支給漏れのせいで年金加入25年に満たない人は、いったいどのくらい存在するのでしょう。そもそも25年ルールは必要?と考えていたところ、「国政モニターの声に対する回答」というものを見つけました。質問者と厚生労働省の回答を少し見ていきます。
「国民年金受給資格年数見直しを」から
全文はこちらをご覧ください。
http://www8.cao.go.jp/monitor/answer/h17/ans1802-005.pdf
質問事項は、
「~そもそも受給資格年数というのはどういう目的で設定されているのか~なぜ25年も必要なのか~受給資格年数の見直しを~」
というもので、その答えがなんとも消化不良なものでした。
回答者の答えの要旨は
「免除や任意加入を利用すれば、25年を満たすことはできますよ。25年未満で年金受給ですと年金額が少なくなってしまいますよ。」そして、「25年未満でもよしとすると未納が増え、世代間扶養が成り立たない。」さらには「年金は損得、見返りではない」という結論に・・・
第13回社会保障審議会年金部会から
平成20年11月27日の社会保障審議会年金部会の「老齢基礎年金の受給資格期間(25年)の見直しについて」の議論の中で年金課長は、受給資格期間の25年について次のように発言しています。
『~この歴史的な背景としては、(略)当時、国民年金制度発足当時、厚生年金が20年としていたこと。あるいは免除制度という形で別途対応がなされていたこと。それから、25年ないと意味ある年金が確保できないという考え方で25年ということになっていったわけでございます。~もともと25年というのは、年金水準の目標の設定に当たって25年という意味を持っていたものが、64年改正で40年フルペンションということに変わった中でも資格期間としては、25年が残っているということでございます。』
25年ルールと国庫負担(税金)
年金加入が原則25年ないと無年金。ということは、保険料だけでなく税金も返ってこないということになります。そういう考え方自体がおかしいといわれればそれまでですが、一方では「支払った分は確実に戻ります」というような宣伝をしている以上、リターンを考えるのは自然です。本来税金の使い道は公共、直接・間接的に誰もが享受しうるもののはずだと思うのですが・・・
最低保障年金の導入で25年ルール撤廃を
払った年金保険料がきっちり管理されていて、支払いも厳格に行われるのでしたらまだしも、あまりにズサンな年金管理のおかげで無年金になっている人のことを考えると、25年前後で天国か地獄かというしくみは撤廃すべきものと考えます。
1階部分は税金で「最低保障年金」に、2階部分は今の厚生年金と同じように報酬額と納付期間に応じた「所得比例年金」にすれば、公平性が高くわかりやすい年金となるはずです。
また、支給漏れで無年金の人にも、とりあえずは、2階部分に確定している部分が加算された年金が支給され、年金が見つかり次第さらに加算していけばいいというように、無年金のまま亡くなるというような悲劇は回避できます。
結局25年の存在理由はわかりません
25年ルールの本当の理由は分かりません。一面では確かに世代間扶養の維持のためということもあるかもしれません。
しかしどうでしょう。若い頃は遠い世界の話だった年金も、高齢に近づいてくるごとに自分のこととして考え、そうした時に25年に程遠い年金記録の人が、少しでも良いから年金を増やそうと50代、60代からまじめに保険料を納め始めるということは考えられないでしょうか。
60歳からの国民年金任意加入を合計してもわずかに25年に足りないという人は、むしろ25年という縛りがないほうが自分のために年金を納めると思うのですが。
憶測ですが、結局のところ、25年未満の年金加入期間の人の年金を払わなくすることで、給付の抑制、つまり財源的な目的であるように思えてなりません。
ちなみに、日本と社会保障協定を結んでいる諸外国の受給資格期間は、おおむね10年以下となっています。外国と日本の年金とでは所得の有無で年金の適用が異なるという違いはあるのですが、それにしても日本の25年という受給資格期間は長すぎる印象です。