年金の第3号被保険者とは、第2号被保険者の配偶者で、第2号被保険者の収入によって生計を維持する20歳以上60歳未満の人です。「配偶者」なので専業主夫でも可ですが、99%が夫第2号被保険者、妻第3号被保険者といわれていますので、説明は専業主婦が第3号被保険者ということで決め打ちします。
第3号被保険者の要件
夫が第2号被保険者(会社員、公務員、私立学校の教師等)で、その夫によって生計を維持されている20歳以上60歳未満ということで、第2号被保険者のパートの妻はどうでしょうか。これは第3号被保険者になることはできません。
第3号被保険者と被扶養配偶者
第2号被保険者の夫に生計維持されている第3号被保険者の妻をそう呼びます。第1号被保険者の夫に扶養されている妻はそう呼びません。また、被扶養配偶者としての認定基準を超える収入がある妻は、第1号被保険者となります。
第3号被保険者の生計維持130万円基準
第3号被保険者になる生計維持要件は、第2号被保険者の収入の概ね2分の1以下で、将来に向かって1年間の収入見込みが130万円未満です。130万円以上と見込まれる場合、月額で言えば月額108,334円 以上又は日額3,612円以上の収入がある場合は第3号被保険者と認められないことになります。なお、収入とは恒常的な収入のことをいい、退職前にもらうはずであった給与の後払いや、退職金などの一時金は収入の計算には含まれません。
また、雇用保険の失業手当を受け取る場合、給付日額が3,612円以上であるときは被扶養者認定は受けられません。これは130万円を日額した計算ですが、仮に給付日数が90日しかなくて、年間で言えば130万円まで達する見込みが無くても雇用保険の失業給付受給中は第3号被保険者とはなれません。
海外在住と第3号被保険者
第2号被保険者に扶養されている第3号被保険者は、海外に在住していても第2号被保険者同様に第3号被保険者になることができます。
第1号、第2号、第3号被保険者と国籍要件
国民年金の第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者すべて国籍要件は問われません。逆に自国の年金に入っているからということで不都合もあるかと思いますが、最近は年金期間を通算できるなどの外国との年金協定が多くなり、不利益の無いようになってきています。
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昭和61年までの第3号被保険者?
実は昭和61年3月までは第3号被保険者は存在しませんでした。今で言う第3号被保険者は国民年金に任意加入であったために、多くの方が年金に未加入の状態だったのです。しかし、夫との婚姻関係が打ち切られた場合に、多くの妻は無年金となってしまうため、それが問題となりました。そこで、国民年金、厚生年金、共済年金共通の基礎年金制度が誕生した時に、今で言う第3号被保険者は年金負担が無くとも国民年金に加入できるようにしたのです。
ちなみに、今で言う第3号被保険者の昭和61年までの期間は、合算対象期間として受給資格期間として算入することになりました。そうしなければ、途中から第3号被保険者となった人と、はじめから第3号被保険者だった人との間に不公平が生じますし、第3号被保険者の期間が短い人は年金の受給資格期間の25年にはなかなか達しないからです。