「正直者が馬鹿をみる」「保険料納付者への背信行為」「理不尽」「不公平」・・・広く認知されるほど不満の声が上がりそうな年金の制度が施行されました。
平成22年12月までに自分の年金記録を見直し、誤って第3号被保険者になっていた年金記録を第1号被保険者に訂正したことのある人は要注意。怒りに震えることになるかもしれません。
※注・・・年金の第3号被保険者の99%は主婦(1%は主夫)ですので、ここでは第3号被保険者=主婦として話を展開しています。
【平成23年2月11日追記】 『運用3号』制度について、厚生労働省が公表した詳細資料へのリンクです。 【平成23年2月24日追記】 「運用3号制度」について、見直しの動きが出てきました。 『国民年金第3号被保険者の切り替え漏れ問題について、細川律夫厚生労働相は24日の予算委員会で、1月から始めた救済を一時停止する方針を示した。今後の対応は総務省と協議して近く結論を出す。同日午前の衆院予算委員会で鴨下一郎議員(自民)の質問に答えた。』(毎日新聞2月24日より引用) 【平成23年3月3日追記】 問題化したので決定時期変更で責任回避? 『国民年金:3号被保険者切り替え漏れ 責任なすりつけ? 厚労省、決定時期前倒し サラリーマンの妻など国民年金の第3号被保険者(3号)が夫の扶養から外れた際などの切り替え漏れを救済する「運用3号」制度に関し、厚生労働省は2日、これまで「昨年12月」と説明してきた決定時期を「昨年3月」へと前倒しした。厚労省は、昨年3月29日に同省の年金記録回復委員会に運用3号の案を提示し、12月14日の同委員会の了承を得て決定したと説明してきた。細川律夫厚労相も同様の答弁をしている。昨年3月の決定なら、当時の長妻昭前厚労相が責任者となるが、12月なら細川氏の最終判断となる。運用3号を巡っては、自民党が細川氏の責任をただす構えを見せており、決定日変更は野党の追及をかわす狙いもあるとみられている。大塚耕平副厚労相は2日の会見で「3月29日に政務三役と関係幹部が最終的に協議して省として決めた」と述べた。』(毎日新聞3月3日より引用) 本決定が2010年3月ならば、有識者を集めた年金記録回復委員会の議論(第14回 2010年12月)はお飾りだということなのでしょうか。「決定」の定義がどうあれ、問題が拡大してから制度決定時期を変更するということについて、どうしても保身の意図を感じてしまいます。 【平成23年3月4日追記】 平成23年3月4日の衆議院予算委員会により、驚くべき3つの点が明らかになりました。 ●その1-過去2年分の保険料納付は運用3号の適用を受ける必須条件ではなかった。 これまで「最大過去2年分の保険料の支払い」は「運用3号の適用」の条件であるかのように新聞・テレビ等で報じられていました。また、私自身も通知等を読みそのように解釈しておりましたが、実際には、過去2年分の保険料の支払実績とは関係なく、運用3号の救済を受けられることが明らかになりました。(必要なのは「支払う意思の確認」であって、支払った結果ではない。)つまり、3号から1号への切り替え漏れにより過去20年間不整合記録となっている人については、運用3号への適用後、最終的に過去2年分の保険料の支払いが履行されなかったとしても、過去2年より前の18年間については「運用3号」として実質3号被保険者として扱われる訳です。過去2年間については、保険料を納めれば1号としての保険料納付済期間となり、未納ならば1号としての未納期間とされます。 ●その2-運用3号の施行日前の受付について、現場により不公平が存在した可能性がる。 運用3号の施行日は平成23年1月1日ですが、現場によっては平成22年12月から受付を行っていたということが明らかになりました。(世耕議員指摘による。)これは、現場向けの説明会の時期や、担当者が親切な人か杓子定規の人かということによって、適用が受けられるかどうかの差が生じていた可能性があるということです。(大臣答弁「昨年12月15日より前に(救済申請を)受け付け、適用しているケースも一部ある可能性もある。」) ●その3-運用3号制度の12月15日内部通知を厚生労働大臣は知らなかった。 