年金を請求するときは社会保険事務所等の窓口に行って手続をします。しかし、その年金の専門官というフィルターを通しても年金の支給漏れが起こることが、年金の難しいところです。
手続の際、社会保険事務所の担当官に年金加入歴に漏れがないかどうかを聞かれるのですが、その時に転職の多い人や、パート、アルバイト、社員、請負、派遣など多様な働き方をしてきた人は、どれが年金期間になって、どれが年金記録でないのかの判別すら難しいのが現実です。そもそも、短期の就職の場合、遠い昔のことですと、会社名すら忘れていることもあります。
基礎年金番号制度がはじまる前の年金記録が問題
今ならば基礎年金番号があるので、年金記録が見つからないという状況はなくなりますが、基礎年金番号ができた1997年よりも前の部分については、転職をするたびに年金手帳をもらっていたりしたような例もあり、そのような場合一人に対して年金番号がいくつもありました。年金手帳や、厚生年金被保険者証などきちんと保管してあれば別ですが、そうでない場合は本人の記憶と国の記録に頼らなければなりません。
しかし、国の記録も万全ではないのです。
昭和から平成になるあたりに年金記録管理のコンピューター化が進みましたが、年金データを転記する時に名前の間違って入力したり、書類自体が滅損紛失していたりして年金記録が無くなるケースもあるということです。一部の事例とはいえなんというお粗末さ。
この場合、本来は年金記録となるべき部分でも、本人の記録がなく、国にも年金記録がないという最悪の状況が重なった時は、年金をもらうことはできません。本人に記憶があっても、それを証明する手段がなければ年金記録として認められないのです。
まさか大事な年金記録がそんないい加減に管理されているなんて夢にも思いませんし、国を信頼していたのに年金生活に入る時になったら、「証明するものが必要」なんていわれても。該当する方は本当に気の毒だと思います。
ただ、多くのケースでは国にデータが残っているのに本人が請求せず支給漏れになっているケースです。証明する資料がなくても支給漏れを解消できることの方が多いので、ぜひ年金加入記録の確認は行っておきたいものです。