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変額個人年金保険 金融危機で最大手でも運用難

変額個人年金保険(変額年金)における国内最大手「ハートフォード生命」の主力商品の一部が運用を停止したと11月12日東京新聞などで報じられました。

変額年金とは、契約者が支払う保険料(多くは一時払)を株や債権で運用し、その結果を年金として受け取るというもので、リターンが大きくなることもあれば元本を割り込むこともある一定のリスクを含む保険商品。

それゆえ契約者に安心して購入してもらうために各社独自に元本保証など一定の保証をつけることが一般的で、運用がマイナスになったときに支払った保険料分を年金原資として保証するという結果保証型のものが多く見られます。

今回報じられた変額年金の保険商品には、その運用結果の保証ともう一つ、「ご契約日からその日を含めて10年以内の積立期間中に積立金額が基本保険金額の80%以下に到達した場合、特別勘定による運用は終了して一般勘定に自動移行することにより、年金支払総額で一時払保険料相当額を最低保証します。(ハートフォード生命サイト該当商品説明文より引用)」という保証もついており、昨今の金融危機における株価下落で2008年10月、当該商品の運用が停止(※『停止』については後述)となりました。

そして、契約者は、次の2つの選択肢のうちどちらかを選ぶことになります。

  • 1.払込保険料の8割を一括で受け取る。
  • 2.払込保険料の15分の1ずつを15年かけて受け取る

2つめの選択肢が「『年金支払総額で』一時払保険料相当額を最低保証」ということです。この商品は2007年2月に発売開始された(運用期間10年)ばかりなので比較的若い人も少なくないと思われますが、元本を減らしたくなければ年金受給を開始しなければなりません。

したがいまして、運用は停止しておりません?

変額年金の運用停止?中止?終了?
停止ではないとは??


今回の報道において、東京新聞(中日新聞)、日経新聞、日刊ゲンダイなどは変額年金の運用を「停止」したと報じました。

これに対してハートフォード生命のサイト「お客さまへのお知らせ」の欄の「一部報道に関してご説明いたします」(2008年11月12日:URL http://www.hartfordlife.co.jp/press/pdf/company/guide081112.pdf)では、

『「アダージオ3WINについて」
2007年2月から販売を開始しております変額個人年金保険「アダージオ3WIN」は、積立金額が基本保険金額の80%(下限値)以下に達した時点で、資金を特別勘定による運用から一般勘定による運用へ移行する機能を有する商品です。したがいまして、運用は停止しておりません。なお、当商品において下限値以下に到達したご契約については、15年間の年金受取、もしくは一括受取の2つの方法をご選択いただけます。15年間の年金受取の場合は、一時払保険料相当額が受取総額で保証されます。また一括受取の場合は、一時払保険料相当額の80%が保証されます。(引用)』

同じくハートフォード生命のサイト「プレスリリース」の欄の「一部報道に関して」(2008年11月12日:URL http://www.hartfordlife.co.jp/press/pdf/company/press081112.pdf)では、

『「アダージオ3WINについて」
2007年2月から販売を開始しております変額個人年金保険「アダージオ3WIN」は、積立金額が基本保険金額の80%(下限値)以下に達した時点で、資金を特別勘定による運用から一般勘定による運用へ移行する機能を有する商品です。下限値に到達したご契約については、15年間の年金受け取り、もしくは一括受け取りの2つの方法をご選択いただけます。15年間の年金受け取りの場合は一時払保険料相当額が受け取り総額で保証されます。また一括受け取りの場合は、一時払保険料相当額の80%が保証されます。(引用)』

と説明しています。
一般向けにだけ「~したがいまして、運用は停止しておりません。」というコメントがあるのも不思議ですが、これはいったいどういう意味なのでしょうか。

変額年金保険「アダージオ3WIN」プレスリリースを検索すると

そこで、ネット上にある販売各社の「アダージオ3WIN」に関するプレスリリースを検索して調べてみました。(変額個人年金保険は、法律改正により銀行の窓口などでも販売できるようになっています。)

