【93歳の女性が1200万円の「消えた年金」を受け取れず死亡。】
「消えた年金」のせいで無年金扱いだった93歳の女性が、2008年5月にようやく13年分の国民年金の記録漏れが訂正され、消えた年金記録が本人のものだと認められました。
しかし、支払われるべき33年分の未払いの年金分、約1200万円が支払われる前、2008年11月上旬に女性は不幸にも亡くなってしまったのです。
※その後、11月中旬には社会保険庁は直近5年分の約220万円を女性の遺族に支払い、残額は12月中の支払いに向けて処理中。(2008年12月5日衆議院予算委員会|http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/001817020081205006.htmより)
※日刊ゲンダイ(2008年12月11日)によると、生前に受給できなかった総額が1000万円を超えるのは初のケースとのこと。
急速な処理スピードアップは国民のため?選挙のため?
年金記録の訂正が認められた後、未払いだった年金が支払われるまでの期間を、2008年12月5日衆議院予算委員会(以下『』に囲まれた箇所は同じ)で舛添厚生労働大臣はこう答えています。
『全体的な平均の所要月数を申し上げますと、全体として七カ月程度を要しておりますが、複雑な処理を要するものについては九カ月から十カ月。しかし、センターによっては一年以上お待たせしている例もございます~』
これに対して民主党の山井議員は、フリップを用いて現状を説明。
『今、何と六十二万件も、記録訂正を受けたけれども未払いの年金がたまっていっているわけですね。それで、一カ月に処理されているのが今二万五千件なんです。それを単純に割りますと、二十四カ月、二年かかるということになってしまうわけです~』
この一カ月に処理されているのが今二万五千件」の部分は9月までで平均二万五千件だということなのですが、その処理人員数はわずか120人~130人だった模様で、驚くべきはこのような状況になってようやく本腰を入れて人員増加に動き出したこと。
舛添大臣は次のように答弁しています。
『~そこで、それまでは百二、三十人体制でしたので、十月から二百三人にふやしました。そして、処理件数が大体倍の五万から六万、十一月は大体六万三千ぐらいになると思います。それで、この十二月からさらにふやしまして二百八十人、そして一月、二月、三月、この年明けには三百十人までふやしたいというように思っています。~』
2008年9月といえば、1日には福田前総理による辞職表明、24日には麻生内閣が成立。世の中は早期解散・総選挙のムードが漂っていた頃。
9月20日民放番組における舛添大臣の「後期高齢者医療制度の見直し発言(スポーツ報知コラム記事)」では、「選挙目当て」と見られても仕方がない印象を受けたのですが、それがあるだけに余計に「2008年10月から」の人員増加という点も引っかかります。
今『この年明けには310人まで増やしたい』ということが可能ならば、ここまで事態が悪化する前にもそうできたはずで、「全力で」という決意の言葉が、いかにも軽く聞こえてしまいます。
93歳女性の方は、いったいどんな暮らしをしていたのでしょうか・・・