消えた年金問題のニュースにおいて使われている「照合します」「突合します」「統合します」というイメージの似た言葉。年金請求者の視点から、いつの段階でどの言葉が一番フィットするのかを見ていきます。(あくまで、年金実務的での話です。)
照合とは?
年金の請求者から見て照合とは、社会保険庁のオンラインデータに存在する5000万件の宙に浮いた年金記録から、基礎年金番号に含まれていない本人の年金記録を検索において探し出す作業をいいます。
例えば次のような年金記録の持ち主がいるとします。
- 年金手帳あり(基礎年金番号あり)
- 厚生年金被保険者証2枚あり
- その他勤務歴3社あり(資料残存なし。年金番号不明)
この場合、まず基礎年金番号で年金記録を確認します。そして、基礎年金番号に含まれていないものでも、厚生年金被保険者証の番号をパソコンで入力し、この厚生年金番号があるかどうかを確認するのが第1段階の照合です。
そして、年金番号がない3社分の年金記録がパソコン上にないかどうか検索します。名前、生年月日、会社名をそのまま検索したり、組合せで検索したりするのですが、これが最も「照合」という言葉にフィットしている作業です。
統合とは?
統合とは、年金加入者・年金受給権者自ら申請をし、自分の持つ基礎年金番号に全部の年金記録を結びつけることです。
オンライン上の宙に浮いた年金記録の中には死亡者の年金記録も含まれておりますが、これについては遺族が統合します。
突合とは?
消えた年金記録問題においての突合とは、オンライン上にある5000万件の宙に浮いた年金記録について、原本である紙台帳や、それを写し出したマイクロフィルムと突き合わせることをいいます。
名前の読み仮名や、生年月日の間違いがあった場合はこの突合作業において修正されます。
照合「あるかないか」・突合「あってるか間違っているか」
現時点においても、オンライン上に見つからなかった年金記録については、照会申出書においてマイクロフィルム等原本を調べてもらうことができるようになっています。
これについて、照合というべきか突合というべきか判断が難しいところですが、目的別にみた場合、「照合」は、あるかないかという探索・検索。「突合」は、あっているかどうか、正誤の判断に加えて間違いがあった場合には修正する作業まで含まれると考えられますので、個別に原本調査をするときは「照合」という言葉のほうがフィットするような気がします。
「全件照合」「全件突合」「全件統合」
以上から「照合、突合、統合」という言葉を見てみましたが、全件照合というのは比較的容易に行え、全件突合は比較的困難でかなり時間が掛かるものと思われます。
しかし全件統合に関しては、すでに本当に消えてしまっている年金記録も判明(※)していますので、最後まで実現不可能であるといえます。
(※2006年8月~12月の社保庁特別年金相談期間中、年金記録が消えていたが、領収証があって年金記録が加算された人55人)