●株式会社熊本ファミリー銀行
該当URL:http://www.mylifenote.net/2007/11/27/20071126_ha.pdf
「商品の特徴」より抜粋
『積立金額が運用期間中に下限値(基本保険金額の80%)以下となった場合、その時点で自動的に運用を終了。年金受取期間15年の確定年金で年金受取総額により一時払保険料相当額を最低保証』

●株式会社百五銀行
該当URL:http://www.hyakugo.co.jp/news/img/070928-3news.PDF
「商品の特徴」より抜粋
『運用期間満了時点で一時払保険料相当額を下回った場合でも、一括もしくは年金受取額の合計で一時払保険料相当額を最低保証します。但し、運用期間中に資産残高が基本保険金額の80%以下となった場合その時点で運用を中止し15年確定年金に移行、この間の年金受取総額で一時払保険料相当額を最低保証します。一括受取の場合は、基本保険金額一時払保険料相当額の80%の受取額となります。』

●大和証券株式会社
該当URL:http://www.toyokeizai.net/dwnl/th/20070731/271f1590.pdf
「WIN3 ニ種類の最低保証」の2つめの説明より抜粋
『運用期間中に積立金額が一時払保険料相当額の80%以下となった場合:その時点で自動的に運用を中止し15年の保証金額付確定年金へ移行、この間の年金受取総額で一時払保険料相当額を最低保証します。但し、一括受取を希望される場合は一時払保険料相当額の80%相当額の受取となります。』

●北陸銀行
該当URL:http://www.hokugin.co.jp/release/18nendo/070202.html
「WIN3 元本(基本保険金額)相当額の最低保証」のより抜粋
『(1)積立目標金額に到達しなかった場合、元本(基本保険金額)相当額を年金原資として最低保証した10年確定年金へ移行します(一括受取も可能です)。(2)積立金額が元本(基本保険金額)の80%以下となった場合は、自動的に運用を中止し元本(基本保険金額)相当額の年金受取総額を最低保証した保証金額付確定年金へ移行します(その際の年金支払期間は15年となります。)』

いずれも運用を「中止」あるいは「終了」と言っています。

特別勘定による運用から一般勘定による運用へ?

お客さま向けの資料の「積立金額が基本保険金額の80%(下限値)以下に達した時点で、資金を特別勘定による運用から一般勘定による運用へ移行する機能を有する商品です。」を理解するには、一般勘定とはなにか?特別勘定とは何か?という2つを理解しなければなりません。

書籍「変額個人年金-その仕組みと実務」経済法令研究会によると、P26『1.一般勘定と特別勘定』において次のように解説されています。

『定額保険は一定の給付を保証し、資産運用にも安全性が重要視されています。そのため運用方法については、保険業法でも規定されています。一方、変額個人年金(変額保険)では、資産運用の実績に応じて年金額や保障額が変動するため、この両者の資産は明確に区分けして、商品特性を活かした運用で経理を行う必要があります。定額保険に関する勘定を「一般勘定」といい、変額個人年金(変額保険)に関する勘定を「特別勘定」といいます。(引用)』

なるほど、変額年金(特別勘定)は運用方法について保険業法のしばりがない分、運用に自由度があり高いリターンを目指せるわけです。

しかし一方、特別勘定での運用にはリスクがあり、「アダージオWIN3」の契約内容では、積立金額が元本の80%を下回ったら、その時点で「資金を特別勘定による運用から一般勘定による運用へ移行する」という契約なので、今回はその契約通りに安全な一般勘定へ資金を移行(避難)させたということです。

そして、通常預貯金でさえも立派な資産『運用』とされますので、一般勘定に移行したお金も当然運用・・・つまり「運用は停止しておりません」は厳密に言えばその通りなのですが、契約者から見れば、目的である変額年金としての運用、すなわち特別勘定での運用が終わってしまった時点で感覚的には「運用の停止」かと・・・

最後に、日経新聞2008年11月13日朝刊から抜粋
『~ハートフォードのデイビッド・レベンソン社長は「運用停止は顧客の資産を市場の乱高下から避難させるため」と説明。~』

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