平成22年12月14日第19回年金記録回復委員会の議題の一つに運用3号制度が取り上げられ厚生労働大臣も出席していたのですが、翌日12月15日に出された内部通知(厚生労働省年金局事業企画課長通知)については、厚生労働大臣は知らなかったということが明らかになりました。 【平成23年3月8日追記】 運用3号制度については「きちんとした法律制度で対応」することになりました。 【平成23年3月9日追記】 平成23年3月8日の厚生労働委員会(大塚厚生労働副大臣答弁)により、従来から、事実上運用3号と同じ扱いが現場で『多数』行われていたということが明らかになりました。これは、旧社会保険事務所に裁定請求に来たときに、窓口の職員が本当は第1号被保険者と訂正すべき不整合記録について、現実には訂正されないまま、結果として本来の年金受給額より多い年金をもらっている人が『たくさん』居るというものです。 つまり、「運用3号」というしくみを立ち上げたことでで不公平・理不尽な点が問題となりましたが、そのようなことはもうすでに存在していたわけであり、「運用3号」について課長通知で行おうとするなど民主党の不手際は責められるものの、事実上の「運用3号」を見過ごしていた歴代厚生労働大臣、旧政権にも責任があるということになります。 それにしても、これまでどれくらいの割合で不整合記録の訂正が行われなかったのでしょうか。また、その対象者数はどれくらいなのか、実際の年金額よりも多く払っている金額は全体でどれくらいなのか等、公表を待ちたいと思います。(妻自身の年収が130万円を超えたことにより3号を外れた場合の記録は調査困難かもしれませんが、夫が2号から1号になった場合の対象者は容易に調べられるはずです。) 【平成23年4月12日追記】 厚生労働省は、11日に行われた「第2回社会保障審議会第3号被保険者不整合記録問題対策特別部会」において、第3号被保険者の不整合記録にかかる推計結果とともに関連資料を公表しました。 公表資料の過去の判例や論点整理を見ていると、単なる不公平論では片付かないこの問題の複雑さを改めて実感させられます。自民党が、運用3号について国会での追及では、議論の分かれる『不公平論』ではなく『手続き論』に重きを置いていた理由もよくわかります。 最終的には、過払い分は返還を求めないという、不公平が残る決着となりました。 |
平成23年1月1日から施行された『運用3号適用』
平成23年(2011年)1月1日から、『運用3号適用』という新たな年金の制度が始まりました。
これは、例えば会社員の夫をもつ年金種別「第3号被保険者」の妻が、その後夫が脱サラしたことにより夫婦共に「第1号被保険者」となるべきところ、手続き忘れにより妻の年金種別が「第3号被保険者」のままになっているようなケースを想定しているものです。
図のように、夫が会社員から自営業に脱サラした場合、専業主婦をしている妻の年金種別は3号から1号へ変わります。
同じ専業主婦でも、2号(厚生年金)の夫をもつ妻は、年金保険料を納めなくてもよい3号でいられますが、夫が1号(国民年金)になれば、妻の年金種別も法律上1号となり、夫とともに年金保険料を払う立場に変わります。
しかし、中には年金種別の変更手続きを忘れ、もしくはわからないまま届けをしない人もおり、年金種別が誤って3号になったままになっていることもあるのです。(下記図)
その場合、記録上3号になっている間は保険料を請求されることはありませんが、事後的に第1号被保険者であることが判明した場合には、さかのぼって年金記録を第1号被保険者に訂正することになるため、過去2年分の保険料を後払いできた部分を除き1号未納となります。
これにより、今までは老齢基礎年金の額が減らされたり、年金加入期間が足りなくなることにより無年金になるという事態も発生していました。
もちろん、まだ60歳になっていない人については、「1号」に訂正後の国民年金の保険料は自己負担ですし、払えなかった月にかかる将来の年金は減らされてしまいます。
ここまでが、平成22年12月までの話です。
少しかわいそうな気もしますが、きちんと届出義務を果たして、まじめに保険料を納めている「元3号」である「1号」の主婦のことを考えれば、法律通りの妥当な措置であると思われます。
ところが、今回新たに出来た制度では、不整合記録(本当は「1号」なのに「3号」となっていた記録)の「3号」を「1号」に訂正する今までのやり方を変更し、誤りである「3号」になっていた年金記録を「運用3号」とすることで、事実上「3号」と変わらぬ扱いにするようにしたのです。(下記図)
