2. 年金記録の訂正により、年金の受給資格が確認され、新たに年金を受給できるようになった人(例えば、本来ならば60歳から年金がもらえたはずなのに、一部の年金記録が漏れていたために受給資格の25年に少し足りなかった場合で、67歳の時に支給漏れが発見され、遡って年金を受給するようなケース。この場合、5年以上前の62歳までの年金が時効消滅。)・・・年金(老齢年金・障害年金・遺族年金)の時効消滅分が全期間遡って支給される。
  3. 上記1,2に該当する人が亡くなっている場合、その遺族が未支給の時効消滅分を受給できる。(遺族の範囲は、本人が亡くなった当時、生計を同じくされていた「配偶者、子供、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹」で、優先順位は記載順。)

今後、年金記録が訂正される人

今後、年金記録が訂正された結果、上記1~3と同じように年金額が増える人。(増額された年金や身支給年金を全額受給できる。)

年金時効特例適用において必要な手続き

今後、年金記録が訂正される人

年金記録の訂正手続き以外に、特別な手続きは無し。
年金記録を訂正の際に同時に(自動的に)手続きが行われ、5年を経過した分の年金も含めて年金が受給できます。(経過した分は一時金で受給)

すでに、年金記録が訂正されている年金受給者

この方たちの年金については国が把握しており、必要な記載事項を印字した用紙が順次自宅まで郵送されます。もちろん、今すぐ手続きすることも可能で、その場合は社会保険事務所で必要な書類を提出するか、郵送するかのどちらかの選択となります。

  • 郵送希望の場合は、社会保険庁ホームページから必要となる用紙をプリントアウトします。(またはねんきんダイヤルから取り寄せ)
  • 手続きから支払いまでの期間は2~3ヶ月で、支払い前には審査結果や振込み等の通知あり。

窓口での手続きでの持参物等

社会保険事務所で手続きをする場合に、どのようなものを持参すればよいのか。対象となるケース別に見てみます。

年金を受給している人の場合

「年金証書」「振込通知書」など、基礎年金番号や年金コードが確認できるもの。

未支給年金を受けたことがある遺族が受給手続きをする場合

(未支給年金とは、年金を受けられる人がなくなった時に、まだその人への支払いが済んでいなかった年金で、一定の遺族が受給することができます。)

  • 亡くなった人が受給していた年金の「振込通知書」「未支給年金支給決定通知書」など、亡くなった人の基礎年金番号・年金コードが確認できるもの
  • 手続きをする人の本人確認ができる身分証明書(運転免許証等)
  • 振込みを希望する金融機関の預金口座の通帳

未支給年金を受けたことがない遺族が受給手続きをする場合

ねんきんダイヤル(0570-05-1165)で必要な書類をお問い合わせ。
本当は、二度手間でも社会保険事務所でじっくり説明を聞き、必要な書類もそこで聞くのが良いと思います。

代理ならば委任状は必須

いずれのケースにおいても、自分以外の人の年金受給等の代理においては委任状が必要となります。また、委任を受けた人(実際に窓口に行く人)の身分証明書(運転免許等)も必要です。

用紙リンク

時効特例給付支払手続用紙(様式第601号:本人用)
時効特例給付支払手続用紙(様式第602号:遺族用|未支給年金用)


関連資料

『厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付に係る時効の特例等に関する法律等の施行について』
年発第0706003号(平成19年7月6日)

第1 法制定の趣旨

支払期月ごとに年金の支払いを受ける権利については、会計法(昭和22年法律第35号)の規定により、国は時効の利益を放棄できず、その権利の発生から5年を経過した時に自動的に時効消滅することとされている。

このため、従来、年金記録の訂正により年金額が増額しても、そのうち5年より前の支払分については、時効により受給することができなかったところである。

今般、年金記録の処理については、国民の不信を払拭するため、政府において、包括的かつ徹底的な対応を行なうこととしている。その一環として、政府・与党一体となった検討の結果、年金記録の訂正に伴う年金の増額分が5年で自動的に時効消滅する不利益を解消し、年金記録の管理に対する国民の信頼を確保するため、年金記録の訂正にかかる年金の支払いを受ける権利について時効の特例を設けるほか、正確な年金個人情報の整備に関する政府の責務規定を定める等の特別の立法措置を講ずることとされたものである。

第2 法の内容

1.厚生年金保険法による保険給付に係る時効の特例(法第1条および附則第2条)

社会保険庁長官は、厚生年金保険の受給権者または受給権者であった者(未支給の保険給付の請求権者を含む。)について、年金記録の訂正がなされた上で裁定(裁定の訂正を含む。)が行なわれた場合においては、その裁定による当該年金記録の訂正に係る受給権に基づき支払われる年金の支給を受ける権利について、消滅時効が完成した場合においても、年金を支払うものとされたこと。

また、この規定は、法の施行の日(以下「施行日」)前に年金記録の訂正がなされた場合における当該訂正に係る年金について準用することとされたこと。

2.国民年金法による給付に係る時効の特例(法第2条及び附則第2条)

社会保険庁長官は、国民年金の受給権者または受給権者であった者(未支給の年金の請求権者を含む。)について、年金記録の訂正がなされた上で裁定(裁定の訂正を含む)が行なわれた場合においては、その裁定による当該年金記録の訂正に係る受給権に基づき支払われる年金の支給を受ける権利について消滅時効が完成した場合においても、年金を支払うものとされたこと。

また、この規定は、施行日前に年金記録の訂正がなされた場合における当該訂正に係る年金について準用することとされたこと。

3.基礎年金の国庫負担等に係る読替え(法第3条)

