年金の受給資格期間は、通常25年が原則ですが、昭和5年4月1日以前に生まれた人の場合は必ずしも25年の受給資格期間がなくても年金がもらえます。
昭和5年4月1日以前生まれの特例
年金を受け取るには、最低条件として受給資格期間が25年なくてはなりません。受給資格期間は、保険料納付済期間、保険料免除期間、合算対象期間とを合計して計算しますが、昭和5年4月1日以前生まれの人たちは例外として、次の受給資格期間があれば、年金の受給資格を得ることができます。
- 大正15年4月2日から昭和2年4月1日までの間に生まれた者=21年
- 昭和2年4月2日から昭和3年4月1日までの間に生まれた者=22年
- 昭和3年4月2日から昭和4年4月1日までの間に生まれた者=23年
- 昭和4年4月2日から昭和5年4月1日までの間に生まれた者=24年
なぜ受給資格期間が25年でなくていいの?
原則25年の受給資格期間なのに、この生年月日の人だけが25年なくてもいいというのは、何も知らないと不公平に感じてしまいます。そこで、その訳をご説明しますと、この年代の人たちは、生まれた時にすでにある程度の年齢になっていた人たちなのです。
国民年金が誕生したのが昭和36年4月1日ですので、昭和5年4月1日以前生まれの人は、すでに31歳以上になっています。60歳まで29年しかありませんので、その中で25年の受給資格期間を満たすというのは困難という他ありません。
そこで、受給資格期間の特例をみてもわかるように、60歳まで残されている期間に5年の猶予を持たしたものを受給資格期間としたのです。
例えば昭和2年4月2日から昭和3年4月1日までの間に生まれた人は受給資格期間が22年で年金の受給資格を得られますが、この人たちは国民年金誕生当時33歳ですので、60歳まで残り27年。そこで27年に5年の猶予を持たせて22年。
受給資格期間原則25年の「原則」の例外
受給資格期間の原則は25年という言葉ですが、本でもテレビでも、必ずといっていいほど「原則」が出てきますが、ここで説明したものが、原則の例外の一つです。このほかにも被用者年金各法の特例、厚生年金の中高齢の特例、坑内員・船員の特例・旧令共済組合の特例といった例外があります。
「原則」ときたら、必ず例外があり、その例外を知らないことで年金をもらい損ねることもありますので、「原則」という言葉があったときは、その裏を見てみることを強くおすすめいたします。テレビや新聞で触れる話題は表現の制約などにより、「原則」中心の表面的なことばかりですので。