※注1-厳密には62歳以下であれば、最大で過去2年分は「1号」となりますが、その点については図示しておりません。(最大というのは、例えば60際の人ならば過去2年は1号として2年分の保険料を求められますが、訂正する人が61歳ならば、法的に59歳から60歳までの1年分しか1号になり得ません。また、62歳を超える人については過去2年のうちに1号となりうる期間がないので結果的に保険料を求められることはないということです。)
※注2-平成23年3月4日まで、当ページにおいては「この特例の適用には当該過去2年分の保険料納付が必要」であると記載しておりましたが、正しくは、当該過去2年分の保険料納付を「求められる」ものの、手続き時点で納付の意思を示せば、最終的に納付を拒否したとしても2年より前の期間については「運用3号」が適用されるということです。(平成23年3月4日衆議院予算委員会の答弁により判明。)
なお、この点については、平成22年12月14日第19回年金記録回復委員会において「一方で真面目に納めた方への背信行為との指摘があることもごもっとも(略)不公平感を考慮し時効が成立していない期間については公平性の観点から直近2年は払ってもらうことで整理した。」と語られていることと反しており、新たな疑念(過去2年分の保険料納付を「求める」と言う表現で、あたかも過去2年分は納付実績が必須条件であるかのような印象操作をおこなってきた?)が生じたところです。
対象となる年金記録は、昭和61年(1986年)4月以降の不整合記録ですので、平成23年(2011年)1月以降に訂正する人の中には、制度上、長ければ25年を超える年金記録が、「実態1号=未納(誤って3号になっていた年金記録)」→「納付済み扱い」になるわけです。
保険料を払ってきた正真正銘「1号」の主婦からすれば、実態は同じ「1号」にもかかわらず、手続きミスをした方が結果的に得をするという、なんとも理解しがたい不公平な優遇措置となっているのです。
平成22年12月までに訂正した人は年金救済対象外
この『運用3号適用』で救われる対象者は、平成23年1月1日以降に「年金記録を訂正した人」に限られています。
例えば、双子の主婦の「A子さん」と「B子さん」がまったく同じ人生を送っていて、先ほどの例のように2人とも「3号」の不整合記録を持っていたとすると、平成22年12月に年金記録を訂正した「A子さん」は『3号→1号(保険料を払っていないので年金にならない)』となりますが、平成23年1月に訂正した「B子さん」は『3号→運用3号(実質3号と同じ)』となり、B子さんの年金だけが救済されることになります。
常識的に考えれば、救済の仕組みの施行日が平成23年1月1日であっても、同じ実態ならば手続日の違いにかかわらず年金上同じ扱いを受けるのが当然だと思うのですが、今回の制度ではそうなっていないのです。
これについて、厚生労働省年金局の資料では次のように書かれています。
厚生労働省:平成22年12月14日年金局事業管理課「3号期間として管理されている不整合期間の取り扱いについて」・・・4ページ『運用3号の適用について』より抜粋。 運用3号に係る取扱いについては、年金局から日本年金機構に対し通知する予定としており、通知が行われた後(施行後)に不整合記録が判明した場合に適用することとする。したがって、通知前(施行前)に既に記録が正しく訂正されている場合は適用しない。→記録訂正は本人確認のうえで訂正された正当な取扱いであり、正当な記録に訂正された期間を3号期間に戻すことはしない。 |
ただ、その理由でいくと、同じように「3号」に関する手続き漏れの救済措置である『3号特例納付』とのバランスを欠きます。
【3号特例納付とは】 |
『3号特例納付』の方は、「本人確認のうえで訂正された正当な取扱い」であるにもかかわらず、すでに手続きをした人の年金記録も特例の適用を受けることができる一方、『運用3号適用』は施行日以降の訂正に限り有効・・・。
ちなみに、先ほどの『運用3号適用』の資料によると、不整合記録が生じた背景として、国にも責任の一端があったことを認めているのです。
