議員年金の話で情けないニュースがテレビや新聞をにぎわしています。
地方議員の議員年金は平成19年4月に年金の給付水準が12.5%減額になることが決まっており、その前に辞職すればこの減額規定にかからないということから、4月から5月に任期満了になる議員のうち、なんと14名もの議員が3月中に辞職していたのです。
つまり、61万円とも言われる月の報酬を1ヶ月ないし2ヶ月分をもらわなくても、年金が減らされるよりはましという考え。実際に、議員5期目ならば議員年金は22万円の差、議員9期目ならば50万円もの差になるといいます(条件によりけり)ので、一般的には辞職を選ぶのが合理的ともいえます。もちろん職責を無視した話として。
年金の既得権主義にギモン
年金を複雑にしているものの代表が既得権です。
代表的なのは60歳から支給だった年金を25年掛けて65歳にする取り組みですが、議員年金もこれまで受給している人は既得権が保護されて、これから受給する人が12.5%減額されるというしくみ。
今回のような抜け道に近いやり方も、こうしたしくみが招いたものです。
年金削減なら偏りのない負担を
今回の地方議員の議員年金減額の件にしても、これから受給する人は12.5%減額だけれども、例えばすでに受給している人も減額の対象となり、いついつまでに受給していた人は11%減額、それより前に議員年金を受給していた人は10%減額というように段階的に幅広く減額措置を行い、年金財政の安定に寄与させるということはできないものでしょうか。そのような形で、任期前に辞職してもメリットが少ないこととなれば、今回のようなことは起きなかったのではないでしょうか。
一般の年金も、これから受給する人だけでもって減額措置で帳尻を合わせようとすると、世代間の年金格差は広がったままですし、全体で年金給付水準を引き下げるよりも、若い世代にとっては大きな負担を背負うことになります。と言いつつ、まずもって既得権主義はなくならないと思っておりますが。もちろん財産権云々は承知の上での意見です。