年金の端数処理の方法は、時系列に3つに分けられます。1つ目が計算過程の端数処理、2つ目が年金額確定時点の端数処理、そして3つ目が毎支払期に支払う年金額の端数処理です。
年金の端数処理その1「計算過程の端数処理」
年金給付の額を計算する過程において、50銭未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、50銭以上1円未満の端数が生じたときは、これを1円に切り上げることができる。ただし、この規定を適用した場合と、しない場合で計算した年金給付の額に100円を超える差額が生じる場合はこの規定は適用されない。
つまり、計算過程では、1円未満は四捨五入ということです。たとえば厚生年金をもらえる人は次のように計算します。
まず、定額部分と報酬比例部分の計算をしたところ、次のような結果となったとします。
定額部分 712.382円44銭
報酬比例部分 1.342.378円62銭
そこで、両方共に四捨五入しますので、
定額部分が 712.382円
報酬比例部分 1.342.379円
とします。
そして合計 2.054.761円となります。
ここで、ひとまず次の端数処理の説明です。
年金の端数処理その2「年金額の端数処理」
年金給付(厚生年金の場合保険給付)を受ける権利を裁定する場合または年金給付の額を改定する場合において、年金給付の額または加算する額に50円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、50円以上100円未満の端数が生じたときは、これを100円に切り上げる。
つまり、先ほど計算したものは厚生年金ですので「保険給付」ですが、これを100円未満四捨五入するわけです。つまり、合計 2.054.761円の100円未満の端数の四捨五入ですから、年金額は2.054.800円となります。
年金の端数処理その3「毎支払期の端数処理」
さらに、その年金額を毎支払期に支払う金額に割った場合に、保険給付の額に端数が出たときは、これを端数処理します。最後は1円未満の端数があるときは、これを切り捨てます。いままでは四捨五入でしたから、最後だけ処理の仕方が違います。
年金額は先ほどの2.054.800円とすれば、年6回偶数月の支払いですので、2.054.800円÷6=342.466.66円となります。1円未満の端数処理をしますので、毎支払期に支給される金額は342.466円となります。事例で見ると何でもないですが、条文を追っていくとややこしい話です。