2ページ目『不整合記録の対応策』(3)Bより抜粋 B.その背景 |
それならばなおのこと、訂正日による差別的取り扱いは理不尽です。
夫が2号のままの形でも「1号」→「3号」へ年金優遇
最初に示した形は、夫の年金が変わることによる不整合記録発生の形でした。ところが、夫の年金が「2号」のままでも、妻の年金が「3号」から「1号」へ変わる形もあるのです。
それは、下記図のように、扶養される専業主婦や扶養範囲内で働くパート妻の年収が130万円以上になる場合です。(関連:60歳未満の会社員の妻=第3号被保険者ではない場合)
夫は2号のままですが・・・
パートで働く妻の年収が130万円以上になると、年金種別が「3号」→「1号」へ変わるので種別変更の届出が必要ですが、これを失念して3号のままになっていることがあります。
このケースの不整合記録も同様に、新たな制度では1号にするのではなく「運用3号」とすることで、実質「3号」と同じ扱いにします。
妻に十分な収入があり、扶養の基準から外れた為に「3号」でなくなったにもかかわらず、のちに「1号」に訂正するのではなく、より恵まれた「3号」扱いとすることにどのような合理性があるのか甚だ疑問です。
後者のパターンでは、夫の年金は、会社員よりも2割割高となる公務員の共済年金の場合もあるでしょうし、会社員・公務員ともに、高い給料の場合には多額の年金をもらえます。
不整合記録について一律に3号として年金優遇すれば、夫婦で見れば過剰な救済となっていることもあるはずで、その財源もどこからもってくるのか気になるところです。
年金救済の程度の問題
すでに述べたように、平成23年1月施行の「運用3号適用」は、不整合記録を「3号」扱いとするものですが、年金秩序や制度全体の整合性を考えれば、もっと別の救済方法があったような気がしてなりません。
下記表は、個人的に考える救済の4つのパターンです。
(パターン1は、何も救済しない形。)
\ | 受給資格期間に反映 | 保険料を負担 | 年金へ反映 |
パターン 1 | しない | しない | しない |
1→平成22年12月までの不整合記録訂正の仕方と同じように、特別な救済はしない形です。訂正日の2年前までは「1号」として保険料を後払いすることが可能なのですが、それ以前の部分は「1号」未納となります。不整合記録が多ければ大幅に年金が少なくなり、他の年金加入期間と合計して25年なければ無年金になります。すでに記録を訂正した現役の人や年金受給者の中には、このようにして涙を呑んだ人も少なくありません。 | |||
パターン 2 | する | しない | しない |
2→不整合記録の期間が多いと無年金となる恐れがあることから、最低限の救済として受給資格期間には算入させようとする考えです。実態は「1号」で年金保険料を払ってこなかったので、本来の「1号」と同じように、時効の部分については保険料の支払を認めず、当然その間の年金は減ります。なお、「知っていれば1号にして保険料を払っていた」という人たちを救済するとすれば、昭和61年4月前の「3号」の仕組みがなかった時代の専業主婦の年金未加入者について、当該期間を受給資格期間(合算対象期間)として救済したことを考えると、救済の程度としてはこのパターンが妥当だと思われます。 | |||
パターン 3 | する | する(追納) | する |
3→不整合記録の期間について、原則は受給資格期間(合算対象期間)としつつも、個人が年金に反映させたいと希望するならば、保険料の後払いを利息負担付きで認めるという考えです。すなわち免除制度の追納のようなしくみです。ただし、きちんと手続きをした「1号」が、時効となった未納の後払いができないことからすると、個人負担の大きいこの方法であっても公平性を欠きます。また、年金受給開始年齢に近くなるほど年金を受給できずに死亡するリスクが減り、保険の原則からすれば問題含みです。しかしながら、不整合記録を年金給付に結び付ける方法としては、この方法以外にはないと思われます。 | |||
パターン 4 | する | しない | する |
4→平成23年1月1日に施行された『運用3号適用』の形です。実態が「1号」ならば「1号」であるという原則を飛び越えて「3号」(名目的には運用3号)にする特例により、保険料を負担しなくとも年金がもらえるという公平性の欠く年金優遇となっています。 |
