厚生年金・国民年金情報通厚生年金・国民年金増額対策室

« 時効経過国民年金保険料 違法後払い問題でようやく処分 | メイン | 若者単身の厚生年金 実質1倍以下(平成21年財政検証) »

年金「100年安心」発言録

『政府といたしましては「100年安心」と謳ったことはありませんが・・・』

2009年3月31日の衆議院本会議における舛添厚生労働大臣の発言で、一過性ながらも再び「100年安心」という言葉がクローズアップされました。

年金「100年安心」は、与党が2004年の年金法改正時において喧伝してきたことで、その意味は、100年後であっても現役の平均手取り収入の50%の年金給付水準を確保するというものです。

今でこそ「100年安心」と発言する与党議員はいなくなりましたが、当時の厚生労働大臣、厚生労働副大臣は確かに「100年安心」あるいはそれに準ずる発言をしていました。(あるいは慎重、否定的な発言も)

このページでは、その「100年安心」発言をピックアップし、改めて再確認してみようと思います。

公明党 坂口力厚労相(当時)「100年安心にしていくという案を作った」

『100年安心にしていくという案を作ったわけでありますから、それに向かって政策努力を重ねていくということが与えられた課題であると思っております。』

これは2004年6月1日の坂口力厚生労働大臣(当時)の発言です。推測ですが、「100年安心の年金」だと断定するわけにもいかず、かといって100年は希望だと認めるわけにもいかず・・・何とか実現可能なプランだということを示したいという苦しみを感じます。

なお、下記議事録(抜粋)でもわかるように、当時は与党による100年安心のパンフレットがあったように記憶していますが、残念ながらリンク先を見つけることが出来ませんでした。

関連外部リンク
『100年安心年金大ウソだった』2004年5月14日(金)「しんぶん赤旗」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik3/2004-05-14/01_01.html

衆議院厚生労働委員会 平成16年(2004年)6月1日
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/159/0062/15906010062021a.html

○柳田稔君

抽象論で答えられると分かりづらいので、もう一回簡単に聞きます。今回の年金改革というのは百年安心だと今でも思われますか。

○国務大臣(坂口力君)

百年安心にしたいと思っております。

○柳田稔君

希望で百年安心、そうおっしゃってくれると僕らも分かるんです。 ところが、先日、山本議員が質問に立ったときに、自由民主党、公明党、パンフレットがありましたね、 その一ページ目に百年安心と書いてあったんですよ。 それを見られた人は、ああ、百年安心なんだ、大丈夫なんだと思いますね、 普通の人だったらですよ。大臣、今でも本当に百年大丈夫だと、希望じゃないですよ、 安心だといって胸を張って言えますか。

○国務大臣(坂口力君)

世界経済、これからどういうふうになっていくかというようなことは、それはもちろんあるわけでございますから、 それはなかなか言いにくいところでございますけれども、しかし百年安心にしていくという案を作ったわけでありますから、 それに向かって政策努力を重ねていくということが与えられた課題であると思っております

自民党 森英介厚労副相(当時)「100年後でも絶対大丈夫」

『給付水準の下限とした50%を上回る見通しとなっておりまして、以上をもちまして、100年後でも絶対大丈夫ということを申し上げます。』

これは、2004年(平成16年)4月7日の森英介厚生労働副大臣(当時)の発言です。「絶対大丈夫」と断言し、さらなる念押し質問にも「そのとおり」だと認めています。

衆議院厚生労働委員会 平成16年(2004年)4月7日
http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/
009715920040407009.htm

○長勢委員

(略)今回の改革によって百年間は大丈夫なんだ、絶対もらえるんだ、こう政府はおっしゃっておられるわけで、そのとおりだと思いますけれども、残念ながら、国民の方々は、本当かねと、必ずしも十分信用しておるという段階には至っていないというのが本当ではないでしょうか。やはり、これだけは、ただ大丈夫だ、大丈夫だと言っていたってなかなか信用してもらえない、今までの実績がありますから信用されないわけで、ここはひとつ、百年間大丈夫だというのを明確に、具体的に説明して、国民の方々もわかるように、安心させてやっていただきたいと思います。

