2007年11月15日の毎日新聞によると、6月から11月11日までの中央・地方第三者委員会への年金記録の訂正申立て件数は計2万5,641件で、審査が終了した件数は599件(全体の2.3%)となっています。このような状況の中、社会保険労務士に対しての第三者委員会調査員協力要請があり、募集をはるかに上回る応募が見られました。
「第三者委員会」消えた年金審査終了わずか2.3%
毎日新聞が伝えた第三者委員会の進展状況はとても深刻です。
現在の申込みベースで見てもすべての審査終了まで何年掛かるかわかりません。(『第三者委関係者から「単純計算すると、審査終了まで10年以上かかる」との声も出ている。(記事まま)』)
第三者委員会が始まってからそろそろ半年になろうかという状況で2.3%。事例を積み上げながら判定基準を決めるためにじっくりと取り組んでいるということも考えられますが、あまりにも進み具合が遅いです。
もちろん、そこで実際に作業をしている方々はまじめに尽力されていることは確かですが、いかんせん人が足りなすぎるような気がします。
今後ますます増える申込者
現在、第三者委員会の前段階である書面での調査申し立て中の方や、傾向を見てから第三者委員会へ申し込もうと考えている方、もしくは申込み方法がわからずに申し込んでいない方など、申込み予備軍と見られる方の数は多数に上るものと思われます。
また、年金制度の理解違いや未納期間の思い違いなどの方々も、第三者委員会関連の情報が増えてくるとともに申し込みが増加すると思われますので、第三者委員会が収拾が付かない状態になることまで十分に考えられます。
社会保険労務士への第三者委員会協力要請
そんな折、社会保険労務士に対して、第三者委員会調査員増員における協力要請がありました。内容としては時間も労力も多分に割かなければ成し得ないものであったにもかかわらず、ふたを開ければ募集に対して応募が圧倒的に上回る結果に(東京での話)。
しかし、残念ながら募集の枠は限られております。今回の募集に漏れた多くの社会保険労務士は、協力したくともできない状況の中、今後の第三者委員会等の推移を見守ることになったのです。
最後に消えた年金認定の傾向
6月分から10月までの第三者委員会の公表されている事例を見ていると、共通項がいくつかあることに気が付きます。ここではその中の一つをご紹介いたします。
国民年金
【申立て期間(消えた年金期間)が短期間で、かつその期間以外は未納がない。】
認定においては年金制度への理解や納付意欲をプラス点として見ており、そもそも申立て期間が短期間でそれ以外に未納がないというような状況というのは、それだけでも十分に高いポイントとなるのです。これに、夫婦の片方に未納がない状況や、前納、任意加入、付加年金など年金制度に関心がなければ行なわないような状況が加算されれば、さらに認定される可能性は高くなります。
厚生年金
【厚生年金基金、健康保険の記録】
厚生年金では、認められている事例は資格取得日や喪失日の相違に関するものが多く、厚生年金の手続きと関連性の強い厚生年金基金等の記録があれば、厚生年金の記録の訂正につながり易いという傾向があります。
事業主へ保険料を納めたけれど、国の納付記録になっていない場合については、今後の法改正と共に傾向を見定める必要があります。