2007年7月17日、政府は社保庁コンピュータにある年金記録のうち、氏名のない年金記録が含まれていることを認めました。該当者不明5000万件のうち何件が氏名のない年金記録なのかは明らかにされていません。
民主党の質問主意書に回答
※質問主意書・・・国会議員が会期中、内閣に対して書面で行なう質問で、質問主意書を受け取つた内閣は、その日から7日以内に回答しなければならない。
従来より氏名のない年金記録の存在は指摘されていたものの、その存在を政府が認めたのは初めてです。下記がその当該部分となります。
民主党長妻昭議員の質問主意書から抜粋
参照:「消えた年金」問題の安倍総理の不作為責任等に関する質問主意書
「七 厚生年金においてオンライン上の記録で、氏名が無い(空欄)ケースはあるのか。氏名が無いケースで、生年月日を頼りに、奇跡的に統合できたケースがあるという話を聞くが本当か。5000万件の記録の中で氏名が無いものは何件あるか。調査するおつもりはあるか。」
表題「衆議院議員長妻昭君提出「消えた年金」問題の安倍総理の不作為責任等に関する質問に対する答弁書」より抜粋
「七 社会保険オンラインシステムによって管理している記録において、お尋ねの氏名が収録されていない記録が存在していることは承知している。この場合においても、本人の生年月日や職歴等を確認すること等により、基礎年金番号への統合を行なうことができたものもある。また、未統合の記録のうち、氏名が収録されていない件数については、今後、統合作業を行なう中で把握することとしている。」
照合作業の終了時期についても
同じく、表題「衆議院議員長妻昭君提出「消えた年金」問題の安倍総理の不作為責任等に関する質問に対する答弁書」より抜粋
「(四の二の1について)~平成十九年十二月から平成二十年三月までを目処に名寄せを実施し、これにより基礎年金番号への統合を進めることとしているが、未統合の記録を基礎年金番号へ統合するには、本人等の確認が必要であることなどから、その具体的な終了時期をお答えすることは困難である」
「7月5日に前倒し可能」と表明したばかり
当初2008年5月とされていた「宙に浮いた5000万件」の保険料納付記録の照合完了時期を、今月5日の記者会見で安倍総理は、「専門家に精査させた結果、前倒しが可能なことが明らかになった」としていました。
しかし、今回の答弁書の内容を見ると、その発言が何を意味していたのかさっぱりわからなくなりました。なにを「前倒し」なのでしょうか?たった2週間で事情が変更したのでしょうか?いろいろ考えていますがこの一連の流れは理解不能です。
ところで、今回の照合作業の完了時期に影響を与える「氏名がない年金記録」の存在についても野党の質問で出てきたことですが、どうしていつも後手後手なのでしょう。
年金について本気で取組んでいるということについて、聞こえのいい言葉をいくら並べるよりも、野党の追及より先に、政府自らが不都合な事実を公表することの方がよほど真剣味を感じます。
何か私たちの臨むこととズレがあるような気がしてなりません。