○森副大臣

今回の年金制度改正案のポイントは、先ほども申し上げましたとおり、まず、五年ごとに給付と負担を見直すのではなくて、将来の負担が過大とならないように極力抑制しながら、一方で、将来の負担の上限と給付の下限を法律上明らかにしております。また、急速な少子高齢化が進行する中で、年金を支える力と給付のバランスをとることができる仕組みに転換をいたします。また、課題でありました基礎年金の国庫負担割合についても、引き上げの道筋をお示ししております。こういったことによりまして、年金制度が将来にわたって高齢者の生活の基本的部分を支えるという役割を果たすことのできる持続可能な制度設計ができたというふうに自負をしておりまして、今回の改革は大変大きな意義があると思います。 その結果として、現在生まれた子供がほぼ受給を終える二一〇〇年までの約百年間の財政バランスをとることといたしておりまして、将来推計人口の中位推計や、実質賃金上昇率が二〇〇九年度以降年率一・一%など、一定の人口や経済などの前提のもとでは、将来の保険料を一八・三%に固定いたしまして、社会全体の年金を支える力に応じて年金額を改定する新しい仕組みとなっておりますので、調整後の給付水準は、平成三十五年度、すなわち二〇二三年度以降五〇・二%を確保でき、給付水準の下限とした五〇%を上回る見通しとなっておりまして、以上をもちまして、百年後でも絶対大丈夫ということを申し上げます

○長勢委員

これからの、少子化なりそういういろいろなファクターのそれなりに慎重な水準を推計して、それに合わせて今回の改正をやれば、そういう事態が生じても百年間は大丈夫なように設計をしてある、こういうことでありますね。(森副大臣「そうです」と呼ぶ)もうちょっと力強く言っていただけませんかね。

○森副大臣

そのとおりでございます

自民党 麻生首相

下記は2009年(平成21年)4月27日の参議院本会議の答弁ですが、注目は質問の方にあります。

昨年の中央公論三月号・・・ということは、2008年3月の麻生幹事長(当時)の頃ですが、年金についての論文の中で「政府がどんなに百年安心とうたっても、自戒を込めて言えば、もはや信用する人はだれもいない」と論じています。

参議院本会議 平成21年4月27日

○中村哲治君

民主党・新緑風会・国民新・日本の中村哲治です。
(略)
さて、昨年、麻生総理は、中央公論三月号に年金についての論文をお書きになりました。以下、この麻生論文の内容と政府の方針やこれまでの答弁との比較を中心にして、年金関連法案について会派を代表して質問をいたします。 平成十六年の年金法改正の特徴は、一つ、百年安心、二つ、年金給付水準は所得代替率五〇%以上、三つ、基礎年金部分の国庫負担は平成二十一年度までに引上げの三つでした。しかし、今年二月に発表された財政検証は十六年改正を覆すものでした。 麻生総理は麻生論文で、政府がどんなに百年安心とうたっても、自戒を込めて言えば、もはや信用する人はだれもいないのだとお書きになっています。これに対して、舛添厚生労働大臣は、三月三十一日の衆議院本会議で、政府といたしましては百年安心とうたったことはありませんと答弁なさっております。委員会でも同じです。 麻生総理、政府は百年安心とうたってこなかったのでしょうか。麻生論文と舛添大臣の答弁のどちらが正しいのか、お答えください。次に、麻生論文の、もはや信用する人はだれもいないのだという部分についてです。
(略)

○内閣総理大臣(麻生太郎君)

中村議員の質問にお答えをいたします。
(略)
次に、政府として百年安心をうたってこなかったのかというお尋ねがありました。私が総理就任前に執筆した論文は、平成十六年の制度改正の当時、世上においてそのように語られていたと記憶があったことから記述したものであります。政府として公式に百年安心をうたったことはありませんが、平成十六年の年金改正により、おおむね百年程度を見通して長期的な給付と負担の均衡が維持される仕組みとしたところであります。そうした持続可能な年金制度を確立するためにも、基礎年金の国庫負担の二分の一への引上げが不可欠であり、一刻も早い本法案の成立が必要だと考えております。

なお、麻生首相のサイト内には、中央公論へ投稿した「安心を取り戻すプラン(平成20年1月22日)」(http://www.aso-taro.jp/lecture/ansin_plan.pdf)のリンクがあり、それによると『政府がどんなに「100年安心」と謳っても、自戒を込めて言えば、もはや信用する人は誰もいないのだ。年金制度はまさに「負のスパイラル」に陥っている。』(2ページ目より抜粋)と記されています。(論文は、問題提起だけではなく、財源を消費税(10%)に置いた税方式導入の年金改正案も展開されている。)