個人的には、パターン3に記したように、正真正銘「1号」との公平性を考慮すれば、不整合記録は受給資格期間(合算対象期間)とすることを原則とし、年金給付に結び付けるには変則的に自己負担を求めるという形がベストだと思われます。
また、いずれの救済の形であっても、訂正日による差別的な取扱いは不公平です。
特に、平成18年には国の責任が大きい年金記録問題が表面化し、国は、年金記録の見直しを国民に勧めてきましたが、それに従い自分の不整合記録を発見して訂正することとなった人からすれば、同じ不整合記録であっても、平成23年になるまでに年金記録を放置していた人の方が救われるというのは、あまりに理不尽です。
さらに、年金制度には「知らなかった」ことで不利益を被ることがあり、例えば60歳からの年金のもらい方については、繰上げ・繰下げのしくみ、自分の年金の形、夫の年金の形、加給年金、振替加算、職種、給料、雇用保険、障害・遺族年金etc・・・制度のしくみが複雑であるために落とし穴に注意しなければなりませんが、仮に選択が間違っても「知らなかったから」という言い訳は通用しません。
そうした中、今回のように原状回復レベル(あくまで「1号」として救済する)を超えた救済が何をもたらすのか。
「知らなかったから」を通用させたことが、とりあえず法律で維持されていた年金秩序を崩壊させてしまわないかと心配になります。(今回の件がアリの一穴として)
2010年12月14日 第19回年金記録回復委員会議事要旨
最後に、平成23年1月1日施行の前月に行われた「第19回年金記録回復委員会」の議事録から、『運用3号適用』に該当する部分を抜粋しておきます。
2010年12月14日 第19回年金記録回復委員会議事要旨 (4)「3号期間として管理されている不整合期間」の取り扱いについて ○ 年金局より資料4-1、4-2について説明があり、委員から次の意見があった。 ・ 結論はこうかと思うが気になる点がいくつかある。他の記録問題と違って制度そのものの問題であり質的に違う。これまで深刻に考えていなかった経緯があるのではないか。これは真面目に払っている人に対する背信行為と認識している。実務上、「こういう人がいるのだが」と窓口に行くと、裁定請求の際に正しくするから大丈夫と言う人がいた。今日の話だと、2年を超えて正しい記録にした職員の行為自体に問題がある。職員からは3号でないはずなのに3号になっているという話をよく聞く。昭和61年4月以来、この問題は現場で知っていた人間がかなりいると思うが、こういうことを踏まえて、問題点を分析し、反省をこめた総括的なことを責任者の名でやる必要があると思うがどうか。 ・ 記録訂正の事跡は残らないと認識しているが、時効を超えて職員が直したものについて、どう考えるのか。 (委員長)いろいろご意見はあると思うが、現時点で3号について不合理と言ってしまうと収拾がつかなくなる可能性がある。今後、実務面からの提案の機会もあるので、その際にということでお願いしたい。現在継続中の10年後納制度法案が出来ても時効の変更はないか。 |
これを読むと、議論が生煮えのまま見切り発車で施行された印象です。
また、「一方で真面目に納めた方への背信行為との指摘があることもごもっとも(略)不公平感を考慮し時効が成立していない期間については公平性の観点から直近2年は払ってもらうことで整理した。」とありますが、本来、実態通りに1号として保険料を負担することが筋ですので、直近2年間分の保険料負担だけで不公平感解消に繋がるはずもありません。(上記追記の通り、運用3号適用後、最終的に過去2年分の保険料の納付実績がない場合であっても、2年超の部分については「運用3号」となります。)
同じ1号でも、無職や非正規雇用で働いている人の保険料負担の負担感、あるいは元3号でまじめに保険料を払っている人のことを考慮すれば「保険料負担なし」などありえない選択なのです。
それにしてもなぜ、年金不信渦巻く今、問題だらけのこの制度を創設したのでしょうか。官僚から煙たがられていた長妻議員を厚生労働大臣から外したことや、年金制度改革の議論の進みの遅さを併せて考えると、改めて政府の年金に対する本気度が疑われます。(年金の矛盾点をズバズバ指摘・追及していた政権交代前の勇姿はいずこへ?)