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合算対象期間とは?

合算対象期間は、すでに年金加入期間が25年あるという方には関係ない話です。しかし、年金加入期間が25年無くて年金(老齢基礎年金=老齢年金の土台)をもらえない人にとっては、この合算対象期間によって救われる可能性もあります。

合算対象期間は、このように受給資格期間を見るときにだけでてくるもので、年金額の計算をする時の被保険者期間には算入されません。よって、合算対象期間のことをカラ期間と読ぶこともあります。

具体的には保険料納付済期間と、保険料免除期間に、さらに合算対象期間を合わして25年あれば年金をもらえるということになります。

合算対象期間の代表的なもの

合算対象期間は、基本的に年金の強制加入期間ではない期間に対して、本人の意思で年金に加入しなかったもの、または年金に加入できなかったものに対する特例です。中には任意加入で自分の意思で年金に加入しないのだから救済しなくてもいいではないかと思うようなものもありますが、年金の歴史などを考えると特例にせざるを得ない事情も読み取れます。

合算対象期間その1

「昭和61年4月以降、任意加入によって年金に加入できたにもかかわらず被保険者とならなかった20歳以上60歳未満の期間」

代表的なのが海外留学や海外在住の日本人です。例えば海外で自営業をしている人などは、もしかしたら海外の年金に加入して日本の年金をもらう予定がないかもしれません。海外に行くにはいろいろな事情がありますし、国民年金に関しては任意加入の扱いとしています。

そこで、任意加入で加入しないからといって合算対象期間にも何もならない期間となると、途中でライフプランが変更になった人たちには25年という受給資格期間が大きな壁となってきてしまいます。合算対象期間として認めてもらえれば、10年20年外国で住んでいて年金に加入していなくても、のちに日本で住むとなったときに、最低限年金をもらう権利だけは得やすくなるわけです。

合算対象期間その2

「昭和61年4月以降、20歳未満、60歳以上の保険料納付済期間」

これは厚生年金(共済年金も同様)の期間ということです。厚生年金には70歳未満であれば何歳でも加入できますが、厚生年金の期間であって国民年金の第2号でもあるのは20歳以上60歳未満に限られます。つまり、18歳で厚生年金に加入している人や、61歳で厚生年金に加入している人は国民年金には加入していないことになるのです。

老齢基礎年金の受給資格期間を見るときは、この期間を合算対象期間として見て、年金額は厚生年金で計算されます。(老齢基礎年金に相当する定額部分には限度があり)

合算対象期間その3

「旧法(昭和61年3月以前)に任意加入できたのに任意加入しなかった期間」

代表的には厚生年金(共済年金)加入の夫を持つ専業主婦です。今でこそ第3号被保険者として国民年金の保険料を負担しなくても国民年金に加入できますが、旧法ではそのような制度はなく、国民年金に加入してもしなくてもどちらでも良かったのです。

ところが新法(昭和61年4月以降)になってから第3号の制度ができた。たとえば、すでに50歳になっている人などは、そこから25年の受給資格期間を作ろうとしても、今まで任意加入で年金に加入していなければムリな話なのです。そこで合算対象期間として、年金の受給に不利益にならないようにしたのです。

合算対象期間その4.5.6

「旧法(昭和61年3月以前)で任意脱退が認められた期間」
「昭和36年4月1日前の通算対象期間」
「日本人で昭和36年4月1日から昭和61年3月31日までの海外在住期間」

任意脱退とは、旧国民年金の制度です。

合算対象期間その7

「旧厚生年金で脱退手当金を受けたものが新法の年金に加入した時、昭和36年4月以降の期間」

これは、昔はよくあった事例です。例えば社会人を2,3年やって専業主婦になるとします。この場合、厚生年金をもらう権利までは相当の期間があり、このまま専業主婦であれば年金をもらう資格は得られないだろうと思うわけです。

そこで、結婚するような場合、厚生年金から脱退。一時金の脱退手当金を受けとって清算しました。当時は国民年金も任意加入でしたので。

しかし今はまったく違います。当時の当該女性の方が今の年金制度を見たら、脱退手当金なんかもらわずに、年金記録はそのままにしていたのに・・・と思うような制度になっています。ですので、せめて合算対象期間として年金受給資格の計算には算入させようとなったのです。

合算対象期間その8

「昭和36年4月から平成3年3月まで学生であった期間で任意加入しなかった期間」

『学生』は、昭和36年4月の旧法の時代から新法後の平成3年3月まで国民年金の加入は任意でしたので、この間に学生(昼間部・20歳以上60歳未満)であり任意加入しなかった期間については合算対象期間となります。

【「専修学校」と「各種学校」は昭和61年4月から平成3年3月まで】

「専修学校」(学校教育法第82条の2)と「各種学校」(学校教育法第83条の1)の学生については、旧法の時代(昭和36年4月から昭和61年3月まで)には国民年金に強制加入でしたが、昭和61年4月からは任意加入に改められました。

そして、平成3年4月からは、大学、短大、専修学校などすべての学生が国民年金に強制加入することとなったため、「専修学校」と「各種学校」の学生については任意の加入期間は昭和61年4月から平成3年3月までと非常に限定的となりました。

もしこの間に当該学生であり、任意加入していなければ、その期間が合算対象期間となります。

【夜間部・定時制・通信制】

夜間部・定時制・通信制の学生については、従来から引き続き国民年金の強制加入でしたので、合算対象期間の対象とはなりません。

※「夜間部・定時制・通信制」の学生については、合算対象期間の話とは関係のないところで改正が行われましたが、混同しないようにご注意ください。(平成14年4月から「夜間部・定時制・通信制」の学生も学生納付特例制度の対象となったこと。関連ページ:年金保険料の支払猶予制度「学生納付特例」で言う『学生』とは?

その他

日本に帰化する人の帰化前の期間や、国会議員の任意加入中の期間など、他にも合算対象期間はあります。

なお、任意加入していたまま未納だった場合はどうなるのか。この場合、合算対象期間とはなりませんので注意が必要です。

一応、保険料納付督促の指定期限までに保険料を納めない場合には、その翌日に被保険者資格喪失・・・ということになっているのですが、現実には、社会保険庁による任意加入者に対する期限を定めた督促自体が行われていなかったので、任意加入が国民年金の保険料を未納したままズルズルと・・・という事態が発生していました。(任意加入全部について言えるのかどうかは不明ですが、少なくとも旧法の任意加入の時代の督促は行われていなかったようです。)

いずれにしろ、合算対象期間が問題となる方は、年金の受給権の有無が掛かっているわけですので、年金事務所で質疑応答の中で確認されることをおすすめします。

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