自民党 野田毅議員「これはとてもじゃないが百年なんて」

平成19年(2007年)年2月1日衆議院予算委員会における自民党の野田毅議員の発言です。

与党議員なので一種のガス抜き発言?とも取れそうですが、3年前に発行された野田毅『消費税が日本を救う(PHP、2004年2月6日発行)』を読むとそんな軽い発言ではないことがわかります。

『年金制度改正の歴史は、負担増をなかなか国民に切り出せない政治家と、「社会保険」制度を維持したい厚生官僚らによる抜本改革の先送りの繰り返しだった側面があります。それは、社労族と言われる族議員だけの責任ではありません。私たち政治家全員の責任と言えます。今度の改正では、多少時間をかけても、少なくとも二十一世紀半ばまで見通した持続可能な制度をつくらなければなりません。』(67ページより抜粋)

衆議院予算委員会 平成19年(2007年)年2月1日
http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/
001816620070201002.htm

○野田(毅)委員

これは、きょうこれ以上深く論議を進めるのは時間の関係上できませんけれども、ただ、なぜこうやって分野を限定したかというと、一つは、既存の借金返しのために消費税を引き上げることはしませんよという一つの意思表示でもある。それから、一般の、他の歳出をふやすために消費税を引き上げるつもりもありませんよと。やはり、使い道を限定させるということが大事なことだ。 そしてそれは、反面で、こういった老後の社会保障の基礎的な部分について、過度の世代間の不公平をなくしていこうという要素も入っているわけですよね。これはもう当たり前のことです。そして、そのことによって長期的にこの社会保障制度を安定させることができるんじゃないか。

私はこのことを頭に置いて、こういうことはなんですが、百年安心年金みたいなことを言っていましたけれども、これはとてもじゃないが百年なんて、出生率だってどう変わるかわからないし、経済成長率だってどう変わるかわからないのに、余り大きな声で言わぬのがいいんじゃないか、私はそう思いますよ。だから、それよりか、むしろこういう根本的なことを本当はこれから議論をしてほしいなということだけつけ加えておきたいと思うんです。

公明党 赤松厚生労働副大臣(当時)「ある意味で選挙戦術的な側面も」

平成18年5月26日厚生労働委員会における赤松厚生労働副大臣の発言です。

衆議院厚生労働委員会 平成18年(2006年)5月26日
http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/
009716420060526025.htm

○高木(美)委員

私は、いい機会ですので、これは赤松副大臣に質問させていただきたいのですが、こうした社会保険庁の事件がさまざま出てまいりますと、必ずそこで国民の皆様から出てくるお声は、だから年金は危ないじゃないか、だから払いたくない、そういう意識をお持ちのお声でございます。私は、最近、年金財政も、運用も好調であると聞いておりますし、予定どおりのプログラムで進行していると伺っております。こうした点の状況と見通しにつきましてお伺いをさせていただきたいと思います。

あわせまして、やはり、年金は危ないというのはもう今般当たらないのだ、百年安心なのだから安心なのだ、お約束したものは大丈夫なのだ、この点も再度はっきりと明言をお願いしたいと思います。

○赤松副大臣

高木委員御承知のように、年金制度につきましては、平成十六年、今から二年前の改正におきまして、四つの柱、保険料の上昇をできる限り抑制しつつ上限を固定する、また、保険料水準の範囲内で給付水準を自動的に調整する仕組みの導入、また、三つは、基礎年金の国庫負担割合の引き上げ、四つは、積立金の活用、こういったものを一体的に行って、長期的な給付と負担の均衡を図って、持続可能な制度を構築したわけでございます。

そういう流れの上に今あるわけですけれども、今委員御指摘のように、年金財政に影響を与える要素というのは、プラスもマイナスも両方、さまざまな要素があると思います。例えば、マイナスといえば出生率の低下ということがありますけれども、一方で、景気の回復ということを背景にいたしまして高い運用利回りが確保されている、あるいはまた厚生年金の被保険者数が増加している、こういった年金財政上のプラス要因もある、こういうふうなことが指摘できると思います。

年金制度につきましては人の一生にわたる長期の制度であって、年金財政の見通しにとっては人口や経済の長期の趨勢がどのようになるのかが重要だ、こういうことが言えるわけでございまして、今後の流れの中で、少なくとも五年に一回財政状況の検証を行いながら、年金制度の安定を確保してまいりたい、こんなふうに厚生労働省としては思っております。

