年金の支給漏れを発見たものの、時効として受け取れなかった年金は、該当者が既に判明している部分の推計だけでも25万人950億円(1人あたり約38万円相当)になります。ここでは計算の流れに注目してみました。
この数字が出てきたのは、平成19年5月30日の衆院厚生労働委員会で、柳沢厚生労働相が、社保庁の試算として明らかにしました。
どうやって計算したのか?
過去6年間で、支給漏れ年金の発見にて、実際に年金額を訂正した年金の受給者、約22万人から約1000人をサンプル調査したもので、そのうち約30%の人たちが5年間の時効によって過去の年金を受け取れなかったということです。
そこで、現実に支給漏れがあった6年間22万人を1年あたりの人数に計算すると、22万人÷6で、1年あたり3万7千人が支給漏れにて年金額を訂正する計算となります。
そして、その3万7千人のうち、サンプル調査で出てきた30%を掛けて、さらに平均余命などを掛け合わせるなどすると、時効で受け取れない部分の年金をもっている人たちは、約25万人と推定されるのです。
そこから、時効がなければ本来支給されていた額は、総額約950億円となるわけです。(平均余命をどのように計算したのかは、残念ながらわかりません。)
支給漏れ年金発見割合が増えると、時効保障は増える
今回の試算でわかったことは次の通りです。
- 支給漏れがある人の約3人に1人(30%)は、時効でもらえない年金が生じていた
- 支給漏れ年金が発見される人数は、1年あたり3万7千人
いままでは、私たち自身が注意して、ようやく支給漏れ年金を発見できるような状況でしたが、これからは国が支給漏れ調査に自発的に動き出すということですので、今まで発覚していなかった新たな支給漏れ年金の発見の件数はこれまで以上に伸びるものと推測されます。
となると、同時に時効保障の金額も増えるものと予想されるのです。あくまで、今まで判明した支給漏れ年金の中の時効消滅の推計が25万人950億円ですので。
そもそもサンプル調査はどうやったのでしょう?
22万人の支給漏れの対象者のうちの約1000人のサンプル調査。この1000人の抽出はいったいどういう基準で選んだのでしょうか。
無作為なのかどうなのか、少々疑問です。なにしろ、この数字次第で100億円単位で時効保障の金額も変わってきますので…
ひと言で「サンプル調査」といいますが、さらっと流せないポイントだと個人的には思います。