「国民年金の保険料を免除したのはいいけれど、将来もらえる年金額が少なくなるなあ」そこで追納制度の利用です。余裕ができた時に国民年金保険料を追納し、通常の国民年金被保険者期間とすることができるのです。
追納なら10年前まで保険料を払える
通常、国民年金を滞納していた場合、時効の関係で2年以内の保険料しか後払いすることができません。しかし、免除制度を利用していた場合の追納制度を利用すれば過去10年前までの国民年金保険料を支払うことができるのです。
追納するかどうかは任意ですが、老齢基礎年金の計算上、学生免除(学生納付特例制度)や、若年者納付猶予制度などの年金額に反映しない免除を除けば免除期間は3分の1しか年金額に反映されません。保険料半額免除期間については保険料納付済期間の3分の2です。
承認の日は、承認の日の属する月前10年以内の期間です。「10年以内」ではないので当月は入りません。国民年金保険料の追納をする場合は、第1号被保険者または第1号被保険者であった者が、国民年金保険料追納申込書に、国民年金手帳を添えて市町村等の窓口で手続をします。
なお、国民年金の保険料半額免除の場合で、その免除以外の半額について保険料を支払っていない場合は、単に滞納・未納となり追納することができません。国民年金の追納制度は、あくまで免除が前提ですので、この場合は時効の2年前までの保険料を支払うのみです。
追納の順番
免除した国民年金保険料を追納する時に複数の免除期間があった場合は、まず年金額に一切反映しない学生免除(学生納付特例制度)や、若年者納付猶予制度の保険料の追納を行います。それは、追納しなければ将来給付がゼロになってしまうためです。
ついで、法定免除、申請免除、半額免除等の免除期間につき、先に経過した月の分から順次追納を行うことになります。
追納の額
免除した国民年金保険料を追納する場合、通常の保険料に比べて政府の定めた利息相当の金額を加えて支払うことになります。たとえば平成21年4月1日から平成22年3月31日の間に保険料を追納する場合の、全額免除期間1ヶ月あたりの保険料の追納額は次のようになります。※()半額免除制度。
平成11年度の月分 16,190円
平成12年度の月分 15,560円
平成13年度の月分 14,960円
平成14年度の月分 14,390円 (7,200円)
平成15年度の月分 14,180円 (7,090円)
平成16年度の月分 13,980円 (6,990円)
平成17年度の月分 14,010円 (7,010円)
平成18年度の月分 14,070円 (7,030円)
平成19年度の月分 14,100円 (7,050円)
平成20年度の月分 14,410円 (7,200円)
加算なしの追納期間
追納とはいっても、免除した月が属する年度の4月1日から起算して、3年を経過した日前(つまり翌翌翌年の3月まで)に支払う保険料については加算はありません。ただし、3月だけは翌々年の4月まで加算なしです。
例えば平成19年3月に免除を受けた場合は、平成21年4月までは追納をしても加算はありません。平成19年4月に免除を受けた分は、平成22年3月までは、追納をしても加算はありません。
老齢基礎年金の受給者になった後は追納できないので注意
ここまで追納の話をしてきましたが、過去10年以内であっても、65歳になって老齢基礎年金の受給権者となった後には追納することができませんので注意が必要です。(繰上げも同じ)
65歳になって追納・・・ということは、多くとも60歳前の5年ほどの免除期間の話になりますが、追納する場合には「65歳になる前」に追納を終えてから老齢基礎年金の請求をするという流れになります。
★根拠条文:国民年金法 第94条より抜粋
【第94条の1】
『被保険者又は被保険者であつた者(老齢基礎年金の受給権者を除く。)は、厚生労働大臣の承認を受け、第八十九条、第九十条第一項又は第九十条の三第一項の規定により納付することを要しないものとされた保険料及び第九十条の二第一項から第三項までの規定によりその一部の額につき納付することを要しないものとされた保険料(承認の日の属する月前十年以内の期間に係るものに限る。)の全部又は一部につき追納をすることができる。ただし、第九十条の二第一項から第三項までの規定によりその一部の額につき納付することを要しないものとされた保険料については、その残余の額につき納付されたときに限る。』