国民年金(基礎年金)の支給に関しては、平成16年改正によって、「3分の1」から「2人の1」へ引き上げることが決まりました。しかし、あれやこれや財源の確保を検討・準備・一部実施をしているうちに『年金支給漏れ問題』が起こり、予定がもろくも崩れ去る勢いです。時効撤廃も計算外だったでしょうし、支給漏れ件数も想像以上・・・果たして国庫負担2分の1への道のりは険しい?
平成16年年金改正と基礎年金の国庫負担引上げ
平成16年の法律改正では、基礎年金の国庫負担割合を3分の1(2003年で約5.6兆円)から2分の1に引き上げることが決まりました。
そして、具体的な方策や実施時期について法附則で、「2004(平成16)年度から年金課税の見直しによる増収分を財源として国庫負担割合の引上げに着手し、2005(平成17)年度及び2006(平成18)年度に適切な水準へ引き上げた上で、2分の1に引き上げる特定年度については、2007(平成19)年度を目途に所要の安定した財源を確保する税制の抜本的な改革を行った上で、2009(平成21)年度までのいずれかの年度を定めるものとする」と定められました。
すでに行っている基礎年金の国庫負担、財源確保対策
基礎年金の国庫負担財源確保として、すでに行っているのは65歳以上の人の公的年金等控除の最低額を140万円から120万円へ引き下げたことと、65歳以上で所得金額が1,000万円以下の人の老年者控除(1人50万円)を廃止したことです。(平成18年度~)
しかし、これによる財源確保の金額は約1,600億円ということで、国庫負担を2分の1に引き上げるのに必要な分、2兆7000億円には程遠い金額となっています。
なお、この必要とする金額は消費税で言うと1%に相当する金額です。
予想外の年金漏れ問題、どこで穴埋め?
わかっていて誰も触れられなかった年金支給漏れの問題。パンドラの箱はすでに開いてしまいましたが、これによって財源確保の話はどうなるのでしょうか?
本来は、あたりまえに給付の計算に入れていなければならなかった年金部分に加え、これもある意味当然の支給漏れ分の時効撤廃部分の給付。そして、支給漏れ調査にかかる追加費用。
年金支給漏れは、遡り一時金だけではなく今後の年金増もありますから、年金の給付の計算は、一からやり直さなければならなくなります。
さて、今度はどこから財源を捻出するのでしょうか。
消費税は何パーセントになってしまうのでしょうか。
参考:平成15年12月与党税制改正大綱より
平成19年度を目途に、年金、医療、介護等の社会保障給付全般に要する費用の見通し等を踏まえつつ、あらゆる世代が広く公平に負担を分かち合う観点から、消費税を含む抜本的税制改革を実現する。