確定拠出年金のある会社を退職した時や転職した時において、必要な手続きを行なわないままでいると、それまで掛けてきた掛け金が塩漬けになるばかりではなく、毎月50円の管理手数料が掛かります。2007年9月6日、国民年金基金連合会の調べでは、その塩漬けになっている総額は、なんと8万人分で211億円ということです。
そもそも確定拠出年金とは?
確定拠出年金は国民年金や厚生年金のような公的年金とは異なり、会社が独自に行なう私的年金および企業年金というジャンルに属します。国民年金が1階部分、厚生年金が2階部分とすれば確定拠出年金は3階部分の年金になります。
また、確定拠出年金の場合、読んで字のごとく掛け金の「拠出」が確定しているだけで、将来もらえる年金額については、運用次第。ここは、厚生年金基金のように給付が約束されている確定給付年金とは異なるところです。
※運用・・・実際の運用の事務作業等は企業が委託している金融機関等が行ないますが、運用の判断自体は加入者自身が行ないます。運用の選択肢は株式、投資信託、預貯金などがありますが、運用の知識不足や安全性重視の気持ちから、現実には大部分が定期預金など預貯金にて運用されているということです。
確定拠出年金と専業主婦(第3号被保険者)
確定拠出年金は、60歳まで加入するとともに60歳までお金を引き出せないという決まりがあります。会社が、確定拠出年金を退職金として扱っているケースもありますが、その場合でも同じです。
確定拠出年金は積立金残高が50万円を超えると途中解約ができない決まりですので、30歳で会社を辞めて積立金残高が70万円ほどしかない場合でも、そのお金は60歳まで運用を続けなければなりません。
その後、再び確定拠出年金のある会社に就職したり、個人型の確定拠出年金にて新たな拠出をして運用するという流れになりますが・・・
専業主婦(第3号被保険者)の場合は確定拠出年金に新たな拠出をすることができないのです。できることは、少ない積立金残高において運用指図をすることだけ。果たして運用益が高くなるのか、手数料が高くつくのか。
どちらにしろ、ずっと専業主婦で人生を送る予定の人にとっては、あまりうれしくない決まりです。
確定拠出年金の運用漏れ8万人分211億円の説明
このような確定拠出年金ですが、加入者が確定拠出年金のある企業を退職して、確定拠出年金のない企業に転職したり、会社員を辞めて専業主婦になるなどの場合には、国民年金基金連合会が実施する個人型の確定拠出年金に資産の移転手続きをする必要があります。
ところが、そのような手続きを行わないで6ヶ月間放置していた場合、その資産は国民年金基金連合会へ移管される仕組になっているのです。
国民年金基金連合会に移管された資産は、塩漬けとなり運用はなされません。しかし、管理手数料だけは毎月50円しっかりと徴収されますので、じりじりと資産が目減りしていくことになるのです。
今回のニュースでは、このような形で確定拠出年金の運用資産が塩漬けになってしまっている人の人数が8万人、金額でいうと211億円ということなのです。
ちなみにこのような状態のままでは、確定拠出年金に加入しているとはみなされないために、将来確定拠出年金に移す手続きをとらないと、年金として受け取ることもできなくなります。
まだ新しいので、認知度いまひとつの確定拠出年金
確定拠出年金制度は2001年(平成13年)10月からスタートした年金で、加入者は200万人ほど(平成19年)です。
制度開始6年ということで、まだまだ手探りの面もあるとは思いますが、同じ企業年金のジャンルに属する企業年金連合会による厚生年金基金の支給漏れが3割にも上る件(平成19年9月公表)もあわせて、年金制度の周知が不徹底であるといわざるをえません。