年金保険料は、受給年齢に近くなるほど掛けるリスクが少なくなり、若い人ほどリスクが高い。そんな当たり前のことを考えてみました。
「遡って年金保険料を納めろ!」は正しいか
過去、国会議員が国民年金の年金保険料を収めていなかったことが問題になったことがありましたが、実際未納だった議員の年金保険料は、法律どおりに過去2年分だけ納められました。
しかし、もしそれ以上遡って保険料を納められたとして、未納分を全期間収めたとしたら、それは褒められたことだったでしょうか。
年金保険料の掛け捨てリスク
掛けた年金保険料は受給開始年齢になってはじめて年金として受け取ることができますが、その前に死亡してしまった時には、積立預金とは違い年金保険料は掛け捨てとなってしまいます。
(老齢年金の話に限定)
つまり、できることならば年金受給開始年齢直前に一括で年金保険料を納めて年金をもらい始めたほうが、掛け捨てリスクが減り有利になるわけです。
「今まで未納でゴメンナサイ。遡って全期間納めます」ということが可能になったならば、むしろおいしい所取りになってしまうのです。もし、それを可能にするのならば、平均寿命を考えて、相応の延滞利息を課さなければ、真面目に納めてきた人との均衡は取れません。
消えた年金が原因の無年金者と年金保険料の遡り納付
消えた年金問題のあとの年金制度改革の話において、ポツポツと「年金保険料を遡って5年間納められるようにしたらどうか」というような声が聞こえるようになりました。(実現可能性は別として)
同じ未納期間と入っても、消えた年金問題の被害者の方は深刻です。
ただ、客観的にみて消えた年金問題に関する未納なのか、確信的な未納かの判断はできませんので、遡り年金保険料の期間の問題は掛け捨てリスクの観点だけで言えば、その対応の判断は非常に難しいところです。
むしろ、現状は25年ルールを見直しまたは凍結して、掛けた年金保険料に応じた年金を受け取れることを考えた方が現実的のような気がします。