陸軍・海軍といった軍隊に所属しつつ軍人でない人のことを「軍属」と言い、軍属であった期間は、旧令共済組合加入期間として厚生年金の基礎部分に加算されます。
そして、軍属としてどこに所属していたかの記録は、厚生労働省(社会・援護局)または都道府県に保管されています。(軍属に関する記録の確認は複雑で、結果が判明するまで平常時でも半年から1年程度時間が掛かります。まずは社会保険事務所にて相談し、助言どおりに書類の申請や各種問い合わせ等を進めていくことになります。)
なお、軍隊に所属する軍人の方は、12年(計算の仕方で純粋な12年ではない場合もある)の期間があれば恩給が支給され、12年未満でその後国家公務員・地方公務員になれば共済年金に通算されるという仕組みになっています。
※関連ページ:元軍属等の「旧令共済組合の特例」とは?
※外部リンク:旧軍人軍属の恩給、軍歴証明書に関する業務(厚生労働省)
1.厚生労働省社会・援護局が保管する人事関係資料
旧陸軍関係
【死亡者名簿】
(約3,412,000人)
死亡者の死亡年月日、死亡場所、死亡状況等
【入院患者名簿、軍人傷痍記章(陸軍)、転免役賜金(陸軍)、病床日誌・入院患者名簿(陸軍)】
(約355,000人)
外地陸軍病院等に入院した者にかかる入院記録等
【陸軍官衛工員名簿、陸軍学校名簿、陸軍船員名簿】
(約717,000人)
内地の陸運造兵廠及び官衛等に勤務していた雇傭人以下の人事記録等
※軍における傭人とは、各組織ごとに採用する工員・作業員など非軍人のこと。(同様の軍属よりも身分は低い)
【陸軍高等文官名簿、陸軍従軍文官名簿】
(約20,000人)
陸軍文官及び陸軍部外の文官で、動因部隊の職務についた者の身上について記載されている名簿
【陸軍将校実役停年名簿】
(約621,000人)
将校任官者を登録した名簿
【留守名簿】
(約9,050,000人)
外征部隊所属者の現況及びその留守関係事項を明らかにしたもの
旧海軍関係
【海軍各鎮守府共通人事資料、海軍横須賀・舞鶴鎮守府人事資料、海軍呉鎮守府人事資料、外地出身者、海軍佐世保鎮守府人事資料、海軍省人事資料、軍人本籍地別名簿、文官履歴書、死没者・外地出身者人事資料、支払証拠書類】
※鎮守府(ちんじゅふ):海軍の機関の名称
(約4,760,000人)
- 海軍軍人個人ごとの採用から退職までの履歴(単票)
- 各鎮守府に在籍する軍人について、本籍県または都市町村に記載した名簿
- 海軍軍人軍属(雇傭人以下)の人事及び給料の記録等
- 海軍文官個人ごとの履歴
【士官名簿】
(約3,000,000人)
海軍省在籍士官について、階級別に編纂した名簿
【死没者名簿】
(約475,000人)
死没した海軍軍人軍属について、死亡年月日、場所等を死亡報告順に記載した名簿
【死亡者人事資料】
(約354,000人)
死没した海軍軍人軍属個人の功績を具申する際に作成した功績審査票及び功績明細書等の書類綴り。
【公務傷病証明書(海軍)、傷病者・除役者・免役者・死亡者書類(海軍)、転免役賜金(海軍)、病床日誌・入院患者名簿(海軍)】
(約381,000人)
各鎮守府に在籍していた軍人の現認(事実)証明書、診断書及び除役者等の傷病名、病院名、除役等年月日並びに索引
【航空勤務日誌、不健康業務日誌】
(約45,000人)
中央及び各鎮守府に在籍していた軍人等の飛行搭乗年月日、時間数、飛行目的及び加算月数並びに結核病棟勤務者等の勤務内容、時間及び加算月数の記録
2.都道府県が保管する人事関係資料
旧陸軍関係
【兵籍】
(約6,650,000人)
陸軍の兵籍に編入された者の身上に関する事項を記載したもの
【戦時名簿】
(約930,000人)
戦時や事変に際して戦地等に派遣された部隊所属者の人事処理に関する事項を記載したもの
【文官名簿】
(約30,000人)
陸軍所属の文官(高等官・判任官)に任ぜられた者の身上に関する事項を記載したもの
【臨時軍人軍属】
(約1,500,000人)
軍人軍属の徴収、召集、徴用が可能な人員を把握するため、陸軍部隊に服務している軍人軍属を有する家族から、市区町村を通して、各連隊区司令部に届けさせたもの
【病床日誌(一部は国も保存)】
(約120,000人)
陸軍軍人軍属が患者として陸軍病院に入院した際、入院当時の病状、入院後の経過、病理試験の成績、治療上の処置、食事等について記入したもの
総計
- 旧陸軍関係(社会・援護局保管)=約14,175,000人
- 旧海軍関係(社会・援護局保管)=約9,015,000人
- 旧陸軍関係(都道府県保管)=約9,230,000人
- 総計=約32,420,000人
※資料:平成20年2月25日厚生労働省社会・援護局業務課(平成20年2月26日衆議院予算委員会提出資料から)
旧軍工場勤務(軍属等)の確認申請急増
2008年2月17日読売新聞によると、年金記録漏れ問題が起きたことが要因とみられる旧軍工場を巡る確認申請が急増し、年金記録の確認のための社会保険庁への申立てが2007年度上半期(4月から9月)だけでも2006年度の1年間を約10倍も上回る2000件にも上りました。
2005年度は申立件数が306件に過ぎず、このうち履歴が見つかったのは127件。2006年度は206件の申立てで106件の履歴が判明。
これら旧令共済の年金記録は「ねんきん特別便」の対象となっていないために注意が必要です。(本人が申請しなければならない。)