今、年金百年安心プラン、こういうことで、国民の皆さんは年金に対して安心をしていたはずなのに、それに対してさまざまな要素があってそれに不安を持つ向きがある、こういう御指摘であります。あの選挙に向けてさまざまな、与野党入り乱れての選挙戦の流れの中で、私は、百年安心プラン、よく言ったなという、いろいろな意味を含めて、ある意味で選挙戦術的な側面もありますけれども、しかし、ちょうど百年どうこうは別にして、長期にわたって安心できるという意味合いにおいて、私は適切な目標だったろうと思います。それに向けて、先ほど来申し上げておりますように、しっかりと検証しながら、確実にやっていけば大丈夫である、こんなふうに思っておる次第でございます。

自民党 舛添厚生労働大臣

舛添厚生労働大臣の発言ですが、下記のうち衆議院厚生労働委員会(平成21年(2009年)4月22日)の議事録が『百年安心プラン』の総括的内容となっています。

参議院予算委員会 平成20年(2008年)10月16日
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/170/0014/17010160014005c.html

○国務大臣(舛添要一君)

百年の財政計算をしたということは申し上げたと思いますが、百年安心ということは政府は言ってないというふうに私は記憶しております


衆議院厚生労働委員会 平成21年(2009年)4月10日
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/171/0097/17104100097009c.html

○舛添国務大臣

これは、百年安心という、この旗を掲げてやっているのかということでありましたので、百年安心プランという旗があるかどうか、これを国会の議事録や何かで精査をさせました。 その結果、国会の議事録を見る限り、百年安心プランという旗は公式に立てたという記録がないということで、公式的には政府が百年安心とうたったことはありません、そういう御答弁を申し上げました。


衆議院厚生労働委員会 平成21年(2009年)4月22日
http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/
009717120090422012.htm

○舛添国務大臣

私自身が百年安心という言葉を使っていないので、百年安心という言葉は使いたくないんですが、いずれにしても、持続可能な制度を目指すためには、いかなる制度であれ、必要な見直しは適宜行わないといけない。

事実は答弁の通りなのですが・・・

ここまで「100年安心」に関する発言を見てきましたが、「1.舛添厚生労働大臣は100年安心という言葉を使っていない」ということは事実ですし、「2.政府として公式に「100年安心」とうたったことはない」という点も、平成21年(2009年)4月22日の衆議院厚生労働委員会議事録を読み込んでみると一応確かなようです。

しかし・・・
1・・・「私自身が100年安心という言葉を使っていないので」というコトバから自己保身のような雰囲気が感じられます。(組織の末端、社会保険事務所の年金窓口では、年金記録問題や組織の不祥事に関する苦情も日常的にあるものと思われますが、おそらく「自分が居ないときの話なのですが~」「自分は関与していない話なのですが~」などと断りを入れることなく、組織の一員として誠意を持って対応するのではないでしょうか。)
2・・・実態として政府公約と変わらないがごとく与党が「100年安心」というコトバを使っていたにもかかわらず、「100年安心」を追及されると「政府として公式に~」と答弁。事実であることはわかっていても、逃げ口上にも聞こえてしまいます。

厚生年金増額対策まとめ厚生年金繰り下げ受給加給年金中高齢の特例60歳台前半の特例定時決定育児休業
退職改定任意単独被保険者高齢任意加入被保険者在職老齢年金3歳未満の養育特例
国民年金増額対策まとめ任意加入被保険者国民年金繰り下げ受給保険料免除制度国民年金基金時効の2年間
前払制度(保険料前納)会社員(厚生年金加入)付加年金第3号被保険者
年金Q&A公的年金制度と年金問題老後の年金生活の実態よくある年金の勘違い年金と税金
年金、ここが損得の分れ目国民年金の保険料国民年金保険料の免除厚生年金の保険料
年金の受給全般老齢基礎年金の受給老齢厚生年金の受給加給年金の受給寡婦年金
厚生年金保険への加入国民年金への加入年金の任意加入離婚時の年金分割
遺族厚生年金 遺族基礎年金中高齢寡婦加算在職老齢年金QA国民年金基金QA
年金の手続きその他年金受給者の手続き裁定請求書の書き方と留意点年金相談事例厚生年金の受給開始年齢
年金読書録(年金、年金生活、社会保障関連の本)消えた年金記録とは?プライバシーポリシー