基礎年金の国庫負担等に関する規定の適用に関し必要な読替えは、政令で定めることとされたこと。

4.政府の責務(法第4条)

政府は、年金個人情報について、被保険者、受給権者その他の関係者の協力を得つつ、正確な内容とするよう万全の措置を講ずるものとされたこと。

5.施行期日等

  1. 施行期日(法附則第1条)・・・法は、公布の日から施行するものとされたこと。
  2. 厚生年金保険法の一部改正(法附則第3条及び第4条)・・・施行日後において厚生年金保険の受給権を取得したものの支払期日ごとに支払われる年金の支給を受ける権利に係る時効の扱いについては、会計法第31条の規定を適用せず、援用を要するものとされたこと。
  3. 国民年金法の一部改正(法附則第5条及び第6条)・・・施行日後において国民年金の受給権を取得したものの支払期日ごとに支払われる年金の支給を受ける権利に係る時効の取扱については、会計法第31条の規定を適用せず、援用を要するものとされたこと。

第3 令の内容

  1. 国民年金法の規定の読替え(令第1条)・・・法を適用する場合においては、法に規定する記録した事項の訂正に係る給付を受ける権利に基づき支払期月ごとにまたは一時金として支払うものとされる給付の支給を受ける権利に基づく給付等(以下特例給付)について、国庫が負担する費用に係る国庫負担割合を特例給付の本来の支払期月に属する年度の国庫負担割合とすることとされたこと。
  2. 厚生年金保険法の規定の読替え(令第2条)・・・法を適用する場合においては、特例給付について、国庫が負担する基礎年金拠出金にかかる国庫負担割合を特例給付の本来の支払期月に属する年度の国庫負担割合とすることとされたこと。
  3. 国家公務員共済組合等の規定の読替え(令第3条から第5条まで)・・・法を適用する場合においては、特例給付について、年金保険者たる共済組合等が納付する基礎年金拠出金にかかる国等の負担による国庫負担割合を特例給付の本来の支払期月に属する年度の国庫負担割合とすることとされたこと。

第4 規則の内容

法第1条及び第2条の規定による特例給付については、記録の訂正以外に特別な手続きは不要であり、本規則においては、法附則第2条の規定による特例給付に限り、必要な手続きが定められたものであること。

1|書類の提出(規則第1条)

(1)受給権者等が施行前裁定特例給付の支給を受けようとする場合

法附則第2条において準用する法第1条の規定により支払うものとされる保険給付または法第2条の規定により支払うものとされる給付(施行日前に当該保険給付または当該給付を受ける権利に係る裁定(裁定の訂正を含む。)が行なわれたものに限る。以下「施行前裁定特例給付」という。)について、当該施行前裁定特例給付の支給を受けようとする者((2)の者を除く)は、次の各号に掲げる事項を記載した書類を社会保険庁長官に提出することとされたこと。

  1. 氏名、生年月日及び住所
  2. 基礎年金番号
  3. 支給を受けようとする施行前裁定特例給付の年金証書の年金コード

(2)受給権者等の遺族が施行前裁定特例給付の支給を受けようとする場合

ア 施行前裁定特例給付の支給を受けようとする者(厚生年金保険法(昭和29年法律第115号)第37条の規定により未支給の保険給付の支給を請求する権利を有する者、または国民年金法(昭和34年法律第141号)第19条の規定により未支給の年金の支給を請求する権利を有する者に限る。)は、次の各号に掲げる事項を記載した書類を社会保険庁長官に提出することとされたこと。

  1. 請求者の氏名及び住所並びに請求者と死亡した受給権者(以下単に「受給権者」)との身分関係。
  2. 受給権者の氏名及び生年月日
  3. 受給権者の基礎年金番号または年金手帳の記号番号
  4. 支給を受けようとする施行前裁定特例給付の年金証書の年金コード
  5. 受給権者の死亡の年月日
  6. 請求者以外に厚生年金保険法第37条第1項または国民年金法第19条第1項の規定に該当する者があるときは、その者と受給権者との身分関係
  7. 払渡希望金融機関の名称及び預金通帳の記号番号または払渡希望郵便局の名称及び所在地

イ アの書類には、次の各号に掲げる書類を添えなければならないこととされること。ただし、これらの書類を社会保険庁長官に提出したことがある場合はこの限りではないこととされたこと。

  1. 受給権者と請求者との身分関係を明らかにすることができる市町村長(都の特別区及び地方自治法(昭和22年法律第67号)第252条の19第1項の指定都市にあっては区長とする)の証明書または戸籍の謄本もしくは抄本
  2. 受給権者の死亡の当時、その者と生計を同じくしていたことを証する書類
  3. 払い渡しを受ける機関に金融機関を希望するものにあっては、預金通帳の記号番号についての当該払渡希望金融機関の証明書

2|提出書類の記載事項(規則第2条)

1の(1)及び(2)の書類には、提出の年月日を記載し、記名押印又は自ら署名しなければならないこととされたこと。

3|書類の経由(規則第3条)

1の(1)又は(2)の書類を社会保険庁長官に提出しようとする者は、当該者の住所地(日本に住所がないときは、日本における最後の住所地とする。)を管轄する地方社会保険事務局長または社会保険事務所長(以下「社会保険事務所長等」)を経由して提出することとされたこと。

また、社会保険庁長官は、これらの規定に関わらず、1の(1)又は(2)の書類を社会保険事務所長等を経由しないで提出させることができることとされたこと。

4|施行前裁定特例給付に関する通知(規則第4条)

社会保険庁長官は、施行前裁定特例給付に関する処分を行なった時は、文書で、その内容を施行前裁定特例給付の支給を受けようとする者に通知しなければならないこととされたこと。

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